新生活と新天地
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煉獄さんと共に新しいお屋敷に移って数日経った。
新しいお屋敷は前のお家と同じ位広かった。
前から思ってたけど、鬼殺隊ってお金持ちなんだな・・・
1人でお掃除するのは大変だけど、煉獄さんのお家でずっとやってきていたので家事はなんとかこなしている。
それよりも、煉獄さんと2人で暮らしているという事実に今更ながら戸惑っている。
部屋も隣同士になったし・・・
ここに来て2人きりの実感が湧いてきて
煉「美桜」
名前を呼ばれるだけで
『は、ははははい!何でしょうか!』
ぎこちない感じになってしまう・・・
煉「明日、本部に呼ばれたので行ってくる!」
『会議ですか?』
煉「ああ!初めての柱合会議だ!!」
一度出ているけれど、あの時は柱になる前だったもんね。
帰りは夕刻になる、と告げられる。
『わかりました。』
そっかぁ。
そういえば柱の人たちに最近会ってないなぁ。
しのぶさんは月に一度の診察があるけど、他の人たちとは滅多に会わない。
一時は偶然町で会うことがあったけど・・・
と、ある事を思い出す。
『あ、杏寿郎さん。一つお願いしてもいいですか?』
煉「?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日
鬼殺隊本部にやってきた俺は、新しく就任した柱として改めて紹介された。
館「杏寿郎 美桜は元気にしているかな?」
煉「はい!息災にしております!」
館「そう 記憶の方は何か変化があったかな」
煉「・・・本人は無意識の様ですが時折以前の記憶の片鱗を感じる事はあります」
悲「だが、決定的なことはないのだな?」
煉「・・・うむ」
悲「では、やはり次の段階に進むべきでは?」
煉「次の段階?」
し「・・・実は、美桜さんの記憶を引き戻すには、鬼との遭遇が必要なのではという議論が先日から続いていまして・・・」
煉「!!?」
不「胡蝶と宇髄の反対で実現はしてねぇがなァ」
宇「・・・あいつには負担が大きいだろ」
し「そうです。自然に戻るのならそれが1番だと思います。」
美桜を任務に連れ出す?
みすみす危険な目に遭わせようというのか
館「うん それは美桜自身に決めてもらおうか」
鬼退治には危険が伴う。
いくら柱が同行するとしても絶対に安全という保障はない。
悲「・・・では煉獄。美桜に意思確認をしておいてくれ」
煉「・・・承知した」
悲「それと美桜の監視・護衛を持ち回りで引き続き続けていこう」
煉「監視・護衛?」
宇「ああ。前回の会議以降、美桜の事は俺たち柱が交代に監視をしてきたんだよ」
外を出歩く時だけな、と付け加える。
美桜が一時期、柱に遭遇していたのは偶然ではなかったということか。
し「煉獄さん、気を悪くしないでくださいね。鬼側に美桜さんの情報が伝わっていたら間違いなく狙われます。それに記憶がどこで戻るかは分かりませんから」
煉「そうだったのか!だが最近は遭遇しないとも言っていたぞ?」
し「・・・ああ、それは」
宇「監視はしてたけど、お前らがあんまりイチャつくから接触しなかっただけだ」
煉「!!むぅ!!!」
色々見られていたとはな!!
よもやよもやだ!!!
