シーズンイベント(節分)
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ある日の柱合会議終了後のこと
煉「・・・・・・」
宇「何だよ、煉獄。お前今日一言も言葉を発してねえぞ」
いつも喧しい奴が静かなのは気持ちが悪い。
し「そうですねぇ。どこかお加減でも悪いのですか?」
胡蝶も心配そうに話しかける。
煉「・・・美桜が・・・」
宇「は?」
煉「美桜が、あれから俺と目を合わせてくれぬのだ・・・」
宇「あれからって・・・もしかして鬼ごっこからか?」
もう1週間は経過している。
煉「ああ・・・会話も必要最低限で何なら避けられている」
宇「マジか・・・あの美桜がねぇ・・・」
俺たちの知っている美桜は喜怒哀楽が分かりやすい、表情もコロコロ変わる娘だ。落ち込んだりしても大体次の瞬間にはけろっとしていた。
そして目の前のいつもうるせえ位に元気な男がお通夜の様な顔をしている。
かなり重症だな・・・
し「美桜さんにとってよっぽどの事だったのですね・・・まあ、殿方にあのような姿を見られてしまったのですから簡単には立ち直れないでしょうね」
煉「俺は、美桜にどう接してやればいいのか分からなくなった・・・」
宇「おい。お前まで立ち直れなくてどうするんだよ・・・。ハァ、このままだと任務にも支障がでるな・・・」
し「そうですね・・・。何とか美桜さんのご機嫌を取り戻しましょう。私たちにも責任はありますからね」
宇「だな。そうと決まれば作戦会議だ」
こうして他の柱たちも集めて、美桜のご機嫌取り大作戦を決行することになった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『・・・はぁ・・・』
今日も煉獄さんと目が合わせられなかった・・・。
あの鬼ごっこ騒動から気まずくて、話しかけられても素っ気ない態度をとってしまう・・・。
別に怒ってなどいないのだけれど、あんな姿を見られた事が恥ずかしくて仕方ないのだ。
煉獄さんはいつも通りに接しようとしてくれているというのに、自分は何て心が狭いのだろう。
『・・・そろそろ、買い出しに行かないと・・・』
夕飯に間に合わないな。
暗い気持ちのまま町へと出かける。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
通りの向こうに美桜の姿を確認する。
俺と宇髄と胡蝶、悲鳴嶼殿は美桜に見つからぬ様、建物の陰で身を潜めている。
宇「お、来た来た。・・・ところで悲鳴嶼さん、本当に美桜の機嫌直す方法知ってんのか?」
悲「・・・うむ。任せておけ。」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
悲「美桜。」
『っ!!・・・悲鳴嶼さん・・・』
悲鳴嶼殿を見た美桜は気まずそうな顔をする。・・・が、目を逸らす事はなかった。
煉「・・・・・・」
『ど、どうしたんですか?珍しいですね。お一人ですか?・・・って、どちらへ?』
悲「・・・・・・」
悲鳴嶼殿は黙ったまま美桜の手を取り、人気のない路地へと連れて行く。
煉「っ!何を・・・」
思わず飛び出しそうになった所を宇髄に止められる。
宇「馬鹿!お前が出てったら作戦どころじゃなくなるだろ!」
し「2人ともお静かに!後を追いますよ。」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
悲鳴嶼さんに手を引かれ裏路地へとやってきた。
『悲鳴嶼さん?どうし・・』
悲「静かに。」
『・・・・・・』
手で制され黙り込む。
何が何やらさっぱり分からない。せめて説明して欲しい。
悲「・・・・・・」
悲鳴嶼さんは懐から煮干しを取り出す。
『???』
悲「南無・・・」
え、何?
何か、宗教的な儀式??
もしかして私生贄にされる??
ちょっと恐怖を覚えた時・・・
「なーお」
可愛らしい子猫が姿を現し、悲鳴嶼さんの差し出す煮干しを美味しそうに食べ始めた。
『・・・・・・!!』
それを合図に、気づけば辺り一面猫だらけになっていた。
悲「南無・・・猫かわいいだろう?」
猫に囲まれた悲鳴嶼さんは心なしか嬉しそうだ。
悲鳴嶼さんが可愛いよ。
『・・フフッ、そうですね』
思わず笑みが溢れる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
宇(お!美桜が笑ったぞ!)
