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茂一の休日
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清々しく晴れた日曜日、田岡は自宅のダイニングで朝食後のコーヒーを啜っていた。
リビングのテレビでは今日の天気、先週のニュースの総まとめ、最新のお出掛けスポットの話題が流れている。それをなんとなく眺めていた田岡だが、ふと視界を何かに塞がれた。
「……おはよう。テレビが見えんぞ」
「おはよー。お父さんが移動すればいいじゃん。ねー?」
「ニャァー」
娘だ。中学3年生になる娘の千夏 はダイニングではなく田岡とテレビの間にあるソファに座り込みパンをかじっている。猫のシロまで千夏の味方をするように田岡からテレビが見えづらい位置に座り込む。
いつもなら陵南高校のバスケット部は鬼のような量の練習をこなしている時間だが、この日は創立記念日ということもあり珍しく練習は休みだ。
インターハイ出場を目指す強豪校なので練習がないというのは何となく落ち着かないが陵南の監督に就いて10年、毎年のことなので仕方がない。
「千夏は今日はどこか行くのか?」
「友達と買い物ー」
「そうか、あまり遅くなるなよ」
「はぁーい」
千夏は少々だるそうに返事をすると、洗面所へと消えていった。
「おとーさん、おはよー」
「おはよう、美千留 」
「お母さんは?」
「今日はフラダンスの発表会で早くから出掛けていったぞ」
「ふーん」
中学1年生になる次女の美千留は朝食を取らずに2階にある自分の部屋へ戻っていった。
田岡がコーヒーを飲み終えて朝食の後片付けをしていると、余所行きの格好をした美千留がリビングへ戻ってきた。
「美千留も出掛けるのか?」
「そうだよー。今日はデート」
「でっ…!?」
「あれ、言ってなかったっけ?彼氏できたの」
うふふ、と美千留は無邪気に笑顔を見せているが中1の娘に彼氏などとは初耳なので目が飛び出そうなくらい驚いている田岡。危うくコーヒーカップを落としてしまうところだった。
「そっか、お父さんにはまだ言ってなかったのか。先月から付き合い始めたらしいよ」
「そ、そうなのか……?オレは知らんかったぞ」
身支度を済ませたらしい千夏が現れて補足をする。動揺している田岡は怒りを通り越してパニック状態だ。
「じゃあね~、行ってきます!」
「お、おう。行ってらっしゃい……」
美千留は意気揚々と出掛けていった。
「全く、朝メシもちゃんと食わんでアイツは」
しかし彼氏だと?中学1年生で?相手はどんな奴だ?デートって一体何をするんだ??
田岡が頭の中でぐるぐるとそんな事を考えている間に千夏もドアを開けて出ていく。
「私も行ってきまーす」
「気を付けてな……」
気が付けば家の中には猫のシロと呆然とする田岡がいるだけだった。
「シロ、皆出掛けたから今日はオレと遊ぶか?」
「ニャッ!?」
手を伸ばし抱き上げようとするとシロはその身を翻し田岡の元から逃げていった。
「…………」
普段忙しくしている田岡はシロのエサをあげることも滅多にないから懐かない。まして相手は気まぐれな猫なのだから仕方がない。
そんな田岡だから娘の恋愛事情に疎いのも無理もないのかもしれない。
外は晴天だというのに、ぽつんと取り残された田岡の心は曇り気味であった。
しかしこの田岡茂一41歳、1歩外に出れば県内でも有名な高校バスケットの監督である。陵南高校は今年も彼の厳しい指導の下、インターハイへの道を目指すのだ。
リビングのテレビでは今日の天気、先週のニュースの総まとめ、最新のお出掛けスポットの話題が流れている。それをなんとなく眺めていた田岡だが、ふと視界を何かに塞がれた。
「……おはよう。テレビが見えんぞ」
「おはよー。お父さんが移動すればいいじゃん。ねー?」
「ニャァー」
娘だ。中学3年生になる娘の
いつもなら陵南高校のバスケット部は鬼のような量の練習をこなしている時間だが、この日は創立記念日ということもあり珍しく練習は休みだ。
インターハイ出場を目指す強豪校なので練習がないというのは何となく落ち着かないが陵南の監督に就いて10年、毎年のことなので仕方がない。
「千夏は今日はどこか行くのか?」
「友達と買い物ー」
「そうか、あまり遅くなるなよ」
「はぁーい」
千夏は少々だるそうに返事をすると、洗面所へと消えていった。
「おとーさん、おはよー」
「おはよう、
「お母さんは?」
「今日はフラダンスの発表会で早くから出掛けていったぞ」
「ふーん」
中学1年生になる次女の美千留は朝食を取らずに2階にある自分の部屋へ戻っていった。
田岡がコーヒーを飲み終えて朝食の後片付けをしていると、余所行きの格好をした美千留がリビングへ戻ってきた。
「美千留も出掛けるのか?」
「そうだよー。今日はデート」
「でっ…!?」
「あれ、言ってなかったっけ?彼氏できたの」
うふふ、と美千留は無邪気に笑顔を見せているが中1の娘に彼氏などとは初耳なので目が飛び出そうなくらい驚いている田岡。危うくコーヒーカップを落としてしまうところだった。
「そっか、お父さんにはまだ言ってなかったのか。先月から付き合い始めたらしいよ」
「そ、そうなのか……?オレは知らんかったぞ」
身支度を済ませたらしい千夏が現れて補足をする。動揺している田岡は怒りを通り越してパニック状態だ。
「じゃあね~、行ってきます!」
「お、おう。行ってらっしゃい……」
美千留は意気揚々と出掛けていった。
「全く、朝メシもちゃんと食わんでアイツは」
しかし彼氏だと?中学1年生で?相手はどんな奴だ?デートって一体何をするんだ??
田岡が頭の中でぐるぐるとそんな事を考えている間に千夏もドアを開けて出ていく。
「私も行ってきまーす」
「気を付けてな……」
気が付けば家の中には猫のシロと呆然とする田岡がいるだけだった。
「シロ、皆出掛けたから今日はオレと遊ぶか?」
「ニャッ!?」
手を伸ばし抱き上げようとするとシロはその身を翻し田岡の元から逃げていった。
「…………」
普段忙しくしている田岡はシロのエサをあげることも滅多にないから懐かない。まして相手は気まぐれな猫なのだから仕方がない。
そんな田岡だから娘の恋愛事情に疎いのも無理もないのかもしれない。
外は晴天だというのに、ぽつんと取り残された田岡の心は曇り気味であった。
しかしこの田岡茂一41歳、1歩外に出れば県内でも有名な高校バスケットの監督である。陵南高校は今年も彼の厳しい指導の下、インターハイへの道を目指すのだ。
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