心躍るアンラッキー
天狗の森での傷が癒えて少しした頃のある晴れた日の屋上。
派閥というには少ない、普段5.6人で連んでいる3年が来て頭を下げている。
「アホか。テメーのケツくらい自分で拭けよ」
向き合って話しているのはマサ。
屋上には5人と金次が居た。ゼットンは雑誌を読んでニヤニヤと笑っている。軍司と米はボードゲームで対戦中。秀吉は手摺にもたれて煙草をふかしていた。
他所のチームと揉めたという。仲間が1人捕まっているが自分達の力では助け出せない。今日の17時に廃工場に来るよう指定された。助けてくれ、と。
「インペリアルといえば、最近数増やしていますね」
情報屋の金次がメモをめくる。
相手の人数は約100。潰したチームを吸収しているという。
5対100の圧倒的不利な状況。兎に角人数が必要。人数を集められるのは、派閥を作っている人物くらいだと頼ってきたのだった。
そこで冒頭に戻る。
そもそも、揉める切っ掛けを作ったのはこっちだと言う。自分で喧嘩売っといて、不利になったら助けを求めるなんて愚か過ぎる。秀吉も軍司も嫌う行為だ。派閥を動かす理由にはならない。助ける義理も道理も無い。
誰も取り合わず、頭を下げた面々が頭を垂れて屋上を出て行く。
「骸潰したのもインペリアルだっけか?」
「代が変わってから随分イケイケになってるみたいです。」
マサと金次の会話。
そして授業が終わって15時。軍司は1人、門を出て歩く。
「秀吉…」
「行くのか」
普段駅を使わない軍司が駅に向かった。そしてその道中に秀吉がいた。
さっきは立場上何も言わなかった。けれど、軍司は身内には甘いところがある。いくらアホな話でもあぁやって頭を下げられれば、動いてしまうだろうと秀吉は読んでいたのだ。
「別に俺個人で動くのは勝手だろ」
咎められると思って先に伝える。
「お前1人行ったって何も変わんねーよ。わざわざ殺されるつもりか」
秀吉が軍司の進路に立つ。行かせねーとという秀吉に軍司が眉間に皺を寄せて頭を掻いた。
「退け」
「退かねーな」
秀吉が指の関節を鳴らす。力づくで、のジェスチャー。チッと舌打ちをして軍司が構える。
2・3発互いに殴り合った。そこで、
「軍司さん!」
突如、後ろから声。
「トキオ…?お前ら!」
トキオ始め一派の面々が揃っていた。
「その人から聞きましたよ」
「軍司さん1人で行かせる訳にゃいかねーっすよ」
「なんで声掛けてくんねーんすか」
「水くさいっすよ!」
口々に言う。
軍司が驚いて秀吉を見た。
「俺はお前と違って人望がねーんでな。俺1人だ」
「ははっ、充分過ぎるぜ」
笑って拳で胸を叩く。
「約束の時間を待つ必要はねーでしょ。奇襲駆けましょーよ」
トキオがニヤリと微笑みながら言った。
指定場所である廃工場。まず軍司が1人で敷地に入る。敷地内に屯していたメンバーが騒ぎ出した。奥から幹部らしき人物が3人程出てきた。
「鈴蘭の岩城サンが何の用だ?」
顔を近づけて挑発する。
「うちの一村ってのいるだろ。返して貰いにきた。」
「お前が金持ってきたのか?」
「いや?」
「ぶっ殺されてーのか?!」
近くでガンをとばされるが、目線を逸らさず口を開く。
「返すのか返さねーのか」
返すわけねーだろ
と嘲笑して返されると軍司が男の股間を蹴り上げた。
「てめぇー!!」
派閥の面々が傾れ込む。
派閥の中でも好戦的な面々が先頭を行く。インペリアルの方がまだ若干多い。しかし前線の勢いは止まらない。多数対多数は岩城一派の得意分野だ。
片っ端から片付けていく鈴蘭側。混乱するインペリアル。
「昨日今日チームになった寄せ集めが鈴蘭に勝てると思うなよ」
乱闘の合間を縫って軍司と秀吉がインペリアルのリーダーの前に立った。
リーダーが金属バットを持ち出す。
