療養と転機
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鬼騒動、そして柱合会議の長い1日から数日が経った。
槇寿郎さんも責任を感じたのか、以前よりお酒の量が減った気がする。
煉獄さんは例の任務に備えて以前にも増して鍛錬に力が入っている。
今日も蜜璃ちゃんと午前中から道場で打ち込みを続けている。
毎日、あまり変わらないようで、少しずつ変化している。
千「美桜さん!」
そう、千ちゃんも。
千「洗濯を干すのはお、俺がやります!美桜さんは兄上たちのお茶菓子のご用意をお願いします」
千ちゃんの一人称が僕から俺に変わっていた・・・
多分、柱合会議の後くらいからだと思う。
そういう年頃なんだね。。。
千ちゃんの成長は嬉しくもありちょっとだけ寂しい気持ちになるなぁ。。
でもまだ言い慣れてない感じが可愛い!
自尊心が傷ついちゃうといけないから気にしてないフリをする。
『うん、ありがとう』
私はお菓子の準備を始める。
今日は何作ろうかなぁ・・・
と、少し前の蜜璃ちゃんの内緒話を思い出す。
蜜(あのね、煉獄さんはさつまいも料理が好きなの!やっぱり殿方を射止めるなら胃袋から掴むのがいいと思うわ♡)
煉獄さんがさつまいも料理が好きなのは知らなかった。
煉獄家では出ないから寧ろ苦手なんだと思ってた。
千ちゃんに聞いたら大好物すぎて声がいつも以上に大きくなって近所迷惑になるからあまり出せないんだとか・・・
『・・・・・・』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お茶菓子の準備をして、道場の扉をそっと開く。
中では煉獄さんと蜜璃ちゃんが相変わらず稽古をしていた。
あぁ、カッコいいなぁ〜
剣を振るう煉獄さんに思わず見惚れてしまう。
蜜「あっ、美桜ちゃん!!」
私に気付いた蜜璃ちゃんが稽古を中断して飛びついてくる。
煉「こら、甘露寺!まだ休憩ではないぞ!!」
『あっ、邪魔しちゃってごめんなさい。お茶菓子をお持ちしました。・・・さつまいもの』
煉「!」
そうだよね・・・
十二鬼月っていう強い鬼と戦おうって時にお菓子じゃないよね。
『こ、ここに置いておきますので、良かったら後で召し上がってくださいね』
そのまま出て行こうとすると、手を掴まれる。
煉「休憩する!」
『えっ、でも・・・』
煉「今から休憩する!美桜、お茶を淹れてくれるか?」
『は・・・はい』
さつまいも、そんなに好きなんだ・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
天気が良いので縁側に移動する。
そこに千ちゃんも合流して腰を降ろす。
私はお茶を淹れて煉獄さんと蜜璃ちゃんに手渡す。
煉「ありがとう!」
蜜「美桜ちゃん、何のお菓子作ったの〜?」
『スイートポテトっていうお菓子なんだけど』
蜜「すいーとぽていと!私大好きっ!!」
お皿に乗せて二人に渡す。
煉「綺麗な色だな!」
煉獄さんが一口分切って口に運ぶ。
あれ、何でこんなドキドキするんだろ・・
今までも自分が作った料理は何度も食べてもらってるのに・・・
煉「・・・わっしょい!!!」
!?
え、なんて?わっしょい??
蜜「出たー!師範のわっしょいだー!!」
??
混乱していると、千ちゃんが
千「兄上は大好物のさつまいも料理を食べるとわっしょいと言ってしまうんですよ」
え、そういう体質??
初めて聞いたよ・・・
煉「美桜!」
『は、はい!』
煉「ありがとう!好物を食べて元気になった!!これで任務も頑張れる!!」
ポッと顔が赤くなる。
トン、と蜜璃ちゃんに肩を叩かれる。
蜜「よかったね、煉獄さん喜んでくれて」
『うん、ありがとう蜜璃ちゃん』
二人で内緒話をして笑い合う。
煉「ん?どうした二人とも?」
蜜「いいえ、女の子同士の秘密のお話ですっ」
煉「むぅ。そうか。」
『では、私はそろそろ蝶屋敷に行ってきます』
煉「今日は診察の日だったか?送って行こう!」
煉獄さんが立ち上がろうとする。
『えっ、いいですよ!ちゃんと明るい時間に帰ってきますから!!』
煉獄さんには大事な任務に備えて欲しい。
煉「だが・・・」
何だか最近の煉獄さんは過保護な気がする・・・
心配ばかりかけてる私がいけないんだけど。
宇「そんなに心配なら俺が送ってやるよ」
!!
