恋と呼吸
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謹慎生活が始まり、私はしのぶさんに言われたように極力煉獄さんの屋敷で過ごしている。
ただ、道場や庭で1人稽古だけは続けていた。
刀を振りながら、夢に出てきた人物の言葉を思い返す。
ーーこの道を選ぶと言うのなら・・・今、“覚悟”を決めるんだーー
覚悟か・・・
自分ではしているつもりだった。
だけど、鬼も人に似た姿をしているから、どうしても躊躇してしまう。
以前町で襲われた時は狙った訳ではなく、無我夢中で振ったのが当たった様なものだろう。
鬼から人を守るということは、鬼の命を奪うという事。
それは物凄く胆力がいる。
今なら隠の人達の気持ちが理解できるよ・・・
『・・・・・・』
煉「美桜!」
『!・・・杏寿郎さん。おかえりなさい』
煉「うむ!随分と集中していた様だな」
いつもの様に玄関先で帰りを告げたが気付かない程に、と
『あっ、ごめんなさい・・・お出迎えもしないで』
煉「いや、構わん。それだけ懸命に稽古をしていた証拠だ!だが・・・」
私の手の中の木剣を取り上げると
煉「ただ闇雲に振れば良い訳ではないぞ。疲れて動きに精細を欠いている。今日の所は切り上げるといい」
『あ・・・でも・・・』
もう少しだけ、と訴えようとするがそれは叶わなかった。
煉「それに、折角帰ってきたのだ。少しは俺の相手もしてくれないと淋しいではないか」
『!!』
ふわりと抱き締められる。
途端に顔がボッと熱くなる。
こんな、昼間から庭先で・・・
いや、それよりも
『きょ、杏寿郎さん・・私、いま汗臭いからっ』
煉「全く気にならないぞ!俺も任務帰りだし汗臭いのはお互い様だ!!」
慌てて離れようとするが、離してはくれない。
違うの!
私が気にするの!!
『ッ!!』
そして、首すじに煉獄さんの唇が触れる。
『い・・・やぁっ!!』
煉「!!」
『わ、わわわたし汗を流してきますそれからお昼ご飯の準備をしますから!!』
両手で思い切り煉獄さんを突き飛ばしそのまま部屋の中へ逃げる様に入って行く。
煉「・・・・・・」
お風呂で手早く汗を流し、昼食の準備に取り掛かる。
・・・・・・
待って
さっき私煉獄さんに何て言った??
思わず拒絶の態度をとってしまった事に今更ながらジワジワと罪悪感が生まれてくる。
食事の支度が終わり、部屋に呼びに行くと
『!!』
スンと大人しく正座している煉獄さんがいた。
めっっっちゃ傷ついてる!!!
どうしよう・・・
『・・・杏寿郎さん』
煉「・・・美桜」
呼びかけるとこちらへ顔を向けてくれるがやはり覇気がない。
『あの・・さっきは突き飛ばしちゃってごめんなさい』
煉「・・・」
『・・・あれは、杏寿郎さんが嫌とかそういう意味じゃなくて・・・』
煉「分かっている。俺も配慮が足りなかった。美桜の嫌がる事はしないよう気をつけようと思っているのだが・・・」
『杏寿郎さん・・・!』
煉獄さんの隣まで行くと、手を引かれ再び抱き寄せられる。
煉「だが、折角冨岡の屋敷から俺の元へ戻ってきたのだ。鍛錬も良いが俺の事ももう少し見てほしい」
顔は見えないが何だか拗ねたような口振りだ。
いつもとは明らかに違う様子にドギマギしてしまう。
『は、はい・・・どうしたらご機嫌直してくれますか??』
その言葉に私を抱く煉獄さんの腕がピクリと反応する。
煉「・・・・・・」
『あ、あの・・・?』
再び黙り込んでしまった煉獄さんの顔を伺い見る、と真剣な顔でこちらを見ていた。
煉「・・・言えば叶えてくれるのか?」
『!!・・・私の出来る範囲で、なら・・・』
眼差しに耐えられず思わず目を逸らしてしまう。
煉「・・・何故顔を背けるのだ?」
『うっ!だっ、だって・・・ここの所会ってなかったし、久し振りすぎて、その・・・は、恥ずかしくて』
私の瞳に映る煉獄さんがそれはもう眩しくて眩しくて、少しでも視界に入るだけで心臓が煩いくらいに早打ちして呼吸が乱れるのだ。
暫くは、あの鬼の術の後遺症だと思っていたけど、どうやら違うらしい。
そういう訳で、私は煉獄さんと二人きりの時では全集中の呼吸が出来ずにいた。
煉「“常中”が会得出来そうだと聞いていたが?」
『そっ、そうなんですけど・・・杏寿郎さんといるとドキドキしてしまって・・・私の修行が足りないんです。きっと。』
煉「ふむ・・・」
しばし考える素振りをして、それから
煉「ならば、共に修行をしよう!」
『え?』
煉「俺がそばにいても全集中の呼吸が出来る様に。それならば美桜の鍛錬になるし俺も美桜と共にいられる!」
一石二鳥だ!!