軍司がそれをかわして間合いを詰めた。顔面に一発、鳩尾に二発。それで膝をついた。屈んだ男の顔面を蹴り上げると仰向けに倒れた。落ちた金属バットを秀吉が拾う。
「今後一切こいつらに手を出すな。分かったな」
「…ぃ」
血塗れになっている顔面に再び拳を落とした。ぐぁぁと、大きな叫び声が響いた。
「聞こえねーよ。分かったのか⁈」
髪の毛を掴んで顔を見て上げさせる。
「分かりました…」
撮影されていただろうビデオカメラも壊した。
17時、屋上で頭を下げた面々が驚いて廃工場に駆け込んできた。
目を丸くしつつも仲間に駆け寄る彼らと入れ違いに、一派は倉庫を出る。
軍司がトキオに礼を伝える。
「俺らは軍司さんについていくって決めたんですから。」
礼はいらない、なんなら1人で行こうとしたことを謝れと、そう言うトキオに素直に従った。
解散して軍司と秀吉2人きり歩く。突然、軍司が秀吉をみて笑いだす。
「なんだよ」
「お前俺のこと殴れねーとか言ってなかったか?」
「言ったな」
「殴ったよな?」
「……あんなの殴った内に入んねーだろ」
軍司が声を出して笑う。
次の日、律儀に屋上に礼を言いに来た。
捕まっていた鈴蘭生は命に別状はないということで安心した軍司。
「え、軍司行ったの?」
「…」
マサが目を丸くして軍司を向いた。軍司が気まずさで目を逸らす。
「お前派閥動かしといてダンマリは無理だろ」
先に情報を得ていたコメが問い詰める。
「いや、動かしたっつーかそれは秀吉が」
「えっ秀吉も関わってんの?!」
「言うんじゃねーよ、馬鹿」
「もういいからお前ら出てけ!」
軍司が礼を言いに来た人物たちを散らす。
俺も、と手で行こうとした軍司の肩に手を置くコメ。
爽やかな笑顔に軍司が引き攣る。
観念して話す軍司。
「お人好しか」
呆れた様子のコメ
お前らが行くなら行きたかったとマサ
「なんで秀吉も行ったんだよ」
「俺様の出番はー?!」
ゼットンもきてわちゃわちゃ。
おわる
派閥というには少ない、普段5.6人で連んでいる3年が来て頭を下げている。
「アホか。テメーのケツくらい自分で拭けよ」
向き合って話しているのはマサ。
屋上には5人と金次が居た。ゼットンは雑誌を読んでニヤニヤと笑っている。軍司と米はボードゲームで対戦中。秀吉は手摺にもたれて煙草をふかしていた。
他所のチームと揉めたという。仲間が1人捕まっているが自分達の力では助け出せない。今日の17時に廃工場に来るよう指定された。助けてくれ、と。
「インペリアルといえば、最近数増やしていますね」
情報屋の金次がメモをめくる。
相手の人数は約100。潰したチームを吸収しているという。
5対100の圧倒的不利な状況。兎に角人数が必要。人数を集められるのは、派閥を作っている人物くらいだと頼ってきたのだった。
そこで冒頭に戻る。
そもそも、揉める切っ掛けを作ったのはこっちだと言う。自分で喧嘩売っといて、不利になったら助けを求めるなんて愚か過ぎる。秀吉も軍司も嫌う行為だ。派閥を動かす理由にはならない。助ける義理も道理も無い。
誰も取り合わず、頭を下げた面々が頭を垂れて屋上を出て行く。
「骸潰したのもインペリアルだっけか?」
「代が変わってから随分イケイケになってるみたいです。」
マサと金次の会話。
そして授業が終わって15時。軍司は1人、門を出て歩く。
「秀吉…」
「行くのか」
普段駅を使わない軍司が駅に向かった。そしてその道中に秀吉がいた。
さっきは立場上何も言わなかった。けれど、軍司は身内には甘いところがある。いくらアホな話でもあぁやって頭を下げられれば、動いてしまうだろうと秀吉は読んでいたのだ。
「別に俺個人で動くのは勝手だろ」
咎められると思って先に伝える。
「お前1人行ったって何も変わんねーよ。わざわざ殺されるつもりか」
