あなたの名前を入力してください。
また雨が降っても
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
6月も後半に入ってじめじめとした空気がまとわりつく。梅雨らしいのは季節感があっていいのかもしれないが、日本の夏というのは基本的に湿度が高い。それに傘を持って歩くというのもなかなかわずらわしいものだ。
この日も午後から雨。練習終わりの午後7時、下校中の花形は先程から強まってきた雨と蒸し暑さにうんざりしながら歩いていた。
学校から一番近いコンビニに近づいたところで店先に見覚えのある顔が目に留まり思わず声をかけた。
「…栗原?」
「花形くん。今帰り?」
「ああ。栗原何してるんだ?」
「雨宿り」
同じクラスの栗原菜那子だった。聞くと菜那子は傘を持たずに登校し、小雨だからいいやと学校を出た後本降りになったので雨宿りをしているという。
「傘、持ってきたらよかったなぁ」
「…入ってくか?家どっちだっけ?」
「いやいや、悪いから」
「止む保証ないぞ。家まで送るとは言えんがどうせ途中までは一緒だろ」
「…じゃあ、ちょっとだけ」
天気のいい日なら薄明るい今の季節だが、今日のような雨では辺りは暗い。知り合いの女子高生をそんな中無視するわけにはいかないと花形は思った。
「今日も部活でしょ?バスケ部頑張ってるよね」
「まあな。栗原は美術部だっけ?」
「そうそう。いつもはこんな遅くならないんだけどね」
相合い傘で会話しながら歩いていく二人。花形が平均より高い身長をしているので菜那子とはだいぶ差がある。
「……結構濡れちゃってないか?」
「ん?平気平気」
菜那子は肩がギリギリ濡れてないぐらいで、肩から掛けているカバンから下は雨が当たってしまっている。
花形は傘を菜那子の方に傾ける。
「あっ、ダメダメ!花形くんが濡れたら意味ないじゃん!」
「いや、でも…風邪引くぞ」
「だーめ!」
「じゃあもうちょっとこっち来い」
傘を押し戻そうとする菜那子の肩を抱いて引き寄せる花形。
思いもよらない行動に驚いてなすがままの菜那子。
すぐに肩から手を離した花形だが、二人は密着状態になった。
「……なんか、恋人同士みたい…」
「そう見えるかもな」
「誰かに見られたら誤解されちゃうかもよ?」
「…オレは別にいいけど」
「えっ」
「何とも思ってない女子と相合い傘なんかしないだろ」
菜那子目を丸くして花形を見上げる。彼は前を向いたまま速度を変えずに歩いている。
頭の中でじわじわと先程の言葉が鮮明になってきて、冷静でいられなくなる菜那子。傘の真ん中で未だにくっついている自分と花形の腕。
すっかり耳まで赤くなっている菜那子には、もう雨音は聞こえない。花形の低く優しい声だけが耳に残っていた。
「あ、私こっちだから……ありがとう」
自宅の方向に差し掛かり、なんとか平静を取り繕ってそう言った菜那子に柔らかい笑顔を見せる花形。
「じゃあ、また明日な」
「う、うん。また明日……」
菜那子は家までの道を出来る限りの速度で走った。今度は全身濡れるが花形の言葉で熱くなっている自分の頭を冷やすにはちょうどいいと思った。
「っくしゃん!!」
「菜那子、風邪?」
「うん……ちょっと昨日頭を冷やしすぎたみたいで」
「何それ??」
次の日、教室には盛大なくしゃみを連発する菜那子がいた。
それをこっそり微笑んで見つめる花形。また雨が降れば菜那子に近づける気がして梅雨も悪くないなと思い始めていた。
この日も午後から雨。練習終わりの午後7時、下校中の花形は先程から強まってきた雨と蒸し暑さにうんざりしながら歩いていた。
学校から一番近いコンビニに近づいたところで店先に見覚えのある顔が目に留まり思わず声をかけた。
「…栗原?」
「花形くん。今帰り?」
「ああ。栗原何してるんだ?」
「雨宿り」
同じクラスの栗原菜那子だった。聞くと菜那子は傘を持たずに登校し、小雨だからいいやと学校を出た後本降りになったので雨宿りをしているという。
「傘、持ってきたらよかったなぁ」
「…入ってくか?家どっちだっけ?」
「いやいや、悪いから」
「止む保証ないぞ。家まで送るとは言えんがどうせ途中までは一緒だろ」
「…じゃあ、ちょっとだけ」
天気のいい日なら薄明るい今の季節だが、今日のような雨では辺りは暗い。知り合いの女子高生をそんな中無視するわけにはいかないと花形は思った。
「今日も部活でしょ?バスケ部頑張ってるよね」
「まあな。栗原は美術部だっけ?」
「そうそう。いつもはこんな遅くならないんだけどね」
相合い傘で会話しながら歩いていく二人。花形が平均より高い身長をしているので菜那子とはだいぶ差がある。
「……結構濡れちゃってないか?」
「ん?平気平気」
菜那子は肩がギリギリ濡れてないぐらいで、肩から掛けているカバンから下は雨が当たってしまっている。
花形は傘を菜那子の方に傾ける。
「あっ、ダメダメ!花形くんが濡れたら意味ないじゃん!」
「いや、でも…風邪引くぞ」
「だーめ!」
「じゃあもうちょっとこっち来い」
傘を押し戻そうとする菜那子の肩を抱いて引き寄せる花形。
思いもよらない行動に驚いてなすがままの菜那子。
すぐに肩から手を離した花形だが、二人は密着状態になった。
「……なんか、恋人同士みたい…」
「そう見えるかもな」
「誰かに見られたら誤解されちゃうかもよ?」
「…オレは別にいいけど」
「えっ」
「何とも思ってない女子と相合い傘なんかしないだろ」
菜那子目を丸くして花形を見上げる。彼は前を向いたまま速度を変えずに歩いている。
頭の中でじわじわと先程の言葉が鮮明になってきて、冷静でいられなくなる菜那子。傘の真ん中で未だにくっついている自分と花形の腕。
すっかり耳まで赤くなっている菜那子には、もう雨音は聞こえない。花形の低く優しい声だけが耳に残っていた。
「あ、私こっちだから……ありがとう」
自宅の方向に差し掛かり、なんとか平静を取り繕ってそう言った菜那子に柔らかい笑顔を見せる花形。
「じゃあ、また明日な」
「う、うん。また明日……」
菜那子は家までの道を出来る限りの速度で走った。今度は全身濡れるが花形の言葉で熱くなっている自分の頭を冷やすにはちょうどいいと思った。
「っくしゃん!!」
「菜那子、風邪?」
「うん……ちょっと昨日頭を冷やしすぎたみたいで」
「何それ??」
次の日、教室には盛大なくしゃみを連発する菜那子がいた。
それをこっそり微笑んで見つめる花形。また雨が降れば菜那子に近づける気がして梅雨も悪くないなと思い始めていた。
1/1ページ