し(本当ですね。動物作戦中々良かったかもしれませんね)
煉(美桜の笑顔・・・一週間ぶりだ・・あの笑顔をまた俺に向けてくれる事はあるのだろうか・・・)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『悲鳴嶼さん、猫好きだったんですね』
猫と戯れる悲鳴嶼さんを愛でている。
体が大きくて誤解されがちだけど悲鳴嶼さん優しいもんね。
動物にも好かれるんだろうな。
悲「・・・美桜も抱いてみるか?」
『いいんですか?』
私も動物は好きだ。
でも猫は警戒心が強いから下手に近づいてしまうと悲鳴嶼さんの幸せな時間を終わらせてしまうのではと動けずにいた。
悲「うむ。・・・この仔は人懐こいから引っ掻いたりしないだろう」
と言って、1匹の猫を抱き上げ私に差し出してくれる。
『わぁ。ありがとうござ・・・』
目の前には茶トラの猫ちゃん。
茶トラ・・・
虎柄・・・
『っあああ〜〜〜!!!』
一週間前の光景が蘇る。
私の声に驚いた猫達は蜘蛛の子を散らすかの様に逃げてしまった。
『あああ・・・私、ごめんなさい!お買い物の途中なので失礼しますっ!!』
顔を真っ赤にして逃げる様にその場を走り去った。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
悲「・・・・・・何故」
宇「悲鳴嶼さんよぉ、途中までは良かったのに何であそこで虎柄出すかね!?」
し「あの時の事を思い出して恥ずかしさがぶり返してしまった様ですね・・・」
煉「よもや・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〈翌日〉
宇「不死川、冨岡お前たちの番だ。しっかり美桜の機嫌を直してこいよ!!」
不「何でわざわざこんな事しなきゃなんねぇんだよ」
冨「・・・・・・」
し「美桜さんのあられもない姿、見たのでしょう?」
不冨「「っ!!!」」
し「不可抗力とは言え、見たんですよね?しかも婚約者である煉獄さんを差し置いて」
煉「っ!!」
宇「胡蝶、煉獄にダメージいってるからあんまり蒸し返すな」
不「ッ!分かったよ!!アイツの機嫌とりゃいいんだろ!」
冨「・・・先に俺が行く」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
煉獄さん、今日はお昼いらないってどっか行っちゃった・・・
私が子供みたいにいつまでも拗ねているから怒らせちゃったのかも・・・
もう、いい加減切り替えないとね。
茶トラの猫ちゃんで取り乱してる場合じゃない。
『・・・そろそろお昼かぁ。何か食べないと・・・』
1人だから何か作る気にならないけど・・・
洗濯物を干し終えた時
冨「美桜」
『!! 義勇さん??』
義勇さんがいつの間にか庭先に現れた!!
『今日はどうしたんですか!?あっ!煉獄さんならお出かけしてしまったので不在ですよ』
冨「・・・煉獄には用はない」
『えっ、じゃあ・・・』
私に?何の用事だろう・・・
冨「・・・・・・昼はまだだろう」
『昼・・・あっ、お昼ごはんですか?はい、これからですけど・・・』
そう言うと、義勇さんは懐から包みを取り出す。
『・・・・?』
冨「一緒に食おう」
『えっ・・・いいんですか??』
義勇さんはコクリと頷く。
私と・・・?
なんで?
『・・・じゃあ私、お茶を淹れてくるので待ってて下さいね!』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
宇「今度は食べ物で釣る作戦か!」
煉「む?不死川はどこだ??」
し「何やら仕込みをすると行ってどこかへ行かれましたよ?」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『お待たせしました。今日は天気も良いので縁側でもいいですか?』
冨「ああ。」
私は義勇さんの横に座って急須からお茶を注ぐ。
義勇さんは包みを開く。
『おにぎりですか?美味しそうですね!』
冨「ああ。ここの握り飯は評判が良い」
『へぇ〜!良く買われるんですか??』
冨「・・・任務の前にゲン担ぎで食べる事はある。」
『ゲン担ぎ・・・?ああ!おにぎりと鬼斬りを掛けてるんですね!!』
冨「ああ」
へぇ〜!いい事聞いたな。
今度煉獄さんの任務の時に作ってあげよう!
おにぎりと鬼斬りね!
鬼・・・
『・・・・・・』
冨「?どうした・・・?」
この前の事を思い出してしまった。
そういえば義勇さんに服を破かれて、下着姿を見られたんだった・・・
うわ、急に気まず・・・
冨「美桜?」
『っ!!ああっつ!!』
急に義勇さんの顔が近づいた事に動揺して急須を膝の上に落としてしまう。
『熱っ!!』
慌てて近くにあった布巾で着物の上から拭こうとした時
冨「っ!駄目だ上から押さえるな!!」
咄嗟に私の着物の裾を太ももが見える所まで思いっきり開く。
『っ!!!!?』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
縁側に座っていた2人。
遠巻きに様子を見ている為に会話までは聞こえないな・・・
そして冨岡越しに美桜がいる為、美桜の様子も探り辛い。
宇「冨岡・・・ポジショニング悪いな・・・」
し「相変わらず空気が読めませんよね〜」
暫く様子を見ていると、急に冨岡が立ち上がり美桜の着物の裾を思い切り開いた。
煉宇し「「「!!!???」」」
美桜の足が露わになる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『っ!!!?』
お茶を被った美桜の足が赤くなっている。
これは早めに冷やした方が良いな。
付け根部分まで赤くなっている・・・。
冨「美桜、(火傷を見るから)足を開け」
『!?はぁっ!?』
美桜が咄嗟に手で押さえる。
そんな事をしたら火傷の箇所が見えないだろう。
早く処置をしないと痕が残ってしまう。
冨「何をしている。早く開け」
美桜の膝に手をかけ開こうとする。
『っ!!いやあああああ!!!』
バチーン!!!
