キッド
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『違い』
朝。キッドは大きなあくびをしてベッドから起き上がる。乱暴に頭を掻きながら、隣にと視線を送れば、そこには人一人分の隙間と毛布が一つ。綺麗に畳まれているだけだ。
昨晩、同じクルーのナナシがこの場所に、只でさえ小さな背中を丸めて寝ていたのだが…今はその姿は無い。キッドが起きるよりも早くに居なくなったのか、シーツに温もりは無く、ほんの少しだけ、ナナシの残り香が漂うだけだ。
コンコンッ
「…誰だ?」
「キッド、少しいいか?」
そう言って入ってきたのは相棒のキラーだ。こんな朝早くから用事があるのは珍しい。急用案件かとキッドはキラーを招き入れる。
「ナナシの事なんだが。」
「あァ!?ナナシがどうかしたのか!?」
「慌てるなキッド。特に怪我をしたとかじゃねェ!!…ただ、話があるってだけだ。」
「………話?」
キラーに掴みがかりそうなキッドを制して、ベッドへと座らせる。不機嫌面のキッドをそのままに、キラーは話を進めた。
「キッド。正直に、尚且つ真面目に答えてほしい。」
「………あ?」
相棒の、差し迫った空気にキッドは少し身構える。
「お前、昨日もナナシと寝たのか?」
「あァ!?ンでそんな事言わなきゃならねーんだよ!?」
一呼吸分、溜めてまで切り出してきた内容のくだらなさに憤慨した。ナナシの事だと身構えて損した。朝から何て事聞いてくるんだコイツ。仕事の疲労で頭がイカれたか?
「人をイカれ野郎扱いするなら毎度毎度問題を起こすのをやめたらどうだ?…話が逸れたな。先程の話に戻るが、重要な事だ。………で、実際は?」
「…何が?」
「ナナシと、寝てんのか?」
「………だから前も言っただろうが。…寝てるって。」
「…。」
「…。」
「……………それは、三大欲求的に言い換えると?」
「…。」
「…"性欲"的な寝てるなのか、"睡眠欲"的な寝てるのか、どっちだ?」
「……………後者だ。」
「お前!!今まで嘘ついてたのか!?」
「うるせェ!!!!!!そもそも最初に勘違いしたお前が悪いだろーが!」
キラーは思わず天井を仰ぎ見た。ナナシに一目惚れしたと言ってキッドが拐ってきて早数ヶ月。最初はただの戯れ言だと思い、飽きられたらせめて治安の良い島にでも降ろそう…と様子を見た。
…そしたらまぁ島に到着する度に一緒に降りては買い物をし、時にはプレゼントを抱えて船に戻り。毎夜の如く船長室へと呼び寄せて。ナナシと共に行動をするキッドを見て、本気で交際していると思っていたのに、だ。
「お前のソレは交際してるとは言わねェだろうが!!デートじゃなくてただの買い出しだろ!なぁにが『ナナシが遠慮してプレゼント受け取ってくれねェ。』だ!?そりゃ付き合ってねェ野郎にしょっちゅう服だのアクセサリーだの貢がれたら遠慮するだろ!」
「あァ!?好きな女に似合うモン上げて何が悪い!」
「悪くは無い!悪くはないが頻度を考えろ!!好かれるどころか金ヅル、または気味悪がられるだけだろーが!そもそも!ナナシに言ったのか!?『好きだ』って! 」
「………。」
無言になった。しかも顔まで背けやがった。
「おまっ…言ってないのか?本当に…?ここまでくるといっそ清々しい…。」
「うるせェな…!タイミングを図ってんだよ…!」
「夜に頻繁に会ってるんだからその時にでも言えばいいじゃないか。」
「…アイツ、トラウマがあンのか上手く寝れねェんだよ。たまに震えてるし、泣いたりしやがる。そんな時に言える訳ねェだろ…。」
