七色の炎
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『綺麗だね』
そう言ったお前は、オレの前から消えた。
気が付けばフラリと現れて、気が付けばフラリといなくなる。
猫のようだと思った。
オレはそんな猫に、気が付けば魅かれていたんだ。
自由で
気紛れで
何を考えてるのか分からなくて
オレの事を知っても興味なさそうで
でも笑った顔は
犬のように人懐っこい笑顔だった。
「お前……今何処にいるんだよ……」
なぁ……
メル
「はぁ……」
「ちょっとヤダ!この子ったら溜め息なんか吐いちゃって!そういうお年頃!?」
「……サッチ、ウザイ」
男は、眼の前にいるサッチという男を呆れ顔で見るのだった。
「エース……悩み事なら聞いてやるぞ?」
「酒の肴にして笑い話にするつもりだろ」
またも盛大に溜め息を吐いた男……エースは空を仰ぎ見た。
「……七色の奇跡って……何なんだろうな」
「はっ?」
エースの言葉を聞いたサッチは、気の抜けたような顔をしてエースを見れば、何やら考え込み、次第にニヤニヤと笑みを浮かべるのだった。
「ちょっと皆さ~ん!!エースさんが乙女モードに入ったわよぉ!!」
まるで近所のおばちゃんのような口調で、甲板を走りながら大声を上げるサッチ。
いつものエースなら、そんなお調子者のサッチを追い掛けるのだが、何故か今回はそんなサッチに反応する事なく、空を見上げているのだった。
これには、周りにいた者達も不思議に思うのだった。
本当に、恋でもしてるんじゃないかという程に、切なそうにしている。
流石のサッチも、先程までのからかいモードの顔ではなく、真剣な顔つきでエースに近付いた。
「……お前、本当にどうした?」
「七色の奇跡が現れる時……どういう意味なんだ?」
「エース?」
「…………猫……」
「……エース。船医の所に行こう。マジで変だぞ、お前……」
いつものエースじゃない……と思ったサッチが、無理矢理にでもエースを船医のところへ連れて行こうとすれば、別の方向から声が飛んできた。
「何やってんだよい」
「マルコ……エースの様子が変なんだよ」
「……さっきから見てたよい」
エースを心配したマルコは、エースの肩に手を置き、口を開いた。
「今日の昼飯は、お前の好きな肉だってよい。早く行かないと、他の奴らに取られちまうぞ?」
「あぁ……」
「…………」
返事はするものの、動こうとしないエースに、マルコとサッチは顔を見合わせた。
((エースが食堂に掛け込まない))
同時に同じ事を思った二人は、驚愕な顔でエースを見た。
「こりゃあ、重傷だな」
サッチの言葉に、マルコも呆れ気味に頷くしかなかった。
お前は言った。
次に会う時は、七色の奇跡が現れた時。
そのタイミングは、エースが握ってるんだよ。
そう言葉を残し、それ以来本当に姿を現さなくなった。
あれから何年経ったのか……。
オレは、十七になって海へ出ちまったよ。
お前は何処にいるんだよ。
あの時言えなかった事を……言いてぇ。
もう一度、お前に会いたい。
「親父……ちょっと聞きてぇ事があるんだけどよ……」
エースは、親父と呼んだ男……白ひげ海賊団船長のエドワード・ニューゲートの前に座り、頭をガシガシ掻きながら口を開いた。
「七色の奇跡って聞いた事はあるか?」
「七色の奇跡?……聞いた事ねぇな」
そう言って、豪快に酒を飲み始めた。
「……エース、みんなお前の様子が変だって言ってたぞ。その悩みが原因か?」
「……オレ……まだ海に出る前に、メルっていう猫みたいな女とよく会ってたんだ」
ポツリポツリと話し始めるエースに、七色の奇跡に関する何かを話し始めたんだと思い、酒を飲みながら聞く事にしたニューゲート。
「ほぉ?それで?」
「……七色の奇跡が現れた時に、また会おうって言われた……その七色の奇跡っていうのが、よく分かんなくてさ……」
「…………その女に惚れてるのか?」
