ヒソカさん夢はトリップでは無いので、カタカナでの入力がおすすめかも知れません。
ハンター試験編
ユミ
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「こっちにも事情があんのよ!テスト生の中に料理法をたまたま知ってる奴がいてさ、そのバカハゲが他の連中に作り方を全部バラしちゃったのよ!!……とにかくあたしの結論は変わらないわ!2次試験後半の料理審査、合格者は1名よ!!」
たった1人以外全員不合格。
このあまりにも理不尽な結果に、納得がいかない受験生たちがブーイングを始め、ついには1人の大柄な男が調理台を素手で殴り壊した。
「納得いかねぇな…」
周りの受験生たちが固唾を飲んで、男の次の言葉を静かに待った。
「オレが目指しているのはコックでもグルメでもねぇ!!ハンターだ!しかもブラックリストハンター志望だぜ!美食ハンターごときに合否を決められたくねーな!!」
「それは残念だったわね、今年は運が悪かったのよ。また来年頑張ればー?」
「…!ふざけんじゃねェー!!!」
彼は青筋を立ててメンチに飛びかかった。ユミたちが驚く間もなくブハラがメンチの前に壁となって塞がってその受験生に掌底を食らわせた。
男は一瞬で10数メートル吹き飛ばされ、会場の窓を砕けさせながら地面に強く激突した。
「ブハラ、余計なことしないでよ」
「だってさ、オレが手出さなきゃメンチあいつを殺ってたろ?」
「ふん、まあね」
メンチは鼻で笑う。手元にはいつの間にか大きな肉切り包丁が握られており、先程よりもずっと圧が強くなっている。
「ブラックリストハンター?笑わせるわ!たかが美食ハンターごときにのされちゃって、どのハンターを目指すとか関係ないのよ」
───自分たちも食材のために強い動物の巣の中に入り込んだりもするし、密猟者を捕えるために戦うこともある───
「どんなハンターにも武術の心得はあって当然」ということを、メンチはどこか誇らしげに話して見せた。
「武芸なんてハンターやってたらいやでも身につくのよ。あたしが知りたいのは未知のものに挑戦する気概なのよ!!」
(1番聞いてなくちゃいけない人が外で伸びてるけど…というか、生きてる…?)
ユミがメンチの話に頷くと同時にハラハラしていると、急にノイズ混じりのおじいさんの声が聞こえてきた。
「それにしても、ほとんど全員不合格というのはちと厳しすぎやせんか?」
それは自分たちのはるか頭上を飛んでいる飛行船からスピーカーで流されているらしい。
受験生たちが空を見上げると、ハンター協会のマークのついた飛行船の床が開き、そこから人が降ってきた。
そしてすごい音を響かせながら地面に着地しそのまま普通にメンチに近づいた。
(ひっ、人が…というか骨は!?今ので足の骨は!?)
「審査委員会のネテロ会長。ハンター試験の最高責任者よ」
「ま、責任者といっても所詮裏方。こんなときのトラブル処理係みたいなもんじゃ…メンチくん」
「はい!」
ネテロ会長が語りかけると、先程まで余裕と自信の塊のようだったメンチは緊張した面持ちで背筋を伸ばした。
「未知のものに挑戦する気概を彼らに問うた結果、全員その態度に問題あり、つまり不合格と思ったわけかね?」
「…いえ」
そう言ってメンチは自分が何故ここまで理不尽な審査をしてしまったのかを事細かに説明した。
「つまり自分でも審査不十分だとわかっとるわけだな?」
「…はい。スイマセン!料理のこととなると我を忘れるんです。審査員失格ですね」
続けてメンチは審査員を降りるので試験を無効にして欲しい旨をネテロに告げた。
「ふむ…審査を続行しようにも、選んだメニューの難度が少々高かったようじゃな…よし!ではこうしよう」
そうしてネテロが出した条件が、「審査員は続行してもらう代わりに、新しいテストには実演という形で参加してもらう」というものだった。
その言葉にメンチがピクリと反応する。確かにその方が受験生も合否に納得がいきやすいだろう。
先程吹っ飛ばされた男も意識を回復し立ち上がるのが見え、ユミは人知れずほっとしたあと、ひとつの疑問が湧き出てきた。
「あの…」
「ん?あぁ、あなたはもう合格したんだったわね。試験は無効にならなかったし、そのまま合格でいいでしょ」
「良かったのぉ嬢ちゃん、して、課題の内容は?」
ニコリと人の良さそうな笑顔をうかべたネテロはそうメンチに問いかけた。
「そうですね、それじゃ…ゆで卵。」
「「!?」」
「会長、私達をあの山まで連れていってくれませんか?」
「なるほど、もちろんいいとも」
そうしてユミたちが乗り込んだ飛行船がたどり着いたのは深い深い谷のすぐ側だった。
「安心して、下は深ーい河よ。流れが早いから落ちたら数十km先の海までノンストップだけど。」
履いていたロングブーツを脱ぎ捨てて、「それじゃお先に」と彼女は谷のそこに飛び降りた。
上に残っていた受験生たちがどよめくが、ネテロは何も驚かずに皆に説明した。
「マフタツ山に生息するクモワシ。その卵をとりに行ったのじゃよ」
(クモワシ…陸の獣から卵を守るために糸を張って卵を吊るすんだっけ…ここに巣があるの…?)
