寸進と弟
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『えっ、なんで・・・』
今日は雛鶴さんたちに初めて訓練をつけてもらう日。
道場に雛鶴さん、まきをさん、須磨さんが来てくれた。
何故か、煉獄さんと宇髄さんもいる。
煉「俺は美桜を全力で応援すると決めているからな!!訓練も応援するのは当然だ!!」
宇「俺は任務まで時間あるし、面白そうだから見に来てやったぜ!」
成る程。
全力の応援と全力の冷やかしですか。
・・・やりにくいよ
雛「とりあえず、今の美桜さんの身体能力を確認させてもらいますね」
それから私は、いくつかの動きを指示され従っていく。
目を閉じて片足で立ち続けるとか、うつ伏せ状態から合図で立ち上がってダッシュとか、
いわゆる体力測定を一通りこなしていった。
後から聞いた事だけど、平衡感覚とか瞬発力とか、そう言った事をチェックしていたらしい。
もちろん私は今出せる全力の力を出して臨んだ。
須「・・・」
ま「・・・」
煉「・・・」
宇「・・・」
皆無言で見守っている。
なんか、怖いよ・・・私、どうなの??平均値いってるのかな???
雛「・・・では、次で最後です」
木剣を渡される。
雛「これで素振りをしてください」
『・・・はい』
木剣の感触と道場の空気感。
何故か懐かしい気持ちになる。
私は息を整えて、正眼に構える。
宇「!」
そしてゆっくりと持ち上げた木剣をまっすぐ振り下ろす。
煉「・・・・・・」
雛鶴さんからの合図があるまで素振りを続けた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『ハァッハァッ・・・どうですか?』
全ての項目を終え、雛鶴さんたちの方を見る。
雛「そうねぇ・・・」
ま「まぁ・・・」
須「なんて言うか・・・」
宇「・・・あー、」
煉「うむ!驚くほどに持久力がないな!!」
『!!!!』
宇「いやお前少しは言葉を選べよ!!」
煉「む。すまん!」
『いえ・・・体力ないのは自覚してますし・・・』
勿論持久力だってないでしょう・・・
煉「だが、一瞬の平衡感覚や瞬発力はある!そして素振りの型が美しかった!!」
『えっ』
宇「そうだな。その辺の隊士より素振りは良かったんじゃねえの」
『ほ、本当ですか・・・』
褒められた。
嬉しい。
煉「ああ!だがそれを持続する力がない!」
『・・・・・・はい』
一回落として、持ち上げてからまた床に叩きつけられる。
ま「ま、まぁこれで美桜の訓練の方向性は見えたね」
須「そうね!とにかく体力をつけましょう」
雛「ええ。基本は体力づくりをして美桜さんの体力に見合った技術を身につけていきましょうね」
『は、はい!お願いします!!』
そして明日からの自主訓練の内容を告げられる。来週は雛鶴さんが見に来てくれるそうだ。
雛「じゃあ今日はここまでね。私達は帰りましょうか」
『あっ、待ってください!』
ま「どうした?」
『せっかくなので、お昼を召し上がって行ってください。この間のお礼も兼ねて。』
須「えっ!本当?嬉しいわぁ!」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ま「美味しい!」
雛「本当。美桜さんお料理上手ね」
『本当ですか?えへへ、嬉しいです』
同性の、しかも美人さんたちから褒められてとっても嬉しいなぁ。
須「これならいつでもお嫁に行けるわね!ね、煉獄様!」
『がふっ!』
須磨さんの爆弾発言にお味噌汁が変なとこに入る。
美味い美味い!と食べていた煉獄さんもピタリと食べるのを中断して
煉「うむ!俺はいつでも大歓迎だ!!」
宇「だってよ。美桜」
めっちゃ爽やかに答える。
そしてその様子をニヤニヤしながら見てくる宇髄さん・・・
もう
穴があったら入りたい・・・
宇「さて、俺はそろそろ任務に向かうかね。美桜、飯美味かった。ありがとな」
『は、はい・・・。お気をつけて』
宇髄さんと一緒に雛鶴さんたちも帰って行った。
入れ替わる様に、煉獄さんに訓練をつけてもらう隊士さん達が屋敷を訪れる。
今日は人の出入りが多いなぁ。
お昼の後片付けをして、家の用事を手早く済ませる。
私も今夜、任務同行があるのでゆっくりはしていられない。
一通りの家事を終え、お茶を差し入れる為道場に入る。
『!!』
炎の呼吸、弍ノ型、昇り炎天!
煉獄さんが、隊士さんたちに炎の呼吸の技を見せていた。
・・・綺麗な型・・・
そして、かっこいい・・・!
隊士達「「「キャーッ!」」」
かっこいい!
と、この前煉獄さんと食事に行ったおねーさん達が喜んでいる。
煉「炎の呼吸を扱うには体の重心が大切だ。体幹を鍛えておく必要がある!」
隊「はい!・・・あのぉ、もう一回見せて下さい」
煉「む。またか。よし、よく見ておくのだぞ!」
技を出す煉獄さん。
歓喜の声を上げる女性隊士たち。
『・・・・・・』
・・・何だか、上手く言えないけど・・・
すっっっごく嫌だ!!!
何でだろう・・・
ヤキモチとは違うような、不快な感情が胸の奥でグルグルしていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
夕刻になり、出掛ける準備をした私は再び道場に顔を出す。
変わらず訓練を見ている煉獄さんの所へ行く。
『杏・・・煉獄さん。私そろそろ行きますね。お夕飯の準備出来ているので警備に行く前に食べて行って下さいね』
煉「む、もうそんな時間か!!ありがとう美桜。」
等「・・・・・・」
すると煉獄さんは等々力さんへの訓練の手を止めて、道場を出て玄関先まで見送りに来てくれた。
煉「美桜。怪我をしないように気をつけて行くのだぞ!」
優しく抱きしめられる。
『はい・・・杏寿郎さんも。』
煉「・・・・・・」
煉獄さんの手が、私の頬に触れる。
私も視線を上げて煉獄さんを見つめる。
煉「・・・美桜」
『・・・杏寿郎さん』
し「あらあら、玄関先でお熱いですね」
煉「!?」
『! しっしのぶさん!?』
何でここに!?