この言葉に、エースの顔は真っ赤に染まり、慌て始めた。
この反応に、ニューゲートはグラララ……と特徴のある笑い声を上げるのだった。
「オレには七色の奇跡って言うのは何の事かは知らんが、その奇跡ってやつは見てみてぇな」
「……そっか……」
ニューゲートでも知らなかった事に、エースはまたもらしくない溜め息を漏らすのだった。
それからというもの、ボーッする事が多くなったエース。
それでも、周りの者達は何も言わず、見守る事に決めたある日……。
「最近、新聞によく出るなぁ」
食堂で新聞を読んでいるマルコの呟きに、向かいの席で紅茶を飲んでいたビスタが、不思議そうに話しかけた。
「何か面白い記事でもあったか?」
「あぁ、最近海軍船に現れる妙な女の記事が出てるんだ」
「ほぉ……海軍船に現れる妙な女とは……」
中々に興味深い……そう言ったビスタの言葉に、マルコは眉間に皺を寄せた。
「……だが、新聞に載る程の騒ぎを起こしてる奴が、賞金首にならないのが妙だ」
「海軍船を襲撃してるのにか?」
「いや、新聞には襲撃とは書いてない」
「……じゃあ、何で新聞に載るんだ?何かをやらかしたとは書いてないのか?」
「そうだねぃ。ただ現れたとしか書いてないよい」
「…………問題を起してないのに、何故新聞に載るんだ?」
「オレが知るかよい」
新聞を片手にコーヒーを口にしたマルコは、斜め前に座るエースに眼を向けた。
「……おめぇは、いつまでそうしてんだよい」
「エースがそうなったのは、丁度その記事が出始めた辺りじゃなかったかい?」
そう言いながら現れたのはイゾウだった。
「記事?」
そのイゾウの言葉にマルコが聞き返せば、イゾウはクスリと笑った。
「案外、エースが悩んでるのは、その記事に出てる女の事じゃないのか?」
これには、エースもハッとして慌てた。
「イゾウ!適当な事言ってんなよ!!」
「お前、この前新聞見て言ってた事忘れたか?」
「言ってた事?」
「会いてぇ……そう言ってたぜ」
意味あり気に笑うイゾウに、エースはその時の事を思い出そうとしているのか、眼を泳がせていた。
「知ってる女なのか?」
「いや……知ってると言うか……」
歯切れの悪い言い方に、イゾウは更に笑みを深くした。
「初恋の女か?」
疑問で問い掛けるが、それでも確信したような感じに聞こえるのは、勘の鋭いイゾウだからだろう。
これには、エースは顔を真っ赤にして慌てるしかなかった。
この反応を見たマルコ、ビスタ、イゾウは初めて見るエースの反応に、それぞれが笑みを浮かべるのだった。
「エースにも、そういった女性がいたのか」
と言うのはビスタ。
「末っ子が恋とはねぇ……」
しみじみ言うのはマルコ。
「図星か」
と未だにクスクス笑うイゾウ。
「ほれほれ!お兄様に話してごらん」
と言うのは、いつのまにか話しを聞いてたフランスパン……いや、サッチだった。
「この前、何か親父に聞いてたみたいだけど、この女に関してだったの?」
「ハルタ!!お前まで乱入してくるな!!」
どんどん人が集まってくる事に、エースは大声で出してあしらうが、それが逆効果だとは分かってはいなかった。
「もしかしたら、誰か何か情報を知ってる奴がいるかもしれないじゃん!話してみれば?」
ニッコリと笑顔で言うハルタに、エースは何となく何も言い返せなくなった。
「ん?どうしたの?」
「~~~~っっ!!」
ハルタの何となく怖い笑みに負けて、エースは徐に口を開くのだった。
『エース、私は海賊にはならない。エースやルフィとは違う道を歩むけど……これだけは覚えておいて』
私は絶対に、二人の敵にはならないから。
そう言って女はフワリと笑った。
『……メル。海に出るのか?』
『えぇ、一足先に海に出るわ』
『…………いつか、オレも海に出る』
『そうね』
『……会えるよな?』
『次に会う時は、七色の奇跡が現れた時。そのタイミングは、エースが握ってるんだよ』