昨日のナナシの会話からして、薄々そうなのかと思っていたが…目の前のキッドの様子を見て核心した。ナナシとは付き合っておらず、しかも告白すらしていない。あのキッドが。ここまで奥手だったと誰が思おうか。
「…なんで早く言わなかった?」
「…こんなん、情けなくて言える訳がねェ。」
情けない自覚はあるのか。
「はぁ…。
『おれはナナシが好きだ。あの憂いを帯びた瞳も、陶器みたいに透き通った白い肌も、絹のような美しい髪も。あの細い身体も何もかもが好きだ。面白半分で普段はやらねーメイクさせたらあり得ねェ位美人に化けやがるし。あれは駄目だ。他の野郎には絶対に見せらんねェ。』
…こんな事を酒の席で言うお前が本人に何も言ってないんだよな。」
「テメェ何録音してんだキラーァァァァァァァァァ!!!!!!」
「いつかナナシに愛想つかれかけた時用の保険として用意しておいた。お前の事だから行動ばっかり重視しそうだと思ってな…まさか言葉そのものがゼロだとは思わなかったが。」
キッドが録音ダイヤルを取り上げようとしたら軽々とかわされた。相当動揺したらしい。珍しく床に崩れ落ちるキッドを見てキラーは苦笑する。
「キッド、このままの関係はお前にも、ましてナナシにも良くない。告白しろ。で、なければだ。この録音をナナシ聞かせる。」
「脅迫かよ!?」
「これ位のハンデがないとお前に振り回されたナナシが可哀想だからな。…海賊王になる男なんだ。好いた女の心位、手に入れてみせろ。」
身体の方はすぐさま拐えたんだ。できるだろ?とキラーが問いかける。キラーの言葉を聞いたキッドは軽く舌打ちをして床から立ち上がった。その顔は相変わらず強面で、眉間にも深い皺が刻まれていたが、眼差しは強く、良い眼をしている。力強い足取りで部屋を出るキッドの背中を見て、キラーは再び苦笑した。
「ナナシー!!今すぐ船長室まで来やがれェェェェェェェェェ!!!!!!」
開口一番。留め具が外れんばかりの勢いでドアを開け叫んだ。その言葉を聞きつけたナナシの悲鳴に似た返事が遠くから聞こえて、キラーは頭を抱えた。
(キッド…!!そうじゃない!なんでそう怒鳴って…このっっ…~!んなやり方ばかりだから誤解されるんだろうが !!)
(あァ!?何が悪いんだよ!?)
(…。(…もう面倒くさいから録音聞かせるか。)
朝。キッドは大きなあくびをしてベッドから起き上がる。乱暴に頭を掻きながら、隣にと視線を送れば、そこには人一人分の隙間と毛布が一つ。綺麗に畳まれているだけだ。
昨晩、同じクルーのナナシがこの場所に、只でさえ小さな背中を丸めて寝ていたのだが…今はその姿は無い。キッドが起きるよりも早くに居なくなったのか、シーツに温もりは無く、ほんの少しだけ、ナナシの残り香が漂うだけだ。
コンコンッ
「…誰だ?」
「キッド、少しいいか?」
そう言って入ってきたのは相棒のキラーだ。こんな朝早くから用事があるのは珍しい。急用案件かとキッドはキラーを招き入れる。
「ナナシの事なんだが。」
「あァ!?ナナシがどうかしたのか!?」
「慌てるなキッド。特に怪我をしたとかじゃねェ!!…ただ、話があるってだけだ。」
「………話?」
キラーに掴みがかりそうなキッドを制して、ベッドへと座らせる。不機嫌面のキッドをそのままに、キラーは話を進めた。
「キッド。正直に、尚且つ真面目に答えてほしい。」
「………あ?」
相棒の、差し迫った空気にキッドは少し身構える。
「お前、昨日もナナシと寝たのか?」
「あァ!?ンでそんな事言わなきゃならねーんだよ!?」
一呼吸分、溜めてまで切り出してきた内容のくだらなさに憤慨した。ナナシの事だと身構えて損した。朝から何て事聞いてくるんだコイツ。仕事の疲労で頭がイカれたか?