と、一人で納得し話を進める。
煉「そうと決まれば早速開始だ!!」
『は・・・!?』
私を抱き抱えたまま勢いよく立ち上がり、部屋を出る。
廊下を歩く煉獄さんに慌てて声をかける。
『きょっ、杏寿郎さん・・・どこへ・・・?』
煉「昼食を用意してくれたのだろう?共に食べよう!」
何だかまた妙な事になったぞと思いながら、煉獄さんの機嫌が直ったならまぁいいか。と安易に考えていた。
この時は。
食卓につき、いただきます!と挨拶をしたものの一向に手をつけない煉獄さん。
『??杏寿郎さん、食べないんですか??』
煉「美桜が俺に食べさせてくれ!」
『!!?』
何ですと!?
煉獄さんは眼を爛々とさせてこちらを見ている。
煉「これも修行だ!!全集中の呼吸、常中を身につけるための!!」
何という事でしょう・・・
いや、煉獄さんはこういう人だと分かっていた筈。
それに、呼吸が身に付かなければ先にも進めないのは確かだ。
ある意味理にかなっているのかもしれない・・・
むむむ、と考えること数秒。
私は意を決して煉獄さんに向き合う。
『わ、かりました。これも修行・・・そう!修行だから』
恥ずかしくないこれは修行なんだ集中するんだ
頭の中で繰り返し唱えながら深呼吸する。
『・・では、失礼します』
おかずを一口分箸でとり、煉獄さんの口元へ運ぶ。
煉「うむ!美味い!!」
パァッと顔を明るくし、笑顔で料理を褒めてくれる。
クッ!!眩しい・・・!!
そしてやっぱり恥ずかしい!!!
所謂「あーん♡」をする日が来るなんて・・・
こんなの、まるで新婚ラブラブカップルみたいじゃない!!
『!!』
そんな事を頭の中でグルグル考えていると、額にトン、と煉獄さんの人差し指が当たる。
煉「集中。呼吸が乱れているぞ」
『ハッ!す、すみません・・・』
煉「そんなに緊張せずとも、何も美桜の手まで取って食おうなどとはしないから安心しろ!」
『そんな心配はしてないですよ・・・』
ラブラブとは程遠い煉獄さんの言葉に思わず力が抜けてフッと笑う。
改めて呼吸を整え食事を再開する。
煉「美味い!!・・まだ呼吸が安定しないな!」
『そんな、急には無理ですよ』
煉「千寿郎にはよくこうして食べさせていただろう!」
『えっ!?あれは、ただの味見でしょう・・・それに千ちゃんは弟の様なものですし、杏寿郎さんとはわけが違いますよ』
前、一緒に住んでいた頃はよく2人で厨房に立っていた。手が離せない千ちゃんに味見をしてもらう為に口に運んだ事は確かにあるけど・・・
比べる対象がズレているよ・・・
煉「ふむ。そういうものか・・・」
そして徐ろに箸をとり、私の方の盆に乗った食事から一口分のおかずを私の口元に近づける。
『えっ!?』
煉「美桜も食べると良い!せっかくの料理が冷めてしまうぞ」
『いえ・・・私は後でも』
煉「ほら、口を開けて」
『・・・・・・』
ヒィ・・・
この、煉獄さんの穏やかな表情と優しい声音に逆らう事が出来る人間が果たしているのだろうか。
これもきっと修行の一つだ!
