頬をつたう砂糖水の行方(改)
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河内の腕は確かだった。最初に会ったときの印象以上だ。頭で考えて動くやつには見えなかったが対多数との戦い方を分かっているようで、しかも好き勝手やっているように見えて所々でこっちを気にしているのが垣間見れる。無茶な真似をする割には意外と冷静らしい。まぁ、武装に入るくらいだから場数も踏んでるんだろう。
なんとなくそう鉄生を分析しながら軍司は掴んでいた手を離した。同時、どさりという音と共に男の体が道路に沈む。辺りを見回すともう随分と立っている人数は減っていて、全員片付けるのも時間の問題だと思った。
鉄生が最後の一人に頭突きをするのを軍司は一息つきながら見ていた。肩で息をしている後姿を見つめ、敵ながら頼もしく思う。
「これであん時の借りは返したぜ!」
「、」
振り返ってにかっと笑った。鉄生にあん時、と言われて初見のときを思い浮かべる。
「……お前がそんな律儀な奴だとは知らなかったぜ」
「だっはは!」
「ただの馬鹿じゃなかったんだな」
「あぁ?!」
「助かった。ありがとな。」
「……おう、」
こいつがあの時のことをきちんと覚えていたのは意外だった。武装の問題児らしかった男も少しは成長しているのだろうか。礼を言うと照れたように目を逸らした鉄生を見て軍司が笑みを零した。
「で、##NAME2##はどうした。ちゃんと家まで送り届けたのか?」
「おう!ねーちゃんならそこに…」
「軍司さん!」
鉄生が指した方向から十希夫を先頭に鈴蘭生が現れた。どれも知った顔。一暴れの終わった原田一派だ。息を切らしていて、走って駆けつけてくれたのだと悟る。その中に##NAME2##の姿もあった。息切れしている後輩達とは違い、一人落ちついている。
「おま!河内、テメェまさか一人にしたのか?」
「ちゃんと物陰に隠したから大丈夫ぶっ!!」
バチン!といい音がして鉄生の視界が揺れた。その勢いのまま前方に倒れこむ。
前言撤回、やっぱりただの馬鹿だ。
「っ痛ぇ!!何しやがる!!」
「バカにもほどがあんだよ」
目の前のに見える敵が全てとは限らない。こういった性質の悪い集団相手なら特に。あらゆる可能性を考えるべきだ。
「けど…!」
「軍司さん!大丈夫でしたか!」
抗議しかけた鉄生の言葉を遮って十希夫が駆け寄った。
「おー、十希夫。よくここが分かったな」
鉄生が何か言いたげなのに気付きながら、それを無視して二人は話し始めた。その報告でこの蠍との戦いに終止符が打たれたことが分かる。前までのように軍司から労いの言葉は無い。原田一派であるからこその軍司なりのけじめでもある。代わりにここへ来てくれたことへの礼を伝えた。
しばらくすると軍司しか見ていなかった原田一派の面々が騒ぎ出した。
「「テメー!武装の河内じゃねぇか!!」」
一暴れしてきた後の面々の興奮が再熱し、鉄生と口争いを始める。目があえばいがみ合う立場同士。当然といえば当然の状況である。しかし今回ばかりは自分が巻き込んでしまったのだ。軍司が口を開こうとした、その前に女性の声が辺りを制した。ピタッと生徒達の声が止まる。
鉄生は苦虫を噛み潰したような顔でその様子を見ていた。
「なーに不細工な顔してるの」
「別にィ、なんでもねーよ」
口を尖らせて拗ねたようにしている鉄生を見てゆりが笑う。
「ありがとう」
自分の我侭を聞いてくれて、そして岩城を助けてくれて。ゆりがそう言うと照れて顔を赤くした。くるくると表情が変わって可愛い、本当にいい子だと思った。
「……じゃー俺はこれで。よーおっさん!そのぐらいの怪我ならこの人送れるだろ?」
「おぉ、ありがとな。河内」
カワチ君がバイクに跨りエンジンをかける。なんとなく心地いい音が胸に響いた。岩城と並んでカワチ君を見送る。
「頑張れよ、ねーちゃん!」
ドッドッドッとエンジン音が響く中、にやっと笑ってそう声を掛けられる。その言葉と同時、ちらっと岩城の方に目線を動かしたことで何を頑張れと言われているのか察しがついた。
思わず手が出ると二人して暴力振るうなよなんて更に余計なことを言った。さっきまで可愛らしいと思っていた豪快な笑みが急に憎たらしく見える。焦ってもう一度手を振り上げるとそれを振り落とす前にバイクが走り出してしまった。変に思われたらどうすんの。そう思って恐る恐る隣を見るとその岩城は気にならなかったようで何も言わなかった。ほっと肩を撫で下ろす。
