ヒソカさん夢はトリップでは無いので、カタカナでの入力がおすすめかも知れません。
ハンター試験編
ユミ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お嬢ちゃん、そこの…髪の長い」
「はい?」
振り返るとそこには、露店のように机を出し椅子に腰かける老婆がいた。
その机の上には「手相占い」と仰々しく書かれた看板が置いてある。
値段は払えないほどではないが急ぎだから…と謝ってその場を去ろうとすると、老婆は先程よりも少し大きな声で言った。
「今年の出来事によって、あんたの人生は大きく左右されるだろう」
(手相を見ていないのに占いを!?)
「まあ詳しいことはちゃんと手相を見ないと分からないだろうね」
興味(というか疑問)を持ったユミはもう一度振り返って老婆に近づいた。
「人生を大きく左右させる…って、どういうことでしょうか?」
「まずは左手を見せて」
「はい」
私は左手を差し出し、老婆はそれをなにかブツブツ言いながらじっと見つめた。そして最後に「なんと…」と呟くと向かいに座るユミの顔を見上げた。
「近々なにか大事な用事は?」
「あ、あります…」
「なるほどね。きっと上手くいくよ。今年はついてる。きっとこれまでの人生辛いものだったんでしょう…今までの苦労や不運と同じくらい、いや、お釣りが来るくらいに幸せになるチャンスがくる。」
興奮しているのか段々と口調が早くなってきた老婆の話をユミも真剣に、聞き漏らすことのないように聞いていた。
正直、幸せになれるという言葉には疑問を抱く。これまでの人生が辛かったのかは分からない。他の人の人生なんて知らないし、幸不幸の基準だって人によって様々だろう。
だが今年、「大事な用事」が「上手くいく」という言葉は聞き捨てならなかった。
これからハンター試験を受けに行くユミにとっては。
今思えば、この時期は世界中の人々がハンター試験を受ける季節だ。地図を持ってうろついているユミを見れば、地元のものでないことは明白だし、もしかしたら当てずっぽうで「大事な用事」と言っただけかもしれない。
だがその時のユミにとってはそんなことにも気がつけないくらい、ハンター試験の方が重要だったのだ。
「なるほど…なにか気をつけるべきことはありますか?」
「それを今言おうとしていたよ。…付き合う人間は選んだ方がいい。選択を間違えば、生き地獄を見ることになるかもしれない…」
「いっ生き地獄ですか…!?」
明らかに怖気付いたユミに老婆は「ものの例えだ」と落ち着き払って言って見せた。
「とにかく、友人や恋人はよく考えて選ぶことだね」
そう言うと、老婆はユミの手を離した。
「ええと、お支払いは…」
「いいよ、面白いもん見れたからね。」
「えっ、悪いですよ…!」
「いいから…早く会場に行かないと、試験が始まっちまうぞよ?」
財布を探す手をピタリと止めて、ユミはえっ、と声を上げた。
やはりしっかりお見通しであった。
老婆はしわくちゃの顔をさらにしわくちゃにして微笑みながら、山のてっぺんを指さした。
「あの山の杉の木が見えるかい?」
「はい」
「それを目指して歩くんだ。次の目的地がわかるだろうから。」
「えっ、なんで…」
「さっき別の受験生が乗ってきた船の船長に言われたそうだ。気をつけて行ってらっしゃい」
「…ありがとうございます!」
勢いよく頭を下げたユミは、大勢の人間が並んでいるザバン市行きのバス停を通り越し、その町とは全く反対方向にある山に向かって歩き始めた。
横を通り過ぎる際に他の受験生(であろう人々)が、バスが全く来ないと言っているのが聞こえたユミは少し教えてあげようか迷ったが、占い師の「関わる人は選んだ方がいい」という言葉を思い出し、そのまま通り過ぎていった。
(すみません…)
すると後ろからスーツ姿の長身な男性が全力疾走してきた。
「オレも行ってやるよ!お前らだけじゃ寂しいだろうからなあ!!わははは!!!」
「きゃっ!」
気づくのが遅れたユミは男性を避けきれず、バランスを崩して転んでしまいそうになる。
思わず目をつぶったがいつまで待っても衝撃がやってこない。恐る恐る瞼をあげるてようやく、自分が男性に抱き抱えられていることに気づいた。
「す、すみませんっ!」