し「今日の任務同行は私と不死川さんなので、美桜さんを迎えに来たのですが・・・お邪魔だったようですね」
『やっ!邪魔だなんてそんな・・・(最近こういうとこ見られるの多いな・・気をつけよう)』
煉「・・・(何故いつも邪魔が入るのだ・・・)今日に限って何故迎えに?」
確かに、いつもは自分で集合場所まで向かっているのに・・・
し「(煉獄さん、本音が言葉に出ちゃってますよ)それが・・・最近この周辺の治安があまりよろしくない様なので、明るい時間でも美桜さんの様な女性を一人で歩かせるのは些か危険かと思いまして」
しのぶさんの話だと、町中では置き引きやスリなどの犯罪や暴力沙汰など、色々な事件が起こっているらしかった。
『そうだったんですね・・・知りませんでした』
鬼だけじゃなくて、悪い人間にも気をつけないといけないんだなぁ・・・
煉「そうだったのか!それは俺も知らなかった!!訓練生の中には女性も多いからな。気をつける様伝えておこう!」
『・・・・・・』
また胸がチクリと痛む。
しのぶさんは、道場の方へチラリと視線を送る。
し「・・・そうですねぇ。遅くならない時間に切り上げて帰してあげた方が良さそうですね」
では、行きましょうか。
としのぶさんに促され、家を出た。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
不「・・・何だァ、その面は」
『えっ?私変な顔してました??』
不「・・・自覚ねぇのか」
し「美桜さんは煉獄さんが他の女性に優しく接する事に嫉妬しているのですよね?」
『っ!!』
不「ハァ?・・・くだらねぇなァ」
『・・・そうですよね』
本当にくだらない。
煉獄さんは皆に優しいだけ。
だけど・・・
し「煉獄さんの事を好いている女性に優しくしているのが嫌なんですよね?」
『!?』
そうか・・・
しのぶさんや蜜璃ちゃんの時は何とも思わないのに等々力さんや、隊士のおねーさん達に煉獄さんが接する姿を見てイライラしていたのはそういう事か・・・
不「あいつはいつも通り訓練つけてやってるだけだろ?」
し「そうですねぇ。指導熱心なのはとても良い事ですが・・・」
その立場を利用しようとする方もいらっしゃるみたいですし。
と、付け加える。
『・・・??』
立場を利用するってどういう事だろ?
不「・・・お喋りはここまでだ。おい美桜。その辺に隠れとけェ」
『はっ、はい!』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
煉「よし!今日はここまでにする!!皆気をつけて帰る様に!」
隊1「え〜もうお終いですか?」
隊2「いつもより時間が早くないですか?」
煉「うむ。最近この辺りは物騒な事が多いらしい!皆も隊士とはいえ女性だ!あまり遅くなっては危ないからな!」
隊3「煉獄様・・・私達の心配をしてくれるなんて・・・」
キャーッ
優しい
と声を上げる。
胡蝶の受け売りだがな!
隊士達は帰り支度をして帰って行く。
俺も、夜の警備に備えて美桜の作ってくれた夕食をいただくとしよう。
と、道場を出ようとした時ー
等「あの、煉獄様・・・お願いがあります」
煉「む?何だ・・・?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
隠の3人と茂みに潜みながら、今日の事を思い返していた。
隊士達に催促されて、技の型を何度も披露していた煉獄さん・・・
でも、あの人達は、煉獄さんのかっこいい姿を見たかっただけで、誰も技を覚えようなんてしてなかった・・・
あんなに、熱心に教えてくれているのに・・・
そう思うとまた胸の奥がグルグルする。
そして、煉獄さんが技を出す時の姿を思い出す。
技を出す前、呼吸が変わるんだよなぁ・・・
うろ覚えだったけど、煉獄さんのしていた呼吸を真似してみる。
『っ!!・・・ゴホッゴホッ!!』
思いっきりむせた。
後「美桜さん!?大丈夫ですか?」
東「具合でも悪いのですか?」
中「無理しないで休んでて下さい。」
隠の3人が慌ててやってきて背中をさすってくれた。
『や・・何でもないんです・・・ごめんなさい』
何、この呼吸法・・・
身体への負担が凄い!!
煉獄さんって、こんな事平気な顔してやってるんだ・・・
改めて、凄いと思った。
そして、いつもの様に鴉が鬼の情報を伝えに来て実弥さんが鬼の頸を斬った。
風の呼吸、壱ノ型、塵旋風・削ぎ!
『・・・・・・』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『すみません、送ってもらっちゃって』
不「大した事じゃねェ。気にすんなァ」
鬼を退治した帰り道、私は実弥さんと歩いていた。
東の空が薄ら明るくなってきている。
煉獄さんももうすぐ帰ってくるかなぁ。
不「・・・まだ思い出さねぇのか?」
『・・・はい。でも、』
不「?」
『今まで、斬られる鬼の事ばかり見ていたのですが・・・今日は初めて実弥さんが斬る時の様子を見てみたんです』
不「あァ?・・・それで?」
『技を出す前の呼吸?を改めて見た時・・・私にも覚えがあるような・・・そんな気がして』
不「・・・そういえば、前に悲鳴嶼さんがアンタの力を見た時、風を感じたとか言ってたなァ」
もしかして、風の呼吸の使い手か?
と聞かれるけど
『うーん・・・なんとも。さっきの実弥さんの呼吸を真似して見たけどしっくり来なかったというか・・・でも煉獄さんの呼吸よりは苦しくなかったんですよねぇ』
不「・・・・・・」
自分なりに分析していると実弥さんが急に黙ってしまう。
『実弥さん?』
不「いや・・・アンタも記憶の事真面目に考えてんだな・・・普段は色ボケたことばっかり言いやがるから意外でよ」
『わっ、私だってちゃんと考えてますよ・・・』
失礼ですね!と頬を膨らませると、
不「ハハッ!悪かったなァ」
と、笑って私の膨らんだ頬を指でつつく。
実弥さんの笑顔!!初めてだ!
いただきました!!!
煉「美桜?・・・不死川」
急に煉獄さんの声が聞こえて、私と実弥さんは振り返る。
そこにーーー
少し眉間に皺の寄った煉獄さんの姿。
そして、隣には等々力さんの姿があった。
『っ!!・・・煉獄さん。警備の帰りですか?』
煉「・・・うむ!美桜も無事に任務を終えたのだな!!」
・・・何で、等々力さんがいるんだろう・・・
煉「不死川!美桜を送ってくれたのか!ありがとう!!だが、美桜に触れるのは感心しないな!」
不「あァ!?・・・テメェこそ、警備に何で女隊士を連れ回してんだよ」
煉「ん?等々力の事か?実はな・・・ーーーー
ーーーあの、煉獄様・・・お願いがあります
煉「む?何だ・・・?」
等「私に、個人的に稽古をつけていただけないでしょうか?」
煉「何故だ?」
等「・・・もっと、強くなりたいんです。」
煉獄様のように。
そして、鬼から沢山の人を救いたいんです!
煉「・・・うむ、そうか。分かった!」ーーーーー
ーーーーー
煉「と言う訳で、警備の時間になるまで稽古をつけていてな!そのまま警備にも同行したいと申し出があったので行動を共にしていたのだ!」
等々力は熱心な訓練生だ!
と笑顔で話す煉獄さん。その手は彼女の肩にポンと乗る。
等々力さんも嬉しそうに頬を赤らめ、私に視線を向けてくる。
『!!』
2人の距離が・・・近い・・・
また泣きたくなってくる。
ーその立場を利用しようとする方もいらっしゃるみたいですしー
不(成る程なァ。胡蝶が言ってたのはこの事か)
『・・・・・・』
あれから、今までずっと二人っきりでいたんだ・・・
警備の時間まで稽古をしていたのなら、私の作った食事も手をつけていないのだろうな・・・
煉「このまま等々力を自宅まで送ってから帰ろうと思っていた所だ!美桜も一緒に・・・」
『いえ、私の事は実弥さんが送ってくれますので!』
お気になさらず!先に帰ってます!