『……意味分からねぇんだけど』
『楽しみにしてるわよ』
メルは、それ以降姿を見かけなくなった。
だけど、最近新聞に載るようになった女。
謎の女
海軍船に現れては何もせず立ち去る
女の意図は不明である
文字だけ読めば特に気にする事のない記事だったけど、その文字の横にあった写真を見て驚いた。
帽子を深く被って顔は見えなかったけど、直ぐに分かった。
この謎の女はメルだと。
メルは何を考えているのか分からない。
その時の気分次第で行動を決めてしまうから、今回の行動もよく分からない。
でも……自分を貫き、自分の思うがままに生きるメルに、オレは魅かれたんだ。
オレが鬼の子だと知っても、特に気にする事もなく、話した後も態度が変わる事はなかった。
だけど、もしかしたら関心がなかっただけかもしれない。
でも、その話をした時の言葉が頭から離れなかった。
『生まれた意味を考えるより、今生きてる事を感じたら良いんじゃない?』
この言葉を聞いた時、鬼の子である事に囚われ過ぎてた自分がいるんだと思った。
でも……何処か納得出来ない部分も確かにあって……。
その複雑な気持ちが顔に出ていたのだろう。
『意味なんて考えちゃ駄目。自分は自分。そんな事で駄目になるぐらいなら、エースはその程度の男だったって事よ』
嫌悪するでもなく
諭すでもなく
慰めるでもなく
突き離すでもなく
でも無関心という訳でもなく
全てを平行した言い方に、特に何にも感じる事なく言葉を受け入れられた。
メルは不思議な女だ。
「七色の奇跡……ねぇ」
その言葉を言われた時の事を軽く話し終えたエースに、周りで聞いてた者達は顔を見合わせた。
「不思議な女だな」
イゾウの言葉に、エースは昔を懐かしむように口を開いた。
「あいつは、フラリと突然現れたんだ」
あれは、サボが死んだ後だ。
ルフィと二人で、強くなろうと修行していて……いつの間にかオレ達の前に現れるようになったんだ。
日が暮れれば、いつの間にか姿を消してる。
数日姿を見せない事もあった。
フラリと……そんな言葉が当てはまるんだ。
「……気が付いたんだ。あいつが海に出た後に……」
掴めないあいつに……魅かれているんだ……と。
話し終えたエースは、軽く息を吐いては周りにいる者達を見た。
「……ちゃんと話したんだ。何も知らないじゃ許さねぇぞ」
ジッと全員を見るエースの眼に、誰もが周りを見回した。
そして、最初に声を発したのは……フランスパンだった。
「オレっち、感動したぜ!!エースにも、そんな青春な時があったなんて……感動をありがとぅー!!」
これにはエースも無言で、フランスパンをより香ばしく焼き上げるのだった。
オレの髪がぁ!!!!と騒ぐ一名を放置し、エースは他の者達を見た。
「何か知らねぇか?」
「そうは言っても、七色の奇跡なんて初めて聞いたぞ」
マルコの言葉に、誰もが同じようで知らないと答えるのだった。
「…………誰も知らないのかよ」
「親父にも聞いたんだろ?」
「……親父も知らねぇって……」
エースが落ち込めば、ハルタが口を開くのだった。
「だったら、直接本人に聞きに行けば良いんじゃない?だって、最近じゃ新聞に載るぐらいなんだから、ある程度の居場所は特定できるでしょ」
「だとしても、エースの前に現れないだろうよい」
「どうしてさ、マルコ」
「タイミングは……なんて言い方からして、エースがその七色の奇跡に関する何かを見付けた時に、会えるって事なんだろ」
「…………」
黙り込むエースに、一生会えなそうだね……とボソリというハルタの声に、誰もが顔を引き攣らせた。
「まぁ、あいつも気紛れな奴だし、そのうち会えるかもしれねぇしな!!」
無理矢理自分を納得させるように言うエースに、流石のハルタも、先程の言葉は言い過ぎたか?なんて思っていれば、突然船が大きく揺れるのだった。
誰もが、またかぁ……と思いながら、甲板へと足を向けるのだった。
「何処の誰だよい」