そう言い聞かせて受け入れる事にした。
とてもじゃないが目を合わせる事は出来ないので、視線を落として控えめに口を開ける。
煉「!」
『・・・?』
一口分を食べて飲み込んだ所で顔を上げると、慌てる様に顔をそらされた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
別にこの行為に特別な意味があるとは思っていなかった。
だからこそ、妙に緊張している美桜の姿が不思議だった為自分でも試しにやってみたのだが・・・
俺が差し出した物に無防備に口を開く姿を正面から捉えた時、何とも言えぬ感情が渦巻いた。
何だこれは・・・
心臓がいつもとは違う動きをした為に一瞬呼吸が乱れた。
同時に美桜が顔を上げた為、顔を背け悟られぬ様に呼吸を戻す。
『どうかしました?』
煉「いや!何でもない!!だがお互いが食べさせていると時間がかかってしまうな!ここからは自分で食べる事にする!」
『そっ、そうですね!それが良いと思います!』
柱になってからというもの、呼吸を乱す時はいつも美桜を意識した時だ。
俺も、まだまだ修行が足りないようだ・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
食事の後片付けも終わり、お茶を淹れた所に湯浴みを済ませた煉獄さんがやってきた。
天気の良い日は必ず縁側に出る。
いつもの定位置に2人で腰を降ろす。
煉「そうだ、今度の会議に美桜も呼ばれているぞ」
『えっ?ああ!新しい柱の人!!』
煉「うむ。就任することが決まった」
この前、私が襲われ血鬼術をかけられた鬼・・・十二鬼月の1人、下弦の伍を倒した隊士さんだ。
『どんな人だろ・・・会ったらちゃんとお礼を言わないと』
煉「そうだな!・・・しかし」
『?』
煉「いや・・・何でもない」
『何ですか?途中で辞められると気になります』
煉「むぅ」
いつもは思った事は言葉にして伝えてくれるのに・・・珍しいな、と思っているところにポツリと
煉「・・・柱が増えるのは喜ばしい事だ。しかし、あの鬼は・・・美桜を苦しめた鬼は俺が退治したかった」
『・・・・・・』
煉「・・・そんな事を言っても仕方ないのだが・・・」
『杏寿郎さん』
煉「む?」
『どうして顔を背けているのですか?』
煉「・・・今の俺は美桜に見せられない顔をしているから、少し待って・・・!」
私は煉獄さんの言葉を無視して、庭に降りて反対側から顔を覗き込んだ。
少し眉が下がり、バツの悪そうな表情の煉獄さん。
『・・・・・・』
いつも自信に満ち溢れ、笑顔を絶やさない。
煉獄さんを知る人は皆口を揃えて言う。
でも
この顔は、きっと私しか知らない。
尚も隠そうとする顔を両手で包み込むように触れる。
もっと色んな顔を見せて欲しい。
煉「むぅ・・・男の嫉妬など見苦しいだけだろう」
『そんな事ないですよ・・・嬉しいです』
煉「!!」
煉獄さんの顔を見ていたら、吸い込まれる様に身体が動き、自ら唇を重ねに行く。
『・・・・・・』
そっと離れると、これでもかと目を見開いた煉獄さんの驚いた顔。
これも、私だけに見せる顔だと思うと喜びが込み上げてくる。
いつもと立場が逆転したような気がして、ちょっとだけ優越感に浸っていると。
『わっ!?』
両手首を掴まれてそのまま身体が反転する。
背中と両手が縁側にくっつくと、覆いかぶさる様に煉獄さんの顔が近づいてくる。
『・・・ッ!!』
いきなりの行動と距離感に心臓が再びバクバク動き出す。
驚きと戸惑いの表情を浮かべる私を見て
煉「あまり俺を揶揄わないでくれ。これでも色々と我慢しているのだ」
『・・・ッ。すっ、すみません・・・』
いつもよりも低い声で囁かれてゾクっとしてしまう。
こちらも思わず声が震えてしまった。
その様子を見た煉獄さんは目を細める。
煉「すまないな。怖がらせるつもりではなかった。」
そう言って身体を起こしてくれる。
煉「美桜が陽の高い内から外で、しかも素面でその様な行動をするとは思ってなかった!危うく理性が吹き飛ぶ所だったぞ!」
『!!』
言葉にされて我に帰ると急に恥ずかしくなってくる。
本当だ!
私は・・・何て事をッ
『いっ、今のなしです!忘れてください・・・』
煉「それは無理な話だな!」
『うう・・・』
恥ずかし気もない行動が信じられない
自分が自分じゃないみたいだ・・・
湯気が出るんじゃないかと思うくらい火照った頬を隠す様におさえた所で
ト「Hello?取リ込ミ中失礼するよ」
煉「!」
『トッ、トーマスさん!?』
突然の来訪者の姿に驚きを隠せなかった。
今の・・・見られてないよね?
ト「すまないネ。何度か入口デ呼びかけて見たんだが、お邪魔だったかナ?」
『!!!』
目を細めてニッコリ笑う。
はい見られてました!!
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『先程は失礼しました・・・』
トーマスさんを部屋に招き、お茶を出しながら詫びを入れる。
ト「ありがとう。2人ともスキンシップが好きなんだね。日本人では珍しいネ!」
煉「・・・今日は何用で参られたのかお聞きしたい!」
煉獄さんが、真顔だ・・・
そうだ、あの時のプロポーズが保留のままだったんだ。
ちゃんと、お話しないと。。。
『あの、トーマスさん・・・』
ト「そんなに敵視しないでくれヨ。僕は君とも仲良くしたいんだ」
煉「!」
『ト、トーマスさん・・・先日の、そのお返事というか・・・』
ト「そうだ美桜!この前のプロポーズの事だけど・・・」
『はい・・・あの、私はやっぱり・・』
ト「あれはなかった事にして欲しい!」
『は・・・はぁ?』
煉「!?」
どういうこと?