「よっと、この卵でゆで卵を作るのよ」
そう簡単に言ってのけたメンチを見て、何人かの受験生はまるで狂人でも見るかのように青ざめた。
「あーよかった」
「こーゆーのを待ってたんだよね」
ゴンとキルアが嬉しそうに谷へ近づく。もちろんレオリオたちもそれに続いた。
「じゃあユミさん、あとで…ってあれ?」
持っていたポシェットを地面に置いて、飛び降りる準備をしているユミを見て、ゴンは首を傾げる。
「ユミさんも行くの?なんで?」
「本物のクモワシの巣は見た事がないんです。この機会にぜひ、と思って…」
「勉強熱心なこって…じゃ、行こーぜユミさん」
笑顔で頷いたユミは一番乗りで谷底へとダイブし、4人もそれに続く。
後ろからもたくさんの受験生たちが飛び降りてきて、70人のうち半数以上が卵を手に入れることが出来たようだった。
「こっちが市販の卵で、こっちがクモワシの卵。さぁ、比べてみて」
「…!んんん、美味しいです」
濃厚でいて舌の上でとろけるような深い味は市販の卵とははるかに段違いなのが明らかに分かる。
思わず頬を押さえて笑みを零したユミに、先程吹っ飛ばされた男が近づいてきた。
「オレにも、分けてくれないか」
「いいですよ。はい」
ユミは快諾してクモワシの卵を半分その男に分け与えた。それを食べた男の目が見開かれる。
そこに近寄ってきたメンチは穏やかな顔で嬉しそうに語り掛けた。
「新しい味を見つけた時の感動、分かって貰えたかしら?」
「……完敗だ。また来年試験を受けるよ」
男も口元に穏やかな笑みをうかべ、潔くそう言いきった。
(ゴンくんたちも無事卵を手に入れることが出来たし、これでみんな合格…良かった。)
そんな試験に合格したのは、ゴン、キルア、クラピカ、レオリオ、ユミ、そして(ユミにとっては悲しいことに)ヒソカなども含めた43人であった。
たった1人以外全員不合格。
このあまりにも理不尽な結果に、納得がいかない受験生たちがブーイングを始め、ついには1人の大柄な男が調理台を素手で殴り壊した。
「納得いかねぇな…」
周りの受験生たちが固唾を飲んで、男の次の言葉を静かに待った。
「オレが目指しているのはコックでもグルメでもねぇ!!ハンターだ!しかもブラックリストハンター志望だぜ!美食ハンターごときに合否を決められたくねーな!!」
「それは残念だったわね、今年は運が悪かったのよ。また来年頑張ればー?」
「…!ふざけんじゃねェー!!!」
彼は青筋を立ててメンチに飛びかかった。ユミたちが驚く間もなくブハラがメンチの前に壁となって塞がってその受験生に掌底を食らわせた。
男は一瞬で10数メートル吹き飛ばされ、会場の窓を砕けさせながら地面に強く激突した。
「ブハラ、余計なことしないでよ」
「だってさ、オレが手出さなきゃメンチあいつを殺ってたろ?」
「ふん、まあね」
メンチは鼻で笑う。手元にはいつの間にか大きな肉切り包丁が握られており、先程よりもずっと圧が強くなっている。
「ブラックリストハンター?笑わせるわ!たかが美食ハンターごときにのされちゃって、どのハンターを目指すとか関係ないのよ」
───自分たちも食材のために強い動物の巣の中に入り込んだりもするし、密猟者を捕えるために戦うこともある───
「どんなハンターにも武術の心得はあって当然」ということを、メンチはどこか誇らしげに話して見せた。
「武芸なんてハンターやってたらいやでも身につくのよ。あたしが知りたいのは未知のものに挑戦する気概なのよ!!」
(1番聞いてなくちゃいけない人が外で伸びてるけど…というか、生きてる…?)
ユミがメンチの話に頷くと同時にハラハラしていると、急にノイズ混じりのおじいさんの声が聞こえてきた。
「それにしても、ほとんど全員不合格というのはちと厳しすぎやせんか?」
それは自分たちのはるか頭上を飛んでいる飛行船からスピーカーで流されているらしい。
受験生たちが空を見上げると、ハンター協会のマークのついた飛行船の床が開き、そこから人が降ってきた。
そしてすごい音を響かせながら地面に着地しそのまま普通にメンチに近づいた。
(ひっ、人が…というか骨は!?今ので足の骨は!?)