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
会議も終わり解散となった。
帰ろうとしていた不死川に声をかける
煉「不死川!!」
不「・・・なんだァ?」
煉「美桜からこれを渡す様に頼まれている!!」
風呂敷を不死川に手渡す。
不「あぁ?何だ、こりゃあ??」
煉「美桜が作ったおはぎだ!!美味いぞ!!」
不「!!」
宇「何で美桜がわざわざ不死川に?」
宇髄が話に入ってくる。
煉「うむ!以前町でおはぎを買おうとしていた時に美桜の発作が起きてな!丁度居合わせた不死川が蝶屋敷まで運んでくれた上自分で買ったおはぎを譲ってくれたのだ!!」
不「おまっ!!・・そんな事大声でベラベラ喋んなァ!」
宇「へぇ〜不死川くん、やっさし〜♡」
不「宇髄・・テメェ・・・」
冨「・・・不死川は(おはぎが)好きなのだな・・・」
宇「えっ、不死川美桜の事好きなの!?」
冨「!!?(そっちか!?)」
煉「何!そうだったのか不死川!!だがすまん!美桜は俺の婚約者だ!!!」
不「違えぇよ!!!ふざけた事言ってんじゃねェ冨岡ァ!!!」
し「フフ、あんまりムキになると逆効果ですよ、不死川さん?」
悲「南無・・・しかし、美桜は料理が得意なのだな」
し「最初の頃は苦手の様でしたが、努力の賜ですね。たまに蝶屋敷にもお菓子を差し入れしてくれますよ〜」
悲「うむ。俺も芋の洋菓子をもらった事がある。美味だった」
宇「へぇ〜悲鳴嶼の旦那まで美桜の料理食ってんのか。俺は結構会ってる方なのにまだねぇぞ」
宇髄が不貞腐れた様に言う。
不「はっ!宇髄、テメェこそアイツの事気になってんじゃねぇのかァ??」
不死川が仕返しだとばかりに宇髄に噛み付く。
宇「あ?そうだけど?」
不「・・・はぁ!?」
煉「なっ!?」
さらりと肯定する宇髄に不死川だけでなく俺も動揺する。
宇「だってアイツ可愛いじゃん(小動物みたいで)」
煉不「「!!!」」
宇「なぁ冨岡?」
冨「・・・(小型の犬みたいだな)俺もそう思う」
煉不「「!!?」」
何ということだ!!!
美桜が柱たちからこんなに狙われていたとはな!!
俺と美桜は婚約をしてはいるが、油断ならんな!!!
し(煉獄さんと不死川さんは勘違いをされたみたいですねぇ。宇髄さんはワザとでしょうが、冨岡さん・・・相変わらず言葉が足らなすぎですね)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『・・・杏寿郎さん、そろそろ帰ってくるかなぁ』
夕飯の支度をしながら呟く。
柱の皆さんは元気かなぁ・・・
帰ってきたらお話し聞いてみよう。
あ、おはぎ。実弥さん受け取ってくれたかなぁ。。。
と考えている所に
煉「ただいま戻った!!」
帰ってきた!!
煉獄さんを出迎えに玄関に向かう。
『おかえりなさい。きょう・・・』
寿郎さん。と言いかけて止まる。
煉獄さんの後ろにズラリと柱の面々が並んでいた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
し「すみません美桜さん。突然押しかけてしまって」
料理を手伝ってくれてるしのぶさんがやんわり謝ってくる。
『いえ!吃驚しましたけど久しぶりに皆さんに会えて嬉しいです』
でも、しのぶさんや宇髄さんはともかく、他の柱の人がわざわざ来てくれるなんて珍しい。
『何かあったんですか?』
し「皆さん、美桜さんに会いたくて来たのですよ〜。美桜さんの手料理が食べたいのですって」
『・・・えっ!?』
何で?
私普通の物しか作れないよ・・・
料理を作る手が急に緊張してきた
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
宇「てゆーか何で不死川たちまで来たんだよ?」
広間で美桜の用意したお茶を啜りながら宇髄がぼやく。
宇髄も何故家まで着いて来たのだ?
不「・・・俺は悲鳴嶼さんに連れてこられただけだァ」
冨「・・・・・・」
悲「・・・南無」
むぅ!!
よもや悲鳴嶼殿まで美桜の事を!!!
『お待たせしました。ご飯の支度が整いました』
美桜がひょっこり顔を出す。
煉「ありがとう!!俺が運ぼう!!!」
『??ありがとうございます・・・?』
し「フフ、煉獄さん必死ですねぇ」
『??』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
宇「へぇ。見た目は地味だけど結構美味いな!!」
私の料理を食べた宇髄さんが感想を言ってくれる。
献立は白米と筑前煮と小松菜のお浸し、玉ねぎとじゃがいものお味噌汁にお漬物だ。
『派手じゃなくてすみませんね・・』
ていうか派手な料理って何だろう?
煉「美桜の作る洋食は彩りも綺麗で美味いぞ!!」
美桜の料理はどれも美味い!!
と煉獄さんが自信たっぷりに答えてくれる。
お世辞でも嬉しい・・・!!