ト「僕が美桜にプロポーズした日の事さ。夜道を一人歩いていた時ーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ーー
ト「What!?いきなり何なんだ!?」
僕は急に現れた男に腕を切り裂かれた。
咄嗟に懐に持っていた銃を取り出し何発か撃ったんだ。
右足に、左腕に、それでも止まらないから頭を撃ち抜いた。
だが・・・
ト〈なっ、なんで死なないんだ!?ありえないだろ・・・〉
そうしている内に弾が切れ、尚も襲いかかってくる男に死を覚悟したよ。
だけどその時・・・
煉「炎の呼吸、伍の型、炎虎!!」
颯爽と現れた彼が奴の頸を斬り落とすと、跡形もなく消えていったんだ。
ト「・・・アノ男は、何だったんだ・・・」
煉「あれが鬼だ。海外にはそういう類の者はいないのだな!」
ト「オニ・・・では、ウブヤシキが言っていた事は」
煉「本当の話だ!俺たちは鬼から人々を守る為に戦っているのだ」
ーー
ーーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーその後杏寿郎は腰が抜けて立てなくなっていた僕を支えて送り届けてくれたんだ。
つい先程、ライバル宣言をして挑発した男の命を救ったんだ!僕の国では考えられない行動さ。ライバルを減らす為に見殺しにするのが普通だよ」
『あの夜、そんな事が・・・』
だから、帰りが遅かったんだ。
煉「鬼を斬るのは鬼狩りとして当然だ。美桜の件とは話が別だ」
ト「それでも僕は感動したんだ!美桜の事はもちろん好きだけど、杏寿郎、僕は君の事も気に入ったよ!」
親愛の意味を込めて杏寿郎にハグをすると「ぬう!?」と戸惑いの表情を見せる。
煉「・・・トーマス殿はそれで良いのか?」
ト「ノープロブレムさ!それに、さっきの2人を見てたら僕の入る隙なんてなさそうだしね」
『!!』
ウインクしながら伝えると、話を蒸し返さないでください・・・と顔を隠すが耳まで赤くしている。
やっぱり美桜はキュートな女性だ。
それから本題に話を戻す。
ト「鬼の存在を間近で見た僕はあれから自分の国に戻ってすぐに弾丸を加工したんだ・・・少しでも君達の力になれるならと」
持ってきた荷物を前に差し出す。
包みを開けて中身を見せる。
煉「これは・・・」
ト「南蛮銃と、鬼を倒す為の弾丸だよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから少しして、暗くなる前にとトーマスさんは帰って行った。
『・・・良かったのでしょうか・・・』
煉「トーマス殿の事、心残りか?」
『ちっ違います!』
プロポーズを断ろうとしたら逆に断られた事にも驚いたけど、ほっとしている自分もいた。
・・・トーマスさんを傷つけなくて済んだから・・・
私って本当に狡いな。
狡くて、覚悟が足りない・・・
煉「美桜?」
煉獄さんに名前を呼ばれてハッと顔を上げる。
いけない、自己嫌悪に陥ってた。
『あっ、こんなもの貰ってしまって、本当に良かったのかなって・・・』
私の手元にあるのは、南蛮銃と弾丸ーーー
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ト「美桜はどこで銃の扱いを覚えたんだい?」
『それが・・・覚えてなくて・・・』
記憶をなくしていること。
私が発見された時に一振りの刀と一丁の銃を持っていたことを簡単に説明する。
トーマスさんは顎に手を当てて聞いていた。
ト「美桜、君の持っている銃を見せてくれないか?」
『え?はい・・・』
部屋にしまっていた銃を手渡すと、興味深そうに角度を変えながら観察していた。
ト「・・・見たことないな。似ているものは知ってるけど・・・。美桜、これをしばらく預からせてくれないか?悪いようにはしないから」
『え?』
ト「ああ、あと僕が持ってきた銃と弾丸はプレゼントするよ」
『えっ!?そんな・・・これは鬼殺隊の・・・』
ト「ウブヤシキにも勿論売るよ。でもあちらは商売。これとは別さ」
ニッコリ笑って、それから
ト「美桜。この武器が少しでも君の為になるなら僕は嬉しいよ。」
君が正しいと思う使い方をしなさいーー
ーー
ーーーー
ーーーーーー
私が正しいと思う使い方・・・
新しい武器は、私の両手にズシリと重く乗っていた。