と、実弥さんの腕を強引に引っ張って歩きだす。
煉「美桜っ!?」
等「・・・婚約者様怒ってました・・・私、強くなりたいだけなのに・・・」
煉「・・・・・・」
『・・・・・・』
ああっ
またやってしまった・・・
すっごい感じ悪い事を!!
不「・・・おい・・・腕が痛ェ」
『あっ!・・・ごめんなさい・・・』
慌てて手を離す。
そうだ・・・関係ない実弥さんまで巻き込んでしまった・・・
不「・・・何我慢してんだよ」
『・・・だって・・・』
さっきの、私に向けた顔・・・
等々力さんは煉獄さんの事が好きなんだと思う。
でも純粋に強くなりたい気持ちも本当かもしれない・・・
煉獄さんがあの子を受け入れているのに、やめてなんて言えないよ・・・
不「・・・ハァ」
実弥さんが大きなため息を吐く。
まぁ、呆れるよね。
不「アンタさぁ、思ってる事があるなら本人に伝えろよ。後悔しても遅えんだぞ」
『え・・・後悔・・・?』
不「俺たちは鬼殺隊だァ。そして柱でもある。一度任務に出たら生きて帰れる保障なんてねぇんだぞ」
『!』
不「死んだら、伝えたくても伝えられなくなる」
『・・・』
不「言うか言わないかはアンタ次第だが・・・後悔すんなよォ」
家の前に着き、頭をポンと一回撫でて実弥さんは帰って行った。
『・・・・・・』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから数週間。
表面上はいつもと変わらず、私は自分の訓練や家事に追われ煉獄さんも任務や隊士の面倒を見ていた。
今日の任務同行は久しぶりに煉獄さんと一緒だった。
一緒に集合場所まで向かっている。
『・・・・・・』
煉「・・・・・・」
・・・気まずい。
ここ最近は2人っきりになる事なんて殆ど無かった。
久しぶりの2人だけの空間に何を話せばいいのか分からない。
早く、集合場所に着かないかな・・・
煉「・・・美桜」
『っ!・・・はい』
名前を呼ばれてピクッと反応してしまう。
煉「・・・俺は」
等「煉獄様ー!!」
煉「!!・・・等々力」
『・・・・・・』
何かを言いかけていたのに、等々力さんの登場で辞めてしまった。
等「今日の任務は私も一緒なんです!よろしくお願いします!!」
煉「む。そうか!」
等「煉獄様、この前教えていただいた型なんですけど・・・」
煉「む?どうした・・・」
そして、訓練の話が始まってしまった為、私は下を向いて黙って歩き続けた。
冨「・・・美桜」
『何ですか?』
冨「・・・良いのか?」
『・・・・・・』
集合場所に着いて、早速山を登っている訳だけど、相変わらず煉獄さんは等々力さんと訓練の話に夢中だ。
たまにこっちをチラリと見るけど、すぐ前を向いてしまう。
私がちゃんと着いてこられているか確認しているんだろうな。
あと、また距離感近いんだよ・・・
等々力さんと煉獄さんの肩がぶつかるくらい近い・・・
2人のそんな姿を、後ろから見ているのは辛かった。
鬼の出没地点まで到着した為、待機している。
煉獄さんと義勇さんは二手に別れて捜索に向かった。等々力さんは、もちろん煉獄さんと同じ方へ消えて行った・・・
・・・煉獄さんにとって私って、なんなんだろう・・・
いや、これは任務だし!仕事だし!
悶々としてはそれを振り払うかのように首を横に振る。
そんな様子を見ていた隠のいつメンが心配する。
後「美桜さん・・・いいんですか、アレ」
『いいも悪いも・・・任務だし・・・』
東「それはそうなんですけど・・・」
中「美桜さんが元気ないと俺たちも心配です」
『・・・そうだね、ごめんね!気持ち切り替える!!』
東「・・・美桜さん」
そう、今は任務に集中!!
鴉の情報の後、鬼をまっさきに追いかけて来たのは等々力さんだった。
等「覚悟!!」
鬼に勇敢に攻撃をしていく等々力さん、カッコいい・・・
私は固唾を呑んで見守っていた。
『あっ!』
すると鬼の攻撃によって等々力さんの日輪刀が弾かれ手から離れてしまう。
『危ない・・・っ!?』
丸腰状態になった等々力さんの元へ飛び出そうとする私を隠の3人が止めにかかる。
後「危ないですよ!何考えてるんですか!!」
『だって、このままじゃ・・・』
彼女が危ない・・・
鬼が等々力さんに近づき手を振り降ろす
私は咄嗟に目を瞑ってしまうーーーー
カキィン!!
金属音がする。
目を開けると、
等々力さんを庇うように煉獄さんが鬼の攻撃を防いでいた。
『・・・・っ!』
良かった。
間に合ったんだ・・・
安堵するのと同時に胸がチクリと痛む。
・・・駄目だ、こんな時までヤキモチ妬くのは、不謹慎だ・・・
冨「水の呼吸、参ノ型、流流舞い」
義勇さんの技で鬼の頸が飛ぶ。
これで今日の任務は終わった。
私は茂みから出て行く。
煉「等々力、大丈夫か?」
等「あ・・・煉獄様・・・私・・・」
等々力さんの体を支えている煉獄さん。
煉獄さんの羽織を震えながら掴んでいる等々力さん。
2人の姿に足が止まってしまう。
『・・・・・・』
冨「・・・怪我をしたのか」
等「あ、足を挫いてしまったみたいで・・・それに・・・」
怖かった・・・
と、煉獄さんにしがみつく。
煉「・・・無理して鬼に近づきすぎだ。ここには俺も冨岡もいたのだ。君がそこまでする必要はなかった」
等「はい・・・すみません」
煉「だが無事で何よりだ!」
慰める様に、等々力さんの頭をポンポン撫でる。
『・・・・・・』
ー思ってる事があるなら本人に伝えろよ。後悔しても遅えんだぞー
等「はい・・・あの、また個人的に訓練をつけてくださいますか?」
煉「む?それは・・・」
『嫌です』
煉「!?」
等「・・・え?」
私の言葉に2人だけじゃなく、義勇さんも隠の3人も驚いた様子で見てくる。
『煉・・・杏、杏寿郎さんは私の婚約者なのでっ!個人的にとか、そういうのは、い、嫌ですっ』
顔を真っ赤にして、煉獄さんの羽織を掴む。
言った!
言ったよ、実弥さん!!