次の瞬間、美桜に思い切り平手打ちをされた。
『もっもう帰ってください!!義勇さんとは暫く口を聞きませんからっ!!!』
そう言って美桜は部屋の中へと逃げて行った。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
冨「・・・何故」
宇「冨岡!お前何美桜襲ってんだよ!!」
し「本当・・・外道ですね。幻滅しました」
冨「!?(心外!)」
煉「冨岡・・・とりあえず歯を食い縛れ」
宇「!!辞めろ煉獄!!暴力はご法度だぞ!!」
し「・・・これ、普通に美桜さんにもう一度謝れば良いのでは?何だか悪循環に陥っている気がしますが・・・」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『う〜、ヒリヒリする・・・』
火傷した場所を冷やしている。
赤みは引いてきたから痕にはならなそうだな。
熱湯じゃなくて良かったよ。
悲鳴嶼さんといい義勇さんといい、昨日から立て続けに何なんだろ・・・
結局、お昼を食べ損ねてしまった。
・・・煉獄さん、まだ帰ってこないな・・・
ちゃんと帰ってきてくれるよね・・・
『・・・はぁ』
そろそろ、洗濯物を取り込まないとな・・・
気分が乗らないまま庭に出た時ーーー
不「よぉ」
『っ!実弥さん・・・!!』
門から庭の方に向かって実弥さんが入ってきた。
ブワッと顔が熱くなる。
実弥さんには見られた上に触られた・・・
咄嗟に胸の前を手で押さえる。
不「・・・テメェ、俺を変質者扱いすんなァ」
『うっ!だって、この前・・・』
不「!! あ、あれは事故だろぉが!」
実弥さんの迫力にビクッとする。
『た、確かに事故だけど・・・あ、あ、あんな事されて急に何もなかった様には振る舞えませんっ』
私にはもう少し時間が欲しい!
不「!!・・・チッ」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
美桜は俺たちの気配に気づかないので先程よりも近づいた所から成り行きを見守っている。
近くなった為2人の会話がよく聞こえる様になった。
宇「不死川、てっきりバックれたかと思ったがちゃんと戻ってきたな」
し「不死川さんはああ見えて律儀な方ですよ」
煉「・・・あんな事をされた、とはどう言う事だ?」
冨「・・・・・・」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『・・・・今日は、何の御用ですか?』
不「・・・いや、お前が好きそうなモンを見つけたからよォ」
と、風呂敷を渡される。
『?? 私の好きそうなもの・・・?くださるんですか?』
不「あァ」
わざわざ見つけたからって持って来てくれたの??
『?? ありがとうございます・・・中、見てもいいですか?』
不「あァ」
風呂敷を開くと美味しそうな和菓子が入っていた。
『わぁ!美味しそう!これは・・・』
鬼饅頭!!!
『っ!!!』
私の中でプチンと音がした。
不「お前、好きだろ?こういう・・・」
『なっ!何なんですか!義勇さんといい実弥さんといい!!皆で私を揶揄って楽しんでるんですか!?』
不「あァ!?」
『早く忘れようとしてるのに!!何でわざわざ思い出させる様な事するんですかぁ!』
不「何言ってんだ・・・俺は」
『さっ実弥さんは何とも思ってないでしょうけど!私は男の人にあんな事されたのは初めてだったんですから!』
多分ね!
記憶ないから知らんけど!!
わあっと大声で泣き喚くと実弥さんが慌て出す。
不「わっわかった!俺が悪かったから落ち着けっ・・・!?」
煉「不死川!あんな事とはどんな事だ!!説明しろ!!!」
不「!?煉獄・・・!」
『煉獄さん!!?』
突然の煉獄さんの登場に頭が混乱する。
煉獄さんは今にも実弥さんに掴みかかる勢いだ・・・
宇「煉獄、落ち着け!!だから暴力はご法度だっつの!!」
し「まったく、煉獄さんは美桜さんの事となると見境がなくなってしまいますね」
冨「・・・それだけ美桜が大事なのだろう」
『宇髄さん!しのぶさん!?ぎっ義勇さん・・・』
何これ!?
宇「っていうか、不死川!お前何でよりによって鬼饅頭なんだよ!お前と言えばおはぎだろうが!」
不「何で俺と言ったらおはぎなんだよ!!・・・コイツが芋の菓子をよく作るから好物だと思ったんだよ!」
煉「さつまいもは俺の好物だ!だから美桜が俺の為によく作ってくれている!!そして美桜に何をしたんだ不死川!!」
いや、だから何これ??