ただ、道場や庭で1人稽古だけは続けていた。
刀を振りながら、夢に出てきた人物の言葉を思い返す。
ーーこの道を選ぶと言うのなら・・・今、“覚悟”を決めるんだーー
覚悟か・・・
自分ではしているつもりだった。
だけど、鬼も人に似た姿をしているから、どうしても躊躇してしまう。
以前町で襲われた時は狙った訳ではなく、無我夢中で振ったのが当たった様なものだろう。
鬼から人を守るということは、鬼の命を奪うという事。
それは物凄く胆力がいる。
今なら隠の人達の気持ちが理解できるよ・・・
『・・・・・・』
煉「美桜!」
『!・・・杏寿郎さん。おかえりなさい』
煉「うむ!随分と集中していた様だな」
いつもの様に玄関先で帰りを告げたが気付かない程に、と
『あっ、ごめんなさい・・・お出迎えもしないで』
煉「いや、構わん。それだけ懸命に稽古をしていた証拠だ!だが・・・」
私の手の中の木剣を取り上げると
煉「ただ闇雲に振れば良い訳ではないぞ。疲れて動きに精細を欠いている。今日の所は切り上げるといい」
『あ・・・でも・・・』
もう少しだけ、と訴えようとするがそれは叶わなかった。
煉「それに、折角帰ってきたのだ。少しは俺の相手もしてくれないと淋しいではないか」
『!!』
ふわりと抱き締められる。
途端に顔がボッと熱くなる。
こんな、昼間から庭先で・・・
いや、それよりも
『きょ、杏寿郎さん・・私、いま汗臭いからっ』
煉「全く気にならないぞ!俺も任務帰りだし汗臭いのはお互い様だ!!」
慌てて離れようとするが、離してはくれない。
違うの!
私が気にするの!!
『ッ!!』
そして、首すじに煉獄さんの唇が触れる。
『い・・・やぁっ!!』
煉「!!」
『わ、わわわたし汗を流してきますそれからお昼ご飯の準備をしますから!!』
両手で思い切り煉獄さんを突き飛ばしそのまま部屋の中へ逃げる様に入って行く。
煉「・・・・・・」
お風呂で手早く汗を流し、昼食の準備に取り掛かる。
・・・・・・
待って
さっき私煉獄さんに何て言った??
思わず拒絶の態度をとってしまった事に今更ながらジワジワと罪悪感が生まれてくる。
食事の支度が終わり、部屋に呼びに行くと
『!!』
スンと大人しく正座している煉獄さんがいた。
めっっっちゃ傷ついてる!!!
どうしよう・・・
『・・・杏寿郎さん』
煉「・・・美桜」
呼びかけるとこちらへ顔を向けてくれるがやはり覇気がない。
『あの・・さっきは突き飛ばしちゃってごめんなさい』
煉「・・・」
『・・・あれは、杏寿郎さんが嫌とかそういう意味じゃなくて・・・』
煉「分かっている。俺も配慮が足りなかった。美桜の嫌がる事はしないよう気をつけようと思っているのだが・・・」
『杏寿郎さん・・・!』
煉獄さんの隣まで行くと、手を引かれ再び抱き寄せられる。
煉「だが、折角冨岡の屋敷から俺の元へ戻ってきたのだ。鍛錬も良いが俺の事ももう少し見てほしい」
顔は見えないが何だか拗ねたような口振りだ。
いつもとは明らかに違う様子にドギマギしてしまう。
『は、はい・・・どうしたらご機嫌直してくれますか??』
その言葉に私を抱く煉獄さんの腕がピクリと反応する。
煉「・・・・・・」
『あ、あの・・・?』
再び黙り込んでしまった煉獄さんの顔を伺い見る、と真剣な顔でこちらを見ていた。
煉「・・・言えば叶えてくれるのか?」
『!!・・・私の出来る範囲で、なら・・・』
眼差しに耐えられず思わず目を逸らしてしまう。
煉「・・・何故顔を背けるのだ?」
『うっ!だっ、だって・・・ここの所会ってなかったし、久し振りすぎて、その・・・は、恥ずかしくて』
私の瞳に映る煉獄さんがそれはもう眩しくて眩しくて、少しでも視界に入るだけで心臓が煩いくらいに早打ちして呼吸が乱れるのだ。
暫くは、あの鬼の術の後遺症だと思っていたけど、どうやら違うらしい。
そういう訳で、私は煉獄さんと二人きりの時では全集中の呼吸が出来ずにいた。
煉「“常中”が会得出来そうだと聞いていたが?」
『そっ、そうなんですけど・・・杏寿郎さんといるとドキドキしてしまって・・・私の修行が足りないんです。きっと。』
煉「ふむ・・・」
しばし考える素振りをして、それから
煉「ならば、共に修行をしよう!」
『え?』
煉「俺がそばにいても全集中の呼吸が出来る様に。それならば美桜の鍛錬になるし俺も美桜と共にいられる!」
一石二鳥だ!!
