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ポツリと漏らした寂しげな一言は静寂に消え、またドスの効いた低い声が確実に脅しにくる。

「次に会うた時は容赦せん。気が変わらんうちに失せや」

「ありがとう、以蔵さん」

名前で呼ぶなやと言われる前に小屋を後にする。
外に出てしばらくすると、探知した居場所を追ったマシュに巡り会えた。

「先輩！ご無事でしたかっ！よかった…」

心配をかけた可愛い後輩の頭を撫で、今までに起きたことを伝える。

「先輩を連れ去ったあの方は岡田以蔵さんだったんですね。一時はどうなることかと思いました…」

マシュとの会話を楽しみながら、ふと名前の既視感について思い出す。
教科書で読んだんだ。

良い人、とは言えないけど、話の通じないバーサーカーではないだけよかっただろう。
狭いこの町で、いつかまた会えるような予感が胸を掠めつつ、今は聖杯探しに意識を集中させた。


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