療養と転機
空欄の場合は「美桜」になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
し「・・・お話はわかりました」
美桜が気を失ってから慌てて蝶屋敷へと運んだ。
俺はまだ足が完治していなかった為、不死川が美桜を運んでくれた。
それから、今までの経緯を胡蝶に話し終えた所だ。
し「・・今日のやりとりの中で、美桜さんの記憶の一部を引き出すきっかけがあったのでしょうね。しかも、取り乱す程に辛い記憶を」
煉「・・・・・・」
不「・・弟」
し「?」
不「俺が、弟なんかいねぇと言った時にアイツの表情が変わった」
し「そうですか・・・。もしかしたら美桜さんにはご兄弟がいらっしゃるのかもしれませんね」
煉「・・・・・・」
し「きっとすぐ目を覚ますでしょう。煉獄さん、それまで美桜さんの側にいてあげてくださいね」
煉「・・・あぁ。」
ベッドで眠る美桜の顔を見る。
今は穏やかな顔をして眠りについている。
不「・・じゃあ、俺はもう行く。」
煉「うむ。ここまで運んでくれて助かった!ありがとう!!」
不「・・お前、ここ病室だぞ。少しは静かにしろぉ。・・・あと、さっさと怪我治せ。柱が足りねぇんだ。1日も早く復帰しろぉ」
煉「!!あぁ!ありがとう!!」
だから声!と言いながら包みを美桜の眠るベッド横の机に置いて行こうとする。
煉「不死川!これは君が買った物だろう?」
不「・・お前らもそれ買いにきたんだろ?起きたら食わせてやれェ」
じゃあな
そう言って部屋を出て行った。
し「さて、私も仕事に戻ります。美桜さんの意識が戻ったら教えてくださいね」
煉「・・・ああ。」
扉が閉まる。
美桜の手にそっと触れる。
煉「美桜・・・」
美桜は目覚めたら記憶が戻っているのだろうか。
記憶をなくしていた間の事は覚えているのか・・・?
記憶が戻ったら、俺の前から姿を消してしまうのではないか・・・
いつからか、そんな事を考えるようになってしまった。
最近の俺は美桜のために、と言っておきながら自己中心的な考えで彼女を振り回していたな。
伝えるべきことも伝えないままで・・・
煉「・・・俺は一体、どうしたいのだろうな・・・」
もう片方の手で美桜の頬に触れる。
『ん・・・・』
煉「!!」
美桜が顔を顰め、薄らと瞳を開いたーー
ーーーーーーーーあったかい
手が頬が、お日様にあたった様な暖かさで心地良くて意識が浮上していく。
深い深い夜の闇から助け出される様な感覚ー
わたしは薄らと目を開ける
視界が定まらない・・・
誰かの声が聞こえる
『・・・・誰?』
煉「!!」
『・・・・・・?』
ぼんやりとしたシルエット。まだ夢の中にいるみたい。。。
煉「・・・わからない、のか?」
ゆっくり、声の主の方を見る。
少しずつ視界と脳が覚醒していく
『あ・・・』
悲しそうな顔・・・
『杏寿郎、さん。どうしたの・・・?』
煉「!!・・俺が、分かるか?」
『はい。分かりますよ?変な杏寿郎さん』
フフッと笑う。
煉「・・・・・・」
気が付いたら、煉獄さんの腕の中にいた。
『・・・・・・?』
煉「・・・良かった。このまま目覚めないのかと心配した」
『・・心配かけてごめんなさい』
煉「・・・いや・・・胡蝶を呼んでくる」
ゆっくりと、私から離れて部屋を出て行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれからすぐ病室にやってきたしのぶさんの診察を受けている。
だけど記憶が戻った訳ではなく、私に弟がいたかどうかも思い出せなかった。
『・・頭の中で知らない人の声が聞こえるんです。』
し「・・・・・・」
煉「・・・・・・」
『君に弟は必要ないよって。僕さえいればー』
まだその声が耳に張り付いている。
私は震えを抑える様に両腕をきつく抱く。
『どういう意味なのかは分からないけど、とても怖い・・・』
煉「美桜」
煉獄さんの手が両肩に触れる。
