【長編/佐野万次郎】オレンジの片割れ
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空に向かって拳を突き上げる武道に声をかけたのは、エマとやってきた日向だった。
「タケミチくーん」
「ヒナ!?」
武道は起き上がって、驚いた表情を浮かべた。
「ウチもいるよー」
二人の元に駆け寄った武道がどーしたの?と問いかけると、日向はほんのり頬を桜色に染めた。
「えっと……」
「ほら、早く言っちゃいな」
エマに背中を押され、日向が口を開く。
「8月3日って空いてる?」
「え?」
「タケミっちとお祭り行きたいんだって!」
日向の話したかった事がデートのお誘いだと分かると、武道は頬を赤く染めた。
「うん、行く!」
武道がそう答えると、日向は安心したように、そして嬉しそうに笑った。
「ほら、絶対オッケーだって言ったじゃん。彼氏だろ?」
エマがそう言いながら視線をずらすと、その先には仲良くサッカーをする万次郎と龍宮寺の姿があった。
驚いたエマがあれ!?と声を上げると、それに気付いた龍宮寺が振り返る。
「よう、エマ!」
「え?仲直りしたの!?」
「エマうるさい」
「あんなに喧嘩してたのに!?」
「してたっけ」
「知らね」
「心配したんだからね!」
とは言いつつも、喧嘩なんてなかったかのように楽しそうに笑う二人を見て、エマはホッと胸を撫で下ろした。
その後志織は、万次郎たちがサッカーをするのを眺めながら、日向やエマと並んで座り談笑をしていた。
「もう、本当に心配したのに」
「二人が仲直りしたの、タケミっちのおかげなんだよ」
「え、タケミチくんの?」
「そう。私も隊長たちも止められなかった二人の喧嘩、一瞬で止めちゃったの。タケミっちって凄い人なんだなって思った」
「ちょっと志織ちゃん浮気ー?マイキーに言いつけちゃうよ?」
「違うよ!?タケミっちに感謝してるって事!タケミっちにはヒナちゃんがいるんだし、それに私は万次郎しか考えられないから!」
志織は慌てた様子で、そう捲し立てた。
エマはそんな志織を見て小さく笑いを溢し、からかうように言った。
「ハイハイ、ご馳走さま~!」
「もう!楽しんでるでしょエマ!」
「うん、楽しい!」
そんな二人のやり取りを見て、日向はクスクスと楽しそうに笑う。
「うう、ヒナちゃんまで~…」
「すみません、志織さんがなんか可愛くて」
「恥ずかしいからやめて…!」
「まあ志織ちゃんは昔から、マイキーだけだもんね。めっちゃ一途」
「二人って、いつから付き合ってるんですか?」
「えー…いつからだろう。ちゃんと覚えてないけど、多分小学校入る前からだったかな」
「そんなに前から!?」
凄い……!と日向は感嘆の声を上げた。
「マイキーと志織ちゃん、もう結婚の約束もしてるんだよ」
「えー!凄い!!」
エマの言葉を聞くと、日向は目をキラキラと輝かせて志織を見た。
「結婚式、呼んで下さいね!」
「うん、勿論!で、二人はどうなの?ケンチンとタケミっちと」
志織がそう問いかけると、日向もエマもほんのり頬を染めながら、色々な話をしてくれた。
友人とそれぞれの恋愛について話すのはやっぱり楽しくて、三人は時間も忘れて盛り上がった。
「あの、良かったら3日のお祭り、トリプルデートしませんか?」
「それって、さっきタケミっち誘ってたやつ?」
「そうそう!」
「でも、タケミっちと二人の方がいいんじゃない?」
「みんなで出掛けるのも楽しそうだから、みんなで行きたいです!」
「そう?じゃあ万次郎に聞いてみるね!」
「私もドラケンに話してみる」
志織とエマがそう答えると、日向は嬉しそうな顔で笑って、はい!と大きく頷いた。
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