新生活と新天地
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煉「美桜、そろそろ出掛けるぞ」
支度は出来たか?
と部屋の外で声を掛けられる。
『はい。お待たせしました』
障子を開けると隊服姿の煉獄さんが待っていた。
煉「・・・うむ。隊服姿も似合っているぞ!」
私の装いを見た煉獄さんが感想を言ってくれる。
私は鬼殺隊の隊服を着て、手には隠の人の頭巾を持っている。
勿論、寸法はちゃんと合った物だ。
出来るだけ顔を晒さない方が良いとの事で、隠の服装はもってこいだった。
煉「・・・それも持っていくのか??」
私の腰に差した刀に目を向ける。
『えぇ、念のため・・・鬼を斬れない刀なので役には立たないと思いますが・・・』
過去に2度不思議な力が発動した時、必ずこの刀を持っていた。
もしかしたら私じゃなくて刀の方が特別なのかもしれないしね・・・
煉「そうか!だが美桜の事は俺が必ず守る!!だから安心して身を・・・」
『わかりました!ありがとうございます!!
頼りにしてます!!!』
最後まで言わせねぇよ!?
恥ずかしくて任務どころではなくなってしまう!!
2人で指定された集合場所へと向かう。
数名の隠と隊士、そして実弥さんが既に待っていた。
煉「む!待たせてしまったか!すまない!!」
隊1「えっ炎柱様!?いえ、そんな全然待ってませんよ!!なぁ!?」
隊2「そっ、そうですよ!俺たちなんかに頭を下げないで下さい!!」
隊士の方達が慌て出す。
そっか煉獄さん上司だもんね。声も大きいし、いつもより目、見開いてるし・・・萎縮するよね・・・
隠1「炎柱様、そちらの方が例の・・・?」
煉「そうだ!今回の任務に同行させてもらう!隠の者たちには世話をかけるがよろしく頼む!!」
『あっ、初めまして・・・美桜と申します』
私は皆に向かって頭を下げる。
隠2「いやそんな!頭を上げてください!!」
私にまで恐縮するって・・・何故??
((この人が炎柱様の婚約者!!失礼があってはまずいぞ!!前田の件もあるしな・・・))
不「オラ、揃ったんならさっさと行くぞ!!」
実弥さんの一言に私と煉獄さん以外の全員が飛び上がった。
今回の任務は山の中。
町でしか鬼に遭遇した事ない私は、夜の真っ暗な山を見上げてゴクリと唾を飲み込む。
前後左右いつどこから鬼が出てくるか分からないよね・・・
鬼だけじゃない。狼の遠吠えも聞こえるし、熊に遭遇する事だってあるかもしれない・・・
一度そんな事を考えてしまうと、足が中々前に出ない。
隠2「・・・美桜さん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」
女性の隠の人が心配そうに話しかけてくれる。
『・・だ、大丈夫、です・・・』
恐怖で全然大丈夫そうじゃない返事をしてしまう。
そんな様子を見た実弥さんがため息をついて近づいてくる。
(((うわ!風柱様めっちゃ怒ってる!!)))
隠の人達も急に恐怖に歪んだ顔になる。
あぁ、私の緊張が伝染してしまったのかな。。。
と反省した時、実弥さんが私の腕を掴む。
不「お前はしばらくこっち来てろォ」
と、前の方を歩く隊士の集団まで連れて来られる。
煉「そうだな!今のところ鬼の気配もないし、山道に慣れるまで暫くは俺たちと歩いた方が安心だろう!!」
右に煉獄さん、左に実弥さんに挟まれる形になる。
確かに、これは心強い。
この2人なら万が一熊や狼に襲われても返り討ちにしてしまうだろう。
2人のお陰で恐怖心は和らいだものの、山道を歩き慣れない私は何度も足を取られて転びそうになる。
その度に煉獄さんと実弥さんが支えてくれて転倒は免れているが、これではとんだお荷物だ・・・
『あの、私そろそろ隠の人達の所に行ってます』
不「・・・大丈夫かァ?」
『はい!お2人のお陰で山道も慣れて来たので。』
煉「うむ!そろそろ鬼の出現情報があった場所に近づいてきたからな!!美桜は隠の者たちとここで待機していてくれ!」
すると、隠の人が2人近づいて来て
隠1「承知しました!では、美桜さんはこちらへ」
と言って誘導してくれる。
『ありがとうございます。煉獄さん!実弥さん、それと、隊士の皆さんも・・・お気をつけて・・・』
煉獄さんはうむ!と返事をしてくれ、隊士の方達もありがとうございます!!と返してくれたが、実弥さんにはお前に心配される程じゃねェとあしらわれる。
ここから煉獄さんと不死川さんは2つの組に別れて鬼の捜索をする為、別々の道を更に奥へと進んで行った。
私と隠の人達はこの場所に留まる。
鬼の情報があれば鴉が教えてくれるらしい。
隠1「・・・ハァ〜怖かったぁ」
隠3「ホント、柱が2人とか緊張感半端ないわ」
煉獄さん達の姿が見えなくなって暫くすると、隠の人達は大きなため息をついた。
『・・・・・』
煉獄さん達って他の隊士さんから見たらそんなに怖いんだ・・・私が会った鬼殺隊の人って今の柱の人達ばかりだから正直柱と他の隊士との違いが分からなかった。
まぁ、上司というだけで緊張するのは分かる気がするけど。
そんな事を考えながら隠の人達のやりとりを見ていたら
隠2「ちょっ!馬鹿!!・・・すみません、美桜さん。炎柱様の陰口の様な事を・・・」
と、私の顔色を心配してくれた女性に謝罪される。
他の隠の人達も不味い!という顔をする。
『えっ!いえいえ、私は全然気にしてないですよ!!上司に対して苦手意識があるのは分かりますよ。私もそうでしたし・・・』
慌ててフォローを入れる。
すると、隠さんがきょとんとした顔で
隠2「美桜さんにもそういう上司がいらっしゃるのですか?」
と聞かれる。
ん?確かに。私はどの組織にも属していないのに何故今の話に共感したのだろう。
私も首を傾げて
『ん〜記憶をなくす前はそういう所にいたのかな・・・?何でか分からないですけど皆さんの気持ちが分かる様な気がして・・・とにかく、今皆さんが言っていた事は煉獄さんや実弥さんには言わないので安心してください!』
ニッコリ笑うと皆ホッとした顔をする。
そこから打ち解けていき、それぞれの身の上話をしてくれた。
隠の人達の殆どはやはり鬼に大切な人を奪われて仇を討つ為に鬼殺隊に入ったという。
最終選抜は突破したものの、その後渡される刀の色が変わらなかったり、恐怖で鬼に対峙する事が出来なくなった人達が隠になる事が多いそうだ。
『・・・皆さん、凄いんですね』
私はほうっとため息をつく。
隠1「え、凄いッスか?」
意外そうな顔をされる。
『凄いですよ!隠のお仕事だって誰にでも出来る事じゃないでしょう?どんな形であっても人の役に立とうとしている人達に上も下もないと思います!!』
隠1「・・・・・・」
隠3「・・・・・・」
急にシンとしてしまう。
私、何か失礼な事を言ってしまったかな・・・?