それだけで震えが治まった。
し「・・・今の気分はどうですか?」
『今は・・・落ち着いています』
し「そうですか。でしたらもう少し休んだら帰って大丈夫ですよ。お家の方がゆっくりできるでしょう」
『・・・はい。ありがとうございます。』
し「では、ついでに煉獄さんの診察もしてしまいますので少し待っていてください。」
煉「む?」
し「さぁ、診察室へ来てください」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
し「足の方もあと少しといった所ですね。鍛錬もいいですが程々にしておかないと復帰は遠のきますよ」
煉「うむ。わかった。気をつけよう!」
し「それと・・・美桜さんの事。どうなさるおつもりですか?」
煉「ん?どういう意味だ??」
し「・・・私が何も気づいてないとでも?」
煉「むぅ!・・・美桜には、正式に柱に任命されたら想いを告げようと思っている」
し「そうですか」
煉「しかし、俺はあまりそういった経験がないものでどう伝えるべきか悩んでいる!」
し「・・・そうですか・・・」
し(やはり恋愛下手ですね・・・)
し「そうですねぇ・・・どうせなら、何か贈り物をしたらいかがですか?例えば・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから数日。
私は前と変わらぬ生活を送っている。
千「美桜さん、掃除は終わりましたか?」
『うん。こっちはもう終わるよ』
千「では一緒に夕飯の支度を始めましょう!今日は甘露寺さんもいらっしゃるので大変ですよ」
『フフッ。そうだね!頑張ろう!!』
今日は煉獄さんが鬼殺隊本部に呼ばれている。
きっと正式に柱として任命されてくるのだろう。
なので、蜜璃ちゃんを呼んでささやかながらお祝いをしようとしていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
千「・・・遅いですね」
蜜「何かあったのかしら?」
もう日がだいぶ落ちていた。
朝出かけて行ったので、夕刻までには戻ってくると思っていたけどまだ煉獄さんは帰って来なかった。
『・・・槇寿郎さんの食事だけ、先に運んでくるね』
千「あっ、お願いします」
『槇寿郎さん、お食事お持ちしました』
そっとお部屋に入る。
槇「・・・・・・」
槇寿郎さんは床に伏せて書物を読んでいる。
・・・最近はずっとそうだ。
煉獄さんが柱になったら、きっと認めてくれるよね・・・?
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
それから程なくして煉獄さんが戻ってきた。
煉「お館様より、正式に柱になる様任命を受けてきた!」
4人で食卓を囲んでいた。
千ちゃんと蜜璃ちゃんは嬉し涙を流している。
煉獄さんも嬉しそう。
良かった。
私も杏寿郎さんの念願の夢が叶って、自分のことの様に嬉しさを噛み締めていた。
煉「ーそうだ、美桜。」
『はい?』
煉「柱になったら伝えたい事があると言ってたな」
『はい』
千蜜「「!!!」」
煉「実は・・・」
蜜「うわー!この煮物美味しー!!これ、美桜ちゃんが作ったの?」
『?うん。喜んでもらえて嬉しいな』
煉「美桜・・聞いて欲しいのだが・・」
千「あ、兄上!ちょっとよろしいですか?」
煉「む。後にしてくれないか?今美桜に・・・」
蜜「あーこの煮物ホント美味しー!!美桜ちゃん、おかわりあるかなぁ?」
『う、うん。あるよ。持ってくるからちょっと待ってて』
様子のおかしい蜜璃ちゃんと千ちゃんに首を傾げながらも煮物のおかわりを取りに行く。
ーーーーー
煉「・・・何故話の邪魔をするのだ」
兄上がピリついている。
珍しく怒っている・・・
しかし、こちらも黙ってはいられない。
千「兄上・・・今、美桜さんに何を話そうとしていました?」
煉「!!」
