君中毒


この人には返しても返しきれない恩がある







携帯がメールの受信を告げる
そこには「来い」の一言
もう夜中と言っていいほどの時間
風呂も済ませ、あとは寝るだけの状態だった


軍司は部屋着を脱ぎ、ジャケットを羽織って部屋を出た



軍司が向かったのは普段の行動範囲から少し離れたビジネス街
何度か来た街だが未だ場違いな感が拭えない

ガラス張りのビルの下、呼び出した本人が煙草を吹かしている
その人物の手前で足を止めた

「ふ、イメージチェンジでもしたのか?」

軍司の髪が下りていることを指して言う

「もう風呂入っちまってたんすよ」
「そうか、まぁいいさ」

その男が背中を向けて歩き出し、
軍司は黙って後ろをついて歩いた



ホテルに入るとドアが閉まった途端噛み付くようなキスをされた

数秒して唇が離れるとその男の目は鋭く様変わりをしていた
その様子に毎回背筋がヒヤリとする

「シャワー、浴びてもいいっすか、」

シャツの中に手を入れられたところで軍司が男の手を制止した

「来る前に入ったんだろう」
「準備まではしてなかったんで」
「5分で出てこい」

素っ裸で戻るのも間抜けなのでバスローブだけ羽織って言われた通り5分で戻った

女に苦労していないこの男が自分を抱くのは何故か、もう何度も考えた

が、答えは出ないまま
呼ばれれば来るだけだ
踏み込むことはしない

ベッドに押し倒されて男がシャツを脱いだ
上半身を起こしてバスローブを脱ぐ

「どうした、」
「?」
「コレ」

腹にある真新しい痣を押される

「っ…、別にいつもの事すよ」
「腹に食らうことはねぇだろう?」
「はぁ、」
「囲まれたのか」
「あんたには関係ねぇでしょ」
「確かにな、ただ、気分は良くねぇな」

ドン、と押され上に乗られる

「意外に妬けるもんだな」
「?」

何のことだ?と思うのと同時
大して慣らされていないソコに挿入された

「!!」
「俺以外の男がお前に跡を刻むのがな」
「くっ!!」

前置きも無く動きが始まる
別に喧嘩相手の男に刻まれた覚えはないし
目の前の男に刻まれているつもりもない
そんなことを言う暇もなく、突かれる

「出すぞ」

その一言の直後自分の中に吐き出されたのを感じた
切れてんじゃねーかな、と自分の穴を心配する
すると抜かれたそこに男の指が侵入してきた
前も扱かれながら、的確に攻められる
もう自分のイイトコロは知り尽くされていた

「、」

思わず眉間に皺がよった

「声出せ、」
「……」

何と返事をしていいか分からず、顔を見るだけに留める
男は口角を上げて行為を再会した。

















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