不「お前洋食が作れんのかァ?どこで習ったんだァ??」
『うーん、どこで習ったかは覚えてないです。すみません』
そうかぃ、と実弥さんが短く返事をする。
そういえば・・・おはぎ、受け取ってくれたかな。。。
チラ、と実弥さんを見ると一瞬目が合うけどすぐに逸らされてしまう。
『!!』
ガーン!!
拒絶された!?
もしかして迷惑だったかな・・・
シュンと下を向くと、
不「・・・さっき食ったわ。・・味はまぁまぁだった」
ポン、と頭に手を置かれる。
『!!そ、そうですか・・・』
わー!受け取ってすぐ食べてくれたんだ!!
なんか嬉しいな。
味はまぁまぁか・・・
『もっと練習しとくので、上達したらまた食べてくださいね?』
不「・・・好きにしろぉ」
このやり取り、槇寿郎さんみたいだなぁ。
思い出して顔が綻ぶ。
煉「・・・・・・」
『あ、義勇さん。先日は、鮭大根ご馳走さまでした。あと、色々勇気づけてくれてありがとうございました。』
義勇さんにペコリと頭を下げる。
冨「・・・ああ」
義勇さんは遠い目をしながらモグモグとご飯を食べている。
『・・義勇さんは鮭大根が好きなのですか?』
義「・・・」
モグモグしながら頷く。
『じゃあ今度いらっしゃる時に作りますね』
冨「!!」
驚いたように振り返る。
冨「・・・いいのか?」
『?はい。事前に分かれば用意しますよ』
冨「・・・(俺は避けられてない)」
フッと口角が上がる。
そんなに好きなんだ。鮭大根。
鬼殺隊の人って好物があるとテンション上がるのね。
それよりも、ほっぺにご飯粒ついてるけど、気づいてないのかな・・・
『義勇さん』
手を伸ばして口の端についたご飯粒を取ってあげる。
冨「!?」
『ついてましたよ。ご飯粒』
吃驚した顔で固まった義勇さん。ご飯粒つけるとか千ちゃんよりも子供っぽいな。
男の人に失礼かもしれないけど可愛いと思う。
煉「・・・・むぅ!」
宇「・・・煉獄もだが、美桜も相当な天然のたらしだな・・・」
し「そうですねぇ。煉獄さん、頑張って耐えていらっしゃいますねぇ」
『悲鳴嶼さん、玄弥くんは元気にしてますか?』
悲鳴嶼さんの湯呑みにお茶を淹れながら話しかける。
悲「・・・うむ。今は任務に出ている」
『任務ですか・・・怪我してないといいけど・・・』
玄弥くん。。。
見た目はツンツンしてるけど、照れ屋ですぐ顔が赤くなる所が可愛い男の子。
一度しか会っていないけど、危なっかしい感じがして何だか放っておけない気持ちにさせる子だった。
悲「心配か?」
『それは心配ですよ・・・玄弥くんだけじゃなくて皆さんの事だって・・・』
そう言って眉を下げる。
いくら皆が強くたって危険な事は危険だ。
鬼だって、鬼殺隊より弱い存在ならとっくに殲滅されている筈だし。。。
いつか、命を脅かすような強い鬼が現れるのではないかと常に不安が付き纏う。
悲「そうか・・・では、我らの任務に同行する気はあるか?」
『それはもう、はい・・・・はい?』
煉不冨「「「!!!???」」」
宇し「「悲鳴嶼さん!?」」
他の柱の人達が一斉に立ち上がる。
その行動に私は驚いて肩が跳ねる。
宇「ちょ、何をどさくさ紛れに言ってるんだよ!?」
し「今の流れで何故その話題に!?」
悲「・・・・・任務同行の件を伝えるのは煉獄には荷が重いだろうとずっと機を測っていたのだが・・・」
不「・・いや、それにしたって話の順序ってもんがあるだろォよ・・・ハッ!!まさか悲鳴嶼さん、俺たちを誘ったのって・・・」
悲「・・・俺では上手く伝えられぬかもしれないと思い、2人に助力してもらおうとだな」
不「いや、何も聞いてねェし流石に無理だわ!第一、冨岡は役に立たねェだろぉ!!」
冨「!!?(心外!)」
何か目の前でヤイヤイ言い合っているけれど、当の私は話について行けず口を開けたまま皆のやりとりを眺めるだけだった。
『・・・・・・??』
煉「美桜・・・」
煉獄さんが申し訳なさそうな顔をしている。
普段カッコいいのに眉を下げると途端に可愛くなるの反則じゃない??
