恋と呼吸
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宇「おい、美桜が倒れたって?大丈夫なのか?」
雛「鬼に襲われたと聞きましたが・・・」
ま「酷い怪我でもしたんですか!?」
須「意識はあるんですかぁっ!?」
し「宇髄さん、お待ちしてました。どうぞこちらへ。奥様方はあちらで少々お待ち下さい。」
4人「はぁ???」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
扉が開く。
顔を向けると宇髄さんが立っていた。
『・・・宇髄さん』
宇「よぉ、美桜。お前大丈夫か??」
私の寝ているベッドに近づき顔を覗き込まれる。
『あ・・・はい。怪我も大した事ないです』
宇「凄え高熱も出したっていうじゃねぇか?」
おでこに手を当て、更に顔を近づけてくる。
『もう大丈夫だと思います。多分、色々あってその疲れが出たんだと思います』
宇「・・・そうか。雛鶴達も来てるから、話ができそうなら会ってやってくれな」
『えっ、そうなんですか?何だか、色んな人に心配を掛けてしまって・・・申し訳ないです』
倒れてから2日目。
私は蝶屋敷で入院中だった。
さっきまで悲鳴嶼さんと玄弥くん、義勇さんまでお見舞いに来てくれていた。
熱も下がってたし、怪我も大した事ないのに・・・
宇「まぁ、それだけ皆から可愛がられてるってこった!俺も顔見て安心したわ!」
『宇髄さん・・・』
頭をくしゃりと撫でられ何だかくすぐったい気持ちになる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
し「如何でしたか?」
宇「如何も何もいつもの美桜だったが?」
本人も言ってたが怪我も大した事はなかった。
何故、胡蝶から呼び出されたのか疑問に思っていると
不「おい、美桜が怪我したって聞いたがそんな酷いのか?」
伊「フン、自分の力を過信するから怪我などするんだ」
不死川と伊黒までやってきた。
し「お待ちしてましたよ。お二人とも。美桜さんに会う前にお願いがあるのですが・・・」
さっきの俺にした様に胡蝶が二人にある指示を出す。
不「ハァ!?何でそんな事しなきゃならねぇんだよ!」
伊「全くもって同感だ。俺は断る。」
全力で拒否する。
まぁ、確かにこいつらはそんな柄じゃねぇよな。
し「他の皆さんは協力して下さいましたよ?大事な診察なんです」
不「意味わかんねぇ・・・」
伊「あいつがどうなろうと俺には関係ない。帰らせてもらう」
伊黒が踵を返す。
し「煉獄さんがお困りなのですよ。ここは一つ、彼を助けると思って。ね?」
伊「・・・杏寿郎が」
し「はい!」
伊黒が渋々戻ってくる。
胡蝶。こいつは本当に人を動かすのが上手いな。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『ん〜♡美味し〜』
須「でしょ〜!ここの大福はすぐ売り切れちゃうのよ」
ま「食欲もあるみたいで安心したよ」
『本当に、こんな軽い怪我でわざわざお見舞いに来てもらってすみません・・・』
雛「気にしないで。私達も美桜さんに会いたかったのよ」
お姉様達♡
この優しさにジーンと感動していると
再び扉が開き、実弥さんと伊黒さんが入ってきた。
不「よぉ」
伊「・・・・・・」
『えっ、お2人もお見舞いに来てくれたんですか?』
実弥さんはともかく、伊黒さんは意外だった。
不伊「・・・・・・」
ーーお2人にお願いしたい事は3つです。
1つ目は・・・ーー
不「怪我・・・大丈夫かァ」
伊「・・・・・・」
『は、はい・・・』
え、何か2人とも睨みつけてくるんだけど・・・
お見舞いにきてくれた。ん、だよね???
めっちゃ血管浮いてるよ。怖!!
し(目を合わせて見つめて欲しいとお願いしたのですが・・・)
ーー2つ目、美桜さんに触れてくださいーー
ズンズンと近づいてきたかと思ったら実弥さんに頭を思い切り鷲掴みにされた。
『!!?』
ま「ちょっ!何を・・・」
須「美桜ちゃんは病人ですよっ!?」
まきをさん達が抗議の声をあげてくれるが、
不「熱も出したんだってなァ・・・」
目が血走ってますけど・・・
怒ってる・・・?
『あ・・・はい。でももう大丈ぶっ!?』
今度は伊黒さんの手が私の両頬を挟むように掴む。
ーー3つ目、そのまま顔を近づけて美桜さんに話しかけて下さいーー
伊「・・・死ななかった事は褒めてやる。だが調子に乗るなよ。貴様が人の命を救おうなど100年早い」
『・・・ふぁい・・ふみまふぇん・・・』
何なの、これ??
