頬をつたう砂糖水の行方(改)
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暗闇の中、両サイドに灯る光が次々と通り過ぎる。もう随分走った。ここまで来ればさっきの奴らに出会うこともないだろう。
岩城はどうしただろうか。上手く逃げていて欲しいと思うけど、岩城が逃げるとも思えない。なんとか無事を確認したい。そう考えていたところで調度バイクがスピードを落とし始めた。そして小さな公園の前で止まる。男がバイクを降りてこっちを向いた。顔にある大きな傷が印象的で、鈴蘭の生徒に負けず劣らずの出で立ちをしている。
「で、ねーちゃんの家はどっちなんだ?」
聞かれて初めて気付いた。偶然にも走ってきた方向は自分の帰る方向と合っていて、家まではもう歩いても数分の距離だ。送って貰わなくともこのまま家に帰ることは出来る。
でも、
「はぁ?!戻る?」
私の言葉に男が声を上げて驚いた。
「俺はあんたを家まで送り届けるように言われたんだが?」
無い左眉を寄せて男が言った。本人にその気は無くてもこの鋭い目に見られたら睨まれているように感じる。
「このまま放っておけない」
「だからってあんたが行ってもどうにもならねーよ。寧ろ悪化する可能性のが高い。岩城のおっさんはあんたに怪我させねーように逃がしたんだろ、その気持ちを汲んでやった方がいいと思うぞ」
言う通りだ。そんなのは分かっている。自分が行っても何一つ状況は好転しない。岩城だって戻って来て欲しいとは思っていないだろう。でもだからと言ってこのまま家には帰れない。どうしたらいいか分からない。こうしている間にも岩城の状況は悪化しているに違いない。最終手段は警察か……。
―――と、黙り込む私の様子を見かねてか、男が舌打ちをした後携帯で誰かに電話を掛け始めた。舌打ちすんなよと思ったがそれはとりあえず置いておく。
「おーショータ、いや、ちょっと聞きてーんだけどよー……、」
こんな時に友達に電話?かと思うともう一度電話を掛け始めた。
「おー、原田ー?俺、武装の河内だけどよ…、」
「!」
「岩城のおっさんからねーちゃんを逃がす様に頼まれたんだが……え?居るぜ。ちょっと待て」
携帯電話を渡された。電話の相手があの原田だとしたら、助けを呼ぶのにこれほどの適任者は居ない。
「ホラ、原田……原田……、ナントカだ。岩城んとこの。詳しく教えろってよ」
「原田?岩城が!」
『分かった、ゆりちゃん。軍司さんなら大丈夫。場所は?』
原田になるべく詳しく場所を伝えると再び電話を変わるように言われた。聞いている間も原田には少しも動揺の色は無く、落ち着いていたせいか大丈夫だと思えた。きっと大丈夫。
「さぁ、ねーちゃん家教えろよ。帰るぞ」
数回会話をして電話を切った男が背伸びをしてこっちを向いた。そう、原田に岩城を頼んだ私がするべきことは家に帰ること。それでもう終わり。
でも、絶対に帰るべきだと分かっているのに帰る気がしない。岩城のところに行きたい。この感情は理屈ではどうにもならないんだ。
呼びかけに対して固まったままの私に、男は突然思いも寄らない質問を投げかけてきた。
「……なー、ねーちゃん。あんたは岩城の女か?」
ゆりを送り出した後、軍司はぞくぞくと集まる男たちと相対していた。
「全員ここで死んでもらうぞ」
囲む面々を見やる。自分がやられてまた##NAME2##を追わせることになれば意味が無い。2度とそんな気が起こらない様、一人残らずここに沈めておく必要があった。
「うるせぇ!!こっちのが人数は多いんだ!!死ぬのはテメェだ!!」
安心した。そんなこと言ってる間にかかってくればいいものを。一人叫ぶと続けて何人かが叫びだす。これはもう何度も見てきた光景と類似していた。こいつらは雑魚の集まりだ。
先手必勝。先頭で叫んでいる男に飛び蹴りをくらわすと集団が割れた。手近に居た男に肘を入れて倒れかけたところに膝を入れる。思惑通り、握っていた鉄パイプがカランと転がり落ちた。それを拾って向かってくる男達に応戦する。武器が手に入れば戦える。
「はぁ…ったく次から次へと…」
今日ケリをつけるとトキオが言っていたのに随分とこっちに集まったものだ。次々に湧き出てくる男達に次第に動きが鈍り始めるのを感じた。流石に多すぎたか。何か他に手はないか、と思考を巡らせた。
と、不意に振り回された敵の武器が自分の手に当たりパイプが落ちた。
「―――!」
落ちたパイプに気を取られて一瞬気付くのが遅れる。目の前の敵が振りかぶっていた武器を振り下ろした。間に合わない、頭に当たる、
―――次の瞬間、バキッという鈍い音と共に目の前の男が消えた。代わりに白い服が視界に入る。ふわりと何者かの姿が飛び込んできた。
「よー!おっさん、手ぇ貸すぜ!」
「なんでお前…、」
特有の髑髏マーク越しに見る姿は先ほど送り出した男だった。
「俺が加わりゃ百人力だろ」
ガハハハと豪快に笑った。
「馬鹿やろう!##NAME2##はどうした!」
「な!馬鹿だとっ…?!ねーちゃんなら大丈夫だ。それよりおっさんの方こそ大丈夫かよ」
「俺が心配で戻ってきたのか?」
「おっさんの為じゃねー、ねーちゃんが泣いて頼むからよ!」
「、」
それだけ言うと、うおぉぉぉ!!と叫びながら向かっていった。言いたいことが多すぎて言葉が出ない。何が大丈夫だ、その根拠は…。何も説明せずおっ始めた鉄生を見て軍司は呆れた、がそれどころではないとすぐに自分も始める。助けられたのは事実だ。こいつが飛び込んで来なければ確実に頭をやられていた。同時に溜息を吐く。なんの因果か、武装の手を借りる羽目になるとは。これがまだ一派のある時だったらややこしくなるところ。解散後でよかったと軍司は内心呟いた。