冨「・・・不死川も失敗したのだな」
不「あァ!?テメェに言われたか無ぇな!!この変態野郎が!」
冨「!! ・・・俺は変態じゃない・・・」
宇「お前ら2人とも同類だ!食べ物で釣ろうとして失敗しやがって・・・」
だらしねぇな、と宇髄さんがため息を吐く。
し「だから皆さん、ここは素直に謝ってですね・・・」
不「宇髄!テメェこそ偉そうに言ってるがまだ何もしてねぇだろ!!今度はテメェの番だ!」
『・・・・・・』
口を挟む隙がない。
けど、何となく察した。
鬼ごっこ事件で損ねた私の機嫌をどうにか取ろうとしているのね・・・
ていうか、猫とかおにぎりとか鬼饅頭とか・・・
私の事、何だと思ってるんだろ・・・
宇「あーあー、分かったよ。美桜、今から町に行くぞ。好きな物何でも買ってやる!そうだ、喫茶店にも行ってみるか?アイスクリンっていう冷たい菓子があるらしいぞ!」
プチン
『行きません!!』
宇「!?」
私のいつもより低い声に宇髄さんを始めその場にいた全員が驚いた顔をする。
『さっきから皆して私の事子供扱いして馬鹿にしてるんでしょう!!・・・煉獄さんが帰ってきたら仲直りしようと思ってたのに!!もう知りません!!』
プイとそっぽを向く。
煉「!!美桜・・・」
『っ・・・・・・』
煉獄さんが悲しそうな顔をする。
他の皆も戸惑いの表情を見せる。
一瞬気持ちが揺らぐ。でも今日は絶対折れない!!
明日になったら許すけど!
皆してもう少し困ればいい。
『・・・とにかく、今日はしのぶさん以外の方とは口を聞きませんから!!』
と言ってしのぶさんの後ろに回る。
今日は蝶屋敷に泊めてもらおう。
煉宇不冨「!?」
し「あらあら、皆さん困りましたね〜」
宇「何で胡蝶は良いんだよ」
し「私は同性ですし、美桜さんの自尊心も傷つけてませんし?」
という言葉に全員がうっ!となる。
いつもは私が振り回されてるんだからたまにはいいよね。
『・・という訳なので、今日はしのぶさんの所に行ってもいいですか?』
し「こちらは大歓迎ですよ〜」
煉「美桜・・・」
『・・・・・・』
煉獄さんの顔を見ないようにする。きっと眉を思いっきり下げてるんだろうな・・・
そんな姿を見て目が合ったら許しちゃいそう。
『はっ早く行きましょう!しのぶさん!』
私も変な意地が出てきて引っ込みがつかなくなり、早くこの場を去りたい気持ちでいっぱいになる。
し「そうですね。では煉獄さん、今日は美桜さんの事は私にお任せください」
そして蝶屋敷に行く為皆に背を向けた時ーーー
煉「美桜!待ってくれ!!」
『っ!!』
煉獄さんに呼び止められてつい立ち止まってしまう。
煉「美桜の気持ちを汲んでやらず申し訳なかった!この通りだ!!」
『・・・・・・』
煉「簡単には許してもらえないと思う!美桜に恥ずかしい思いをさせたのだからな!だから俺も美桜と同じ気持ちになる!!」
『・・・は?』
どういう意味?
思わず振り返ってしまう。
他の皆も煉獄さんの言葉に疑問符を浮かべて見ている。
煉「俺も今ここで脱ぐ!!」
『はぁっ!?』
煉「美桜の恥ずかしい姿を見てしまったのだからな!俺も外で服を脱ぐのは恥ずかしいが、これでおあいこだ!!」
『!!?』
そう言って煉獄さんは隊服のボタンに手をかける。
宇「・・・いや意味わかんねぇし、見たくねぇし・・・」
不「そんなんで許される訳ねぇだろ・・・」
冨「・・・煉獄は何を考えているんだ」
し「煉獄さん、その様な事をしても男性と女性では重みが違いますよ?」
煉「しかし、これ以外美桜に許してもらう方法が思いつかん!」
そう言いながら隊服のボタンを全部外してしまった。
『っ!!!』
煉「さぁ美桜思う存分見てくr」
『わかりました許します!だから前を閉じてください!私が悪かったです!!変な意地張ってごめんなさい!!』
気づけば真っ赤になった私は必死になって煉獄さんの隊服の前を閉めていた。
いつも首元までキッチリ閉じられてどんな時も着崩すことのない煉獄さんが!!
そんな姿見せられたら余計に顔見れなくなるからー!!!