心配されてるのか、シメられてるのか良く分からない・・・
不「・・・・・・」
伊「・・・・・・」
『・・・・・・???』
そしてそのまま沈黙。
私は頭と頬を鷲掴みにされたまま訳がわからない。
相変わらず睨みつけてくる2人に視線が泳いでしまう。
すると、耐えられなくなったように実弥さんが
不「〜〜ッ!!おい胡蝶!!言われた事はやったぞ!」
と叫ぶと、しのぶさんと宇髄さんが部屋に入ってくる。
し「う〜ん、思ってたのと違いましたが・・・まぁ良いでしょう」
伊「こんな事に一体何の意味があるのだ?」
し「はい。ここで煉獄さんの登場です」
そう言ったかと思うと煉獄さんが静かに部屋に入ってきた。
煉「・・・・・・」
バチッと目が合う。
『ッ!!』
心臓が大きく波打つ。
煉「美桜・・・」
遠慮がちに近づいてきて、名前を呼ばれる。
『・・・うぁ』
頭がクラクラして、身体中の熱が上がるのがわかる。
宇「美桜!」
私はそのままベッドにバタンと倒れ込んだ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
美桜が急に気を失った・・・
し「・・・と、まぁこういう訳です」
煉獄が声を掛けたり触れると高熱が出て気を失ってしまうらしい。
宇「どういう事だ?まるで・・・!まさか」
し「ええ。美桜さんは血鬼術にかかっている物と思われます」
不「・・・鬼は退治したんじゃねぇのか?」
し「鱗滝さんが美桜さんの元に着いた時、既に鬼の姿は無かったそうです。増援が来たことに気づいてその場から逃げたのでしょう」
伊「妙な血鬼術だな。特定の人物に対して高熱を出して倒れるだけとは」
し「いえ・・・本来は違う術の様ですよ?」
不「あぁ?」
すぐに隊士を数名送った所、殆どの者が返り討ちに遭ってしまった。
その内の1人が命だけは助かり今朝蝶屋敷まで運ばれてきた。
治療を施し、目を覚ますと見舞いに来ていた隊士や恋人に刀を向け斬りかかろうとしたという。幸い胡蝶に動きを封じられ被害はなかった。
その隊士は鎮静剤を打って今は眠っているらしい。
し「どうやら対面した相手に対して憎悪を抱かせる術の様です」
その術にかかった隊士がお互いを攻撃し合った為にほとんど全滅してしまったのだという。
宇「・・・異能の鬼に遭遇して美桜は良く軽い怪我だけで済んだな・・・」
不「ちょっと待て。その術にかかってるなら、煉獄や俺たちに攻撃してくる筈だろォ?どういう事だァ?」
し「ですから、それを確かめる為に皆さんをお呼びしたのです・・・これではっきりしました。」
伊「術が不完全だったのか?」
し「ええ・・・もしくは、美桜さん自身が抗う事で高熱という副作用で現れたか、です」
不「術に抗う・・・」
宇「それも、美桜の隠された力か?」
し「それは分かりませんが・・・私達に対しては普段と変わりなく、煉獄さんにだけ高熱で反応するというのは、美桜さんの中で私たちを傷つけまいと防衛本能が働いているのかもしれませんね」
最愛の人に対して1番強い効果を見せる術らしいので・・・
と付け加えた。
煉獄を傷つける前に、無意識に自分の身体に負荷をかけて術が作動しないようにしているのでは、というのが胡蝶の推測だった。
煉「・・・ならば」
今まで黙っていた煉獄が口を開く。
煉「その鬼の頸を斬ればよいのだな?」
スッと立ち上がる。
こいつ・・・こんな静かに怒りを表現できるんだな。
部屋を出ようとしたその時ーーー
要「杏寿郎サマ!!南南東!!南南東ニ鬼ノ情報アリ!!至急向カワレタシ!!」
煉「!!」
煉獄の鴉が任務を伝えにきた。
煉「断る!!」
要「杏寿郎サマ!?」
煉「俺は北北東に向かわなければならん!!」
宇「いや任務を断るな!!」
煉「しかし!」
宇「美桜の方の鬼は俺が・・・」
行くと言いかけた所、俺にも別の任務が入る。
不「チッ、しゃあねえなァ・・・俺が」
行くと言いかけた所、不死川・伊黒も各々任務の情報が届く。
煉宇不伊「・・・・・・」
し「まぁまぁ、美桜さんの方は新たに隊士が送り込まれた様なので、皆さんはそれぞれの任務に向かってください」
煉「だが、時間がかかればかかるほど、美桜の身体が・・・」
宇「確かに、今は高熱だけだが長引けば他に影響が出るかも知れねぇな」
伊「ならば、自分の任務を終えた者がその鬼を斬りにいけばいいだろう。さっさと行くぞ」
そう言って素早い動きで伊黒は部屋を後にした。
まさか伊黒がそんな提案をするとはな・・・
胡蝶がフフッと笑う。
し「なんだかんだ言って心配なのですね〜。さぁ、美桜さんの事は私がしっかり診ておきますから、皆さんも」
煉「・・・うむ!分かった。美桜の事は頼んだぞ!!」
そして各々の現場へと向かった。
『うぅ・・・』
し「美桜さん?・・・また熱が上がってきましたね。こんなに魘されて、悪い夢でも見ているのでしょうか・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
身体が熱い・・・
鼓動が速くなる。
まるで自分の身体じゃなくなった様な感覚だった。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
ー ー ー ー ー ー ー ー
ー ー ー ー ー ー
ー ー ー ー
ー ー
ー
・・・顔を上げると、目の前にあの鬼と、男の人、そしてーー私がいた。
あの時の戦う自分の姿が目の前で何度も何度も繰り広げられていた。
飛び出すと同時に腕を斬り落とす。
次は反対の手首。
次の攻撃は躱される。
そして、頸に向かって一突き・・・
『・・・』
こうして俯瞰で見てみると動きに無駄がある事がよく分かる。
『次の攻撃への切り返しが遅い・・・』
「それもあるが、根本的に間違っている」
『!?』
誰?