『ん、と・・・任務に同行というのは、私、が、鬼退治を・・・?』
混乱した頭で先程言われた言葉を整理していく。
宇「いや、そうじゃない。落ち着け美桜。・・・ハァ、胡蝶。説明してやれ」
し「・・・そうですね。不本意ではありますが伝わってしまったのでしたら説明は必要ですね」
宇髄さんとしのぶさんがため息混じりに事の成り行きを説明をしてくれた。
その間煉獄さんは黙って腕を組み難しい顔をしていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『・・・つまり、私の記憶を戻す為に皆さんの任務に着いて行って鬼と対峙するって事ですか??』
悲「そうだ。だが対峙と言っても最初は直接的にではなく離れた所で見ているだけで良い。」
『離れた所・・・?』
不「あァ。俺たちの任務は鬼殺の隊士の他に事後処理班の隠が必ずついてくる。お前はそいつらに着いて遠くから見てりゃいいんだ」
『・・はぁ・・・』
冨「・・・・・・」
不「冨岡!テメェも何とか言ったらどうだ!!」
冨「(お館様の言う通り美桜が決める事だ)・・・俺は知らん」
不「ハアァァ!?テメェやる気あんのかァ!?」
実弥さんが義勇さんの胸ぐらを掴む。
何故そこで喧嘩が始まるの!?
し「お二人で争っても仕方がないでしょう・・・美桜さん。嫌だったら断っても良いのですよ?」
『え?』
宇「ああ。俺と胡蝶は最初から反対してんだ。美桜を鬼に近づけるって事は奴等に美桜の事が知られる危険もあるからな」
しのぶさんと宇髄さんは・・・
じゃあ、煉獄さんは・・・?
チラ、と煉獄さんの顔を盗み見る。
相変わらず腕組みをしたまま真顔で黙っている。
え、感情が読めない。怖っ!
し「煉獄さんも先程の会議で初めて知ったのです。なのでまだ気持ちの整理がついていないのだと思いますよ」
しのぶさんがコッソリ耳打ちで教えてくれる。
『そ、そうなんですね・・・』
悲「美桜、お館様はお前が決めれば良いと仰っていた。しかし、俺は一刻も早く記憶を呼び戻しその力を鬼殺に活かしたいと思っている。」
『・・・悲鳴嶼さん・・・』
不「俺もだァ。こうしてる間にもいくつもの命が鬼によって消されてんだ・・・お前の力が本当に鬼に効くってんなら使わねぇ手はねェ」
『・・・・・・』
冨「・・・・・・」
暫くの沈黙の後、冨岡さんが静かに立ち上がる。
不「!!おい、どこに行く!?」
冨「・・任務だ。お前達もそれぞれ持ち場の警備があるだろう。」
悲「・・・そうだな。美桜、今すぐ判断しろとは言わん。よく考え、煉獄にお前の意思を伝えてくれ。」
不「・・・・・・」
悲鳴嶼さん、冨岡さん、不死川さんはご馳走様、と言い残し屋敷を出て行った。
宇「〜っ!クソッ!!俺も任務があって行かなきゃなんねぇ。・・・美桜、飯美味かったぞ!また食わせてくれよ!!」
宇髄さんは努めて明るく振舞い、私の頭をポンポンしてから屋敷を出て行った。
し「・・・私も、そろそろ警備に向かいます。煉獄さんもですよね?」
煉「!!・・ああ!そうだな!!!」
し「美桜さん、お二人はああいう風に仰っていましたが無理なら無理で責める方達ではありません。お気になさらず、自分の気持ちに正直に決めていただいて大丈夫ですからね?」
しのぶさんも心配そうな顔でそのまま屋敷を後にした。
煉「・・・・・」
『・・・杏寿郎さん・・・』