『あの・・・ごめんなさい。何も知らない私が偉そうに』
隠2「あ、いえ!!そうじゃなくて・・・」
隠1「・・・鬼殺隊士の一部は、俺たち隠を隊士の落ちこぼれだと思ってる奴もいるんだ。日輪刀に選ばれなかった者として・・・鬼が怖くて逃げ出す腰抜けだと・・・」
隠3「いつしか俺たちも自分たちの事を卑下してたな・・・」
隠2「美桜さんの言葉に救われた気持ちです。ありがとうございます。」
『・・・そうだったのですね』
少ししんみりした時
鴉「カァア!!風柱ガ鬼ヲ発見!!炎柱ト挟ミ撃チシテココニ鬼ヲ誘導スル 美桜ハコノ場所デ待テェ!!」
突然の鴉の登場と鬼の情報に全員が飛び上がる。
暫くすると実弥さんに追われた鬼が姿を現す。
鬼は実弥さんに斬られた様で腕や足に傷を負っている。
鬼「ックソ!何でこんな所に柱が来るんだ」
鬼が逃げる方向から突然煉獄さんが現れる。
煉「どこへ逃げる気だ!!この炎柱、煉獄杏寿郎から逃げられると思うな!」
鬼「なっ!?また柱!!何故・・・」
不「・・・本当になァ。テメェみてぇな雑魚相手に時間の無駄だぜェ」
作戦通り見事に挟み撃ちにする。
・・・ていうか煉獄さんって毎回鬼に自己紹介してるのかな・・・
煉「よいか!今から鬼を斬るぞ!!良く見ているのだぞ!!」
鬼「何をっ!?誰に向かって言ってるんだぁ!?」
煉獄さん・・・
隠3「・・・いや下手くそか!」
誰かが隠れて見ているのを正々堂々とばらす。
鬼は勘が悪いのか気づいてないのが幸いだ。
煉「良いか!では行くぞ!!炎の呼吸、壱の型!!不知火!!!」
鮮やかな炎が目の前に広がる。
鬼の頸が飛び、塵となって消えていった。
煉「美桜!見ていたか??」
『はっはい!』
初めて煉獄さんが戦う所をちゃんと目の前で見た。
『・・・格好良かったです』
煉「ッ!!そうか!」
すっごい嬉しそうな顔をする煉獄さん。
不「いやそうじゃねェだろぉが!!何か思い出した事はねェのか?」
『・・・・・ないです・・・』
不「・・・チッ」
実弥さんが舌打ちをする。
『・・ごめんなさい』
煉「美桜が謝る事ではないぞ!ひとまず怪我がなく終われて本当に良かった!」
煉獄さんに頭を優しく撫でられる。
『・・・煉獄さん』
隠((いや、俺たちはさっきから何を見せられているんだ・・・)))
不「・・・まぁ、最初からそう簡単にいくとは思ってねェけどよ」
煉「うむ。今日は他の隊士と美桜の顔合わせも兼ねていたからな!美桜、隠の者達と打ち解ける事は出来たか?」
『はい!皆さん良い方達ばかりです』
煉「それは良かった!」
隠1「しばらく美桜さんが同行する任務は私達3人が着く事になっています。今後ともよろしくお願いします。」
『そうなんですね!心強いです。・・・あ、皆さんのお名前まだ聞いてませんでしたね』
隠の人達もああそういえば、と自己紹介してくれる。
隠1「俺は中西です」
隠2「私は東城と申します」
隠3「後藤です。よろしくお願い・・」
『後藤さん!?』
煉不「「!??」」
後「・・・えっ!?」
『・・・何でここに!?任務は・・・?』
煉「美桜!どうした?」
煉獄さんの言葉でハッと我に帰る。
私は後藤さんの両肩を掴んでいた・・・
『・・・あ、あれ・・・ごめんなさい・・・』
慌てて手を離す。
不「お前ら、知り合いだったのかァ?」
後「いっいえ!美桜さんとは今日が初対面です・・・よね?」
『・・・・・・はい』
そう答えたけど、
私は、後藤さんを知っている様な気がする。