いきなり入ってきた第三者の声に驚き、そちらの方を向こうとするが身体が硬直したように動けなかった。
『根本的・・・?』
「そうだ。自分で分からないか?」
『・・・・・・』
「何故、最初に頸を狙わなかった?」
『!!』
「命を取るか、取られるかの時に甘えや迷いは許されない。結果お前は自分だけでなく一人の人間を危険に追い込んだ」
『・・・それは』
「この道を選ぶと言うのなら・・・今、“覚悟”を決めるんだ。お前は既に実現する為の力を持っている」
『!・・・あなたは・・・ッ!?』
硬直が溶け、すぐに振り返るがそこにはもう誰の姿もなかった。
『命を取る・・・覚悟・・・』
ー
ー ー
ー ー ー ー
ー ー ー ー ー ー
ー ー ー ー ー ー ー ー
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
『う・・・ハァッ!!』
ガバッと飛び起きる。やはり夢か・・・
肩で息をしながら呼吸を整えていると、しのぶさんが水の張ったタライを持って入ってきた。
し「目が覚めましたか?」
『しのぶさん・・・私・・・』
し「また高熱を出して倒れたのですよ。お加減はいかがですか?」
『熱・・・は、なさそうです』
し「そうですか。だいぶ魘されていましたし、汗もかいて気持ち悪いでしょう?体を拭きましょうね」
水に濡らした手拭いで私の体を優しく拭いてくれる。
そして、私が血鬼術にかけられている事、その術を解くにはあの鬼の頸を斬る事が必要だと教えてくれた。
し「もう少しの辛抱です。今、隊士が鬼退治に向かっていますから」
『・・・杏寿郎さんは?』
し「煉獄さん達柱は別の任務が入ってそちらに。そちらは柱直々に入る指令なので十二鬼月の可能性がありますね」
『十二鬼月って・・・他の鬼と何が違うんですか?』
強い、というのは知ってるけど、見た目で分かるものなのかな
し「十二鬼月には瞳に特徴があるのですよ」
しのぶさんが特徴を説明してくれる。
十二鬼月には下弦と上弦がいて、下弦には下という漢字と壱から陸までの数字が刻まれているという。
『・・・・・・』
し「上弦はまだ見た事がありませんが・・・下弦の鬼は並の隊士では太刀打ち出来ませんが、柱なら何なく倒せますから」
黙ってしまった私を安心させる様に付け加える。きっと煉獄さんの心配をしていると思ったのだろう。
『しのぶさん・・・違うんです。あの、私・・・』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蜜「この辺りかしら・・・早く先に到着している隊士に合流しなくちゃ!」
新たな指令が入った私は麗の案内のもと入山して暫く駆けていた。
一刻も早く鬼を倒して、美桜ちゃんや隊士の血鬼術を解いてあげないと!!
