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「ドクター知ってるの」

突然入った通信に怯んでいた気持ちが一気に落ち着いた。

「ああ…。これはまた、厄介な人と一緒にいるね。この人は－－－」

「岡田以蔵」

ドクターと男の声が揃う。

「人斬り以蔵とはわしのことじゃ。江戸のもんなら聞いたことあんじゃろう」

どこかで聞いたような知らないような…ごめん。

「な、わしを知らんがか！」

「岡田以蔵はね、流派こそ免許皆伝していないものの、剣の腕は一流。人を斬らせれば右に出るものはいないという江戸の人斬りだよ！すごいなあ」

ドクターの解説を聞き、岡田を見つめる。
ぼさぼさの髪に無精髭。くたびれた着物にまるで大物感は感じられないが、武士とはこういうものなのか。
私の視線に気を悪くしたのか、チッと短く舌打ちをし、顔を背けた。
どうやら今すぐ私を斬る気は削がれたようだった。

ドクターの話によれば、なかなか強い剣豪だという。仲間にできれば心強いのではないか。でも気難しいように見える。どうしよう。


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