と、一人で納得し話を進める。
煉「そうと決まれば早速開始だ!!」
『は・・・!?』
私を抱き抱えたまま勢いよく立ち上がり、部屋を出る。
廊下を歩く煉獄さんに慌てて声をかける。
『きょっ、杏寿郎さん・・・どこへ・・・?』
煉「昼食を用意してくれたのだろう?共に食べよう!」
何だかまた妙な事になったぞと思いながら、煉獄さんの機嫌が直ったならまぁいいか。と安易に考えていた。
この時は。
食卓につき、いただきます!と挨拶をしたものの一向に手をつけない煉獄さん。
『??杏寿郎さん、食べないんですか??』
煉「美桜が俺に食べさせてくれ!」
『!!?』
何ですと!?
煉獄さんは眼を爛々とさせてこちらを見ている。
煉「これも修行だ!!全集中の呼吸、常中を身につけるための!!」
何という事でしょう・・・
いや、煉獄さんはこういう人だと分かっていた筈。
それに、呼吸が身に付かなければ先にも進めないのは確かだ。
ある意味理にかなっているのかもしれない・・・
むむむ、と考えること数秒。
私は意を決して煉獄さんに向き合う。
『わ、かりました。これも修行・・・そう!修行だから』
恥ずかしくないこれは修行なんだ集中するんだ
頭の中で繰り返し唱えながら深呼吸する。
『・・では、失礼します』
おかずを一口分箸でとり、煉獄さんの口元へ運ぶ。
煉「うむ!美味い!!」
パァッと顔を明るくし、笑顔で料理を褒めてくれる。
クッ!!眩しい・・・!!
そしてやっぱり恥ずかしい!!!
所謂「あーん♡」をする日が来るなんて・・・
こんなの、まるで新婚ラブラブカップルみたいじゃない!!
『!!』
そんな事を頭の中でグルグル考えていると、額にトン、と煉獄さんの人差し指が当たる。
煉「集中。呼吸が乱れているぞ」
『ハッ!す、すみません・・・』
煉「そんなに緊張せずとも、何も美桜の手まで取って食おうなどとはしないから安心しろ!」
『そんな心配はしてないですよ・・・』
ラブラブとは程遠い煉獄さんの言葉に思わず力が抜けてフッと笑う。
改めて呼吸を整え食事を再開する。
煉「美味い!!・・まだ呼吸が安定しないな!」
『そんな、急には無理ですよ』
煉「千寿郎にはよくこうして食べさせていただろう!」
『えっ!?あれは、ただの味見でしょう・・・それに千ちゃんは弟の様なものですし、杏寿郎さんとはわけが違いますよ』
前、一緒に住んでいた頃はよく2人で厨房に立っていた。手が離せない千ちゃんに味見をしてもらう為に口に運んだ事は確かにあるけど・・・
比べる対象がズレているよ・・・
煉「ふむ。そういうものか・・・」
そして徐ろに箸をとり、私の方の盆に乗った食事から一口分のおかずを私の口元に近づける。
『えっ!?』
煉「美桜も食べると良い!せっかくの料理が冷めてしまうぞ」
『いえ・・・私は後でも』
煉「ほら、口を開けて」
『・・・・・・』
ヒィ・・・
この、煉獄さんの穏やかな表情と優しい声音に逆らう事が出来る人間が果たしているのだろうか。
これもきっと修行の一つだ!