煉「・・・俺も警備に行く!話の続きは帰ってからしよう!!」
煉獄さんはいつもの調子で出掛けて行った。
・・・いや、少しだけ違っていた。
あの話が始まってから一度も目が合わなかった。
1人きりになった部屋で私は立ち尽くしていた。
『・・・何なの・・・』
新しいお屋敷は前のお家と同じ位広かった。
前から思ってたけど、鬼殺隊ってお金持ちなんだな・・・
1人でお掃除するのは大変だけど、煉獄さんのお家でずっとやってきていたので家事はなんとかこなしている。
それよりも、煉獄さんと2人で暮らしているという事実に今更ながら戸惑っている。
部屋も隣同士になったし・・・
ここに来て2人きりの実感が湧いてきて
煉「美桜」
名前を呼ばれるだけで
『は、ははははい!何でしょうか!』
ぎこちない感じになってしまう・・・
煉「明日、本部に呼ばれたので行ってくる!」
『会議ですか?』
煉「ああ!初めての柱合会議だ!!」
一度出ているけれど、あの時は柱になる前だったもんね。
帰りは夕刻になる、と告げられる。
『わかりました。』
そっかぁ。
そういえば柱の人たちに最近会ってないなぁ。
しのぶさんは月に一度の診察があるけど、他の人たちとは滅多に会わない。
一時は偶然町で会うことがあったけど・・・
と、ある事を思い出す。
『あ、杏寿郎さん。一つお願いしてもいいですか?』
煉「?」
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翌日
鬼殺隊本部にやってきた俺は、新しく就任した柱として改めて紹介された。
館「杏寿郎 美桜は元気にしているかな?」
煉「はい!息災にしております!」
館「そう 記憶の方は何か変化があったかな」
煉「・・・本人は無意識の様ですが時折以前の記憶の片鱗を感じる事はあります」
悲「だが、決定的なことはないのだな?」
煉「・・・うむ」
悲「では、やはり次の段階に進むべきでは?」
煉「次の段階?」
し「・・・実は、美桜さんの記憶を引き戻すには、鬼との遭遇が必要なのではという議論が先日から続いていまして・・・」
煉「!!?」
不「胡蝶と宇髄の反対で実現はしてねぇがなァ」
宇「・・・あいつには負担が大きいだろ」
し「そうです。自然に戻るのならそれが1番だと思います。」
美桜を任務に連れ出す?
みすみす危険な目に遭わせようというのか
館「うん それは美桜自身に決めてもらおうか」
鬼退治には危険が伴う。
いくら柱が同行するとしても絶対に安全という保障はない。
悲「・・・では煉獄。美桜に意思確認をしておいてくれ」
煉「・・・承知した」
悲「それと美桜の監視・護衛を持ち回りで引き続き続けていこう」
煉「監視・護衛?」
宇「ああ。前回の会議以降、美桜の事は俺たち柱が交代に監視をしてきたんだよ」
外を出歩く時だけな、と付け加える。
美桜が一時期、柱に遭遇していたのは偶然ではなかったということか。
し「煉獄さん、気を悪くしないでくださいね。鬼側に美桜さんの情報が伝わっていたら間違いなく狙われます。それに記憶がどこで戻るかは分かりませんから」
煉「そうだったのか!だが最近は遭遇しないとも言っていたぞ?」
し「・・・ああ、それは」
宇「監視はしてたけど、お前らがあんまりイチャつくから接触しなかっただけだ」
煉「!!むぅ!!!」
色々見られていたとはな!!
よもやよもやだ!!!