先の方で鬼の気配を感じ刀に手をかけて飛び出す。
蜜「皆!お待たせ・・・ッ!?」
そこには地に倒れる隊士達の姿。
そして、肉を喰らう鬼の姿があった。
蜜「そ、そんな・・・」
鬼「またやって来たな・・・これはまた上等な女の肉にありつけそうだ」
蜜「ッ!?」
鬼がこちらへと振り向き、目が合う。
どうして、こんな所に・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
し「美桜さん!それは確かですか?」
『は、はい・・・私が遭遇した鬼にも瞳に数字が刻まれていました』
さっきの夢の中で見て思い出した。
確か、数字はーーー
『下と、伍・・・』
し「!!わかりました。鴉を飛ばし急いで柱の誰かに向かわせる事にします」
そう言って慌ただしく部屋を出ていった。
『あの鬼が、十二鬼月・・・』
向かった隊士は無事だろうか・・・
祈るような気持ちで窓の外を見上げた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蜜「ハァッハァッ・・・」
鬼「中々しぶとい女だなァ・・・」
断続的に続く鬼の攻撃を持ち前の柔軟性で紙一重で交わし続けていた。
早く、誰か加勢にこないかな・・・
そんな事を考えていた。
十二鬼月なんて、私の手には負えないよ・・・
鬼「いつまで逃げ回るつもりだ?そろそろ俺に喰われる覚悟をするんだなァ」
弱音を心の中で吐いた瞬間、私の動きが遅れた
蜜「しまっ・・・」
そこを突くように、鬼の手が私に向かってくる。
間に合わないッ・・・
蜜「ッ・・・・・・?」
思わず刀を握りしめて目を閉じるが、鬼の攻撃が来ない。
そちらへ視線を戻すと、自分の腕を押さえる鬼の姿があった。
鬼「グゥッ!!クソ・・・とっくに再生しているというのにあれから疼きやがる・・・あの小娘・・・やはり何か術を使ったな・・・」
小娘・・・美桜ちゃんの事だわ!
しのぶちゃんが言ってた。
鬼の両腕を斬り落としたって・・・
鬼に隙が出来た。
これを逃すわけにはいかない!
蜜「恋の呼吸、壱の型!初恋の・・・」
鬼「うがあぁあああ!!!」
蜜「きゃっ!!」
技を放とうと近づいた時、鬼が大きく腕を振りその勢いのまま私へと叩きつけてきた。
・・・何て速さ・・・
これがこの鬼の本来の動きなの・・・
刀で受けたものの、相殺しきれず拳が鳩尾に入る。勢いも殺せず後ろの木へ体が叩きつけられる。
蜜「かはっ・・」
鬼「チッ!雑魚が大勢来た所で無駄なんだよ。・・・やはり、あの小娘を消しておくべきだったな」
再び腕を押さえながらそんな事を口走る。
鬼「お前を喰ったら次はあの小娘だ。見つけ出して必ず喰ってやる。そうすればこの術も解けるだろう」
蜜「・・・ッ」
鬼がとどめを刺そうと私に近づいてくる。
駄目・・・
私がやられたら、美桜ちゃんが・・・
蜜「・・・くっ」
鬼「!まだ動くのか・・・無駄だというのに」
そんなの、駄目に決まってるじゃない
蜜「私の、大好きな人達には、指一本触れさせない・・・」
鬼(何だ・・・様子が変わった・・・)
蜜「恋の呼吸、参の型!恋猫しぐれ!!」
鬼「!!」
体が痛む中、無我夢中で技を繰り出す
蜜「恋の呼吸、弐の型!懊悩巡る恋!!」
鬼「がっ!?」
頸が飛んだ
蜜「ハァッハァ・・・」
鬼「クソ・・・あんなに人間を喰ったのに・・こんな、小娘どもに負ける、のか・・・」
体が崩れ、そして消えて行った
蜜「やっ、た・・・。良かったぁ〜美桜ちゃん、守れた・・・」
とうとう立っていられなくなり膝から崩れ落ちる。
私はもっともっと強くなろう。
私の大好きな人たちが傷つけられないように。
隠の人達が近づいてくるのを感じながらそっと瞳を閉じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
例の鬼を倒したとしのぶさんの鴉が報告にやってきた。
し「術にかかっていた隊士も正常に戻りましたよ。これで一安心です」
宇「そうか、じゃあ美桜も術が解けてるんだな!」
『・・・あんまり体に変化は感じませんが・・・』
伊「杏寿郎を前にしない事には何とも言えんな」
任務を終えた宇髄さん、伊黒さんも蝶屋敷に戻って来てくれた。
そこにーー
煉「例の鬼を倒したそうだな!!」
煉獄さんが勢いよく入ってきた。
バチッと目が合う。
煉「美桜・・・」
『杏寿郎さん・・・』
しっかりと見つめ返す。
熱は上がらない。術の効果は切れたようだ。
煉獄さんの顔も安心したように綻び、そしてーーー
煉「良かった!!このままだったらどうしたものかと思っていたぞ!!」
『!!!』
勢い良く抱き締められた。
久しぶりのハグ・・・
そして、しのぶさんも、宇髄さんも、伊黒さんも見ている。。。
こ、こんな皆の前で・・・
煉「?・・・美桜!?どうした!よもやまだ術が解けていないのか!!」
私は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして気を失いかけた。