煉「む!許してくれるのか!?良かった!!」
パァッと笑顔になった煉獄さんにそのまま抱き締められる。
『っ!!!!』
前がはだけた煉獄さんに抱きしめられ、私の目の前には煉獄さんの肌が・・・胸筋が・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
不「・・・何だ、これ・・・」
冨「結局煉獄が自分で美桜の機嫌を直したな・・・」
宇「・・・てか、美桜息してるか?」
し「あら・・・気絶してしまったみたいです。美桜さんには刺激が強かったみたいですよ?」
こうして私の機嫌を直そうと始まった作戦は何故か私の謝罪で幕を閉じた。
ーーー〈後日〉ーーー
宇「お、今日の任務は煉獄と一緒か・・・って、どうした!?」
煉「うむ・・・あれから、避けられはしなくなったが美桜が俺との距離を開けるようになってしまった・・・」
宇「・・・・・・」
煉「宇髄、何か良い作戦は・・」
宇「テメェで何とかしろぉ!!!」
その後煉獄と美桜が通常運転に戻るまで一週間かかった・・・
ー完ー
煉「・・・・・・」
宇「何だよ、煉獄。お前今日一言も言葉を発してねえぞ」
いつも喧しい奴が静かなのは気持ちが悪い。
し「そうですねぇ。どこかお加減でも悪いのですか?」
胡蝶も心配そうに話しかける。
煉「・・・美桜が・・・」
宇「は?」
煉「美桜が、あれから俺と目を合わせてくれぬのだ・・・」
宇「あれからって・・・もしかして鬼ごっこからか?」
もう1週間は経過している。
煉「ああ・・・会話も必要最低限で何なら避けられている」
宇「マジか・・・あの美桜がねぇ・・・」
俺たちの知っている美桜は喜怒哀楽が分かりやすい、表情もコロコロ変わる娘だ。落ち込んだりしても大体次の瞬間にはけろっとしていた。
そして目の前のいつもうるせえ位に元気な男がお通夜の様な顔をしている。
かなり重症だな・・・
し「美桜さんにとってよっぽどの事だったのですね・・・まあ、殿方にあのような姿を見られてしまったのですから簡単には立ち直れないでしょうね」
煉「俺は、美桜にどう接してやればいいのか分からなくなった・・・」
宇「おい。お前まで立ち直れなくてどうするんだよ・・・。ハァ、このままだと任務にも支障がでるな・・・」
し「そうですね・・・。何とか美桜さんのご機嫌を取り戻しましょう。私たちにも責任はありますからね」
宇「だな。そうと決まれば作戦会議だ」
こうして他の柱たちも集めて、美桜のご機嫌取り大作戦を決行することになった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『・・・はぁ・・・』
今日も煉獄さんと目が合わせられなかった・・・。
あの鬼ごっこ騒動から気まずくて、話しかけられても素っ気ない態度をとってしまう・・・。
別に怒ってなどいないのだけれど、あんな姿を見られた事が恥ずかしくて仕方ないのだ。
煉獄さんはいつも通りに接しようとしてくれているというのに、自分は何て心が狭いのだろう。
『・・・そろそろ、買い出しに行かないと・・・』
夕飯に間に合わないな。
暗い気持ちのまま町へと出かける。
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通りの向こうに美桜の姿を確認する。
俺と宇髄と胡蝶、悲鳴嶼殿は美桜に見つからぬ様、建物の陰で身を潜めている。
宇「お、来た来た。・・・ところで悲鳴嶼さん、本当に美桜の機嫌直す方法知ってんのか?」
悲「・・・うむ。任せておけ。」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
悲「美桜。」
『っ!!・・・悲鳴嶼さん・・・』
悲鳴嶼殿を見た美桜は気まずそうな顔をする。・・・が、目を逸らす事はなかった。
煉「・・・・・・」
『ど、どうしたんですか?珍しいですね。お一人ですか?・・・って、どちらへ?』
悲「・・・・・・」
悲鳴嶼殿は黙ったまま美桜の手を取り、人気のない路地へと連れて行く。
煉「っ!何を・・・」
思わず飛び出しそうになった所を宇髄に止められる。
宇「馬鹿!お前が出てったら作戦どころじゃなくなるだろ!」
し「2人ともお静かに!後を追いますよ。」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
悲鳴嶼さんに手を引かれ裏路地へとやってきた。
『悲鳴嶼さん?どうし・・』
悲「静かに。」
『・・・・・・』
手で制され黙り込む。
何が何やらさっぱり分からない。せめて説明して欲しい。
悲「・・・・・・」
悲鳴嶼さんは懐から煮干しを取り出す。
『???』
悲「南無・・・」
え、何?
何か、宗教的な儀式??
もしかして私生贄にされる??
ちょっと恐怖を覚えた時・・・
「なーお」
可愛らしい子猫が姿を現し、悲鳴嶼さんの差し出す煮干しを美味しそうに食べ始めた。
『・・・・・・!!』
それを合図に、気づけば辺り一面猫だらけになっていた。
悲「南無・・・猫かわいいだろう?」
猫に囲まれた悲鳴嶼さんは心なしか嬉しそうだ。
悲鳴嶼さんが可愛いよ。
『・・フフッ、そうですね』
思わず笑みが溢れる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
宇(お!美桜が笑ったぞ!)