蜜「煉獄さん・・・いくら何でも私たちの前で話す内容ではないと思います」
煉「!!?」
千「美桜さんにとっても大事なことですから、是非二人きりになってからお話してください」
煉「・・・よもや」
兄上らしくもない。
何をそんなに焦っているのだろう・・・
『おまたせ蜜璃ちゃん!・・・?どうかした??』
何も知らない美桜さんが煮物を持って部屋に戻ってきた。
自分より年上の女性を可愛らしいと思ってしまう。
兄上とどうか幸せになって欲しいな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蜜「あー!美味しかったぁ!!ご馳走様でした!」
煉「うむ!どれも美味かった!!二人ともありがとう!」
『お粗末様でした。・・・じゃあ、私は後片付けを』
千「美桜さん!俺がやります!!美桜さんは今日は休んでください!」
『え・・・でも』
この量を千ちゃんだけに任せる訳には・・
蜜「千寿郎くん!ご馳走になったお礼に後片付け手伝うわ!!」
千「それは助かります!!兄上、美桜さんもどうぞごゆっくり」
そう言って2人は後片付けに行ってしまった。
『・・・・・2人とも、どうしたんだろ』
煉「・・・・・・美桜」
『はい?』
煉「少し・・・付き合ってくれないか?」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
美桜を俺の部屋に招き入れる。
『杏寿郎さん・・何かありましたか?』
二人きりになると自然と名前で呼んでくれるようになった。
たったそれだけの事で嬉しさが込み上げてくる。
煉「・・・実はな、柱になると屋敷を与えられるらしく、俺は近々新しい屋敷に移る事になる。」
『・・・え・・・』
美桜の顔が途端に不安そうになる。
そんな顔をしないでくれ・・・
煉「それでなんだが・・・美桜には、俺に着いてきて欲しいと思っている」
『・・・』
美桜は固まったままだ。
情報が追いついていない。そんな顔をしている。
ー美桜さんは驚く程に恋愛事は鈍いので、しっかり言葉にして伝えてあげて下さいー
ー美桜ちゃんを幸せにしてあげてくださいね!ー
ー美桜さんにとっても大切な事ですからねー
確かに、そうだな。
フッと笑みが溢れる。
煉「美桜」
煉「俺と夫婦になって欲しい」
美桜が気を失ってから慌てて蝶屋敷へと運んだ。
俺はまだ足が完治していなかった為、不死川が美桜を運んでくれた。
それから、今までの経緯を胡蝶に話し終えた所だ。
し「・・今日のやりとりの中で、美桜さんの記憶の一部を引き出すきっかけがあったのでしょうね。しかも、取り乱す程に辛い記憶を」
煉「・・・・・・」
不「・・弟」
し「?」
不「俺が、弟なんかいねぇと言った時にアイツの表情が変わった」
し「そうですか・・・。もしかしたら美桜さんにはご兄弟がいらっしゃるのかもしれませんね」
煉「・・・・・・」
し「きっとすぐ目を覚ますでしょう。煉獄さん、それまで美桜さんの側にいてあげてくださいね」
煉「・・・あぁ。」
ベッドで眠る美桜の顔を見る。
今は穏やかな顔をして眠りについている。
不「・・じゃあ、俺はもう行く。」
煉「うむ。ここまで運んでくれて助かった!ありがとう!!」
不「・・お前、ここ病室だぞ。少しは静かにしろぉ。・・・あと、さっさと怪我治せ。柱が足りねぇんだ。1日も早く復帰しろぉ」
煉「!!あぁ!ありがとう!!」
だから声!と言いながら包みを美桜の眠るベッド横の机に置いて行こうとする。
煉「不死川!これは君が買った物だろう?」
不「・・お前らもそれ買いにきたんだろ?起きたら食わせてやれェ」
じゃあな
そう言って部屋を出て行った。
し「さて、私も仕事に戻ります。美桜さんの意識が戻ったら教えてくださいね」
煉「・・・ああ。」
扉が閉まる。
美桜の手にそっと触れる。
煉「美桜・・・」
美桜は目覚めたら記憶が戻っているのだろうか。
記憶をなくしていた間の事は覚えているのか・・・?
