君中毒
「とんだ甘ちゃんやな」
堪らないといった様子で尚も笑い続けている
「商売人なめたらあかん。代わりに坊主の指貰てもわしらになんのメリットもないやん。けど、」
瞬間、スッと男の目が据わった
「金積むっちゅーんなら話は別やけどな」
「、」
「指一本分、まあ坊主に免じてサービスしたろ」
口の端だけを上げ右手を広げて見せた
「それとも体で払うか?」
男の掌が腰辺りを摩り意味するものを悟る
「トム何言うてんねん、」
「冗談や」
冗談?
金にしても、体にしても
それで本城さんが助かるのなら……
「それだけでいいのか?」
突然の声に3人が3人不意を突かれて振り返った
向いた先に立っていた男の顔は逆光でよく見えない
「誰やお前」
「お前らの言い値くらいだろ」
男が立ち上がろうとした瞬間
足元にパサ、と音を立てて何かが落とされた
「!」
「何モンや?」
「教えてやる必要はない。要求通りだろ、さっさと消えろ」
「へぇ、えらい景気がえぇな兄ちゃん」
「商売人なんだろう、金を払ったらさっさと商品を渡せ」
「トム、行くで」
「…毎度、おおきに」
はいはい、
ほなな、坊主。
ス、と暗闇へ消えて行った。
顎から汗がポツリと落ちる。
全身から汗が溢れていたことに気づいた。
近づいてきた男の顔を見る。
「!!……あんた、武装の、」
車に乗せて貰い、本城さんを家に運んだ。
そして促され、再び車に乗り込んだ。
「すみません、金は必ず俺が返します」
時間がかかるかも知れないと付け足す。
「金はいい」
「え、でも、」
「お前はその金で買われたと思え。着いて来い」
「は?……はい」
「さっさと入れ」
「……、」
部屋の入り口で呆然と立っている
「シャワー浴びてくる」
「お前も浴びて来い」
言われるがまま、シャワーを浴びた
自分の服は汚れている
用意されていたバスローブを着るべきか
迷った末、バスローブを選んだ
部屋に戻ると同じくバスローブの村田十三と目が合う
「さっさと来い」
座っているベッドに近づく
胸倉を掴みベッドに押し倒された
「くっ…!!」
やられたところが痛み、顔を顰めた
「何を、」
「何でもするんだろう?」
俺の下半身を撫でた
「あれは口先だけか?それならそう言え」
武装の村田が?まさか、と飲み込むのに戸惑う、
「何でも、します」
十三が鼻で笑う。
「これからお前は俺の所有物だ」
「…分かりました」
軍司をまた笑った。この状況がいくらおかしくても拒否の言葉は出せない。
「止めるか」
「いえ、」
そう言うと十三が眉間に皺を寄せた
事後
「痛むか」
「や、大丈夫です」
怠慢に衣服を着ると、携帯にメールが届いた
「登録しとけ。俺が連絡したらすぐに来い」
内心、人の携帯触ったのかよと思わなかった訳では無い
それよりも穴は痛むし揺さぶられた内臓が重く気持ち悪い
それでも命拾いしたと思って何でもないふりをした。
(トムとジェリーはQPより)