「この船に挑もうとか……まだ無謀な考えを持つ奴がいたんだね」
マルコ、ハルタの言葉の後、少し離れたところにある船から砲弾が飛んでくるのだった。
「さっさと片付けるか。今は末っ子の恋愛話しの方が楽しめるしな」
イゾウが銃を取り出しながら言えば、誰もが敵船を見るのだった。
直ぐに戦闘が開始されれば、双方共に敵船に乗り込み戦い始めるのだった。
それを少し離れたところから見てる一人の人物は、口の端を上げて笑っていた。
「エース……まだ七色を見せてはくれないのね」
あの時に見た、あの七色の奇跡……もう一度見たい。
あの一度きりだったけど……初めて綺麗だと思ったんだ。
景色が色づいたように……綺麗に見えた。
「…………あれをもう一度見る事が出来たら……」
私は、エースだけの猫になっても良いと……気紛れな私の気持ちを伝えようと思ってる。
「早く見せてね……ワンコのエース」
「っかぁーーーー!!手応えなさ過ぎだ!!」
サッチは両手に持つサーベルを仕舞いながら言えば、マルコは一番隊のクルー達に戦利品を漁りに行けと指示を出しているのだった。
そんな中、戦闘を終えてもスッキリしない顔でいるエースに、イゾウは苦笑いしか出なかった。
「お前さんは、そこまで繊細だったか?」
「……オレだって、悩む時ぐらいあるんだよ」
「明日は嵐だな」
「…………なぁ、イゾウ」
「何だ?」
「恋って、辛いもんなんだな」
これには思わず吹き出しそうになるぐらいの破壊力があったが、本人はいたって真剣な為、笑うに笑えなかった。
「っっ……そ、そうだな……」
「…………声が震えてるぞ」
「きっ気のせい……だ」
エースとイゾウの会話を聞いていたであろうマルコは、笑いを堪えるのに必死で、指示が出せず身体を震わせていた。
サッチは何とか声に出さずとも、既に腹を抱えてヒーヒー言うのだった。
ハルタは笑顔を張り付けたまま笑いを堪え……挙句、他のクルー達ですらも声を出して笑えない雰囲気に、身体を震わせているのだった。
この何とも言えない雰囲気に、流石のエースも堪忍袋の緒が切れた。
「こっちは真剣なんだぞ……全員、燃やしてやるーーーー!!!!」
エースがご乱心だぁ!!なんて声が上がれば、ちょっとしたじゃれあいが始まった。
ただ、エースだけはちょっと……いや、かなり本気になっているが。
「お前らに話すんじゃなかったぁ!!!!」
「今日も、七色は見れないかぁ……」
先程からエースを遠くから見つめる女は、ヤレヤレとばかりにその場を離れようとして、最後にまたエースをジッと見ていれば、何かに気が付いたように眼を見開いた。
「嘘……でしょ……」
女は、眼の前に見える光景に思わず息をするのも忘れてしまう程だった。
そんな風に、女から見られてる事に気が付いてないエースは、身体から炎をチリチリと発生させては、周りの者達を睨みつけていた。
「ちょっと待て、エース!オレ達が悪かった!!」
「悪いのは、主にフラ……サッチだからな!!」
「おい!!オレの名前はフランスパンじゃねぇぞ!!」
「エースの純情を踏みにじったのは、お前が最初だろ」
「全部、オレのせいにしてんな!!」
「……全員、笑ってたろ……」
これには誰も何も言えず、エースから視線を逸らすしかなかった。
「ま、まぁエース、そこまで怒るなよい」
「マルコも笑ってたくせに、よく言うよな」
「…………よい」
エースは、次第に怒るのもバカらしくなり、その場で空を仰ぎ見た。
「……あの時みたいな空だよなぁ」
黄昏エースに、誰も突っ込みを入れなくなった。
被害を大きくしない為。
それ以前に笑っては駄目だと、誰もが必死に堪えるのだった。
そして、誰もが思った。
オレ達を笑い死にさせる気か!!!!
いつものエースではない事に、本人の真剣さは分かるが……違い過ぎて、どう反応して良いのか分からず、出来る反応が笑いとなってしまう現状であった。
誰でも良い。
とにかく、この微妙な空気をブチ壊せ!