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
会議も終わり解散となった。
帰ろうとしていた不死川に声をかける
煉「不死川!!」
不「・・・なんだァ?」
煉「美桜からこれを渡す様に頼まれている!!」
風呂敷を不死川に手渡す。
不「あぁ?何だ、こりゃあ??」
煉「美桜が作ったおはぎだ!!美味いぞ!!」
不「!!」
宇「何で美桜がわざわざ不死川に?」
宇髄が話に入ってくる。
煉「うむ!以前町でおはぎを買おうとしていた時に美桜の発作が起きてな!丁度居合わせた不死川が蝶屋敷まで運んでくれた上自分で買ったおはぎを譲ってくれたのだ!!」
不「おまっ!!・・そんな事大声でベラベラ喋んなァ!」
宇「へぇ〜不死川くん、やっさし〜♡」
不「宇髄・・テメェ・・・」
冨「・・・不死川は(おはぎが)好きなのだな・・・」
宇「えっ、不死川美桜の事好きなの!?」
冨「!!?(そっちか!?)」
煉「何!そうだったのか不死川!!だがすまん!美桜は俺の婚約者だ!!!」
不「違えぇよ!!!ふざけた事言ってんじゃねェ冨岡ァ!!!」
し「フフ、あんまりムキになると逆効果ですよ、不死川さん?」
悲「南無・・・しかし、美桜は料理が得意なのだな」
し「最初の頃は苦手の様でしたが、努力の賜ですね。たまに蝶屋敷にもお菓子を差し入れしてくれますよ〜」
悲「うむ。俺も芋の洋菓子をもらった事がある。美味だった」
宇「へぇ〜悲鳴嶼の旦那まで美桜の料理食ってんのか。俺は結構会ってる方なのにまだねぇぞ」
宇髄が不貞腐れた様に言う。
不「はっ!宇髄、テメェこそアイツの事気になってんじゃねぇのかァ??」
不死川が仕返しだとばかりに宇髄に噛み付く。
宇「あ?そうだけど?」
不「・・・はぁ!?」
煉「なっ!?」
さらりと肯定する宇髄に不死川だけでなく俺も動揺する。
宇「だってアイツ可愛いじゃん(小動物みたいで)」
煉不「「!!!」」
宇「なぁ冨岡?」
冨「・・・(小型の犬みたいだな)俺もそう思う」
煉不「「!!?」」
何ということだ!!!
美桜が柱たちからこんなに狙われていたとはな!!
俺と美桜は婚約をしてはいるが、油断ならんな!!!
し(煉獄さんと不死川さんは勘違いをされたみたいですねぇ。宇髄さんはワザとでしょうが、冨岡さん・・・相変わらず言葉が足らなすぎですね)
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『・・・杏寿郎さん、そろそろ帰ってくるかなぁ』
夕飯の支度をしながら呟く。
柱の皆さんは元気かなぁ・・・
帰ってきたらお話し聞いてみよう。
あ、おはぎ。実弥さん受け取ってくれたかなぁ。。。
と考えている所に
煉「ただいま戻った!!」
帰ってきた!!
煉獄さんを出迎えに玄関に向かう。
『おかえりなさい。きょう・・・』
寿郎さん。と言いかけて止まる。
煉獄さんの後ろにズラリと柱の面々が並んでいた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
し「すみません美桜さん。突然押しかけてしまって」
料理を手伝ってくれてるしのぶさんがやんわり謝ってくる。
『いえ!吃驚しましたけど久しぶりに皆さんに会えて嬉しいです』
でも、しのぶさんや宇髄さんはともかく、他の柱の人がわざわざ来てくれるなんて珍しい。
『何かあったんですか?』
し「皆さん、美桜さんに会いたくて来たのですよ〜。美桜さんの手料理が食べたいのですって」
『・・・えっ!?』
何で?
私普通の物しか作れないよ・・・
料理を作る手が急に緊張してきた
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
宇「てゆーか何で不死川たちまで来たんだよ?」
広間で美桜の用意したお茶を啜りながら宇髄がぼやく。
宇髄も何故家まで着いて来たのだ?
不「・・・俺は悲鳴嶼さんに連れてこられただけだァ」
冨「・・・・・・」
悲「・・・南無」
むぅ!!
よもや悲鳴嶼殿まで美桜の事を!!!
『お待たせしました。ご飯の支度が整いました』
美桜がひょっこり顔を出す。
煉「ありがとう!!俺が運ぼう!!!」
『??ありがとうございます・・・?』
し「フフ、煉獄さん必死ですねぇ」
『??』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
宇「へぇ。見た目は地味だけど結構美味いな!!」
私の料理を食べた宇髄さんが感想を言ってくれる。
献立は白米と筑前煮と小松菜のお浸し、玉ねぎとじゃがいものお味噌汁にお漬物だ。
『派手じゃなくてすみませんね・・』
ていうか派手な料理って何だろう?
煉「美桜の作る洋食は彩りも綺麗で美味いぞ!!」
美桜の料理はどれも美味い!!
と煉獄さんが自信たっぷりに答えてくれる。
お世辞でも嬉しい・・・!!