宇「・・・いや、いつもの美桜だろ」
伊「ふん。くだらん・・・俺は帰るぞ」
し「あらあら。自分の任務の後にわざわざ立ち寄っておいて、伊黒さんも素直じゃないですねぇ」
宇「つーか煉獄、そろそろ美桜を離してやれよ。息してねぇだろ」
煉「む!美桜!!大丈夫か!?」
宇「だから離せっての!!」
そんないつもの煉獄さんと宇髄さんのやりとりが暫く続いていた。
そして、私の謹慎生活が始まる事になる。
雛「鬼に襲われたと聞きましたが・・・」
ま「酷い怪我でもしたんですか!?」
須「意識はあるんですかぁっ!?」
し「宇髄さん、お待ちしてました。どうぞこちらへ。奥様方はあちらで少々お待ち下さい。」
4人「はぁ???」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
扉が開く。
顔を向けると宇髄さんが立っていた。
『・・・宇髄さん』
宇「よぉ、美桜。お前大丈夫か??」
私の寝ているベッドに近づき顔を覗き込まれる。
『あ・・・はい。怪我も大した事ないです』
宇「凄え高熱も出したっていうじゃねぇか?」
おでこに手を当て、更に顔を近づけてくる。
『もう大丈夫だと思います。多分、色々あってその疲れが出たんだと思います』
宇「・・・そうか。雛鶴達も来てるから、話ができそうなら会ってやってくれな」
『えっ、そうなんですか?何だか、色んな人に心配を掛けてしまって・・・申し訳ないです』
倒れてから2日目。
私は蝶屋敷で入院中だった。
さっきまで悲鳴嶼さんと玄弥くん、義勇さんまでお見舞いに来てくれていた。
熱も下がってたし、怪我も大した事ないのに・・・
宇「まぁ、それだけ皆から可愛がられてるってこった!俺も顔見て安心したわ!」
『宇髄さん・・・』
頭をくしゃりと撫でられ何だかくすぐったい気持ちになる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
し「如何でしたか?」
宇「如何も何もいつもの美桜だったが?」
本人も言ってたが怪我も大した事はなかった。
何故、胡蝶から呼び出されたのか疑問に思っていると
不「おい、美桜が怪我したって聞いたがそんな酷いのか?」
伊「フン、自分の力を過信するから怪我などするんだ」
不死川と伊黒までやってきた。
し「お待ちしてましたよ。お二人とも。美桜さんに会う前にお願いがあるのですが・・・」
さっきの俺にした様に胡蝶が二人にある指示を出す。
不「ハァ!?何でそんな事しなきゃならねぇんだよ!」
伊「全くもって同感だ。俺は断る。」
全力で拒否する。
まぁ、確かにこいつらはそんな柄じゃねぇよな。
し「他の皆さんは協力して下さいましたよ?大事な診察なんです」
不「意味わかんねぇ・・・」
伊「あいつがどうなろうと俺には関係ない。帰らせてもらう」
伊黒が踵を返す。
し「煉獄さんがお困りなのですよ。ここは一つ、彼を助けると思って。ね?」
伊「・・・杏寿郎が」
し「はい!」
伊黒が渋々戻ってくる。
胡蝶。こいつは本当に人を動かすのが上手いな。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『ん〜♡美味し〜』
須「でしょ〜!ここの大福はすぐ売り切れちゃうのよ」
ま「食欲もあるみたいで安心したよ」
『本当に、こんな軽い怪我でわざわざお見舞いに来てもらってすみません・・・』
雛「気にしないで。私達も美桜さんに会いたかったのよ」
お姉様達♡
この優しさにジーンと感動していると
再び扉が開き、実弥さんと伊黒さんが入ってきた。
不「よぉ」
伊「・・・・・・」
『えっ、お2人もお見舞いに来てくれたんですか?』
実弥さんはともかく、伊黒さんは意外だった。
不伊「・・・・・・」
ーーお2人にお願いしたい事は3つです。
1つ目は・・・ーー
不「怪我・・・大丈夫かァ」
伊「・・・・・・」
『は、はい・・・』
え、何か2人とも睨みつけてくるんだけど・・・
お見舞いにきてくれた。ん、だよね???
めっちゃ血管浮いてるよ。怖!!
し(目を合わせて見つめて欲しいとお願いしたのですが・・・)
ーー2つ目、美桜さんに触れてくださいーー
ズンズンと近づいてきたかと思ったら実弥さんに頭を思い切り鷲掴みにされた。
『!!?』
ま「ちょっ!何を・・・」
須「美桜ちゃんは病人ですよっ!?」
まきをさん達が抗議の声をあげてくれるが、
不「熱も出したんだってなァ・・・」
目が血走ってますけど・・・
怒ってる・・・?
『あ・・・はい。でももう大丈ぶっ!?』
今度は伊黒さんの手が私の両頬を挟むように掴む。
ーー3つ目、そのまま顔を近づけて美桜さんに話しかけて下さいーー
伊「・・・死ななかった事は褒めてやる。だが調子に乗るなよ。貴様が人の命を救おうなど100年早い」
『・・・ふぁい・・ふみまふぇん・・・』
何なの、これ??
