頬をつたう砂糖水の行方(改)
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「生徒が寝てる?」
梅雨の終わりかけのある日、職員室での会話だ。
「そうなんですよ、珍しく授業には出てるんですけどね、机の上でみんな伏せてますわ」
気になったので各学年の教室の前を通ってみる。確かに、どの教室もいつもは騒がしいのにしんとしている。窓の外から蝉の鳴声がよく聞こえた。
「どうかしたんですか?」
3年の廊下を歩いていると、後ろから声を掛けてきたのは岩城と同じ幹部というやつの米崎だった。部屋を覗き込んでいたから不思議に思われたのかな。
「生徒が全員寝てるって聞いたんで、様子を見にきただけだよ」
鈴蘭の中では比較的静かなこの男も、顔は痣だらけ。指は骨折しているのか、支えるように2本の指に包帯が巻かれている。
「何かあったの?」
「別に大したことじゃないです。みんな早起きしたんで眠いだけですよ」
「早起き…?」
「なぁ?」
「え?わ!」
すぐ後ろにはいつのまにか岩城が立っていた。
「なんの話だ?コメ、」
「心配して見に来たらしいぜ、センセーとして。じゃ、俺は行くな」
そう言い残して歩いていった。なんだか不思議な奴だ。
「なんの心配だ?」
「あ、生徒がほとんど寝てるって噂を聞いて、」
「あぁ、」
そういうことか、と笑った岩城は包帯だらけのくせにやけに穏やかで、
「なんかあった?」
「え?」
「昨日と随分雰囲気が違うから」
「そうか?」
昨日はどこかピリピリしていた気がした。
「あぁ、なんかすっきりした顔をしてる」
「……まぁ、そうかもな」
「そうか、よかったね」
さっきまでここに居た米崎もそうだった。教室の中を見渡すと、いつも声を荒げたり殴り合いをしたりとギラギラしている生徒達が、寝顔はこんなに無防備でこどもっぽくてつい笑ってしまう。
「……」
「なに?」
顔を見られてた。
「##NAME2##は意外とちゃんと見てるよな」
「意外とはなによ。当たり前だよ。生徒の体調には気を配るよ」
「体調以外も。ちゃんと向き合ってくれるから人気あるしな」
突然の褒め言葉に少し照れる。
「それは、嬉しいな」
素直に言うと岩城の片方しか見えてない目が柔らかく笑った。
「じゃぁ、大したことないみたいだから、戻るね。岩城もあんま動いてないでちゃんと体休めてね」
当たり前の事をしているだけだと思っていたが、評価して貰えるのは思いのほか嬉しい。こんなことでも見ていてくれる生徒がいるんだな。教室に戻っていく岩城の後ろ姿を見ながらそう思った。
・・・・・・・・・・
「ゆりちゃーん!待ってたぜー!」
図書室の扉を開けると元気いっぱいの小林が手を振って迎えてくれた。
保健室で書類を作成していると生徒が一人駆け込んできた。その子は1年で、どうやらパシリに使われたらしい。急いで図書室に行ってくれと言われて、私は怪我でもしたのかと走って図書室に来たのだった。
「頼む!テスト期間中俺の勉強見てくれよ!」
「そんな理由?!あんたね、仮にも先生を呼び出すなんていい度胸してるね」
騒がしい日常が戻ったと思うと生徒達はテスト週間を迎えていた。鈴蘭と言えども学校だ。テストで点を取らなければ再試はもちろん、補修、留年なんてのもよくある話らしい。
小林が涙目なことは無視だ。
「だいたいなんで私なの?」
保健室の先生なんだけど。
「他の先公より分かりやすいんだ!」
小林が机の上に教科書を置き嘆願してくる。以前居残りで補修させられていた小林に少しだけ教えたことはあるが、理解してくれていたとは思えなかったけどな。
「まじでやべーんだって!俺中間ほぼ赤点だったから今回取らねーと夏休みに影響が出るって!バイトで補修どころじゃねーんだよー!頼む!」
情けない声で頭を下げる。
「優秀な家庭教師が身近にいるじゃない」
隣りで漫画を読む男を指した。
「こいつが見てくれるわけねーよ!それに今日はデートだっつーしよ!」
今日は駄目でも明日があるのでは、と思ったけど無駄だと思って止めた。多分加東は人の世話を焼くような性格ではないんだろう。
「で、何が聞きたいわけ?」
「全部!」
「はあー?」
「全部だよ!だってわかんねーもん」
だってじゃないよ、とこれもまた思ったけど止めた、無駄だ。
「じゃーテスト範囲教えて」
小林から教科書とプリント類を受け取り目を通し始める。そこに書いてある小林の落書きのような解答を見て、間に合わないかもなと思った。
