終わりと始まり
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ーー暖かいーー
そして心地よい風を感じた私は重くなった瞼をゆっくり上げる。
ぼやける視界からは見覚えのない天井。
まだ夢を見ているのかな?
微睡みから抜けきれない所にニュッと女の子が顔を出す。
『ッ!?』
吃驚したーーー!
それは女の子も同じだった様で目を見開いている。
そして慌てた様子で部屋を出て行ってしまった。
しばらくすると、パタパタと足音が聞こえさっきの少女と女の人が入ってきた。
し「お加減はいかがですか?」
優しい声に少しほっとする。
『えっ、と、、私・・・っ!!』
起きあがろうとすると背中に激痛が走る。
『〜〜っ』
し「無理に起きあがらなくて良いですよ。貴女は背中を大怪我していますから」
痛みに顔を顰めていると、女の人の手が伸びてきて優しく寝かせてくれる。
女の人は胡蝶しのぶさんと名乗り、私が今居るのは蝶屋敷という診療所みたいな所で、ここに運ばれてから3日間目を覚まさなかったことを簡潔に教えてくれた。
し「意識が戻ってほっとしました。色々とお伺いしたい事がありますが、目を覚まされたばかりなのでもう少し休んでください。」
『私・・どうしてここに?』
し「あなたは鬼に襲われた所を鬼殺隊士に助けられ、ここに運ばれたのです。」
『?、鬼・・・?きさつ、たいし?』
何の話?うーんと頭を捻ってみる。
すると突然脳裏に青ざめた少年、常軌を逸した男の姿、そして太陽の様な髪色の男の人がフラッシュバックする。
断片的に思い出して身震いをする。
『あれが・・・鬼・・?』
しのぶさんは黙って私の顔を見ている。
『あの、あの場所にいた男の子は・・?』
し「・・大丈夫ですよ。大きな怪我もなく、無事にご家族の元に帰られたと報告を受けています。」
良かった。その言葉にホッと安堵のため息が出る。
あの様子がおかしい男が鬼、ということはー
『私を助けてくれた人は?』
し「鬼殺隊士の煉獄さんという方です。貴女の意識が戻らないことをとても心配していました。また様子を見にくるとも言っていたので近い内にお会いできると思いますよ。」
美しい顔でニッコリ笑いかけてくれる。
し「さぁ、今日はもう休んでください。明日また改めてお話しをしましょう。」
お薬を飲んで安静にしてくださいね。と残して部屋を出て行ってしまう。
一人になって部屋の中を改めて見廻す。
入口近くのベッドに私が寝ていて、隣に空のベッドが2つ並んでいる。
あとは少しだけ開いた窓から入る風でユラユラとカーテンが揺れている。
病室ということもあって必要最低限のものだけが配置されているようだ。
ふとサイドテーブルに目をやると湯呑みが目に入る。中には液体がなみなみ入っている。これが薬かな。
ちょうど喉も渇いていたので湯呑みを手に取りゴクリと飲んだ。
『っ!』
にっっっが!!!何これ!?
これが薬?これ全部飲むの!??
私はしばらく湯呑みを抱えて途方に暮れたーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
診察室に戻ったしのぶは先程のやりとりを思い出し思考を纏めていた。
・・・あの様子だと、鬼の事も鬼殺隊の事も知らないのでしょうね。
あの夜、彼女を抱えてやってきた煉獄さんの言葉ーそして、彼女に庇われていた少年の証言を思い出すーーーー
煉「胡蝶!夜分遅くにすまない!鬼に襲われ意識を失っている女性がいる。診てもらえないだろうか!」
し「・・・夜分遅いという自覚がお有りでしたらもう少し声量を落としていただけますか?」
近所迷惑ですよ、と付け加えると素直に
煉「!これは失礼した!」
と謝るが、声量を抑える気はないようだ。
笑顔に青筋をはりつけたまま、煉獄さんの腕の中で眠る女性に目を向ける。
し「どこかお怪我をしているのでしょうか」
こちらへ、と診察室へ招き入れ診療用のベッドに寝かせる。
し「あなたはこの方のご兄弟でしょうか?」
診察をしながら煉獄さんの後ろで青ざめた顔をしている少年に声をかけるとビクッと反応し、ゆっくりと首を横に振る。
少「・・違います。僕が先に襲われていたところに、このお姉さんが来てくれて・・僕を庇って・・・」
そこまで言うとボロボロ涙を零し、お姉さんが死んじゃったら僕のせいだと、か細い声で泣き始める。
し「・・見たところ命に別状はないようです。ただ、頭を強く打ち付けたようですね。あと背中も怪我をしているようです。数日で目を覚ますと思いますよ。」
煉「うむ、それなら一安心だな!少年も気にやむことはないぞ」
私が努めて優しく少年に声をかけると、煉獄さんもポンと少年の肩を叩いて励ましている。
その言葉に少年も泣き止む。
煉「しかし、この女性は何者だろうか?日輪刀ではないが刀を持っていた。」
そういって煉獄さんは彼女が持っていたという刀を机の上に置いた。
この廃刀令が敷かれたご時世に鬼殺隊士でもない女性が夜中に刀を持ち歩くー?