煉「・・・美桜」
『あっあと、あんまり杏寿郎さんにくっつかないで下さい・・・』
冨「・・・・・・」
義勇さんが煉獄さんの所まで歩み寄り、等々力さんの腕を掴んで立ち上がらせる。
等「っ!?」
冨「・・・俺は報告に行く。ついでにこの隊士を胡蝶の所へ置いてくる。」
後「いや!水柱様、隊士を運ぶのは俺たちが・・・」
冨「・・・この先の山小屋に、鬼の被害に遭った者がいる。隠の者は弔いに行って欲しい」
中「!分かりました」
後藤さん達はすぐに山小屋へと向かって行った。
義勇さんも等々力さんを小脇に抱えて山を降りて行った。
私は煉獄さんと2人、山を降りて麓まで戻ってきた。
煉獄さんはあれからずっと黙ったままだ・・・
怒ってるのかな
そうだよね、皆の前で我が儘言ったんだもん。
しかも、熱心に強くなろうとしている人を否定するような言い方・・・
嫌われてもおかしくないよね・・・
"美桜、婚約の話は無かったことにしよう"
変な幻聴まで聞こえてきた。
ー美桜・・・ー
実弥さん・・・
ー美桜ー
言って後悔のパターンもあるんですね・・・
煉「美桜!」
『っは!?・・・杏寿郎さん・・・』
煉獄さんに肩を掴まれて吃驚する。
煉「・・・すまん。何度呼んでも返事がなかったので思わず声を荒げてしまった」
『あ・・・ごめんなさい・・・』
煉「・・・先程の、等々力との事だが」
『あ、あれは・・・』
私の我が儘だから気にしないでって言わなきゃ
煉「すまない!」
『・・・え?』
煉「美桜があんなに傷付いていたとは・・・いや、気付いていたのに何も対処しなかった俺が悪かった」
『・・・杏寿郎さん・・・あれは私の我が儘です』
煉「本心だろう?」
『う・・・はい・・・』
煉「不安にさせて、すまなかった」
『〜杏寿郎さんっ!』
煉「!!」
眉を下げて優しい眼差しを向けてくれる。
私は煉獄さんに自分から抱き着いていた。
身体が、自然と動いていた。
煉「・・・外だぞ?」
『・・・今は2人っきりです・・・』
煉「むぅ・・・」
煉獄さんが戸惑ってる。
いつもと立場が逆転してるみたい。
煉「・・・美桜」
こっちへ、と腕を引かれる。
近くにあった神社の境内に来た。
『?』
煉「ここなら、邪魔は入らないだろう」
『??』
煉「美桜・・・先に進んでも、良いだろうか?」
グッと腰に手を回され煉獄さんに抱き寄せられる。
そしてもう片方の手は私の頬に触れる。
『っ!!』
今!?
ここで!?
『・・・外ですよ?』
煉「今は2人っきりだろう?」
『っ!!』
はいブーメラン!!
煉「それに、寝ている俺の頬にはしてくれただろう?」
『っ!!?えっ!?』
何で!?
何で知ってるの!?
ーーーーそう、嵐のあの夜。
千ちゃんと寝てしまった煉獄さん。
私は立ち上がって部屋を出ようと戸の前まで行って、もう一度振り返り
そっと眠っている煉獄さんに近寄って
『杏寿郎さん・・・おやすみなさい』
頬に口付けをして、部屋を後にした
ーーーー
『なんっなんで知って・・・えっ!?起きてたんですか!?』
漫画のように取り乱す私に
煉「眠っていたが、美桜が近づいてくる気配で起きた!」
ギャーッ!!
ギャワワーッ!!!
『ごっごめんなさいごめんなさい!睡眠を妨害して、あと寝込みを襲ってごめんなさい!!』
穴があったら入りたい!
ていうか今から穴掘ろうかな!!
煉「まさか美桜があのような大胆な行動をするとは思わなかったから驚いた!先程もだ!」
改めて言われると・・・
確かに、皆の前で独占欲丸出しの台詞を吐くは、外で抱き着くとか・・・
寝込みを襲うとか・・・
破廉恥極まりない!!!
『き・・・嫌いになった・・・?』
煉「!!」
眉を下げ、煉獄さんを見上げる。
すると私の肩に煉獄さんの頭が乗る。
『??杏寿郎さん・・・』
煉「全く・・・どれだけ俺を煽れば気が済むのだ?」
『えっ?』
煉「・・・まだ君の了承を得ていないが・・・俺が我慢の限界だ」
再び頬に手を添えて、煉獄さんの顔が近づいてくる。
心臓が壊れるほど音を立てる。
『杏寿郎さん・・・待って・・・』
煉「待たない」
『うっ・・・見られてます・・・』
ピタッと動きが止まる。
煉「・・・誰にだ?」
『・・・か、神様・・・神様が、見てます・・・』
心の準備が整っていない私は苦し紛れの言い訳をする。
ここは神社の境内だから、本当に神様が見てるかもしれない・・・
煉「・・・・・・」
煉獄さんも考え込むような顔をしている。
良かった。
外じゃなくて、誰も見てないせめてお家で・・・
煉「ならば見せつけてやろう」
『えっ』
言ったかと思うと、次の瞬間
視界いっぱいに煉獄さんの顔。
唇にあたる柔らかい感触ーーー
『・・・・・・』
いきなりの事に目を瞑るタイミングを逃してしまう。
煉獄さんの凛々しい眉・・・
長いまつ毛・・・
目を離せないでいると形の良い瞼が薄ら開く。
煉「・・・美桜は目を開けたままするのだな」
『やっ、ちがっ・・・!?』
煉獄さんの言葉に弁解をしようと口を開くと、再び口付けを落とされる。
今度は私の下唇を煉獄さんの唇が優しく甘噛みしてくる。
『・・・んっ・・・ふぅ・・』
少し開いた唇から声が漏れる。
段々と頭がクラクラして、膝に力が入らなくなってくる。
煉「・・・・・・!!」
『・・・?』
暫くすると、唇が離れて行く。
息が上がったまま目を開いて煉獄さんを見上げると目を逸らされてしまう。
『・・・杏寿郎さん?』
煉「むぅ・・・そんな顔で見つめられてはこれ以上止まらなくなるぞ・・・」
『!?』
顔を赤くして視線を外す煉獄さん。
エッロ!!
色気が半端ないです・・・
煉「・・・家に帰ろうか」
『は、はい・・・あっ!』
煉「! どうした?」
煉獄さんから離れようとするがまた胸元にしがみつく形になる。
『・・・ちょっと、足に力が・・・』
煉「・・・そうか。刺激を与えすぎてしまったか」
そう言ったかと思うと身体が宙に浮く。
煉「ではこのまま帰るとしよう!」
陽が上り始める道を煉獄さんに抱かれながら帰る。
煉「美桜、もう君を不安にさせる様な事はしない」
『・・・はい』
抱かれるのとは別の浮遊感を感じながら家路に着いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー後日ー
隊1「煉獄様〜今日も訓練お願いします」
煉「うむ!今日からは君たちに遠慮はしない!全力で訓練に臨むぞ!!」
隊2「えっ」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
等「ハァ、ハァ・・・煉獄様・・・少し休憩を・・・」
煉「まだまだだ!!今までは女性だと思って手加減をしていたが強くなりたい君たちに対して失礼だったな!!これからは男女関係なく平等だ!!素振り1000本、始め!!」
隊士達「ヒィ〜〜ッ!!!!!」
こうして、煉獄さん目当てのファン隊士はもちろんの事、等々力さんまでもが訓練に参加しなくなった。
炎柱の稽古は死ぬほど厳しいという噂も広まり継子はおろか弟子にして欲しいという者も現れなくなった・・・
今日は雛鶴さんたちに初めて訓練をつけてもらう日。
道場に雛鶴さん、まきをさん、須磨さんが来てくれた。
何故か、煉獄さんと宇髄さんもいる。
煉「俺は美桜を全力で応援すると決めているからな!!訓練も応援するのは当然だ!!」
宇「俺は任務まで時間あるし、面白そうだから見に来てやったぜ!」
成る程。
全力の応援と全力の冷やかしですか。
・・・やりにくいよ
雛「とりあえず、今の美桜さんの身体能力を確認させてもらいますね」
それから私は、いくつかの動きを指示され従っていく。
目を閉じて片足で立ち続けるとか、うつ伏せ状態から合図で立ち上がってダッシュとか、
いわゆる体力測定を一通りこなしていった。
後から聞いた事だけど、平衡感覚とか瞬発力とか、そう言った事をチェックしていたらしい。
もちろん私は今出せる全力の力を出して臨んだ。
須「・・・」
ま「・・・」
煉「・・・」
宇「・・・」
皆無言で見守っている。
なんか、怖いよ・・・私、どうなの??平均値いってるのかな???