記憶が戻ったら、俺の前から姿を消してしまうのではないか・・・
いつからか、そんな事を考えるようになってしまった。
最近の俺は美桜のために、と言っておきながら自己中心的な考えで彼女を振り回していたな。
伝えるべきことも伝えないままで・・・
煉「・・・俺は一体、どうしたいのだろうな・・・」
もう片方の手で美桜の頬に触れる。
『ん・・・・』
煉「!!」
美桜が顔を顰め、薄らと瞳を開いたーー
ーーーーーーーーあったかい
手が頬が、お日様にあたった様な暖かさで心地良くて意識が浮上していく。
深い深い夜の闇から助け出される様な感覚ー
わたしは薄らと目を開ける
視界が定まらない・・・
誰かの声が聞こえる
『・・・・誰?』
煉「!!」
『・・・・・・?』
ぼんやりとしたシルエット。まだ夢の中にいるみたい。。。
煉「・・・わからない、のか?」
ゆっくり、声の主の方を見る。
少しずつ視界と脳が覚醒していく
『あ・・・』
悲しそうな顔・・・
『杏寿郎、さん。どうしたの・・・?』
煉「!!・・俺が、分かるか?」
『はい。分かりますよ?変な杏寿郎さん』
フフッと笑う。
煉「・・・・・・」
気が付いたら、煉獄さんの腕の中にいた。
『・・・・・・?』
煉「・・・良かった。このまま目覚めないのかと心配した」
『・・心配かけてごめんなさい』
煉「・・・いや・・・胡蝶を呼んでくる」
ゆっくりと、私から離れて部屋を出て行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれからすぐ病室にやってきたしのぶさんの診察を受けている。
だけど記憶が戻った訳ではなく、私に弟がいたかどうかも思い出せなかった。
『・・頭の中で知らない人の声が聞こえるんです。』
し「・・・・・・」
煉「・・・・・・」
『君に弟は必要ないよって。僕さえいればー』
まだその声が耳に張り付いている。
私は震えを抑える様に両腕をきつく抱く。
『どういう意味なのかは分からないけど、とても怖い・・・』
煉「美桜」
煉獄さんの手が両肩に触れる。
それだけで震えが治まった。
し「・・・今の気分はどうですか?」
『今は・・・落ち着いています』
し「そうですか。でしたらもう少し休んだら帰って大丈夫ですよ。お家の方がゆっくりできるでしょう」
『・・・はい。ありがとうございます。』
し「では、ついでに煉獄さんの診察もしてしまいますので少し待っていてください。」
煉「む?」
し「さぁ、診察室へ来てください」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
し「足の方もあと少しといった所ですね。鍛錬もいいですが程々にしておかないと復帰は遠のきますよ」
煉「うむ。わかった。気をつけよう!」
し「それと・・・美桜さんの事。どうなさるおつもりですか?」
煉「ん?どういう意味だ??」
し「・・・私が何も気づいてないとでも?」
煉「むぅ!・・・美桜には、正式に柱に任命されたら想いを告げようと思っている」
し「そうですか」
煉「しかし、俺はあまりそういった経験がないものでどう伝えるべきか悩んでいる!」
し「・・・そうですか・・・」
し(やはり恋愛下手ですね・・・)
し「そうですねぇ・・・どうせなら、何か贈り物をしたらいかがですか?例えば・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから数日。
私は前と変わらぬ生活を送っている。
千「美桜さん、掃除は終わりましたか?」
『うん。こっちはもう終わるよ』
千「では一緒に夕飯の支度を始めましょう!今日は甘露寺さんもいらっしゃるので大変ですよ」
『フフッ。そうだね!頑張ろう!!』
今日は煉獄さんが鬼殺隊本部に呼ばれている。
きっと正式に柱として任命されてくるのだろう。
なので、蜜璃ちゃんを呼んでささやかながらお祝いをしようとしていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
千「・・・遅いですね」
蜜「何かあったのかしら?」
もう日がだいぶ落ちていた。
朝出かけて行ったので、夕刻までには戻ってくると思っていたけどまだ煉獄さんは帰って来なかった。
『・・・槇寿郎さんの食事だけ、先に運んでくるね』
千「あっ、お願いします」
『槇寿郎さん、お食事お持ちしました』
そっとお部屋に入る。
槇「・・・・・・」
槇寿郎さんは床に伏せて書物を読んでいる。
・・・最近はずっとそうだ。
煉獄さんが柱になったら、きっと認めてくれるよね・・・?
