廻れ。廻れ。
「君中毒」と少し繋がってます
十希夫は一人美術室に居た。あと10分もすれば現れる兄貴分を待って。
煙草を一本吸い終わったとき、美術室のドアが開いた。思ったより早いな、と思って振り向くと予想とは違う人物が入ってきた。
「秀吉さん」
軽く会釈をする。
「軍司は」
「もうすぐ来ると思いますけど」
苛立った様子て舌打ちをした。
「待たせてもらうぜ」
「あ、はい」
そういうと秀吉さんは窓際に腰掛けた。俺はどこか気まずさを感じて2本目に火をつけた。秀吉さんは明らかに機嫌が悪い。最近目立つような揉め事は聞かないけど。何があったんだろう。
視線を感じて目線を向けると秀吉さんと目があった。
「なぁ、軍司の奴ってうめぇの?」
不機嫌な顔のまま言われる。
「何がです?」
「セックスだよ」
「は?」
いきなり何を言い出すのだろう、この人は。
「知らないっすよ」
「お前らやってんだろ?」
やってるって……また変な噂でもあるのだろうか。度々俺と軍司さんが出来てるんじゃないかと噂になることがあるらしい。阿保らしい。そんなことある訳がないのに。
「変なこと言わないで下さいよ」
「やってねぇの?」
「だから、なんで俺と軍司さんが」
「けどお前はその気があんだろ」
その言葉にドキッとする。
「お前ら付き合ってるとばかり思ってたぜ」
少し驚いた顔。本気なのか、この人。
「何、言ってんすか。そんな訳ないでしょ」
「へぇ…?」
秀吉さんが何か考え込む。確かに俺は軍司さんのことをそういう風に想っている。けれど、軍司さんは全くそんな気はない。ガキの頃からの付き合いだ。当たり前だが軍司さんは女が好きだ。だから望みがないのは分かっている。
「じゃあ、俺が手ぇ出してもいいんだな」
思いもよらない言葉に反応か遅れる。
「え、ちょっと待って下さ…」
ガラッ
「お、秀吉?どうした?」
軍司さん…タイミングが悪い。
「軍司。十希夫と話が終わったら図書館来い。話したいことがある」
「ここじゃ駄目なのか?」
「長くなるから後でいい。絶対来いよ」
言った後俺をチラリと見てから
秀吉さんは出て行った。
「悪いな、待たせた」
「いえ、全然」
俺の心中は穏やかではなかったが、目の前の軍司さんが優先。とりあえず報告を始めた。そして滞りなく済ませると軍司さんは秀吉さんの所へ行ってしまった。
………
「入るぞ」
軍司が図書室に入ったとき秀吉の姿はなかった。
「秀吉?」
いないのか?軍司はいつもマサが座っている場所に腰を下ろし、その場にあった雑誌を読み始めた。
「興味あんのか」
背後から突然掛けられた声に顔を上げる。
「お前、居たなら返事しろよ」
「なぁ、お前十希夫とやってねぇんだってな」
秀吉が軍司の耳元で囁く。
「あ?何を」
「それ」
秀吉が指したのは、軍司が読んでいた雑誌の記事。男同士の性行為について特集が組まれていた。
「あ?」
軍司の眉が上がる。
「なぁ、俺としねぇ?」
「何言ってんだ」
「あんだろ、経験」
秀吉は確信を持ったような言い方だった。
不良を何年かやっていればその手の奴に出会う。暴力の一つとして、身動きをとれなくさせられて行為をされることもない話ではない。
軍司は一瞬動きを止めた。
「それとも、海老の大将達にはそんな経験はないか?」
達、と言ったのは先ほどまで一緒に居た後輩も含んでいるからだろう。
「何が言いたいんだ、お前」
喧嘩売ってんのか、と軍司が立ち上がって秀吉と向き合う。
「誘ってんだ」
睨みつけてそう言うと秀吉が軍司に口付ける。軍司は抵抗せずそれを受け入れた。
「どうだ?」
「……お前まじで言ってんのか?」
「冗談でこんなことすっか?」
秀吉が股間を擦り付ける。
「何か怖ぇよ。変な薬とか使われんじゃねぇの」
「それもいいな」
秀吉の答えに軍司がため息を吐く。
「奥入ろうぜ」
秀吉が指したのは図書室の奥にある書庫。返事を返す間も無く入っていった秀吉に軍司も続いた。