「人をイカれ野郎扱いするなら毎度毎度問題を起こすのをやめたらどうだ?…話が逸れたな。先程の話に戻るが、重要な事だ。………で、実際は?」
「…何が?」
「ナナシと、寝てんのか?」
「………だから前も言っただろうが。…寝てるって。」
「…。」
「…。」
「……………それは、三大欲求的に言い換えると?」
「…。」
「…"性欲"的な寝てるなのか、"睡眠欲"的な寝てるのか、どっちだ?」
「……………後者だ。」
「お前!!今まで嘘ついてたのか!?」
「うるせェ!!!!!!そもそも最初に勘違いしたお前が悪いだろーが!」
キラーは思わず天井を仰ぎ見た。ナナシに一目惚れしたと言ってキッドが拐ってきて早数ヶ月。最初はただの戯れ言だと思い、飽きられたらせめて治安の良い島にでも降ろそう…と様子を見た。
…そしたらまぁ島に到着する度に一緒に降りては買い物をし、時にはプレゼントを抱えて船に戻り。毎夜の如く船長室へと呼び寄せて。ナナシと共に行動をするキッドを見て、本気で交際していると思っていたのに、だ。
「お前のソレは交際してるとは言わねェだろうが!!デートじゃなくてただの買い出しだろ!なぁにが『ナナシが遠慮してプレゼント受け取ってくれねェ。』だ!?そりゃ付き合ってねェ野郎にしょっちゅう服だのアクセサリーだの貢がれたら遠慮するだろ!」
「あァ!?好きな女に似合うモン上げて何が悪い!」
「悪くは無い!悪くはないが頻度を考えろ!!好かれるどころか金ヅル、または気味悪がられるだけだろーが!そもそも!ナナシに言ったのか!?『好きだ』って! 」
「………。」
無言になった。しかも顔まで背けやがった。
「おまっ…言ってないのか?本当に…?ここまでくるといっそ清々しい…。」
「うるせェな…!タイミングを図ってんだよ…!」
「夜に頻繁に会ってるんだからその時にでも言えばいいじゃないか。」
「…アイツ、トラウマがあンのか上手く寝れねェんだよ。たまに震えてるし、泣いたりしやがる。そんな時に言える訳ねェだろ…。」
昨日のナナシの会話からして、薄々そうなのかと思っていたが…目の前のキッドの様子を見て核心した。ナナシとは付き合っておらず、しかも告白すらしていない。あのキッドが。ここまで奥手だったと誰が思おうか。
「…なんで早く言わなかった?」
「…こんなん、情けなくて言える訳がねェ。」
情けない自覚はあるのか。
「はぁ…。
『おれはナナシが好きだ。あの憂いを帯びた瞳も、陶器みたいに透き通った白い肌も、絹のような美しい髪も。あの細い身体も何もかもが好きだ。面白半分で普段はやらねーメイクさせたらあり得ねェ位美人に化けやがるし。あれは駄目だ。他の野郎には絶対に見せらんねェ。』
…こんな事を酒の席で言うお前が本人に何も言ってないんだよな。」
「テメェ何録音してんだキラーァァァァァァァァァ!!!!!!」
「いつかナナシに愛想つかれかけた時用の保険として用意しておいた。お前の事だから行動ばっかり重視しそうだと思ってな…まさか言葉そのものがゼロだとは思わなかったが。」
キッドが録音ダイヤルを取り上げようとしたら軽々とかわされた。相当動揺したらしい。珍しく床に崩れ落ちるキッドを見てキラーは苦笑する。
「キッド、このままの関係はお前にも、ましてナナシにも良くない。告白しろ。で、なければだ。この録音をナナシ聞かせる。」
「脅迫かよ!?」
「これ位のハンデがないとお前に振り回されたナナシが可哀想だからな。…海賊王になる男なんだ。好いた女の心位、手に入れてみせろ。」
身体の方はすぐさま拐えたんだ。できるだろ?とキラーが問いかける。キラーの言葉を聞いたキッドは軽く舌打ちをして床から立ち上がった。その顔は相変わらず強面で、眉間にも深い皺が刻まれていたが、眼差しは強く、良い眼をしている。力強い足取りで部屋を出るキッドの背中を見て、キラーは再び苦笑した。
「ナナシー!!今すぐ船長室まで来やがれェェェェェェェェェ!!!!!!」
開口一番。留め具が外れんばかりの勢いでドアを開け叫んだ。その言葉を聞きつけたナナシの悲鳴に似た返事が遠くから聞こえて、キラーは頭を抱えた。
(キッド…!!そうじゃない!なんでそう怒鳴って…このっっ…~!んなやり方ばかりだから誤解されるんだろうが !!)
(あァ!?何が悪いんだよ!?)
(…。(…もう面倒くさいから録音聞かせるか。)
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