秀吉が軍司の進路に立つ。行かせねーとという秀吉に軍司が眉間に皺を寄せて頭を掻いた。
「退け」
「退かねーな」
秀吉が指の関節を鳴らす。力づくで、のジェスチャー。チッと舌打ちをして軍司が構える。
2・3発互いに殴り合った。そこで、
「軍司さん!」
突如、後ろから声。
「トキオ…?お前ら!」
トキオ始め一派の面々が揃っていた。
「その人から聞きましたよ」
「軍司さん1人で行かせる訳にゃいかねーっすよ」
「なんで声掛けてくんねーんすか」
「水くさいっすよ!」
口々に言う。
軍司が驚いて秀吉を見た。
「俺はお前と違って人望がねーんでな。俺1人だ」
「ははっ、充分過ぎるぜ」
笑って拳で胸を叩く。
「約束の時間を待つ必要はねーでしょ。奇襲駆けましょーよ」
トキオがニヤリと微笑みながら言った。
指定場所である廃工場。まず軍司が1人で敷地に入る。敷地内に屯していたメンバーが騒ぎ出した。奥から幹部らしき人物が3人程出てきた。
「鈴蘭の岩城サンが何の用だ?」
顔を近づけて挑発する。
「うちの一村ってのいるだろ。返して貰いにきた。」
「お前が金持ってきたのか?」
「いや?」
「ぶっ殺されてーのか?!」
近くでガンをとばされるが、目線を逸らさず口を開く。
「返すのか返さねーのか」
返すわけねーだろ
と嘲笑して返されると軍司が男の股間を蹴り上げた。
「てめぇー!!」
派閥の面々が傾れ込む。
派閥の中でも好戦的な面々が先頭を行く。インペリアルの方がまだ若干多い。しかし前線の勢いは止まらない。多数対多数は岩城一派の得意分野だ。
片っ端から片付けていく鈴蘭側。混乱するインペリアル。
「昨日今日チームになった寄せ集めが鈴蘭に勝てると思うなよ」
乱闘の合間を縫って軍司と秀吉がインペリアルのリーダーの前に立った。
リーダーが金属バットを持ち出す。
軍司がそれをかわして間合いを詰めた。顔面に一発、鳩尾に二発。それで膝をついた。屈んだ男の顔面を蹴り上げると仰向けに倒れた。落ちた金属バットを秀吉が拾う。
「今後一切こいつらに手を出すな。分かったな」
「…ぃ」
血塗れになっている顔面に再び拳を落とした。ぐぁぁと、大きな叫び声が響いた。
「聞こえねーよ。分かったのか⁈」
髪の毛を掴んで顔を見て上げさせる。
「分かりました…」
撮影されていただろうビデオカメラも壊した。
17時、屋上で頭を下げた面々が驚いて廃工場に駆け込んできた。
目を丸くしつつも仲間に駆け寄る彼らと入れ違いに、一派は倉庫を出る。
軍司がトキオに礼を伝える。
「俺らは軍司さんについていくって決めたんですから。」
礼はいらない、なんなら1人で行こうとしたことを謝れと、そう言うトキオに素直に従った。
解散して軍司と秀吉2人きり歩く。突然、軍司が秀吉をみて笑いだす。
「なんだよ」
「お前俺のこと殴れねーとか言ってなかったか?」
「言ったな」
「殴ったよな?」
「……あんなの殴った内に入んねーだろ」
軍司が声を出して笑う。
次の日、律儀に屋上に礼を言いに来た。
捕まっていた鈴蘭生は命に別状はないということで安心した軍司。
「え、軍司行ったの?」
「…」
マサが目を丸くして軍司を向いた。軍司が気まずさで目を逸らす。
「お前派閥動かしといてダンマリは無理だろ」
先に情報を得ていたコメが問い詰める。
「いや、動かしたっつーかそれは秀吉が」
「えっ秀吉も関わってんの?!」
「言うんじゃねーよ、馬鹿」
「もういいからお前ら出てけ!」
軍司が礼を言いに来た人物たちを散らす。
俺も、と手で行こうとした軍司の肩に手を置くコメ。
爽やかな笑顔に軍司が引き攣る。
観念して話す軍司。
「お人好しか」
呆れた様子のコメ
お前らが行くなら行きたかったとマサ
「なんで秀吉も行ったんだよ」
「俺様の出番はー?!」
ゼットンもきてわちゃわちゃ。
おわる