不「お前洋食が作れんのかァ?どこで習ったんだァ??」
『うーん、どこで習ったかは覚えてないです。すみません』
そうかぃ、と実弥さんが短く返事をする。
そういえば・・・おはぎ、受け取ってくれたかな。。。
チラ、と実弥さんを見ると一瞬目が合うけどすぐに逸らされてしまう。
『!!』
ガーン!!
拒絶された!?
もしかして迷惑だったかな・・・
シュンと下を向くと、
不「・・・さっき食ったわ。・・味はまぁまぁだった」
ポン、と頭に手を置かれる。
『!!そ、そうですか・・・』
わー!受け取ってすぐ食べてくれたんだ!!
なんか嬉しいな。
味はまぁまぁか・・・
『もっと練習しとくので、上達したらまた食べてくださいね?』
不「・・・好きにしろぉ」
このやり取り、槇寿郎さんみたいだなぁ。
思い出して顔が綻ぶ。
煉「・・・・・・」
『あ、義勇さん。先日は、鮭大根ご馳走さまでした。あと、色々勇気づけてくれてありがとうございました。』
義勇さんにペコリと頭を下げる。
冨「・・・ああ」
義勇さんは遠い目をしながらモグモグとご飯を食べている。
『・・義勇さんは鮭大根が好きなのですか?』
義「・・・」
モグモグしながら頷く。
『じゃあ今度いらっしゃる時に作りますね』
冨「!!」
驚いたように振り返る。
冨「・・・いいのか?」
『?はい。事前に分かれば用意しますよ』
冨「・・・(俺は避けられてない)」
フッと口角が上がる。
そんなに好きなんだ。鮭大根。
鬼殺隊の人って好物があるとテンション上がるのね。
それよりも、ほっぺにご飯粒ついてるけど、気づいてないのかな・・・
『義勇さん』
手を伸ばして口の端についたご飯粒を取ってあげる。
冨「!?」
『ついてましたよ。ご飯粒』
吃驚した顔で固まった義勇さん。ご飯粒つけるとか千ちゃんよりも子供っぽいな。
男の人に失礼かもしれないけど可愛いと思う。
煉「・・・・むぅ!」
宇「・・・煉獄もだが、美桜も相当な天然のたらしだな・・・」
し「そうですねぇ。煉獄さん、頑張って耐えていらっしゃいますねぇ」
『悲鳴嶼さん、玄弥くんは元気にしてますか?』
悲鳴嶼さんの湯呑みにお茶を淹れながら話しかける。
悲「・・・うむ。今は任務に出ている」
『任務ですか・・・怪我してないといいけど・・・』
玄弥くん。。。
見た目はツンツンしてるけど、照れ屋ですぐ顔が赤くなる所が可愛い男の子。
一度しか会っていないけど、危なっかしい感じがして何だか放っておけない気持ちにさせる子だった。
悲「心配か?」
『それは心配ですよ・・・玄弥くんだけじゃなくて皆さんの事だって・・・』
そう言って眉を下げる。
いくら皆が強くたって危険な事は危険だ。
鬼だって、鬼殺隊より弱い存在ならとっくに殲滅されている筈だし。。。
いつか、命を脅かすような強い鬼が現れるのではないかと常に不安が付き纏う。
悲「そうか・・・では、我らの任務に同行する気はあるか?」
『それはもう、はい・・・・はい?』
煉不冨「「「!!!???」」」
宇し「「悲鳴嶼さん!?」」
他の柱の人達が一斉に立ち上がる。
その行動に私は驚いて肩が跳ねる。
宇「ちょ、何をどさくさ紛れに言ってるんだよ!?」
し「今の流れで何故その話題に!?」
悲「・・・・・任務同行の件を伝えるのは煉獄には荷が重いだろうとずっと機を測っていたのだが・・・」
不「・・いや、それにしたって話の順序ってもんがあるだろォよ・・・ハッ!!まさか悲鳴嶼さん、俺たちを誘ったのって・・・」
悲「・・・俺では上手く伝えられぬかもしれないと思い、2人に助力してもらおうとだな」
不「いや、何も聞いてねェし流石に無理だわ!第一、冨岡は役に立たねェだろぉ!!」
冨「!!?(心外!)」
何か目の前でヤイヤイ言い合っているけれど、当の私は話について行けず口を開けたまま皆のやりとりを眺めるだけだった。
『・・・・・・??』
煉「美桜・・・」
煉獄さんが申し訳なさそうな顔をしている。
普段カッコいいのに眉を下げると途端に可愛くなるの反則じゃない??