『宇髄さん!?』
何でここに??
宇「俺も蝶屋敷に用があってな。胡蝶に頼まれたんだよ。ついでに美桜を拾ってきてくれってな!」
『しのぶさんが・・・そうなんですか?』
宇「おう」
『じゃあ急いで支度してきますね!』
私は自室に向かう。
煉「・・・・・・」
宇「なんだ、煉獄。俺じゃ頼りないってか?」
煉「いや・・・美桜を頼む・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『宇髄さん、お待たせしました!煉獄さん、いってきま』
す、と言おうとした時ヒョイと宇髄さんに持ち上げられる。
『!??』
宇「よし、じゃあ行くぞ」
煉「な、待て!何故抱き上げる必要がある!?」
宇「美桜の歩きに合わせてたら俺の用事に間に合わねぇ。抱えて一走りした方が早く着くんだよ」
じゃあな、と宇髄さんが言ったかと思うとすでに景色は変わっていた。
えっ早い早いこわい!!
ギュッと宇髄さんの胸元にしがみつく。
宇「なんだ、甘えてんのか?」
『ちがっ!!違いますっ!!速くて、こわいっ』
なんで?前は荷物みたいに抱えてたよねぇ?
どうして横抱きなの??
蝶屋敷に着く頃にはぐったりしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蝶屋敷に着いて降ろされる。
変な浮遊感が残っていてフラフラする・・・
『送っていただいて、ありがとうございましたっ』
宇「おう、この後任務だから帰りは送れねぇけど大丈夫か?」
『は、はい。暗くならない内に帰ります』
宇髄さんはそうか、と言って頭をポンと叩いて行ってしまった。
あれ、蝶屋敷に用事があるって言ってなかったっけ??
お屋敷に入って廊下を歩いていると、曲り角で丁度人とぶつかってしまう。
『へぶっ!!』
?「!!」
後ろに倒れそうになった私の腕を男の子が咄嗟に掴んでくれる。
『あ・・ありがとう。ごめんなさい、ボーッとしてて』
?「・・・いや、俺も・・だし」
男の子は顔を赤くしてそのまま行ってしまった。
・・・見たことない子だなぁ。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
し「・・・成る程。確かに、断片的ではありますが記憶が戻ってきている様ですね。」
私は今までの生活の中での気づいた事を全てしのぶさんに話した。
し「恐らくですが、生活の中で記憶を無くす前の類似体験をする事がきっかけになっている様ですね」
『類似体験・・・』
し「これからは、無理のない程度に外出したり新しい刺激を受ける事でまた進展があるかもしれませんね」
『新しい刺激、ですか・・・』
し「まぁ、些細なことですよ。少し遠出をしてみるとか、いつもと違う道を歩いてみるとか。そんな事から意識してみてはいかがですか?」
『はい。やってみます。』
し「ただし、出歩く際は必ず事前に伝えて下さいね」
『は、はい・・・』
し「では今日の診察はおしまいです。あ、たまにはアオイやカナヲたちに会っていってあげてくださいね。喜びますから」
『はい!私も久しぶりに皆に会いたいです』
そうして、診察室を出た私はアオイちゃんやカナヲちゃん達と久しぶりに会ってお話を楽しんだ。
今まで何度か蝶屋敷に来てるけど、忙しいだろうなと遠慮していて話に行けなかったから嬉しかったなぁ。
スイートポテトの話をしたら皆食べたいと言ってくれたので次の診察の時に作って持ってくる約束をしてから蝶屋敷を後にする。
『わ、思ったよりも遅くなっちゃった。』
早く帰らないと暗くなっちゃうぞ。
急ぎ足で帰ろうとした所に
悲「こんな時間に一人で帰るのか?」
『ひっ悲鳴嶼さん??』
悲「煉獄家に着く頃には暗くなってしまうぞ。送っていこう」
『え、そんな、、悪いですよ』
悲「・・・問題はない」
そうして、悲鳴嶼さんに煉獄さんのお家まで送ってもらう事になった。
今日は柱の人によく会う1日だなぁ。
なんて考えてると悲鳴嶼さんの後ろからさっきの男の子が出てくる。
『あれ、貴方はさっきの・・・』
男の子はペコリと頭を下げる。
悲「この子は不死川玄弥という。最近隊士になったのだが、今は私と行動を共にしている。」
『へぇ不死川、くん?あれ?』
悲「・・そうだ。不死川の弟だ」
『えー!!やっぱり!?凄いねぇ、兄弟で鬼殺隊なんだね』
玄弥くんは、顔を赤くして俯いている。
女の人苦手なのかなぁ・・・不死川さんに顔は似てるけどかわいいなぁ。
『・・・でも、気をつけてね?怪我とかしたらお兄さん心配すると思うし・・』
玄「・・・うす。」
小さい声で返事を返してくれた。
