#明け星学園活動日誌
『本日はホワイトデー! ぜひ素敵な1日を過ごしてくださいね♪』
リボンを結んでいると、そんな声が耳に入った。
……ホワイトデー……そういえばバレンタインデーに、言葉 ちゃんからチョコと飴……貰ったな……。
……何かお返しした方がいいのだろうか。
きゅ、とリボンを結び、その目が真ん中にあるか確認する。……よし、良い感じ。
私は鞄を掴み、行ってきます、と告げて家を出た。誰もいない家に向けて。
迷った末、私はコンビニで飴を買った。別に凝ったものじゃなくてもいいだろう。言葉ちゃんは色々な人にお返しを貰っているだろうから、あまり豪勢なものをあげてもあれだし。考える時間が面倒だし。
ちなみに飴を選んだのは、言葉ちゃんがよく飴を舐めていること。そしてホワイトデーには飴を渡すのが主流、というのを聞いたことがあるからだ。
「とーこちゃん、おはよ~」
「……」
見つけようと思う前から見つけてしまった。というか見つけられてしまった。呼んでもないのに来た。
「おはようございます。どうぞ」
「モゴガッ!?」
包装紙を剥がし、口の中に飴をぶち込む。……口どころか喉の奥にぶっ刺してしまった気がするが、まあいいだろう。
「し、死ぬかと思っ……何急に!!」
「……知らないんですか、今日はホワイトデーですよ」
「知ってるよ???? でもこんなバイオレンスなホワイトデーは知らないな????」
……やかましい。
「じゃあ、渡したので。精々味わってください」
「はーい……」
私は言うだけ言うと、その場から立ち去る。なんというか、誰かのために渡したものを目の前で食べられるのは……少し気になるような、気恥ずかしいような。そんな気がしたので。
取り残された言葉ちゃんは、飴を口の中で転がす。そして。
「……知ってるのかなぁ、灯子 ちゃん、飴をあげる意味」
知らないんだろうな、という言葉ちゃんの声は、どこか弾んでいた。
【終】
リボンを結んでいると、そんな声が耳に入った。
……ホワイトデー……そういえばバレンタインデーに、
……何かお返しした方がいいのだろうか。
きゅ、とリボンを結び、その目が真ん中にあるか確認する。……よし、良い感じ。
私は鞄を掴み、行ってきます、と告げて家を出た。誰もいない家に向けて。
迷った末、私はコンビニで飴を買った。別に凝ったものじゃなくてもいいだろう。言葉ちゃんは色々な人にお返しを貰っているだろうから、あまり豪勢なものをあげてもあれだし。考える時間が面倒だし。
ちなみに飴を選んだのは、言葉ちゃんがよく飴を舐めていること。そしてホワイトデーには飴を渡すのが主流、というのを聞いたことがあるからだ。
「とーこちゃん、おはよ~」
「……」
見つけようと思う前から見つけてしまった。というか見つけられてしまった。呼んでもないのに来た。
「おはようございます。どうぞ」
「モゴガッ!?」
包装紙を剥がし、口の中に飴をぶち込む。……口どころか喉の奥にぶっ刺してしまった気がするが、まあいいだろう。
「し、死ぬかと思っ……何急に!!」
「……知らないんですか、今日はホワイトデーですよ」
「知ってるよ???? でもこんなバイオレンスなホワイトデーは知らないな????」
……やかましい。
「じゃあ、渡したので。精々味わってください」
「はーい……」
私は言うだけ言うと、その場から立ち去る。なんというか、誰かのために渡したものを目の前で食べられるのは……少し気になるような、気恥ずかしいような。そんな気がしたので。
取り残された言葉ちゃんは、飴を口の中で転がす。そして。
「……知ってるのかなぁ、
知らないんだろうな、という言葉ちゃんの声は、どこか弾んでいた。
【終】