「いや、いいんだよ!こっちこそ前もろくに見ずに走ってて悪かったな」
「い、いえ…あ、ところで、あなたも試験を受けに行くんですか?」
「へ?あなたも…ってあんたも受けに行くのか?ハンター試験」
突然話題が変わり、かけていたサングラスを押し上げながら男性はこちらを怪訝そうに見つめてきた。
ユミは思わず聞いてしまったことに少し後悔していた。
(ち、違ったらどうしよう…それに、他にも同行者がいるみたいだし…私がいっても……)
「おーい!レオリオ!ほんとに置いてっちゃうぞー!」
少し遠くからまだ声変わりもしていない男の子の声が飛んできた。レオリオと呼ばれた男性は大きく手を振りながら返した。
「今行くからちっと待ってろ!なぁあんた、オレたちと一緒に来ねえか?仲間は多い方がいいからな」
「えっ、よ、よろしいんですか?」
「あぁ。あっ!ほらあいつらホントに行っちまうぞ!オレたちも早く行こう!」
レオリオに腕を引っ張られ、ユミは足をもつれさせながらも何とか彼について行った。
追いついた先にはまだ小学生くらいであろう男の子と、中性的な顔をした金髪の青年がいた。
「レオリオ、その方は…?」
「あ、私も今年ハンター試験を受けるものです。ユミと言います。よろしくお願いします。…わっ」
「まあそう固くなるなって!オレはレオリオ。よろしくな!」
ユミがそう言ってぺこりと小さくお辞儀をすると、レオリオは少し鼻の下を伸ばしながらその背中を叩いた。
続いて男の子と、金髪の青年も自己紹介をする。
「オレはゴン!よろしくね、ユミさん」
「私はクラピカだ。よろしく。」
「オレはさん付けじゃねえのにこの子にはつけるのかよ!」
「だってレオリオは「さん」つけるには子供っぽすぎるもん」
「んだとお!?」
オロオロしているユミの目の前でレオリオが目を吊り上げてゴンに詰め寄ろうとするのをクラピカがすんでのところで止める。
「見苦しいぞ。ユミさんが困っているだろう。」
「クソ…お前ガキのくせに生意気だぞ!」
「わー!レオリオまだ怒ってる!ユミさん助けて!!」
「わわっゴンくん…レオリオさんも落ち着いて…」
てんやわんやになりながらも、ユミはこの3人にそれほど歓迎されていない訳では無いことが分かり、少しほっとしながら山の方へ向かうのであった。
「はい?」
振り返るとそこには、露店のように机を出し椅子に腰かける老婆がいた。
その机の上には「手相占い」と仰々しく書かれた看板が置いてある。
値段は払えないほどではないが急ぎだから…と謝ってその場を去ろうとすると、老婆は先程よりも少し大きな声で言った。
「今年の出来事によって、あんたの人生は大きく左右されるだろう」
(手相を見ていないのに占いを!?)
「まあ詳しいことはちゃんと手相を見ないと分からないだろうね」
興味(というか疑問)を持ったユミはもう一度振り返って老婆に近づいた。
「人生を大きく左右させる…って、どういうことでしょうか?」
「まずは左手を見せて」
「はい」
私は左手を差し出し、老婆はそれをなにかブツブツ言いながらじっと見つめた。そして最後に「なんと…」と呟くと向かいに座るユミの顔を見上げた。
「近々なにか大事な用事は?」
「あ、あります…」
「なるほどね。きっと上手くいくよ。今年はついてる。きっとこれまでの人生辛いものだったんでしょう…今までの苦労や不運と同じくらい、いや、お釣りが来るくらいに幸せになるチャンスがくる。」
興奮しているのか段々と口調が早くなってきた老婆の話をユミも真剣に、聞き漏らすことのないように聞いていた。
正直、幸せになれるという言葉には疑問を抱く。これまでの人生が辛かったのかは分からない。他の人の人生なんて知らないし、幸不幸の基準だって人によって様々だろう。
だが今年、「大事な用事」が「上手くいく」という言葉は聞き捨てならなかった。
これからハンター試験を受けに行くユミにとっては。
今思えば、この時期は世界中の人々がハンター試験を受ける季節だ。地図を持ってうろついているユミを見れば、地元のものでないことは明白だし、もしかしたら当てずっぽうで「大事な用事」と言っただけかもしれない。
だがその時のユミにとってはそんなことにも気がつけないくらい、ハンター試験の方が重要だったのだ。
「なるほど…なにか気をつけるべきことはありますか?」