そうして二人に送ってもらった私は無事に煉獄さんのお家まで帰ってきた。
『悲鳴嶼さん、玄弥くん、ここまでありがとうございました。あっ、ちょっとだけ待ってて下さい!』
そう言って私は一度家の中に入り、包みを持って再び二人の元に駆け寄る。
『あの、これ・・・お口に合うかわかりませんが二人で食べてください』
悲「・・・」
『スイートポテトっていう、さつまいものお菓子なんですが』
悲「美桜が作ったのか?」
『は、はい・・・』
悲鳴嶼さんはフッと笑い
悲「有り難く頂戴しよう」
と受け取ってくれた。
それから悲鳴嶼さんと玄弥くんは来た道を再び戻っていった。
お家に入ると、すぐに煉獄さんと千ちゃんがやってきて
煉「美桜!遅かったではないか!心配したぞ!!」
『ご、ごめんなさい。アオイちゃん達と話が盛り上がってしまって・・・でも、ここまで岩柱の悲鳴嶼さんが送って下さったので大丈夫でした!』
煉「・・・・・」
そう言うと煉獄さんは急に黙ってしまった。
何かまずい事を言ってしまったのかな・・・
『あ、あの・・・ごめんなさい。心配かけて』
申し訳ない気持ちで煉獄さんを見上げる。
煉「っ!!・・・いや、これからは気をつけてくれれば良い。」
『はい。あ、私一度お部屋に荷物を置いてきますね。それからお夕飯のお支度を手伝います』
と言って煉獄さんを残して自室に向かう。
煉(・・・あんな上目遣いの顔、他の者達の前でさせる訳にはいかんな。美桜には気をつける様に念押ししなければ)
千(・・・兄上の独占欲が日に日に増していく様な気がする・・美桜さんは自覚してないようだけど)
ー兄弟二人の意味の違うため息が廊下に響いていたー
槇寿郎さんも責任を感じたのか、以前よりお酒の量が減った気がする。
煉獄さんは例の任務に備えて以前にも増して鍛錬に力が入っている。
今日も蜜璃ちゃんと午前中から道場で打ち込みを続けている。
毎日、あまり変わらないようで、少しずつ変化している。
千「美桜さん!」
そう、千ちゃんも。
千「洗濯を干すのはお、俺がやります!美桜さんは兄上たちのお茶菓子のご用意をお願いします」
千ちゃんの一人称が僕から俺に変わっていた・・・
多分、柱合会議の後くらいからだと思う。
そういう年頃なんだね。。。
千ちゃんの成長は嬉しくもありちょっとだけ寂しい気持ちになるなぁ。。
でもまだ言い慣れてない感じが可愛い!
自尊心が傷ついちゃうといけないから気にしてないフリをする。
『うん、ありがとう』
私はお菓子の準備を始める。
今日は何作ろうかなぁ・・・
と、少し前の蜜璃ちゃんの内緒話を思い出す。
蜜(あのね、煉獄さんはさつまいも料理が好きなの!やっぱり殿方を射止めるなら胃袋から掴むのがいいと思うわ♡)
煉獄さんがさつまいも料理が好きなのは知らなかった。
煉獄家では出ないから寧ろ苦手なんだと思ってた。
千ちゃんに聞いたら大好物すぎて声がいつも以上に大きくなって近所迷惑になるからあまり出せないんだとか・・・
『・・・・・・』
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お茶菓子の準備をして、道場の扉をそっと開く。
中では煉獄さんと蜜璃ちゃんが相変わらず稽古をしていた。
あぁ、カッコいいなぁ〜
剣を振るう煉獄さんに思わず見惚れてしまう。
蜜「あっ、美桜ちゃん!!」
私に気付いた蜜璃ちゃんが稽古を中断して飛びついてくる。
煉「こら、甘露寺!まだ休憩ではないぞ!!」
『あっ、邪魔しちゃってごめんなさい。お茶菓子をお持ちしました。・・・さつまいもの』
煉「!」
そうだよね・・・
十二鬼月っていう強い鬼と戦おうって時にお菓子じゃないよね。
『こ、ここに置いておきますので、良かったら後で召し上がってくださいね』
そのまま出て行こうとすると、手を掴まれる。
煉「休憩する!」
『えっ、でも・・・』
煉「今から休憩する!美桜、お茶を淹れてくれるか?」
『は・・・はい』
さつまいも、そんなに好きなんだ・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
天気が良いので縁側に移動する。
そこに千ちゃんも合流して腰を降ろす。
私はお茶を淹れて煉獄さんと蜜璃ちゃんに手渡す。
煉「ありがとう!」
蜜「美桜ちゃん、何のお菓子作ったの〜?」
『スイートポテトっていうお菓子なんだけど』
蜜「すいーとぽていと!私大好きっ!!」
お皿に乗せて二人に渡す。
煉「綺麗な色だな!」
煉獄さんが一口分切って口に運ぶ。
あれ、何でこんなドキドキするんだろ・・
今までも自分が作った料理は何度も食べてもらってるのに・・・
煉「・・・わっしょい!!!」
!?