心配されてるのか、シメられてるのか良く分からない・・・
不「・・・・・・」
伊「・・・・・・」
『・・・・・・???』
そしてそのまま沈黙。
私は頭と頬を鷲掴みにされたまま訳がわからない。
相変わらず睨みつけてくる2人に視線が泳いでしまう。
すると、耐えられなくなったように実弥さんが
不「〜〜ッ!!おい胡蝶!!言われた事はやったぞ!」
と叫ぶと、しのぶさんと宇髄さんが部屋に入ってくる。
し「う〜ん、思ってたのと違いましたが・・・まぁ良いでしょう」
伊「こんな事に一体何の意味があるのだ?」
し「はい。ここで煉獄さんの登場です」
そう言ったかと思うと煉獄さんが静かに部屋に入ってきた。
煉「・・・・・・」
バチッと目が合う。
『ッ!!』
心臓が大きく波打つ。
煉「美桜・・・」
遠慮がちに近づいてきて、名前を呼ばれる。
『・・・うぁ』
頭がクラクラして、身体中の熱が上がるのがわかる。
宇「美桜!」
私はそのままベッドにバタンと倒れ込んだ・・・
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美桜が急に気を失った・・・
し「・・・と、まぁこういう訳です」
煉獄が声を掛けたり触れると高熱が出て気を失ってしまうらしい。
宇「どういう事だ?まるで・・・!まさか」
し「ええ。美桜さんは血鬼術にかかっている物と思われます」
不「・・・鬼は退治したんじゃねぇのか?」
し「鱗滝さんが美桜さんの元に着いた時、既に鬼の姿は無かったそうです。増援が来たことに気づいてその場から逃げたのでしょう」
伊「妙な血鬼術だな。特定の人物に対して高熱を出して倒れるだけとは」
し「いえ・・・本来は違う術の様ですよ?」
不「あぁ?」
すぐに隊士を数名送った所、殆どの者が返り討ちに遭ってしまった。
その内の1人が命だけは助かり今朝蝶屋敷まで運ばれてきた。
治療を施し、目を覚ますと見舞いに来ていた隊士や恋人に刀を向け斬りかかろうとしたという。幸い胡蝶に動きを封じられ被害はなかった。
その隊士は鎮静剤を打って今は眠っているらしい。
し「どうやら対面した相手に対して憎悪を抱かせる術の様です」
その術にかかった隊士がお互いを攻撃し合った為にほとんど全滅してしまったのだという。
宇「・・・異能の鬼に遭遇して美桜は良く軽い怪我だけで済んだな・・・」
不「ちょっと待て。その術にかかってるなら、煉獄や俺たちに攻撃してくる筈だろォ?どういう事だァ?」
し「ですから、それを確かめる為に皆さんをお呼びしたのです・・・これではっきりしました。」
伊「術が不完全だったのか?」
し「ええ・・・もしくは、美桜さん自身が抗う事で高熱という副作用で現れたか、です」
不「術に抗う・・・」
宇「それも、美桜の隠された力か?」
し「それは分かりませんが・・・私達に対しては普段と変わりなく、煉獄さんにだけ高熱で反応するというのは、美桜さんの中で私たちを傷つけまいと防衛本能が働いているのかもしれませんね」
最愛の人に対して1番強い効果を見せる術らしいので・・・
と付け加えた。
煉獄を傷つける前に、無意識に自分の身体に負荷をかけて術が作動しないようにしているのでは、というのが胡蝶の推測だった。
煉「・・・ならば」
今まで黙っていた煉獄が口を開く。
煉「その鬼の頸を斬ればよいのだな?」
スッと立ち上がる。
こいつ・・・こんな静かに怒りを表現できるんだな。
部屋を出ようとしたその時ーーー
要「杏寿郎サマ!!南南東!!南南東ニ鬼ノ情報アリ!!至急向カワレタシ!!」
煉「!!」
煉獄の鴉が任務を伝えにきた。
煉「断る!!」
要「杏寿郎サマ!?」
煉「俺は北北東に向かわなければならん!!」
宇「いや任務を断るな!!」
煉「しかし!」
宇「美桜の方の鬼は俺が・・・」
行くと言いかけた所、俺にも別の任務が入る。
不「チッ、しゃあねえなァ・・・俺が」
行くと言いかけた所、不死川・伊黒も各々任務の情報が届く。
煉宇不伊「・・・・・・」
し「まぁまぁ、美桜さんの方は新たに隊士が送り込まれた様なので、皆さんはそれぞれの任務に向かってください」
煉「だが、時間がかかればかかるほど、美桜の身体が・・・」
宇「確かに、今は高熱だけだが長引けば他に影響が出るかも知れねぇな」
伊「ならば、自分の任務を終えた者がその鬼を斬りにいけばいいだろう。さっさと行くぞ」
そう言って素早い動きで伊黒は部屋を後にした。
まさか伊黒がそんな提案をするとはな・・・
胡蝶がフフッと笑う。
し「なんだかんだ言って心配なのですね〜。さぁ、美桜さんの事は私がしっかり診ておきますから、皆さんも」
煉「・・・うむ!分かった。美桜の事は頼んだぞ!!」
そして各々の現場へと向かった。
『うぅ・・・』
し「美桜さん?・・・また熱が上がってきましたね。こんなに魘されて、悪い夢でも見ているのでしょうか・・・」
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身体が熱い・・・
鼓動が速くなる。
まるで自分の身体じゃなくなった様な感覚だった。
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・・・顔を上げると、目の前にあの鬼と、男の人、そしてーー私がいた。
あの時の戦う自分の姿が目の前で何度も何度も繰り広げられていた。
飛び出すと同時に腕を斬り落とす。
次は反対の手首。
次の攻撃は躱される。
そして、頸に向かって一突き・・・
『・・・』
こうして俯瞰で見てみると動きに無駄がある事がよく分かる。
『次の攻撃への切り返しが遅い・・・』
「それもあるが、根本的に間違っている」
『!?』
誰?