し(本当ですね。動物作戦中々良かったかもしれませんね)
煉(美桜の笑顔・・・一週間ぶりだ・・あの笑顔をまた俺に向けてくれる事はあるのだろうか・・・)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『悲鳴嶼さん、猫好きだったんですね』
猫と戯れる悲鳴嶼さんを愛でている。
体が大きくて誤解されがちだけど悲鳴嶼さん優しいもんね。
動物にも好かれるんだろうな。
悲「・・・美桜も抱いてみるか?」
『いいんですか?』
私も動物は好きだ。
でも猫は警戒心が強いから下手に近づいてしまうと悲鳴嶼さんの幸せな時間を終わらせてしまうのではと動けずにいた。
悲「うむ。・・・この仔は人懐こいから引っ掻いたりしないだろう」
と言って、1匹の猫を抱き上げ私に差し出してくれる。
『わぁ。ありがとうござ・・・』
目の前には茶トラの猫ちゃん。
茶トラ・・・
虎柄・・・
『っあああ〜〜〜!!!』
一週間前の光景が蘇る。
私の声に驚いた猫達は蜘蛛の子を散らすかの様に逃げてしまった。
『あああ・・・私、ごめんなさい!お買い物の途中なので失礼しますっ!!』
顔を真っ赤にして逃げる様にその場を走り去った。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
悲「・・・・・・何故」
宇「悲鳴嶼さんよぉ、途中までは良かったのに何であそこで虎柄出すかね!?」
し「あの時の事を思い出して恥ずかしさがぶり返してしまった様ですね・・・」
煉「よもや・・・」
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〈翌日〉
宇「不死川、冨岡お前たちの番だ。しっかり美桜の機嫌を直してこいよ!!」
不「何でわざわざこんな事しなきゃなんねぇんだよ」
冨「・・・・・・」
し「美桜さんのあられもない姿、見たのでしょう?」
不冨「「っ!!!」」
し「不可抗力とは言え、見たんですよね?しかも婚約者である煉獄さんを差し置いて」
煉「っ!!」
宇「胡蝶、煉獄にダメージいってるからあんまり蒸し返すな」
不「ッ!分かったよ!!アイツの機嫌とりゃいいんだろ!」
冨「・・・先に俺が行く」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
煉獄さん、今日はお昼いらないってどっか行っちゃった・・・
私が子供みたいにいつまでも拗ねているから怒らせちゃったのかも・・・
もう、いい加減切り替えないとね。
茶トラの猫ちゃんで取り乱してる場合じゃない。
『・・・そろそろお昼かぁ。何か食べないと・・・』
1人だから何か作る気にならないけど・・・
洗濯物を干し終えた時
冨「美桜」
『!! 義勇さん??』
義勇さんがいつの間にか庭先に現れた!!
『今日はどうしたんですか!?あっ!煉獄さんならお出かけしてしまったので不在ですよ』
冨「・・・煉獄には用はない」
『えっ、じゃあ・・・』
私に?何の用事だろう・・・
冨「・・・・・・昼はまだだろう」
『昼・・・あっ、お昼ごはんですか?はい、これからですけど・・・』
そう言うと、義勇さんは懐から包みを取り出す。
『・・・・?』
冨「一緒に食おう」
『えっ・・・いいんですか??』
義勇さんはコクリと頷く。
私と・・・?
なんで?
『・・・じゃあ私、お茶を淹れてくるので待ってて下さいね!』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
宇「今度は食べ物で釣る作戦か!」
煉「む?不死川はどこだ??」
し「何やら仕込みをすると行ってどこかへ行かれましたよ?」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『お待たせしました。今日は天気も良いので縁側でもいいですか?』
冨「ああ。」
私は義勇さんの横に座って急須からお茶を注ぐ。
義勇さんは包みを開く。
『おにぎりですか?美味しそうですね!』
冨「ああ。ここの握り飯は評判が良い」
『へぇ〜!良く買われるんですか??』
冨「・・・任務の前にゲン担ぎで食べる事はある。」
『ゲン担ぎ・・・?ああ!おにぎりと鬼斬りを掛けてるんですね!!』
冨「ああ」
へぇ〜!いい事聞いたな。
今度煉獄さんの任務の時に作ってあげよう!
おにぎりと鬼斬りね!
鬼・・・
『・・・・・・』
冨「?どうした・・・?」
この前の事を思い出してしまった。
そういえば義勇さんに服を破かれて、下着姿を見られたんだった・・・
うわ、急に気まず・・・
冨「美桜?」
『っ!!ああっつ!!』
急に義勇さんの顔が近づいた事に動揺して急須を膝の上に落としてしまう。
『熱っ!!』
慌てて近くにあった布巾で着物の上から拭こうとした時
冨「っ!駄目だ上から押さえるな!!」
咄嗟に私の着物の裾を太ももが見える所まで思いっきり開く。
『っ!!!!?』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
縁側に座っていた2人。
遠巻きに様子を見ている為に会話までは聞こえないな・・・
そして冨岡越しに美桜がいる為、美桜の様子も探り辛い。
宇「冨岡・・・ポジショニング悪いな・・・」
し「相変わらず空気が読めませんよね〜」
暫く様子を見ていると、急に冨岡が立ち上がり美桜の着物の裾を思い切り開いた。
煉宇し「「「!!!???」」」
美桜の足が露わになる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『っ!!!?』
お茶を被った美桜の足が赤くなっている。
これは早めに冷やした方が良いな。
付け根部分まで赤くなっている・・・。
冨「美桜、(火傷を見るから)足を開け」
『!?はぁっ!?』
美桜が咄嗟に手で押さえる。
そんな事をしたら火傷の箇所が見えないだろう。
早く処置をしないと痕が残ってしまう。
冨「何をしている。早く開け」
美桜の膝に手をかけ開こうとする。
『っ!!いやあああああ!!!』
バチーン!!!