そう言い聞かせて受け入れる事にした。
とてもじゃないが目を合わせる事は出来ないので、視線を落として控えめに口を開ける。
煉「!」
『・・・?』
一口分を食べて飲み込んだ所で顔を上げると、慌てる様に顔をそらされた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
別にこの行為に特別な意味があるとは思っていなかった。
だからこそ、妙に緊張している美桜の姿が不思議だった為自分でも試しにやってみたのだが・・・
俺が差し出した物に無防備に口を開く姿を正面から捉えた時、何とも言えぬ感情が渦巻いた。
何だこれは・・・
心臓がいつもとは違う動きをした為に一瞬呼吸が乱れた。
同時に美桜が顔を上げた為、顔を背け悟られぬ様に呼吸を戻す。
『どうかしました?』
煉「いや!何でもない!!だがお互いが食べさせていると時間がかかってしまうな!ここからは自分で食べる事にする!」
『そっ、そうですね!それが良いと思います!』
柱になってからというもの、呼吸を乱す時はいつも美桜を意識した時だ。
俺も、まだまだ修行が足りないようだ・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
食事の後片付けも終わり、お茶を淹れた所に湯浴みを済ませた煉獄さんがやってきた。
天気の良い日は必ず縁側に出る。
いつもの定位置に2人で腰を降ろす。
煉「そうだ、今度の会議に美桜も呼ばれているぞ」
『えっ?ああ!新しい柱の人!!』
煉「うむ。就任することが決まった」
この前、私が襲われ血鬼術をかけられた鬼・・・十二鬼月の1人、下弦の伍を倒した隊士さんだ。
『どんな人だろ・・・会ったらちゃんとお礼を言わないと』
煉「そうだな!・・・しかし」
『?』
煉「いや・・・何でもない」
『何ですか?途中で辞められると気になります』
煉「むぅ」
いつもは思った事は言葉にして伝えてくれるのに・・・珍しいな、と思っているところにポツリと
煉「・・・柱が増えるのは喜ばしい事だ。しかし、あの鬼は・・・美桜を苦しめた鬼は俺が退治したかった」
『・・・・・・』
煉「・・・そんな事を言っても仕方ないのだが・・・」
『杏寿郎さん』
煉「む?」
『どうして顔を背けているのですか?』
煉「・・・今の俺は美桜に見せられない顔をしているから、少し待って・・・!」
私は煉獄さんの言葉を無視して、庭に降りて反対側から顔を覗き込んだ。
少し眉が下がり、バツの悪そうな表情の煉獄さん。
『・・・・・・』
いつも自信に満ち溢れ、笑顔を絶やさない。
煉獄さんを知る人は皆口を揃えて言う。
でも
この顔は、きっと私しか知らない。
尚も隠そうとする顔を両手で包み込むように触れる。
もっと色んな顔を見せて欲しい。
煉「むぅ・・・男の嫉妬など見苦しいだけだろう」
『そんな事ないですよ・・・嬉しいです』
煉「!!」
煉獄さんの顔を見ていたら、吸い込まれる様に身体が動き、自ら唇を重ねに行く。
『・・・・・・』
そっと離れると、これでもかと目を見開いた煉獄さんの驚いた顔。
これも、私だけに見せる顔だと思うと喜びが込み上げてくる。
いつもと立場が逆転したような気がして、ちょっとだけ優越感に浸っていると。
『わっ!?』
両手首を掴まれてそのまま身体が反転する。
背中と両手が縁側にくっつくと、覆いかぶさる様に煉獄さんの顔が近づいてくる。
『・・・ッ!!』
いきなりの行動と距離感に心臓が再びバクバク動き出す。
驚きと戸惑いの表情を浮かべる私を見て
煉「あまり俺を揶揄わないでくれ。これでも色々と我慢しているのだ」
『・・・ッ。すっ、すみません・・・』
いつもよりも低い声で囁かれてゾクっとしてしまう。
こちらも思わず声が震えてしまった。
その様子を見た煉獄さんは目を細める。
煉「すまないな。怖がらせるつもりではなかった。」
そう言って身体を起こしてくれる。
煉「美桜が陽の高い内から外で、しかも素面でその様な行動をするとは思ってなかった!危うく理性が吹き飛ぶ所だったぞ!」
『!!』
言葉にされて我に帰ると急に恥ずかしくなってくる。
本当だ!
私は・・・何て事をッ
『いっ、今のなしです!忘れてください・・・』
煉「それは無理な話だな!」
『うう・・・』
恥ずかし気もない行動が信じられない
自分が自分じゃないみたいだ・・・
湯気が出るんじゃないかと思うくらい火照った頬を隠す様におさえた所で
ト「Hello?取リ込ミ中失礼するよ」
煉「!」
『トッ、トーマスさん!?』
突然の来訪者の姿に驚きを隠せなかった。
今の・・・見られてないよね?
ト「すまないネ。何度か入口デ呼びかけて見たんだが、お邪魔だったかナ?」
『!!!』
目を細めてニッコリ笑う。
はい見られてました!!
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『先程は失礼しました・・・』
トーマスさんを部屋に招き、お茶を出しながら詫びを入れる。
ト「ありがとう。2人ともスキンシップが好きなんだね。日本人では珍しいネ!」
煉「・・・今日は何用で参られたのかお聞きしたい!」
煉獄さんが、真顔だ・・・
そうだ、あの時のプロポーズが保留のままだったんだ。
ちゃんと、お話しないと。。。
『あの、トーマスさん・・・』
ト「そんなに敵視しないでくれヨ。僕は君とも仲良くしたいんだ」
煉「!」
『ト、トーマスさん・・・先日の、そのお返事というか・・・』
ト「そうだ美桜!この前のプロポーズの事だけど・・・」
『はい・・・あの、私はやっぱり・・』
ト「あれはなかった事にして欲しい!」
『は・・・はぁ?』
煉「!?」
どういうこと?