「それを今言おうとしていたよ。…付き合う人間は選んだ方がいい。選択を間違えば、生き地獄を見ることになるかもしれない…」
「いっ生き地獄ですか…!?」
明らかに怖気付いたユミに老婆は「ものの例えだ」と落ち着き払って言って見せた。
「とにかく、友人や恋人はよく考えて選ぶことだね」
そう言うと、老婆はユミの手を離した。
「ええと、お支払いは…」
「いいよ、面白いもん見れたからね。」
「えっ、悪いですよ…!」
「いいから…早く会場に行かないと、試験が始まっちまうぞよ?」
財布を探す手をピタリと止めて、ユミはえっ、と声を上げた。
やはりしっかりお見通しであった。
老婆はしわくちゃの顔をさらにしわくちゃにして微笑みながら、山のてっぺんを指さした。
「あの山の杉の木が見えるかい?」
「はい」
「それを目指して歩くんだ。次の目的地がわかるだろうから。」
「えっ、なんで…」
「さっき別の受験生が乗ってきた船の船長に言われたそうだ。気をつけて行ってらっしゃい」
「…ありがとうございます!」
勢いよく頭を下げたユミは、大勢の人間が並んでいるザバン市行きのバス停を通り越し、その町とは全く反対方向にある山に向かって歩き始めた。
横を通り過ぎる際に他の受験生(であろう人々)が、バスが全く来ないと言っているのが聞こえたユミは少し教えてあげようか迷ったが、占い師の「関わる人は選んだ方がいい」という言葉を思い出し、そのまま通り過ぎていった。
(すみません…)
すると後ろからスーツ姿の長身な男性が全力疾走してきた。
「オレも行ってやるよ!お前らだけじゃ寂しいだろうからなあ!!わははは!!!」
「きゃっ!」
気づくのが遅れたユミは男性を避けきれず、バランスを崩して転んでしまいそうになる。
思わず目をつぶったがいつまで待っても衝撃がやってこない。恐る恐る瞼をあげるてようやく、自分が男性に抱き抱えられていることに気づいた。
「す、すみませんっ!」
「いや、いいんだよ!こっちこそ前もろくに見ずに走ってて悪かったな」
「い、いえ…あ、ところで、あなたも試験を受けに行くんですか?」
「へ?あなたも…ってあんたも受けに行くのか?ハンター試験」
突然話題が変わり、かけていたサングラスを押し上げながら男性はこちらを怪訝そうに見つめてきた。
ユミは思わず聞いてしまったことに少し後悔していた。
(ち、違ったらどうしよう…それに、他にも同行者がいるみたいだし…私がいっても……)
「おーい!レオリオ!ほんとに置いてっちゃうぞー!」
少し遠くからまだ声変わりもしていない男の子の声が飛んできた。レオリオと呼ばれた男性は大きく手を振りながら返した。
「今行くからちっと待ってろ!なぁあんた、オレたちと一緒に来ねえか?仲間は多い方がいいからな」
「えっ、よ、よろしいんですか?」
「あぁ。あっ!ほらあいつらホントに行っちまうぞ!オレたちも早く行こう!」
レオリオに腕を引っ張られ、ユミは足をもつれさせながらも何とか彼について行った。
追いついた先にはまだ小学生くらいであろう男の子と、中性的な顔をした金髪の青年がいた。
「レオリオ、その方は…?」
「あ、私も今年ハンター試験を受けるものです。ユミと言います。よろしくお願いします。…わっ」
「まあそう固くなるなって!オレはレオリオ。よろしくな!」
ユミがそう言ってぺこりと小さくお辞儀をすると、レオリオは少し鼻の下を伸ばしながらその背中を叩いた。
続いて男の子と、金髪の青年も自己紹介をする。
「オレはゴン!よろしくね、ユミさん」
「私はクラピカだ。よろしく。」
「オレはさん付けじゃねえのにこの子にはつけるのかよ!」
「だってレオリオは「さん」つけるには子供っぽすぎるもん」
「んだとお!?」
オロオロしているユミの目の前でレオリオが目を吊り上げてゴンに詰め寄ろうとするのをクラピカがすんでのところで止める。
「見苦しいぞ。ユミさんが困っているだろう。」
「クソ…お前ガキのくせに生意気だぞ!」
「わー!レオリオまだ怒ってる!ユミさん助けて!!」
「わわっゴンくん…レオリオさんも落ち着いて…」
てんやわんやになりながらも、ユミはこの3人にそれほど歓迎されていない訳では無いことが分かり、少しほっとしながら山の方へ向かうのであった。
1/19ページ