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
それから程なくして煉獄さんが戻ってきた。
煉「お館様より、正式に柱になる様任命を受けてきた!」
4人で食卓を囲んでいた。
千ちゃんと蜜璃ちゃんは嬉し涙を流している。
煉獄さんも嬉しそう。
良かった。
私も杏寿郎さんの念願の夢が叶って、自分のことの様に嬉しさを噛み締めていた。
煉「ーそうだ、美桜。」
『はい?』
煉「柱になったら伝えたい事があると言ってたな」
『はい』
千蜜「「!!!」」
煉「実は・・・」
蜜「うわー!この煮物美味しー!!これ、美桜ちゃんが作ったの?」
『?うん。喜んでもらえて嬉しいな』
煉「美桜・・聞いて欲しいのだが・・」
千「あ、兄上!ちょっとよろしいですか?」
煉「む。後にしてくれないか?今美桜に・・・」
蜜「あーこの煮物ホント美味しー!!美桜ちゃん、おかわりあるかなぁ?」
『う、うん。あるよ。持ってくるからちょっと待ってて』
様子のおかしい蜜璃ちゃんと千ちゃんに首を傾げながらも煮物のおかわりを取りに行く。
ーーーーー
煉「・・・何故話の邪魔をするのだ」
兄上がピリついている。
珍しく怒っている・・・
しかし、こちらも黙ってはいられない。
千「兄上・・・今、美桜さんに何を話そうとしていました?」
煉「!!」
蜜「煉獄さん・・・いくら何でも私たちの前で話す内容ではないと思います」
煉「!!?」
千「美桜さんにとっても大事なことですから、是非二人きりになってからお話してください」
煉「・・・よもや」
兄上らしくもない。
何をそんなに焦っているのだろう・・・
『おまたせ蜜璃ちゃん!・・・?どうかした??』
何も知らない美桜さんが煮物を持って部屋に戻ってきた。
自分より年上の女性を可愛らしいと思ってしまう。
兄上とどうか幸せになって欲しいな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蜜「あー!美味しかったぁ!!ご馳走様でした!」
煉「うむ!どれも美味かった!!二人ともありがとう!」
『お粗末様でした。・・・じゃあ、私は後片付けを』
千「美桜さん!俺がやります!!美桜さんは今日は休んでください!」
『え・・・でも』
この量を千ちゃんだけに任せる訳には・・
蜜「千寿郎くん!ご馳走になったお礼に後片付け手伝うわ!!」
千「それは助かります!!兄上、美桜さんもどうぞごゆっくり」
そう言って2人は後片付けに行ってしまった。
『・・・・・2人とも、どうしたんだろ』
煉「・・・・・・美桜」
『はい?』
煉「少し・・・付き合ってくれないか?」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
美桜を俺の部屋に招き入れる。
『杏寿郎さん・・何かありましたか?』
二人きりになると自然と名前で呼んでくれるようになった。
たったそれだけの事で嬉しさが込み上げてくる。
煉「・・・実はな、柱になると屋敷を与えられるらしく、俺は近々新しい屋敷に移る事になる。」
『・・・え・・・』
美桜の顔が途端に不安そうになる。
そんな顔をしないでくれ・・・
煉「それでなんだが・・・美桜には、俺に着いてきて欲しいと思っている」
『・・・』
美桜は固まったままだ。
情報が追いついていない。そんな顔をしている。
ー美桜さんは驚く程に恋愛事は鈍いので、しっかり言葉にして伝えてあげて下さいー
ー美桜ちゃんを幸せにしてあげてくださいね!ー
ー美桜さんにとっても大切な事ですからねー
確かに、そうだな。
フッと笑みが溢れる。
煉「美桜」
煉「俺と夫婦になって欲しい」