雛「・・・では、次で最後です」
木剣を渡される。
雛「これで素振りをしてください」
『・・・はい』
木剣の感触と道場の空気感。
何故か懐かしい気持ちになる。
私は息を整えて、正眼に構える。
宇「!」
そしてゆっくりと持ち上げた木剣をまっすぐ振り下ろす。
煉「・・・・・・」
雛鶴さんからの合図があるまで素振りを続けた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『ハァッハァッ・・・どうですか?』
全ての項目を終え、雛鶴さんたちの方を見る。
雛「そうねぇ・・・」
ま「まぁ・・・」
須「なんて言うか・・・」
宇「・・・あー、」
煉「うむ!驚くほどに持久力がないな!!」
『!!!!』
宇「いやお前少しは言葉を選べよ!!」
煉「む。すまん!」
『いえ・・・体力ないのは自覚してますし・・・』
勿論持久力だってないでしょう・・・
煉「だが、一瞬の平衡感覚や瞬発力はある!そして素振りの型が美しかった!!」
『えっ』
宇「そうだな。その辺の隊士より素振りは良かったんじゃねえの」
『ほ、本当ですか・・・』
褒められた。
嬉しい。
煉「ああ!だがそれを持続する力がない!」
『・・・・・・はい』
一回落として、持ち上げてからまた床に叩きつけられる。
ま「ま、まぁこれで美桜の訓練の方向性は見えたね」
須「そうね!とにかく体力をつけましょう」
雛「ええ。基本は体力づくりをして美桜さんの体力に見合った技術を身につけていきましょうね」
『は、はい!お願いします!!』
そして明日からの自主訓練の内容を告げられる。来週は雛鶴さんが見に来てくれるそうだ。
雛「じゃあ今日はここまでね。私達は帰りましょうか」
『あっ、待ってください!』
ま「どうした?」
『せっかくなので、お昼を召し上がって行ってください。この間のお礼も兼ねて。』
須「えっ!本当?嬉しいわぁ!」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ま「美味しい!」
雛「本当。美桜さんお料理上手ね」
『本当ですか?えへへ、嬉しいです』
同性の、しかも美人さんたちから褒められてとっても嬉しいなぁ。
須「これならいつでもお嫁に行けるわね!ね、煉獄様!」
『がふっ!』
須磨さんの爆弾発言にお味噌汁が変なとこに入る。
美味い美味い!と食べていた煉獄さんもピタリと食べるのを中断して
煉「うむ!俺はいつでも大歓迎だ!!」
宇「だってよ。美桜」
めっちゃ爽やかに答える。
そしてその様子をニヤニヤしながら見てくる宇髄さん・・・
もう
穴があったら入りたい・・・
宇「さて、俺はそろそろ任務に向かうかね。美桜、飯美味かった。ありがとな」
『は、はい・・・。お気をつけて』
宇髄さんと一緒に雛鶴さんたちも帰って行った。
入れ替わる様に、煉獄さんに訓練をつけてもらう隊士さん達が屋敷を訪れる。
今日は人の出入りが多いなぁ。
お昼の後片付けをして、家の用事を手早く済ませる。
私も今夜、任務同行があるのでゆっくりはしていられない。
一通りの家事を終え、お茶を差し入れる為道場に入る。
『!!』
炎の呼吸、弍ノ型、昇り炎天!
煉獄さんが、隊士さんたちに炎の呼吸の技を見せていた。
・・・綺麗な型・・・
そして、かっこいい・・・!
隊士達「「「キャーッ!」」」
かっこいい!
と、この前煉獄さんと食事に行ったおねーさん達が喜んでいる。
煉「炎の呼吸を扱うには体の重心が大切だ。体幹を鍛えておく必要がある!」
隊「はい!・・・あのぉ、もう一回見せて下さい」
煉「む。またか。よし、よく見ておくのだぞ!」
技を出す煉獄さん。
歓喜の声を上げる女性隊士たち。
『・・・・・・』
・・・何だか、上手く言えないけど・・・
すっっっごく嫌だ!!!
何でだろう・・・
ヤキモチとは違うような、不快な感情が胸の奥でグルグルしていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
夕刻になり、出掛ける準備をした私は再び道場に顔を出す。
変わらず訓練を見ている煉獄さんの所へ行く。
『杏・・・煉獄さん。私そろそろ行きますね。お夕飯の準備出来ているので警備に行く前に食べて行って下さいね』
煉「む、もうそんな時間か!!ありがとう美桜。」
等「・・・・・・」
すると煉獄さんは等々力さんへの訓練の手を止めて、道場を出て玄関先まで見送りに来てくれた。
煉「美桜。怪我をしないように気をつけて行くのだぞ!」
優しく抱きしめられる。
『はい・・・杏寿郎さんも。』
煉「・・・・・・」
煉獄さんの手が、私の頬に触れる。
私も視線を上げて煉獄さんを見つめる。
煉「・・・美桜」
『・・・杏寿郎さん』
し「あらあら、玄関先でお熱いですね」
煉「!?」
『! しっしのぶさん!?』
何でここに!?