え、なんて?わっしょい??
蜜「出たー!師範のわっしょいだー!!」
??
混乱していると、千ちゃんが
千「兄上は大好物のさつまいも料理を食べるとわっしょいと言ってしまうんですよ」
え、そういう体質??
初めて聞いたよ・・・
煉「美桜!」
『は、はい!』
煉「ありがとう!好物を食べて元気になった!!これで任務も頑張れる!!」
ポッと顔が赤くなる。
トン、と蜜璃ちゃんに肩を叩かれる。
蜜「よかったね、煉獄さん喜んでくれて」
『うん、ありがとう蜜璃ちゃん』
二人で内緒話をして笑い合う。
煉「ん?どうした二人とも?」
蜜「いいえ、女の子同士の秘密のお話ですっ」
煉「むぅ。そうか。」
『では、私はそろそろ蝶屋敷に行ってきます』
煉「今日は診察の日だったか?送って行こう!」
煉獄さんが立ち上がろうとする。
『えっ、いいですよ!ちゃんと明るい時間に帰ってきますから!!』
煉獄さんには大事な任務に備えて欲しい。
煉「だが・・・」
何だか最近の煉獄さんは過保護な気がする・・・
心配ばかりかけてる私がいけないんだけど。
宇「そんなに心配なら俺が送ってやるよ」
!!
『宇髄さん!?』
何でここに??
宇「俺も蝶屋敷に用があってな。胡蝶に頼まれたんだよ。ついでに美桜を拾ってきてくれってな!」
『しのぶさんが・・・そうなんですか?』
宇「おう」
『じゃあ急いで支度してきますね!』
私は自室に向かう。
煉「・・・・・・」
宇「なんだ、煉獄。俺じゃ頼りないってか?」
煉「いや・・・美桜を頼む・・・」
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『宇髄さん、お待たせしました!煉獄さん、いってきま』
す、と言おうとした時ヒョイと宇髄さんに持ち上げられる。
『!??』
宇「よし、じゃあ行くぞ」
煉「な、待て!何故抱き上げる必要がある!?」
宇「美桜の歩きに合わせてたら俺の用事に間に合わねぇ。抱えて一走りした方が早く着くんだよ」
じゃあな、と宇髄さんが言ったかと思うとすでに景色は変わっていた。
えっ早い早いこわい!!
ギュッと宇髄さんの胸元にしがみつく。
宇「なんだ、甘えてんのか?」
『ちがっ!!違いますっ!!速くて、こわいっ』
なんで?前は荷物みたいに抱えてたよねぇ?
どうして横抱きなの??
蝶屋敷に着く頃にはぐったりしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蝶屋敷に着いて降ろされる。
変な浮遊感が残っていてフラフラする・・・
『送っていただいて、ありがとうございましたっ』
宇「おう、この後任務だから帰りは送れねぇけど大丈夫か?」
『は、はい。暗くならない内に帰ります』
宇髄さんはそうか、と言って頭をポンと叩いて行ってしまった。
あれ、蝶屋敷に用事があるって言ってなかったっけ??