次の瞬間、美桜に思い切り平手打ちをされた。
『もっもう帰ってください!!義勇さんとは暫く口を聞きませんからっ!!!』
そう言って美桜は部屋の中へと逃げて行った。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
冨「・・・何故」
宇「冨岡!お前何美桜襲ってんだよ!!」
し「本当・・・外道ですね。幻滅しました」
冨「!?(心外!)」
煉「冨岡・・・とりあえず歯を食い縛れ」
宇「!!辞めろ煉獄!!暴力はご法度だぞ!!」
し「・・・これ、普通に美桜さんにもう一度謝れば良いのでは?何だか悪循環に陥っている気がしますが・・・」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『う〜、ヒリヒリする・・・』
火傷した場所を冷やしている。
赤みは引いてきたから痕にはならなそうだな。
熱湯じゃなくて良かったよ。
悲鳴嶼さんといい義勇さんといい、昨日から立て続けに何なんだろ・・・
結局、お昼を食べ損ねてしまった。
・・・煉獄さん、まだ帰ってこないな・・・
ちゃんと帰ってきてくれるよね・・・
『・・・はぁ』
そろそろ、洗濯物を取り込まないとな・・・
気分が乗らないまま庭に出た時ーーー
不「よぉ」
『っ!実弥さん・・・!!』
門から庭の方に向かって実弥さんが入ってきた。
ブワッと顔が熱くなる。
実弥さんには見られた上に触られた・・・
咄嗟に胸の前を手で押さえる。
不「・・・テメェ、俺を変質者扱いすんなァ」
『うっ!だって、この前・・・』
不「!! あ、あれは事故だろぉが!」
実弥さんの迫力にビクッとする。
『た、確かに事故だけど・・・あ、あ、あんな事されて急に何もなかった様には振る舞えませんっ』
私にはもう少し時間が欲しい!
不「!!・・・チッ」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
美桜は俺たちの気配に気づかないので先程よりも近づいた所から成り行きを見守っている。
近くなった為2人の会話がよく聞こえる様になった。
宇「不死川、てっきりバックれたかと思ったがちゃんと戻ってきたな」
し「不死川さんはああ見えて律儀な方ですよ」
煉「・・・あんな事をされた、とはどう言う事だ?」
冨「・・・・・・」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『・・・・今日は、何の御用ですか?』
不「・・・いや、お前が好きそうなモンを見つけたからよォ」
と、風呂敷を渡される。
『?? 私の好きそうなもの・・・?くださるんですか?』
不「あァ」
わざわざ見つけたからって持って来てくれたの??
『?? ありがとうございます・・・中、見てもいいですか?』
不「あァ」
風呂敷を開くと美味しそうな和菓子が入っていた。
『わぁ!美味しそう!これは・・・』
鬼饅頭!!!
『っ!!!』
私の中でプチンと音がした。
不「お前、好きだろ?こういう・・・」
『なっ!何なんですか!義勇さんといい実弥さんといい!!皆で私を揶揄って楽しんでるんですか!?』
不「あァ!?」
『早く忘れようとしてるのに!!何でわざわざ思い出させる様な事するんですかぁ!』
不「何言ってんだ・・・俺は」
『さっ実弥さんは何とも思ってないでしょうけど!私は男の人にあんな事されたのは初めてだったんですから!』
多分ね!
記憶ないから知らんけど!!
わあっと大声で泣き喚くと実弥さんが慌て出す。
不「わっわかった!俺が悪かったから落ち着けっ・・・!?」
煉「不死川!あんな事とはどんな事だ!!説明しろ!!!」
不「!?煉獄・・・!」
『煉獄さん!!?』
突然の煉獄さんの登場に頭が混乱する。
煉獄さんは今にも実弥さんに掴みかかる勢いだ・・・
宇「煉獄、落ち着け!!だから暴力はご法度だっつの!!」
し「まったく、煉獄さんは美桜さんの事となると見境がなくなってしまいますね」
冨「・・・それだけ美桜が大事なのだろう」
『宇髄さん!しのぶさん!?ぎっ義勇さん・・・』
何これ!?
宇「っていうか、不死川!お前何でよりによって鬼饅頭なんだよ!お前と言えばおはぎだろうが!」
不「何で俺と言ったらおはぎなんだよ!!・・・コイツが芋の菓子をよく作るから好物だと思ったんだよ!」
煉「さつまいもは俺の好物だ!だから美桜が俺の為によく作ってくれている!!そして美桜に何をしたんだ不死川!!」
いや、だから何これ??