いきなり入ってきた第三者の声に驚き、そちらの方を向こうとするが身体が硬直したように動けなかった。
『根本的・・・?』
「そうだ。自分で分からないか?」
『・・・・・・』
「何故、最初に頸を狙わなかった?」
『!!』
「命を取るか、取られるかの時に甘えや迷いは許されない。結果お前は自分だけでなく一人の人間を危険に追い込んだ」
『・・・それは』
「この道を選ぶと言うのなら・・・今、“覚悟”を決めるんだ。お前は既に実現する為の力を持っている」
『!・・・あなたは・・・ッ!?』
硬直が溶け、すぐに振り返るがそこにはもう誰の姿もなかった。
『命を取る・・・覚悟・・・』
ー
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『う・・・ハァッ!!』
ガバッと飛び起きる。やはり夢か・・・
肩で息をしながら呼吸を整えていると、しのぶさんが水の張ったタライを持って入ってきた。
し「目が覚めましたか?」
『しのぶさん・・・私・・・』
し「また高熱を出して倒れたのですよ。お加減はいかがですか?」
『熱・・・は、なさそうです』
し「そうですか。だいぶ魘されていましたし、汗もかいて気持ち悪いでしょう?体を拭きましょうね」
水に濡らした手拭いで私の体を優しく拭いてくれる。
そして、私が血鬼術にかけられている事、その術を解くにはあの鬼の頸を斬る事が必要だと教えてくれた。
し「もう少しの辛抱です。今、隊士が鬼退治に向かっていますから」
『・・・杏寿郎さんは?』
し「煉獄さん達柱は別の任務が入ってそちらに。そちらは柱直々に入る指令なので十二鬼月の可能性がありますね」
『十二鬼月って・・・他の鬼と何が違うんですか?』
強い、というのは知ってるけど、見た目で分かるものなのかな
し「十二鬼月には瞳に特徴があるのですよ」
しのぶさんが特徴を説明してくれる。
十二鬼月には下弦と上弦がいて、下弦には下という漢字と壱から陸までの数字が刻まれているという。
『・・・・・・』
し「上弦はまだ見た事がありませんが・・・下弦の鬼は並の隊士では太刀打ち出来ませんが、柱なら何なく倒せますから」
黙ってしまった私を安心させる様に付け加える。きっと煉獄さんの心配をしていると思ったのだろう。
『しのぶさん・・・違うんです。あの、私・・・』
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蜜「この辺りかしら・・・早く先に到着している隊士に合流しなくちゃ!」
新たな指令が入った私は麗の案内のもと入山して暫く駆けていた。
一刻も早く鬼を倒して、美桜ちゃんや隊士の血鬼術を解いてあげないと!!
先の方で鬼の気配を感じ刀に手をかけて飛び出す。
蜜「皆!お待たせ・・・ッ!?」
そこには地に倒れる隊士達の姿。
そして、肉を喰らう鬼の姿があった。
蜜「そ、そんな・・・」
鬼「またやって来たな・・・これはまた上等な女の肉にありつけそうだ」
蜜「ッ!?」
鬼がこちらへと振り向き、目が合う。
どうして、こんな所に・・・
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し「美桜さん!それは確かですか?」
『は、はい・・・私が遭遇した鬼にも瞳に数字が刻まれていました』
さっきの夢の中で見て思い出した。
確か、数字はーーー
『下と、伍・・・』
し「!!わかりました。鴉を飛ばし急いで柱の誰かに向かわせる事にします」
そう言って慌ただしく部屋を出ていった。
『あの鬼が、十二鬼月・・・』
向かった隊士は無事だろうか・・・
祈るような気持ちで窓の外を見上げた。
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蜜「ハァッハァッ・・・」
鬼「中々しぶとい女だなァ・・・」
断続的に続く鬼の攻撃を持ち前の柔軟性で紙一重で交わし続けていた。
早く、誰か加勢にこないかな・・・
そんな事を考えていた。
十二鬼月なんて、私の手には負えないよ・・・
鬼「いつまで逃げ回るつもりだ?そろそろ俺に喰われる覚悟をするんだなァ」
弱音を心の中で吐いた瞬間、私の動きが遅れた
蜜「しまっ・・・」
そこを突くように、鬼の手が私に向かってくる。
間に合わないッ・・・
蜜「ッ・・・・・・?」
思わず刀を握りしめて目を閉じるが、鬼の攻撃が来ない。
そちらへ視線を戻すと、自分の腕を押さえる鬼の姿があった。
鬼「グゥッ!!クソ・・・とっくに再生しているというのにあれから疼きやがる・・・あの小娘・・・やはり何か術を使ったな・・・」
小娘・・・美桜ちゃんの事だわ!