「審査委員会のネテロ会長。ハンター試験の最高責任者よ」
「ま、責任者といっても所詮裏方。こんなときのトラブル処理係みたいなもんじゃ…メンチくん」
「はい!」
ネテロ会長が語りかけると、先程まで余裕と自信の塊のようだったメンチは緊張した面持ちで背筋を伸ばした。
「未知のものに挑戦する気概を彼らに問うた結果、全員その態度に問題あり、つまり不合格と思ったわけかね?」
「…いえ」
そう言ってメンチは自分が何故ここまで理不尽な審査をしてしまったのかを事細かに説明した。
「つまり自分でも審査不十分だとわかっとるわけだな?」
「…はい。スイマセン!料理のこととなると我を忘れるんです。審査員失格ですね」
続けてメンチは審査員を降りるので試験を無効にして欲しい旨をネテロに告げた。
「ふむ…審査を続行しようにも、選んだメニューの難度が少々高かったようじゃな…よし!ではこうしよう」
そうしてネテロが出した条件が、「審査員は続行してもらう代わりに、新しいテストには実演という形で参加してもらう」というものだった。
その言葉にメンチがピクリと反応する。確かにその方が受験生も合否に納得がいきやすいだろう。
先程吹っ飛ばされた男も意識を回復し立ち上がるのが見え、ユミは人知れずほっとしたあと、ひとつの疑問が湧き出てきた。
「あの…」
「ん?あぁ、あなたはもう合格したんだったわね。試験は無効にならなかったし、そのまま合格でいいでしょ」
「良かったのぉ嬢ちゃん、して、課題の内容は?」
ニコリと人の良さそうな笑顔をうかべたネテロはそうメンチに問いかけた。
「そうですね、それじゃ…ゆで卵。」
「「!?」」
「会長、私達をあの山まで連れていってくれませんか?」
「なるほど、もちろんいいとも」
そうしてユミたちが乗り込んだ飛行船がたどり着いたのは深い深い谷のすぐ側だった。
「安心して、下は深ーい河よ。流れが早いから落ちたら数十km先の海までノンストップだけど。」
履いていたロングブーツを脱ぎ捨てて、「それじゃお先に」と彼女は谷のそこに飛び降りた。
上に残っていた受験生たちがどよめくが、ネテロは何も驚かずに皆に説明した。
「マフタツ山に生息するクモワシ。その卵をとりに行ったのじゃよ」
(クモワシ…陸の獣から卵を守るために糸を張って卵を吊るすんだっけ…ここに巣があるの…?)
「よっと、この卵でゆで卵を作るのよ」
そう簡単に言ってのけたメンチを見て、何人かの受験生はまるで狂人でも見るかのように青ざめた。
「あーよかった」
「こーゆーのを待ってたんだよね」
ゴンとキルアが嬉しそうに谷へ近づく。もちろんレオリオたちもそれに続いた。
「じゃあユミさん、あとで…ってあれ?」
持っていたポシェットを地面に置いて、飛び降りる準備をしているユミを見て、ゴンは首を傾げる。
「ユミさんも行くの?なんで?」
「本物のクモワシの巣は見た事がないんです。この機会にぜひ、と思って…」
「勉強熱心なこって…じゃ、行こーぜユミさん」
笑顔で頷いたユミは一番乗りで谷底へとダイブし、4人もそれに続く。
後ろからもたくさんの受験生たちが飛び降りてきて、70人のうち半数以上が卵を手に入れることが出来たようだった。
「こっちが市販の卵で、こっちがクモワシの卵。さぁ、比べてみて」
「…!んんん、美味しいです」
濃厚でいて舌の上でとろけるような深い味は市販の卵とははるかに段違いなのが明らかに分かる。
思わず頬を押さえて笑みを零したユミに、先程吹っ飛ばされた男が近づいてきた。
「オレにも、分けてくれないか」
「いいですよ。はい」
ユミは快諾してクモワシの卵を半分その男に分け与えた。それを食べた男の目が見開かれる。
そこに近寄ってきたメンチは穏やかな顔で嬉しそうに語り掛けた。
「新しい味を見つけた時の感動、分かって貰えたかしら?」
「……完敗だ。また来年試験を受けるよ」
男も口元に穏やかな笑みをうかべ、潔くそう言いきった。
(ゴンくんたちも無事卵を手に入れることが出来たし、これでみんな合格…良かった。)
そんな試験に合格したのは、ゴン、キルア、クラピカ、レオリオ、ユミ、そして(ユミにとっては悲しいことに)ヒソカなども含めた43人であった。