冨「・・・不死川も失敗したのだな」
不「あァ!?テメェに言われたか無ぇな!!この変態野郎が!」
冨「!! ・・・俺は変態じゃない・・・」
宇「お前ら2人とも同類だ!食べ物で釣ろうとして失敗しやがって・・・」
だらしねぇな、と宇髄さんがため息を吐く。
し「だから皆さん、ここは素直に謝ってですね・・・」
不「宇髄!テメェこそ偉そうに言ってるがまだ何もしてねぇだろ!!今度はテメェの番だ!」
『・・・・・・』
口を挟む隙がない。
けど、何となく察した。
鬼ごっこ事件で損ねた私の機嫌をどうにか取ろうとしているのね・・・
ていうか、猫とかおにぎりとか鬼饅頭とか・・・
私の事、何だと思ってるんだろ・・・
宇「あーあー、分かったよ。美桜、今から町に行くぞ。好きな物何でも買ってやる!そうだ、喫茶店にも行ってみるか?アイスクリンっていう冷たい菓子があるらしいぞ!」
プチン
『行きません!!』
宇「!?」
私のいつもより低い声に宇髄さんを始めその場にいた全員が驚いた顔をする。
『さっきから皆して私の事子供扱いして馬鹿にしてるんでしょう!!・・・煉獄さんが帰ってきたら仲直りしようと思ってたのに!!もう知りません!!』
プイとそっぽを向く。
煉「!!美桜・・・」
『っ・・・・・・』
煉獄さんが悲しそうな顔をする。
他の皆も戸惑いの表情を見せる。
一瞬気持ちが揺らぐ。でも今日は絶対折れない!!
明日になったら許すけど!
皆してもう少し困ればいい。
『・・・とにかく、今日はしのぶさん以外の方とは口を聞きませんから!!』
と言ってしのぶさんの後ろに回る。
今日は蝶屋敷に泊めてもらおう。
煉宇不冨「!?」
し「あらあら、皆さん困りましたね〜」
宇「何で胡蝶は良いんだよ」
し「私は同性ですし、美桜さんの自尊心も傷つけてませんし?」
という言葉に全員がうっ!となる。
いつもは私が振り回されてるんだからたまにはいいよね。
『・・という訳なので、今日はしのぶさんの所に行ってもいいですか?』
し「こちらは大歓迎ですよ〜」
煉「美桜・・・」
『・・・・・・』
煉獄さんの顔を見ないようにする。きっと眉を思いっきり下げてるんだろうな・・・
そんな姿を見て目が合ったら許しちゃいそう。
『はっ早く行きましょう!しのぶさん!』
私も変な意地が出てきて引っ込みがつかなくなり、早くこの場を去りたい気持ちでいっぱいになる。
し「そうですね。では煉獄さん、今日は美桜さんの事は私にお任せください」
そして蝶屋敷に行く為皆に背を向けた時ーーー
煉「美桜!待ってくれ!!」
『っ!!』
煉獄さんに呼び止められてつい立ち止まってしまう。
煉「美桜の気持ちを汲んでやらず申し訳なかった!この通りだ!!」
『・・・・・・』
煉「簡単には許してもらえないと思う!美桜に恥ずかしい思いをさせたのだからな!だから俺も美桜と同じ気持ちになる!!」
『・・・は?』
どういう意味?
思わず振り返ってしまう。
他の皆も煉獄さんの言葉に疑問符を浮かべて見ている。
煉「俺も今ここで脱ぐ!!」
『はぁっ!?』
煉「美桜の恥ずかしい姿を見てしまったのだからな!俺も外で服を脱ぐのは恥ずかしいが、これでおあいこだ!!」
『!!?』
そう言って煉獄さんは隊服のボタンに手をかける。
宇「・・・いや意味わかんねぇし、見たくねぇし・・・」
不「そんなんで許される訳ねぇだろ・・・」
冨「・・・煉獄は何を考えているんだ」
し「煉獄さん、その様な事をしても男性と女性では重みが違いますよ?」
煉「しかし、これ以外美桜に許してもらう方法が思いつかん!」
そう言いながら隊服のボタンを全部外してしまった。
『っ!!!』
煉「さぁ美桜思う存分見てくr」
『わかりました許します!だから前を閉じてください!私が悪かったです!!変な意地張ってごめんなさい!!』
気づけば真っ赤になった私は必死になって煉獄さんの隊服の前を閉めていた。
いつも首元までキッチリ閉じられてどんな時も着崩すことのない煉獄さんが!!
そんな姿見せられたら余計に顔見れなくなるからー!!!
煉「む!許してくれるのか!?良かった!!」
パァッと笑顔になった煉獄さんにそのまま抱き締められる。
『っ!!!!』
前がはだけた煉獄さんに抱きしめられ、私の目の前には煉獄さんの肌が・・・胸筋が・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
不「・・・何だ、これ・・・」
冨「結局煉獄が自分で美桜の機嫌を直したな・・・」
宇「・・・てか、美桜息してるか?」
し「あら・・・気絶してしまったみたいです。美桜さんには刺激が強かったみたいですよ?」
こうして私の機嫌を直そうと始まった作戦は何故か私の謝罪で幕を閉じた。
ーーー〈後日〉ーーー
宇「お、今日の任務は煉獄と一緒か・・・って、どうした!?」
煉「うむ・・・あれから、避けられはしなくなったが美桜が俺との距離を開けるようになってしまった・・・」
宇「・・・・・・」
煉「宇髄、何か良い作戦は・・」
宇「テメェで何とかしろぉ!!!」
その後煉獄と美桜が通常運転に戻るまで一週間かかった・・・
ー完ー