し「今日の任務同行は私と不死川さんなので、美桜さんを迎えに来たのですが・・・お邪魔だったようですね」
『やっ!邪魔だなんてそんな・・・(最近こういうとこ見られるの多いな・・気をつけよう)』
煉「・・・(何故いつも邪魔が入るのだ・・・)今日に限って何故迎えに?」
確かに、いつもは自分で集合場所まで向かっているのに・・・
し「(煉獄さん、本音が言葉に出ちゃってますよ)それが・・・最近この周辺の治安があまりよろしくない様なので、明るい時間でも美桜さんの様な女性を一人で歩かせるのは些か危険かと思いまして」
しのぶさんの話だと、町中では置き引きやスリなどの犯罪や暴力沙汰など、色々な事件が起こっているらしかった。
『そうだったんですね・・・知りませんでした』
鬼だけじゃなくて、悪い人間にも気をつけないといけないんだなぁ・・・
煉「そうだったのか!それは俺も知らなかった!!訓練生の中には女性も多いからな。気をつける様伝えておこう!」
『・・・・・・』
また胸がチクリと痛む。
しのぶさんは、道場の方へチラリと視線を送る。
し「・・・そうですねぇ。遅くならない時間に切り上げて帰してあげた方が良さそうですね」
では、行きましょうか。
としのぶさんに促され、家を出た。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
不「・・・何だァ、その面は」
『えっ?私変な顔してました??』
不「・・・自覚ねぇのか」
し「美桜さんは煉獄さんが他の女性に優しく接する事に嫉妬しているのですよね?」
『っ!!』
不「ハァ?・・・くだらねぇなァ」
『・・・そうですよね』
本当にくだらない。
煉獄さんは皆に優しいだけ。
だけど・・・
し「煉獄さんの事を好いている女性に優しくしているのが嫌なんですよね?」
『!?』
そうか・・・
しのぶさんや蜜璃ちゃんの時は何とも思わないのに等々力さんや、隊士のおねーさん達に煉獄さんが接する姿を見てイライラしていたのはそういう事か・・・
不「あいつはいつも通り訓練つけてやってるだけだろ?」
し「そうですねぇ。指導熱心なのはとても良い事ですが・・・」
その立場を利用しようとする方もいらっしゃるみたいですし。
と、付け加える。
『・・・??』
立場を利用するってどういう事だろ?
不「・・・お喋りはここまでだ。おい美桜。その辺に隠れとけェ」
『はっ、はい!』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
煉「よし!今日はここまでにする!!皆気をつけて帰る様に!」
隊1「え〜もうお終いですか?」
隊2「いつもより時間が早くないですか?」
煉「うむ。最近この辺りは物騒な事が多いらしい!皆も隊士とはいえ女性だ!あまり遅くなっては危ないからな!」
隊3「煉獄様・・・私達の心配をしてくれるなんて・・・」
キャーッ
優しい
と声を上げる。
胡蝶の受け売りだがな!
隊士達は帰り支度をして帰って行く。
俺も、夜の警備に備えて美桜の作ってくれた夕食をいただくとしよう。
と、道場を出ようとした時ー
等「あの、煉獄様・・・お願いがあります」
煉「む?何だ・・・?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
隠の3人と茂みに潜みながら、今日の事を思い返していた。
隊士達に催促されて、技の型を何度も披露していた煉獄さん・・・
でも、あの人達は、煉獄さんのかっこいい姿を見たかっただけで、誰も技を覚えようなんてしてなかった・・・
あんなに、熱心に教えてくれているのに・・・
そう思うとまた胸の奥がグルグルする。
そして、煉獄さんが技を出す時の姿を思い出す。
技を出す前、呼吸が変わるんだよなぁ・・・
うろ覚えだったけど、煉獄さんのしていた呼吸を真似してみる。
『っ!!・・・ゴホッゴホッ!!』
思いっきりむせた。
後「美桜さん!?大丈夫ですか?」
東「具合でも悪いのですか?」
中「無理しないで休んでて下さい。」
隠の3人が慌ててやってきて背中をさすってくれた。
『や・・何でもないんです・・・ごめんなさい』
何、この呼吸法・・・
身体への負担が凄い!!
煉獄さんって、こんな事平気な顔してやってるんだ・・・
改めて、凄いと思った。
そして、いつもの様に鴉が鬼の情報を伝えに来て実弥さんが鬼の頸を斬った。
風の呼吸、壱ノ型、塵旋風・削ぎ!
『・・・・・・』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『すみません、送ってもらっちゃって』
不「大した事じゃねェ。気にすんなァ」
鬼を退治した帰り道、私は実弥さんと歩いていた。
東の空が薄ら明るくなってきている。
煉獄さんももうすぐ帰ってくるかなぁ。
不「・・・まだ思い出さねぇのか?」
『・・・はい。でも、』
不「?」
『今まで、斬られる鬼の事ばかり見ていたのですが・・・今日は初めて実弥さんが斬る時の様子を見てみたんです』
不「あァ?・・・それで?」
『技を出す前の呼吸?を改めて見た時・・・私にも覚えがあるような・・・そんな気がして』
不「・・・そういえば、前に悲鳴嶼さんがアンタの力を見た時、風を感じたとか言ってたなァ」
もしかして、風の呼吸の使い手か?
と聞かれるけど
『うーん・・・なんとも。さっきの実弥さんの呼吸を真似して見たけどしっくり来なかったというか・・・でも煉獄さんの呼吸よりは苦しくなかったんですよねぇ』
不「・・・・・・」
自分なりに分析していると実弥さんが急に黙ってしまう。
『実弥さん?』
不「いや・・・アンタも記憶の事真面目に考えてんだな・・・普段は色ボケたことばっかり言いやがるから意外でよ」
『わっ、私だってちゃんと考えてますよ・・・』
失礼ですね!と頬を膨らませると、
不「ハハッ!悪かったなァ」
と、笑って私の膨らんだ頬を指でつつく。
実弥さんの笑顔!!初めてだ!
いただきました!!!
煉「美桜?・・・不死川」
急に煉獄さんの声が聞こえて、私と実弥さんは振り返る。
そこにーーー
少し眉間に皺の寄った煉獄さんの姿。
そして、隣には等々力さんの姿があった。
『っ!!・・・煉獄さん。警備の帰りですか?』
煉「・・・うむ!美桜も無事に任務を終えたのだな!!」
・・・何で、等々力さんがいるんだろう・・・
煉「不死川!美桜を送ってくれたのか!ありがとう!!だが、美桜に触れるのは感心しないな!」
不「あァ!?・・・テメェこそ、警備に何で女隊士を連れ回してんだよ」
煉「ん?等々力の事か?実はな・・・ーーーー
ーーーあの、煉獄様・・・お願いがあります
煉「む?何だ・・・?」
等「私に、個人的に稽古をつけていただけないでしょうか?」
煉「何故だ?」
等「・・・もっと、強くなりたいんです。」
煉獄様のように。
そして、鬼から沢山の人を救いたいんです!
煉「・・・うむ、そうか。分かった!」ーーーーー
ーーーーー
煉「と言う訳で、警備の時間になるまで稽古をつけていてな!そのまま警備にも同行したいと申し出があったので行動を共にしていたのだ!」
等々力は熱心な訓練生だ!
と笑顔で話す煉獄さん。その手は彼女の肩にポンと乗る。
等々力さんも嬉しそうに頬を赤らめ、私に視線を向けてくる。
『!!』
2人の距離が・・・近い・・・
また泣きたくなってくる。
ーその立場を利用しようとする方もいらっしゃるみたいですしー
不(成る程なァ。胡蝶が言ってたのはこの事か)
『・・・・・・』
あれから、今までずっと二人っきりでいたんだ・・・
警備の時間まで稽古をしていたのなら、私の作った食事も手をつけていないのだろうな・・・
煉「このまま等々力を自宅まで送ってから帰ろうと思っていた所だ!美桜も一緒に・・・」
『いえ、私の事は実弥さんが送ってくれますので!』
お気になさらず!先に帰ってます!