しのぶちゃんが言ってた。
鬼の両腕を斬り落としたって・・・
鬼に隙が出来た。
これを逃すわけにはいかない!
蜜「恋の呼吸、壱の型!初恋の・・・」
鬼「うがあぁあああ!!!」
蜜「きゃっ!!」
技を放とうと近づいた時、鬼が大きく腕を振りその勢いのまま私へと叩きつけてきた。
・・・何て速さ・・・
これがこの鬼の本来の動きなの・・・
刀で受けたものの、相殺しきれず拳が鳩尾に入る。勢いも殺せず後ろの木へ体が叩きつけられる。
蜜「かはっ・・」
鬼「チッ!雑魚が大勢来た所で無駄なんだよ。・・・やはり、あの小娘を消しておくべきだったな」
再び腕を押さえながらそんな事を口走る。
鬼「お前を喰ったら次はあの小娘だ。見つけ出して必ず喰ってやる。そうすればこの術も解けるだろう」
蜜「・・・ッ」
鬼がとどめを刺そうと私に近づいてくる。
駄目・・・
私がやられたら、美桜ちゃんが・・・
蜜「・・・くっ」
鬼「!まだ動くのか・・・無駄だというのに」
そんなの、駄目に決まってるじゃない
蜜「私の、大好きな人達には、指一本触れさせない・・・」
鬼(何だ・・・様子が変わった・・・)
蜜「恋の呼吸、参の型!恋猫しぐれ!!」
鬼「!!」
体が痛む中、無我夢中で技を繰り出す
蜜「恋の呼吸、弐の型!懊悩巡る恋!!」
鬼「がっ!?」
頸が飛んだ
蜜「ハァッハァ・・・」
鬼「クソ・・・あんなに人間を喰ったのに・・こんな、小娘どもに負ける、のか・・・」
体が崩れ、そして消えて行った
蜜「やっ、た・・・。良かったぁ〜美桜ちゃん、守れた・・・」
とうとう立っていられなくなり膝から崩れ落ちる。
私はもっともっと強くなろう。
私の大好きな人たちが傷つけられないように。
隠の人達が近づいてくるのを感じながらそっと瞳を閉じた。
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例の鬼を倒したとしのぶさんの鴉が報告にやってきた。
し「術にかかっていた隊士も正常に戻りましたよ。これで一安心です」
宇「そうか、じゃあ美桜も術が解けてるんだな!」
『・・・あんまり体に変化は感じませんが・・・』
伊「杏寿郎を前にしない事には何とも言えんな」
任務を終えた宇髄さん、伊黒さんも蝶屋敷に戻って来てくれた。
そこにーー
煉「例の鬼を倒したそうだな!!」
煉獄さんが勢いよく入ってきた。
バチッと目が合う。
煉「美桜・・・」
『杏寿郎さん・・・』
しっかりと見つめ返す。
熱は上がらない。術の効果は切れたようだ。
煉獄さんの顔も安心したように綻び、そしてーーー
煉「良かった!!このままだったらどうしたものかと思っていたぞ!!」
『!!!』
勢い良く抱き締められた。
久しぶりのハグ・・・
そして、しのぶさんも、宇髄さんも、伊黒さんも見ている。。。
こ、こんな皆の前で・・・
煉「?・・・美桜!?どうした!よもやまだ術が解けていないのか!!」
私は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして気を失いかけた。
宇「・・・いや、いつもの美桜だろ」
伊「ふん。くだらん・・・俺は帰るぞ」
し「あらあら。自分の任務の後にわざわざ立ち寄っておいて、伊黒さんも素直じゃないですねぇ」
宇「つーか煉獄、そろそろ美桜を離してやれよ。息してねぇだろ」
煉「む!美桜!!大丈夫か!?」
宇「だから離せっての!!」
そんないつもの煉獄さんと宇髄さんのやりとりが暫く続いていた。
そして、私の謹慎生活が始まる事になる。