あの時「岩城の女か」って聞かれて初めて自分の気持ちを声に出した。女じゃないけど大切なんだと、口に出したらその言葉が自分の胸を締め付けて気がついたら涙が頬を伝っていた。
頑張らないように、頑張るよ。小さくなっていくバイクの後姿を見ながらゆりは内心で鉄生にそう言葉を返した。
なんとなくそう鉄生を分析しながら軍司は掴んでいた手を離した。同時、どさりという音と共に男の体が道路に沈む。辺りを見回すともう随分と立っている人数は減っていて、全員片付けるのも時間の問題だと思った。
鉄生が最後の一人に頭突きをするのを軍司は一息つきながら見ていた。肩で息をしている後姿を見つめ、敵ながら頼もしく思う。
「これであん時の借りは返したぜ!」
「、」
振り返ってにかっと笑った。鉄生にあん時、と言われて初見のときを思い浮かべる。
「……お前がそんな律儀な奴だとは知らなかったぜ」
「だっはは!」
「ただの馬鹿じゃなかったんだな」
「あぁ?!」
「助かった。ありがとな。」
「……おう、」
こいつがあの時のことをきちんと覚えていたのは意外だった。武装の問題児らしかった男も少しは成長しているのだろうか。礼を言うと照れたように目を逸らした鉄生を見て軍司が笑みを零した。
「で、##NAME2##はどうした。ちゃんと家まで送り届けたのか?」
「おう!ねーちゃんならそこに…」
「軍司さん!」
鉄生が指した方向から十希夫を先頭に鈴蘭生が現れた。どれも知った顔。一暴れの終わった原田一派だ。息を切らしていて、走って駆けつけてくれたのだと悟る。その中に##NAME2##の姿もあった。息切れしている後輩達とは違い、一人落ちついている。
「おま!河内、テメェまさか一人にしたのか?」
「ちゃんと物陰に隠したから大丈夫ぶっ!!」
バチン!といい音がして鉄生の視界が揺れた。その勢いのまま前方に倒れこむ。
前言撤回、やっぱりただの馬鹿だ。
「っ痛ぇ!!何しやがる!!」
「バカにもほどがあんだよ」
目の前のに見える敵が全てとは限らない。こういった性質の悪い集団相手なら特に。あらゆる可能性を考えるべきだ。
「けど…!」
「軍司さん!大丈夫でしたか!」
抗議しかけた鉄生の言葉を遮って十希夫が駆け寄った。
「おー、十希夫。よくここが分かったな」
鉄生が何か言いたげなのに気付きながら、それを無視して二人は話し始めた。その報告でこの蠍との戦いに終止符が打たれたことが分かる。前までのように軍司から労いの言葉は無い。原田一派であるからこその軍司なりのけじめでもある。代わりにここへ来てくれたことへの礼を伝えた。
しばらくすると軍司しか見ていなかった原田一派の面々が騒ぎ出した。
「「テメー!武装の河内じゃねぇか!!」」
一暴れしてきた後の面々の興奮が再熱し、鉄生と口争いを始める。目があえばいがみ合う立場同士。当然といえば当然の状況である。しかし今回ばかりは自分が巻き込んでしまったのだ。軍司が口を開こうとした、その前に女性の声が辺りを制した。ピタッと生徒達の声が止まる。
鉄生は苦虫を噛み潰したような顔でその様子を見ていた。
「なーに不細工な顔してるの」
「別にィ、なんでもねーよ」
口を尖らせて拗ねたようにしている鉄生を見てゆりが笑う。
「ありがとう」
自分の我侭を聞いてくれて、そして岩城を助けてくれて。ゆりがそう言うと照れて顔を赤くした。くるくると表情が変わって可愛い、本当にいい子だと思った。
「……じゃー俺はこれで。よーおっさん!そのぐらいの怪我ならこの人送れるだろ?」
「おぉ、ありがとな。河内」
カワチ君がバイクに跨りエンジンをかける。なんとなく心地いい音が胸に響いた。岩城と並んでカワチ君を見送る。
「頑張れよ、ねーちゃん!」
ドッドッドッとエンジン音が響く中、にやっと笑ってそう声を掛けられる。その言葉と同時、ちらっと岩城の方に目線を動かしたことで何を頑張れと言われているのか察しがついた。
思わず手が出ると二人して暴力振るうなよなんて更に余計なことを言った。さっきまで可愛らしいと思っていた豪快な笑みが急に憎たらしく見える。焦ってもう一度手を振り上げるとそれを振り落とす前にバイクが走り出してしまった。変に思われたらどうすんの。そう思って恐る恐る隣を見るとその岩城は気にならなかったようで何も言わなかった。ほっと肩を撫で下ろす。
あの時「岩城の女か」って聞かれて初めて自分の気持ちを声に出した。女じゃないけど大切なんだと、口に出したらその言葉が自分の胸を締め付けて気がついたら涙が頬を伝っていた。
頑張らないように、頑張るよ。小さくなっていくバイクの後姿を見ながらゆりは内心で鉄生にそう言葉を返した。