そんな空気を誰もがサッチに向けるが、流石のサッチも珍しく空気を読んで、何もしたくないとばかりに首を横に振って拒否するのだった。
そんな時だった。
「エース……ようやく見る事が出来た」
聞きたいと思ってた声が響いた。
「メル……?」
声のした方へと顔を向けたエースは、突然の事で反応出来ず、ただただ眼を見開くばかりだった。
「七色の奇跡……今度は別の形だったけど、見せてくれたね」
そう言って、メルと呼ばれる女は、ニカッと笑った。
「なぁ……その七色の奇跡って……」
エースの言葉は、メルによって遮られた。
もっと詳しく言えば、メルの口付けによって……だが。
これには、エースも状況判断が出来ず、されるがまま。
周りにいた者達も、突然の女の行動に固まる者、ニヤニヤする者……様々な反応を見せた。
メルが、ゆっくりとエースから離れると、またも満面の笑みを浮かべた。
「ずっと待ってたんだよ」
「待ってたって……」
未だに、何が起こったのか分かってなさそうなエースに、メルはエースの耳元で囁いた。
私の言ってた七色の奇跡は、エースの笑った顔なんだよ。
太陽を背に、笑ったエースの笑顔が輝いて見えた。
あれからなんだよ。
気紛れな私が、どうしても見てみたかった宝……。
そして、今……
仲間と一緒のエースは、楽しそうな笑顔だけど……あの時のような輝きを見る事が出来なかった。
だけど、もう一つの奇跡を見てしまった。
エースの炎が太陽の光と混ざり合って、七色の炎を見せてくれた。
あの時の笑顔と匹敵するぐらいの奇跡だった。
だから、あの時の自分との約束を果たそうと思うの。
エース……
私を、あんただけの猫にしてみない?
言い終わったメルは、エースの耳元から離れ、顔をジッと見た。
「エース?答えはくれないの?」
何も言わないエースに、催促するように言えば、ようやく状況が掴めてきたエースは、茹でタコのように顔を真っ赤にさせた。
「オ……オレだけの猫って……」
「そのままの意味だよ?」
「それって……」
「にゃん」
「うっ……」
「何て言ったか分かった?」
「…………」
上手く言葉に出来ないのか、口をパクパクさせながらも頷くエース。
この反応に満足したメルは、またもエースに向かって、にゃあ!と言うのだった。
これは、私なりの好きの意味……。
エースは知ってるんだ。
私が好きな物を見ると、猫の真似をするから。
だから、今この場で猫の真似をすると言う事は……いくらエースでも意味を理解しただろう。
そして、現在のエースの行動で、私への思いも分かった。
今はそれで許してあげる。
でも、猫もたまには甘えたい時がある。
その時は、しっかりと言葉で好きを聞かせてもらおうと思う。
お返しに、私も猫の真似じゃなくて、しっかりと言葉で伝えるから。
そして、また七色の奇跡を見せてくれたその時は……
私の全部をエースにあげるからね。
いつからか、エースが私を見て猫みたいと言ったから、私は猫のような行動をとるようになったんだよ。
あの時から、既に私はエースの猫になってた……。
意味もなく海軍船に乗り込んでたのは、エースに私の存在を思い出してほしかったから。
でもこの事は、気が向いた時にでも教えてあげる。
でも、教えないかもしれない。
猫は、いつだって猫なんだ。
でも、あの笑顔と炎……。
あの二つの……七色の奇跡をもう一度見せてくれたら、猫でも従順になっちゃうかもね。
ねぇ、エース。
んにゃあ!
あとがき
このような短編を読んで頂き、ありがとうございます。
どうしても、エース夢が書きたくて……書いてしまいました。
しかも、微妙な終わりでしたね。
あまり甘いお話ではありませんでした(汗)
火って、ジッと見てると色んな色に見えるのは私だけでしょうか……。
火を見る時の場所や状況でも違いますが、何となくこの話を書こうと思った時、そういった時の事を思い出して七色と表現させて頂きました。
それにしても、この物語のエースは若干ヘタレ気味に見えるのは……ご愛嬌でお願いします。
いつかエース連載を書く時は、もっと元気のあるエースを書きますので!!
でも、恋愛に思い悩むエースを書くのは楽しかったです(笑)
皆様に、素敵な夢の出会いがありますように☆