『ん、と・・・任務に同行というのは、私、が、鬼退治を・・・?』
混乱した頭で先程言われた言葉を整理していく。
宇「いや、そうじゃない。落ち着け美桜。・・・ハァ、胡蝶。説明してやれ」
し「・・・そうですね。不本意ではありますが伝わってしまったのでしたら説明は必要ですね」
宇髄さんとしのぶさんがため息混じりに事の成り行きを説明をしてくれた。
その間煉獄さんは黙って腕を組み難しい顔をしていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『・・・つまり、私の記憶を戻す為に皆さんの任務に着いて行って鬼と対峙するって事ですか??』
悲「そうだ。だが対峙と言っても最初は直接的にではなく離れた所で見ているだけで良い。」
『離れた所・・・?』
不「あァ。俺たちの任務は鬼殺の隊士の他に事後処理班の隠が必ずついてくる。お前はそいつらに着いて遠くから見てりゃいいんだ」
『・・はぁ・・・』
冨「・・・・・・」
不「冨岡!テメェも何とか言ったらどうだ!!」
冨「(お館様の言う通り美桜が決める事だ)・・・俺は知らん」
不「ハアァァ!?テメェやる気あんのかァ!?」
実弥さんが義勇さんの胸ぐらを掴む。
何故そこで喧嘩が始まるの!?
し「お二人で争っても仕方がないでしょう・・・美桜さん。嫌だったら断っても良いのですよ?」
『え?』
宇「ああ。俺と胡蝶は最初から反対してんだ。美桜を鬼に近づけるって事は奴等に美桜の事が知られる危険もあるからな」
しのぶさんと宇髄さんは・・・
じゃあ、煉獄さんは・・・?
チラ、と煉獄さんの顔を盗み見る。
相変わらず腕組みをしたまま真顔で黙っている。
え、感情が読めない。怖っ!
し「煉獄さんも先程の会議で初めて知ったのです。なのでまだ気持ちの整理がついていないのだと思いますよ」
しのぶさんがコッソリ耳打ちで教えてくれる。
『そ、そうなんですね・・・』
悲「美桜、お館様はお前が決めれば良いと仰っていた。しかし、俺は一刻も早く記憶を呼び戻しその力を鬼殺に活かしたいと思っている。」
『・・・悲鳴嶼さん・・・』
不「俺もだァ。こうしてる間にもいくつもの命が鬼によって消されてんだ・・・お前の力が本当に鬼に効くってんなら使わねぇ手はねェ」
『・・・・・・』
冨「・・・・・・」
暫くの沈黙の後、冨岡さんが静かに立ち上がる。
不「!!おい、どこに行く!?」
冨「・・任務だ。お前達もそれぞれ持ち場の警備があるだろう。」
悲「・・・そうだな。美桜、今すぐ判断しろとは言わん。よく考え、煉獄にお前の意思を伝えてくれ。」
不「・・・・・・」
悲鳴嶼さん、冨岡さん、不死川さんはご馳走様、と言い残し屋敷を出て行った。
宇「〜っ!クソッ!!俺も任務があって行かなきゃなんねぇ。・・・美桜、飯美味かったぞ!また食わせてくれよ!!」
宇髄さんは努めて明るく振舞い、私の頭をポンポンしてから屋敷を出て行った。
し「・・・私も、そろそろ警備に向かいます。煉獄さんもですよね?」
煉「!!・・ああ!そうだな!!!」
し「美桜さん、お二人はああいう風に仰っていましたが無理なら無理で責める方達ではありません。お気になさらず、自分の気持ちに正直に決めていただいて大丈夫ですからね?」
しのぶさんも心配そうな顔でそのまま屋敷を後にした。
煉「・・・・・」
『・・・杏寿郎さん・・・』
煉「・・・俺も警備に行く!話の続きは帰ってからしよう!!」
煉獄さんはいつもの調子で出掛けて行った。
・・・いや、少しだけ違っていた。
あの話が始まってから一度も目が合わなかった。
1人きりになった部屋で私は立ち尽くしていた。
『・・・何なの・・・』