と、実弥さんの腕を強引に引っ張って歩きだす。
煉「美桜っ!?」
等「・・・婚約者様怒ってました・・・私、強くなりたいだけなのに・・・」
煉「・・・・・・」
『・・・・・・』
ああっ
またやってしまった・・・
すっごい感じ悪い事を!!
不「・・・おい・・・腕が痛ェ」
『あっ!・・・ごめんなさい・・・』
慌てて手を離す。
そうだ・・・関係ない実弥さんまで巻き込んでしまった・・・
不「・・・何我慢してんだよ」
『・・・だって・・・』
さっきの、私に向けた顔・・・
等々力さんは煉獄さんの事が好きなんだと思う。
でも純粋に強くなりたい気持ちも本当かもしれない・・・
煉獄さんがあの子を受け入れているのに、やめてなんて言えないよ・・・
不「・・・ハァ」
実弥さんが大きなため息を吐く。
まぁ、呆れるよね。
不「アンタさぁ、思ってる事があるなら本人に伝えろよ。後悔しても遅えんだぞ」
『え・・・後悔・・・?』
不「俺たちは鬼殺隊だァ。そして柱でもある。一度任務に出たら生きて帰れる保障なんてねぇんだぞ」
『!』
不「死んだら、伝えたくても伝えられなくなる」
『・・・』
不「言うか言わないかはアンタ次第だが・・・後悔すんなよォ」
家の前に着き、頭をポンと一回撫でて実弥さんは帰って行った。
『・・・・・・』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから数週間。
表面上はいつもと変わらず、私は自分の訓練や家事に追われ煉獄さんも任務や隊士の面倒を見ていた。
今日の任務同行は久しぶりに煉獄さんと一緒だった。
一緒に集合場所まで向かっている。
『・・・・・・』
煉「・・・・・・」
・・・気まずい。
ここ最近は2人っきりになる事なんて殆ど無かった。
久しぶりの2人だけの空間に何を話せばいいのか分からない。
早く、集合場所に着かないかな・・・
煉「・・・美桜」
『っ!・・・はい』
名前を呼ばれてピクッと反応してしまう。
煉「・・・俺は」
等「煉獄様ー!!」
煉「!!・・・等々力」
『・・・・・・』
何かを言いかけていたのに、等々力さんの登場で辞めてしまった。
等「今日の任務は私も一緒なんです!よろしくお願いします!!」
煉「む。そうか!」
等「煉獄様、この前教えていただいた型なんですけど・・・」
煉「む?どうした・・・」
そして、訓練の話が始まってしまった為、私は下を向いて黙って歩き続けた。
冨「・・・美桜」
『何ですか?』
冨「・・・良いのか?」
『・・・・・・』
集合場所に着いて、早速山を登っている訳だけど、相変わらず煉獄さんは等々力さんと訓練の話に夢中だ。
たまにこっちをチラリと見るけど、すぐ前を向いてしまう。
私がちゃんと着いてこられているか確認しているんだろうな。
あと、また距離感近いんだよ・・・
等々力さんと煉獄さんの肩がぶつかるくらい近い・・・
2人のそんな姿を、後ろから見ているのは辛かった。
鬼の出没地点まで到着した為、待機している。
煉獄さんと義勇さんは二手に別れて捜索に向かった。等々力さんは、もちろん煉獄さんと同じ方へ消えて行った・・・
・・・煉獄さんにとって私って、なんなんだろう・・・
いや、これは任務だし!仕事だし!
悶々としてはそれを振り払うかのように首を横に振る。
そんな様子を見ていた隠のいつメンが心配する。
後「美桜さん・・・いいんですか、アレ」
『いいも悪いも・・・任務だし・・・』
東「それはそうなんですけど・・・」
中「美桜さんが元気ないと俺たちも心配です」
『・・・そうだね、ごめんね!気持ち切り替える!!』
東「・・・美桜さん」
そう、今は任務に集中!!
鴉の情報の後、鬼をまっさきに追いかけて来たのは等々力さんだった。
等「覚悟!!」
鬼に勇敢に攻撃をしていく等々力さん、カッコいい・・・
私は固唾を呑んで見守っていた。
『あっ!』
すると鬼の攻撃によって等々力さんの日輪刀が弾かれ手から離れてしまう。
『危ない・・・っ!?』
丸腰状態になった等々力さんの元へ飛び出そうとする私を隠の3人が止めにかかる。
後「危ないですよ!何考えてるんですか!!」
『だって、このままじゃ・・・』
彼女が危ない・・・
鬼が等々力さんに近づき手を振り降ろす
私は咄嗟に目を瞑ってしまうーーーー
カキィン!!
金属音がする。
目を開けると、
等々力さんを庇うように煉獄さんが鬼の攻撃を防いでいた。
『・・・・っ!』
良かった。
間に合ったんだ・・・
安堵するのと同時に胸がチクリと痛む。
・・・駄目だ、こんな時までヤキモチ妬くのは、不謹慎だ・・・
冨「水の呼吸、参ノ型、流流舞い」
義勇さんの技で鬼の頸が飛ぶ。
これで今日の任務は終わった。
私は茂みから出て行く。
煉「等々力、大丈夫か?」
等「あ・・・煉獄様・・・私・・・」
等々力さんの体を支えている煉獄さん。
煉獄さんの羽織を震えながら掴んでいる等々力さん。
2人の姿に足が止まってしまう。
『・・・・・・』
冨「・・・怪我をしたのか」
等「あ、足を挫いてしまったみたいで・・・それに・・・」
怖かった・・・
と、煉獄さんにしがみつく。
煉「・・・無理して鬼に近づきすぎだ。ここには俺も冨岡もいたのだ。君がそこまでする必要はなかった」
等「はい・・・すみません」
煉「だが無事で何よりだ!」
慰める様に、等々力さんの頭をポンポン撫でる。
『・・・・・・』
ー思ってる事があるなら本人に伝えろよ。後悔しても遅えんだぞー
等「はい・・・あの、また個人的に訓練をつけてくださいますか?」
煉「む?それは・・・」
『嫌です』
煉「!?」
等「・・・え?」
私の言葉に2人だけじゃなく、義勇さんも隠の3人も驚いた様子で見てくる。
『煉・・・杏、杏寿郎さんは私の婚約者なのでっ!個人的にとか、そういうのは、い、嫌ですっ』
顔を真っ赤にして、煉獄さんの羽織を掴む。
言った!
言ったよ、実弥さん!!