お屋敷に入って廊下を歩いていると、曲り角で丁度人とぶつかってしまう。
『へぶっ!!』
?「!!」
後ろに倒れそうになった私の腕を男の子が咄嗟に掴んでくれる。
『あ・・ありがとう。ごめんなさい、ボーッとしてて』
?「・・・いや、俺も・・だし」
男の子は顔を赤くしてそのまま行ってしまった。
・・・見たことない子だなぁ。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
し「・・・成る程。確かに、断片的ではありますが記憶が戻ってきている様ですね。」
私は今までの生活の中での気づいた事を全てしのぶさんに話した。
し「恐らくですが、生活の中で記憶を無くす前の類似体験をする事がきっかけになっている様ですね」
『類似体験・・・』
し「これからは、無理のない程度に外出したり新しい刺激を受ける事でまた進展があるかもしれませんね」
『新しい刺激、ですか・・・』
し「まぁ、些細なことですよ。少し遠出をしてみるとか、いつもと違う道を歩いてみるとか。そんな事から意識してみてはいかがですか?」
『はい。やってみます。』
し「ただし、出歩く際は必ず事前に伝えて下さいね」
『は、はい・・・』
し「では今日の診察はおしまいです。あ、たまにはアオイやカナヲたちに会っていってあげてくださいね。喜びますから」
『はい!私も久しぶりに皆に会いたいです』
そうして、診察室を出た私はアオイちゃんやカナヲちゃん達と久しぶりに会ってお話を楽しんだ。
今まで何度か蝶屋敷に来てるけど、忙しいだろうなと遠慮していて話に行けなかったから嬉しかったなぁ。
スイートポテトの話をしたら皆食べたいと言ってくれたので次の診察の時に作って持ってくる約束をしてから蝶屋敷を後にする。
『わ、思ったよりも遅くなっちゃった。』
早く帰らないと暗くなっちゃうぞ。
急ぎ足で帰ろうとした所に
悲「こんな時間に一人で帰るのか?」
『ひっ悲鳴嶼さん??』
悲「煉獄家に着く頃には暗くなってしまうぞ。送っていこう」
『え、そんな、、悪いですよ』
悲「・・・問題はない」
そうして、悲鳴嶼さんに煉獄さんのお家まで送ってもらう事になった。
今日は柱の人によく会う1日だなぁ。
なんて考えてると悲鳴嶼さんの後ろからさっきの男の子が出てくる。
『あれ、貴方はさっきの・・・』
男の子はペコリと頭を下げる。
悲「この子は不死川玄弥という。最近隊士になったのだが、今は私と行動を共にしている。」
『へぇ不死川、くん?あれ?』
悲「・・そうだ。不死川の弟だ」
『えー!!やっぱり!?凄いねぇ、兄弟で鬼殺隊なんだね』
玄弥くんは、顔を赤くして俯いている。
女の人苦手なのかなぁ・・・不死川さんに顔は似てるけどかわいいなぁ。
『・・・でも、気をつけてね?怪我とかしたらお兄さん心配すると思うし・・』
玄「・・・うす。」
小さい声で返事を返してくれた。
そうして二人に送ってもらった私は無事に煉獄さんのお家まで帰ってきた。
『悲鳴嶼さん、玄弥くん、ここまでありがとうございました。あっ、ちょっとだけ待ってて下さい!』
そう言って私は一度家の中に入り、包みを持って再び二人の元に駆け寄る。
『あの、これ・・・お口に合うかわかりませんが二人で食べてください』
悲「・・・」
『スイートポテトっていう、さつまいものお菓子なんですが』
悲「美桜が作ったのか?」
『は、はい・・・』
悲鳴嶼さんはフッと笑い
悲「有り難く頂戴しよう」
と受け取ってくれた。
それから悲鳴嶼さんと玄弥くんは来た道を再び戻っていった。
お家に入ると、すぐに煉獄さんと千ちゃんがやってきて
煉「美桜!遅かったではないか!心配したぞ!!」
『ご、ごめんなさい。アオイちゃん達と話が盛り上がってしまって・・・でも、ここまで岩柱の悲鳴嶼さんが送って下さったので大丈夫でした!』
煉「・・・・・」
そう言うと煉獄さんは急に黙ってしまった。
何かまずい事を言ってしまったのかな・・・
『あ、あの・・・ごめんなさい。心配かけて』
申し訳ない気持ちで煉獄さんを見上げる。
煉「っ!!・・・いや、これからは気をつけてくれれば良い。」
『はい。あ、私一度お部屋に荷物を置いてきますね。それからお夕飯のお支度を手伝います』
と言って煉獄さんを残して自室に向かう。
煉(・・・あんな上目遣いの顔、他の者達の前でさせる訳にはいかんな。美桜には気をつける様に念押ししなければ)
千(・・・兄上の独占欲が日に日に増していく様な気がする・・美桜さんは自覚してないようだけど)
ー兄弟二人の意味の違うため息が廊下に響いていたー