ト「僕が美桜にプロポーズした日の事さ。夜道を一人歩いていた時ーーー
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ーー
ト「What!?いきなり何なんだ!?」
僕は急に現れた男に腕を切り裂かれた。
咄嗟に懐に持っていた銃を取り出し何発か撃ったんだ。
右足に、左腕に、それでも止まらないから頭を撃ち抜いた。
だが・・・
ト〈なっ、なんで死なないんだ!?ありえないだろ・・・〉
そうしている内に弾が切れ、尚も襲いかかってくる男に死を覚悟したよ。
だけどその時・・・
煉「炎の呼吸、伍の型、炎虎!!」
颯爽と現れた彼が奴の頸を斬り落とすと、跡形もなく消えていったんだ。
ト「・・・アノ男は、何だったんだ・・・」
煉「あれが鬼だ。海外にはそういう類の者はいないのだな!」
ト「オニ・・・では、ウブヤシキが言っていた事は」
煉「本当の話だ!俺たちは鬼から人々を守る為に戦っているのだ」
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ーーその後杏寿郎は腰が抜けて立てなくなっていた僕を支えて送り届けてくれたんだ。
つい先程、ライバル宣言をして挑発した男の命を救ったんだ!僕の国では考えられない行動さ。ライバルを減らす為に見殺しにするのが普通だよ」
『あの夜、そんな事が・・・』
だから、帰りが遅かったんだ。
煉「鬼を斬るのは鬼狩りとして当然だ。美桜の件とは話が別だ」
ト「それでも僕は感動したんだ!美桜の事はもちろん好きだけど、杏寿郎、僕は君の事も気に入ったよ!」
親愛の意味を込めて杏寿郎にハグをすると「ぬう!?」と戸惑いの表情を見せる。
煉「・・・トーマス殿はそれで良いのか?」
ト「ノープロブレムさ!それに、さっきの2人を見てたら僕の入る隙なんてなさそうだしね」
『!!』
ウインクしながら伝えると、話を蒸し返さないでください・・・と顔を隠すが耳まで赤くしている。
やっぱり美桜はキュートな女性だ。
それから本題に話を戻す。
ト「鬼の存在を間近で見た僕はあれから自分の国に戻ってすぐに弾丸を加工したんだ・・・少しでも君達の力になれるならと」
持ってきた荷物を前に差し出す。
包みを開けて中身を見せる。
煉「これは・・・」
ト「南蛮銃と、鬼を倒す為の弾丸だよ」
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あれから少しして、暗くなる前にとトーマスさんは帰って行った。
『・・・良かったのでしょうか・・・』
煉「トーマス殿の事、心残りか?」
『ちっ違います!』
プロポーズを断ろうとしたら逆に断られた事にも驚いたけど、ほっとしている自分もいた。
・・・トーマスさんを傷つけなくて済んだから・・・
私って本当に狡いな。
狡くて、覚悟が足りない・・・
煉「美桜?」
煉獄さんに名前を呼ばれてハッと顔を上げる。
いけない、自己嫌悪に陥ってた。
『あっ、こんなもの貰ってしまって、本当に良かったのかなって・・・』
私の手元にあるのは、南蛮銃と弾丸ーーー
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ト「美桜はどこで銃の扱いを覚えたんだい?」
『それが・・・覚えてなくて・・・』
記憶をなくしていること。
私が発見された時に一振りの刀と一丁の銃を持っていたことを簡単に説明する。
トーマスさんは顎に手を当てて聞いていた。
ト「美桜、君の持っている銃を見せてくれないか?」
『え?はい・・・』
部屋にしまっていた銃を手渡すと、興味深そうに角度を変えながら観察していた。
ト「・・・見たことないな。似ているものは知ってるけど・・・。美桜、これをしばらく預からせてくれないか?悪いようにはしないから」
『え?』
ト「ああ、あと僕が持ってきた銃と弾丸はプレゼントするよ」
『えっ!?そんな・・・これは鬼殺隊の・・・』
ト「ウブヤシキにも勿論売るよ。でもあちらは商売。これとは別さ」
ニッコリ笑って、それから
ト「美桜。この武器が少しでも君の為になるなら僕は嬉しいよ。」
君が正しいと思う使い方をしなさいーー
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私が正しいと思う使い方・・・
新しい武器は、私の両手にズシリと重く乗っていた。