煉「・・・美桜」
『あっあと、あんまり杏寿郎さんにくっつかないで下さい・・・』
冨「・・・・・・」
義勇さんが煉獄さんの所まで歩み寄り、等々力さんの腕を掴んで立ち上がらせる。
等「っ!?」
冨「・・・俺は報告に行く。ついでにこの隊士を胡蝶の所へ置いてくる。」
後「いや!水柱様、隊士を運ぶのは俺たちが・・・」
冨「・・・この先の山小屋に、鬼の被害に遭った者がいる。隠の者は弔いに行って欲しい」
中「!分かりました」
後藤さん達はすぐに山小屋へと向かって行った。
義勇さんも等々力さんを小脇に抱えて山を降りて行った。
私は煉獄さんと2人、山を降りて麓まで戻ってきた。
煉獄さんはあれからずっと黙ったままだ・・・
怒ってるのかな
そうだよね、皆の前で我が儘言ったんだもん。
しかも、熱心に強くなろうとしている人を否定するような言い方・・・
嫌われてもおかしくないよね・・・
"美桜、婚約の話は無かったことにしよう"
変な幻聴まで聞こえてきた。
ー美桜・・・ー
実弥さん・・・
ー美桜ー
言って後悔のパターンもあるんですね・・・
煉「美桜!」
『っは!?・・・杏寿郎さん・・・』
煉獄さんに肩を掴まれて吃驚する。
煉「・・・すまん。何度呼んでも返事がなかったので思わず声を荒げてしまった」
『あ・・・ごめんなさい・・・』
煉「・・・先程の、等々力との事だが」
『あ、あれは・・・』
私の我が儘だから気にしないでって言わなきゃ
煉「すまない!」
『・・・え?』
煉「美桜があんなに傷付いていたとは・・・いや、気付いていたのに何も対処しなかった俺が悪かった」
『・・・杏寿郎さん・・・あれは私の我が儘です』
煉「本心だろう?」
『う・・・はい・・・』
煉「不安にさせて、すまなかった」
『〜杏寿郎さんっ!』
煉「!!」
眉を下げて優しい眼差しを向けてくれる。
私は煉獄さんに自分から抱き着いていた。
身体が、自然と動いていた。
煉「・・・外だぞ?」
『・・・今は2人っきりです・・・』
煉「むぅ・・・」
煉獄さんが戸惑ってる。
いつもと立場が逆転してるみたい。
煉「・・・美桜」
こっちへ、と腕を引かれる。
近くにあった神社の境内に来た。
『?』
煉「ここなら、邪魔は入らないだろう」
『??』
煉「美桜・・・先に進んでも、良いだろうか?」
グッと腰に手を回され煉獄さんに抱き寄せられる。
そしてもう片方の手は私の頬に触れる。
『っ!!』
今!?
ここで!?
『・・・外ですよ?』
煉「今は2人っきりだろう?」
『っ!!』
はいブーメラン!!
煉「それに、寝ている俺の頬にはしてくれただろう?」
『っ!!?えっ!?』
何で!?
何で知ってるの!?
ーーーーそう、嵐のあの夜。
千ちゃんと寝てしまった煉獄さん。
私は立ち上がって部屋を出ようと戸の前まで行って、もう一度振り返り
そっと眠っている煉獄さんに近寄って
『杏寿郎さん・・・おやすみなさい』
頬に口付けをして、部屋を後にした
ーーーー
『なんっなんで知って・・・えっ!?起きてたんですか!?』
漫画のように取り乱す私に
煉「眠っていたが、美桜が近づいてくる気配で起きた!」
ギャーッ!!
ギャワワーッ!!!
『ごっごめんなさいごめんなさい!睡眠を妨害して、あと寝込みを襲ってごめんなさい!!』
穴があったら入りたい!
ていうか今から穴掘ろうかな!!
煉「まさか美桜があのような大胆な行動をするとは思わなかったから驚いた!先程もだ!」
改めて言われると・・・
確かに、皆の前で独占欲丸出しの台詞を吐くは、外で抱き着くとか・・・
寝込みを襲うとか・・・
破廉恥極まりない!!!
『き・・・嫌いになった・・・?』
煉「!!」
眉を下げ、煉獄さんを見上げる。
すると私の肩に煉獄さんの頭が乗る。
『??杏寿郎さん・・・』
煉「全く・・・どれだけ俺を煽れば気が済むのだ?」
『えっ?』
煉「・・・まだ君の了承を得ていないが・・・俺が我慢の限界だ」
再び頬に手を添えて、煉獄さんの顔が近づいてくる。
心臓が壊れるほど音を立てる。
『杏寿郎さん・・・待って・・・』
煉「待たない」
『うっ・・・見られてます・・・』
ピタッと動きが止まる。
煉「・・・誰にだ?」
『・・・か、神様・・・神様が、見てます・・・』
心の準備が整っていない私は苦し紛れの言い訳をする。
ここは神社の境内だから、本当に神様が見てるかもしれない・・・
煉「・・・・・・」
煉獄さんも考え込むような顔をしている。
良かった。
外じゃなくて、誰も見てないせめてお家で・・・
煉「ならば見せつけてやろう」
『えっ』
言ったかと思うと、次の瞬間
視界いっぱいに煉獄さんの顔。
唇にあたる柔らかい感触ーーー
『・・・・・・』
いきなりの事に目を瞑るタイミングを逃してしまう。
煉獄さんの凛々しい眉・・・
長いまつ毛・・・
目を離せないでいると形の良い瞼が薄ら開く。
煉「・・・美桜は目を開けたままするのだな」
『やっ、ちがっ・・・!?』
煉獄さんの言葉に弁解をしようと口を開くと、再び口付けを落とされる。
今度は私の下唇を煉獄さんの唇が優しく甘噛みしてくる。
『・・・んっ・・・ふぅ・・』
少し開いた唇から声が漏れる。
段々と頭がクラクラして、膝に力が入らなくなってくる。
煉「・・・・・・!!」
『・・・?』
暫くすると、唇が離れて行く。
息が上がったまま目を開いて煉獄さんを見上げると目を逸らされてしまう。
『・・・杏寿郎さん?』
煉「むぅ・・・そんな顔で見つめられてはこれ以上止まらなくなるぞ・・・」
『!?』
顔を赤くして視線を外す煉獄さん。
エッロ!!
色気が半端ないです・・・
煉「・・・家に帰ろうか」
『は、はい・・・あっ!』
煉「! どうした?」
煉獄さんから離れようとするがまた胸元にしがみつく形になる。
『・・・ちょっと、足に力が・・・』
煉「・・・そうか。刺激を与えすぎてしまったか」
そう言ったかと思うと身体が宙に浮く。
煉「ではこのまま帰るとしよう!」
陽が上り始める道を煉獄さんに抱かれながら帰る。
煉「美桜、もう君を不安にさせる様な事はしない」
『・・・はい』
抱かれるのとは別の浮遊感を感じながら家路に着いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー後日ー
隊1「煉獄様〜今日も訓練お願いします」
煉「うむ!今日からは君たちに遠慮はしない!全力で訓練に臨むぞ!!」
隊2「えっ」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
等「ハァ、ハァ・・・煉獄様・・・少し休憩を・・・」
煉「まだまだだ!!今までは女性だと思って手加減をしていたが強くなりたい君たちに対して失礼だったな!!これからは男女関係なく平等だ!!素振り1000本、始め!!」
隊士達「ヒィ〜〜ッ!!!!!」
こうして、煉獄さん目当てのファン隊士はもちろんの事、等々力さんまでもが訓練に参加しなくなった。
炎柱の稽古は死ぬほど厳しいという噂も広まり継子はおろか弟子にして欲しいという者も現れなくなった・・・