→
十希夫は一人美術室に居た。あと10分もすれば現れる兄貴分を待って。
煙草を一本吸い終わったとき、美術室のドアが開いた。思ったより早いな、と思って振り向くと予想とは違う人物が入ってきた。
「秀吉さん」
軽く会釈をする。
「軍司は」
「もうすぐ来ると思いますけど」
苛立った様子て舌打ちをした。
「待たせてもらうぜ」
「あ、はい」
そういうと秀吉さんは窓際に腰掛けた。俺はどこか気まずさを感じて2本目に火をつけた。秀吉さんは明らかに機嫌が悪い。最近目立つような揉め事は聞かないけど。何があったんだろう。
視線を感じて目線を向けると秀吉さんと目があった。
「なぁ、軍司の奴ってうめぇの?」
不機嫌な顔のまま言われる。
「何がです?」
「セックスだよ」
「は?」
いきなり何を言い出すのだろう、この人は。
「知らないっすよ」
「お前らやってんだろ?」
やってるって……また変な噂でもあるのだろうか。度々俺と軍司さんが出来てるんじゃないかと噂になることがあるらしい。阿保らしい。そんなことある訳がないのに。
「変なこと言わないで下さいよ」
「やってねぇの?」
「だから、なんで俺と軍司さんが」
「けどお前はその気があんだろ」
その言葉にドキッとする。
「お前ら付き合ってるとばかり思ってたぜ」
少し驚いた顔。本気なのか、この人。
「何、言ってんすか。そんな訳ないでしょ」
「へぇ…?」
秀吉さんが何か考え込む。確かに俺は軍司さんのことをそういう風に想っている。けれど、軍司さんは全くそんな気はない。ガキの頃からの付き合いだ。当たり前だが軍司さんは女が好きだ。だから望みがないのは分かっている。
「じゃあ、俺が手ぇ出してもいいんだな」
思いもよらない言葉に反応か遅れる。
「え、ちょっと待って下さ…」
ガラッ
「お、秀吉?どうした?」
軍司さん…タイミングが悪い。
「軍司。十希夫と話が終わったら図書館来い。話したいことがある」
「ここじゃ駄目なのか?」
「長くなるから後でいい。絶対来いよ」
言った後俺をチラリと見てから
秀吉さんは出て行った。
「悪いな、待たせた」
「いえ、全然」
俺の心中は穏やかではなかったが、目の前の軍司さんが優先。とりあえず報告を始めた。そして滞りなく済ませると軍司さんは秀吉さんの所へ行ってしまった。
………
「入るぞ」
軍司が図書室に入ったとき秀吉の姿はなかった。
「秀吉?」
いないのか?軍司はいつもマサが座っている場所に腰を下ろし、その場にあった雑誌を読み始めた。
「興味あんのか」
背後から突然掛けられた声に顔を上げる。
「お前、居たなら返事しろよ」
「なぁ、お前十希夫とやってねぇんだってな」
秀吉が軍司の耳元で囁く。
「あ?何を」
「それ」
秀吉が指したのは、軍司が読んでいた雑誌の記事。男同士の性行為について特集が組まれていた。
「あ?」
軍司の眉が上がる。
「なぁ、俺としねぇ?」
「何言ってんだ」
「あんだろ、経験」
秀吉は確信を持ったような言い方だった。
不良を何年かやっていればその手の奴に出会う。暴力の一つとして、身動きをとれなくさせられて行為をされることもない話ではない。
軍司は一瞬動きを止めた。
「それとも、海老の大将達にはそんな経験はないか?」
達、と言ったのは先ほどまで一緒に居た後輩も含んでいるからだろう。
「何が言いたいんだ、お前」
喧嘩売ってんのか、と軍司が立ち上がって秀吉と向き合う。
「誘ってんだ」
睨みつけてそう言うと秀吉が軍司に口付ける。軍司は抵抗せずそれを受け入れた。
「どうだ?」
「……お前まじで言ってんのか?」
「冗談でこんなことすっか?」
秀吉が股間を擦り付ける。
「何か怖ぇよ。変な薬とか使われんじゃねぇの」
「それもいいな」
秀吉の答えに軍司がため息を吐く。
「奥入ろうぜ」
秀吉が指したのは図書室の奥にある書庫。返事を返す間も無く入っていった秀吉に軍司も続いた。
→
1/7ページ