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梅雨の終わりかけのある日、職員室での会話だ。
「そうなんですよ、珍しく授業には出てるんですけどね、机の上でみんな伏せてますわ」
気になったので各学年の教室の前を通ってみる。確かに、どの教室もいつもは騒がしいのにしんとしている。窓の外から蝉の鳴声がよく聞こえた。
「どうかしたんですか?」
3年の廊下を歩いていると、後ろから声を掛けてきたのは岩城と同じ幹部というやつの米崎だった。部屋を覗き込んでいたから不思議に思われたのかな。
「生徒が全員寝てるって聞いたんで、様子を見にきただけだよ」
鈴蘭の中では比較的静かなこの男も、顔は痣だらけ。指は骨折しているのか、支えるように2本の指に包帯が巻かれている。
「何かあったの?」
「別に大したことじゃないです。みんな早起きしたんで眠いだけですよ」
「早起き…?」
「なぁ?」
「え?わ!」
すぐ後ろにはいつのまにか岩城が立っていた。
「なんの話だ?コメ、」
「心配して見に来たらしいぜ、センセーとして。じゃ、俺は行くな」
そう言い残して歩いていった。なんだか不思議な奴だ。
「なんの心配だ?」
「あ、生徒がほとんど寝てるって噂を聞いて、」
「あぁ、」
そういうことか、と笑った岩城は包帯だらけのくせにやけに穏やかで、
「なんかあった?」
「え?」
「昨日と随分雰囲気が違うから」
「そうか?」
昨日はどこかピリピリしていた気がした。
「あぁ、なんかすっきりした顔をしてる」
「……まぁ、そうかもな」
「そうか、よかったね」
さっきまでここに居た米崎もそうだった。教室の中を見渡すと、いつも声を荒げたり殴り合いをしたりとギラギラしている生徒達が、寝顔はこんなに無防備でこどもっぽくてつい笑ってしまう。
「……」
「なに?」
顔を見られてた。
「##NAME2##は意外とちゃんと見てるよな」
「意外とはなによ。当たり前だよ。生徒の体調には気を配るよ」
「体調以外も。ちゃんと向き合ってくれるから人気あるしな」
突然の褒め言葉に少し照れる。
「それは、嬉しいな」
素直に言うと岩城の片方しか見えてない目が柔らかく笑った。
「じゃぁ、大したことないみたいだから、戻るね。岩城もあんま動いてないでちゃんと体休めてね」
当たり前の事をしているだけだと思っていたが、評価して貰えるのは思いのほか嬉しい。こんなことでも見ていてくれる生徒がいるんだな。教室に戻っていく岩城の後ろ姿を見ながらそう思った。
・・・・・・・・・・
「ゆりちゃーん!待ってたぜー!」
図書室の扉を開けると元気いっぱいの小林が手を振って迎えてくれた。
保健室で書類を作成していると生徒が一人駆け込んできた。その子は1年で、どうやらパシリに使われたらしい。急いで図書室に行ってくれと言われて、私は怪我でもしたのかと走って図書室に来たのだった。
「頼む!テスト期間中俺の勉強見てくれよ!」
「そんな理由?!あんたね、仮にも先生を呼び出すなんていい度胸してるね」
騒がしい日常が戻ったと思うと生徒達はテスト週間を迎えていた。鈴蘭と言えども学校だ。テストで点を取らなければ再試はもちろん、補修、留年なんてのもよくある話らしい。
小林が涙目なことは無視だ。
「だいたいなんで私なの?」
保健室の先生なんだけど。
「他の先公より分かりやすいんだ!」
小林が机の上に教科書を置き嘆願してくる。以前居残りで補修させられていた小林に少しだけ教えたことはあるが、理解してくれていたとは思えなかったけどな。
「まじでやべーんだって!俺中間ほぼ赤点だったから今回取らねーと夏休みに影響が出るって!バイトで補修どころじゃねーんだよー!頼む!」
情けない声で頭を下げる。
「優秀な家庭教師が身近にいるじゃない」
隣りで漫画を読む男を指した。
「こいつが見てくれるわけねーよ!それに今日はデートだっつーしよ!」
今日は駄目でも明日があるのでは、と思ったけど無駄だと思って止めた。多分加東は人の世話を焼くような性格ではないんだろう。
「で、何が聞きたいわけ?」
「全部!」
「はあー?」
「全部だよ!だってわかんねーもん」
だってじゃないよ、とこれもまた思ったけど止めた、無駄だ。
「じゃーテスト範囲教えて」
小林から教科書とプリント類を受け取り目を通し始める。そこに書いてある小林の落書きのような解答を見て、間に合わないかもなと思った。
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