煉「更に、俺が切った鬼の近くにもう一体鬼がいたが首が切られた状態だった。それでも生きていたので俺がトドメを刺してきたが・・」
少「それは、僕を最初に襲ってきた鬼、です・・お姉さんが切ってくれたけど死ななくて、走って逃げた所に別の鬼が現れて・・」
煉獄さんはふむ、と考える仕草をするが、すぐに顔を上げる。
煉「この女性の正体はサッパリだが、今考えても仕方がないな!目が覚めた時に聞いてみるのが一番だ!」
切り替えが早いなぁと呆れつつも、煉獄さんの言うことは尤もだ。
今私たちがあれこれ考えた所で想像の域を出ないし、目覚めた本人に問うのが1番手っ取り早い。
し「そうですね。君も腕に怪我をしていますね。応急処置ですが消毒と包帯を巻きましょう。」
そう言って少年の治療を始める。
そして、
し「複数の鬼が君を狙っていたと言うことは稀血の持ち主のようですね。このままだとまたいつ襲われるか分かりませんよ。」
少年に稀血の説明をした所で机の引き出しから袋を取り出す。
し「藤の花の香り袋です。これを肌身離さず持っていて下さいね。」
少「はい。ありがとうございます。」
煉「では俺はこの少年を送り届けてくる!彼女が目を覚ました頃にまた様子を見にくるとしよう!すまないがそれまで彼女を頼めるか?」
し「もちろんです。鬼に襲われた人を普通の病院にもやれませんし・・私も彼女の事が気になりますので」
では頼んだぞ、と煉獄さんと少年は部屋を後にしたーーーーーーー
机の上には彼女が持っていた刀が置かれている。
そして、彼女を入院着に着替えさせる際に見つけた、懐に隠し持っていた銃もーーー
し「・・・本当に、何者なのでしょうか」
一人きりの部屋でポツリと呟いた。
そして心地よい風を感じた私は重くなった瞼をゆっくり上げる。
ぼやける視界からは見覚えのない天井。
まだ夢を見ているのかな?
微睡みから抜けきれない所にニュッと女の子が顔を出す。
『ッ!?』
吃驚したーーー!
それは女の子も同じだった様で目を見開いている。
そして慌てた様子で部屋を出て行ってしまった。
しばらくすると、パタパタと足音が聞こえさっきの少女と女の人が入ってきた。
し「お加減はいかがですか?」
優しい声に少しほっとする。
『えっ、と、、私・・・っ!!』
起きあがろうとすると背中に激痛が走る。
『〜〜っ』
し「無理に起きあがらなくて良いですよ。貴女は背中を大怪我していますから」
痛みに顔を顰めていると、女の人の手が伸びてきて優しく寝かせてくれる。
女の人は胡蝶しのぶさんと名乗り、私が今居るのは蝶屋敷という診療所みたいな所で、ここに運ばれてから3日間目を覚まさなかったことを簡潔に教えてくれた。
し「意識が戻ってほっとしました。色々とお伺いしたい事がありますが、目を覚まされたばかりなのでもう少し休んでください。」
『私・・どうしてここに?』
し「あなたは鬼に襲われた所を鬼殺隊士に助けられ、ここに運ばれたのです。」
『?、鬼・・・?きさつ、たいし?』
何の話?うーんと頭を捻ってみる。
すると突然脳裏に青ざめた少年、常軌を逸した男の姿、そして太陽の様な髪色の男の人がフラッシュバックする。
断片的に思い出して身震いをする。
『あれが・・・鬼・・?』
しのぶさんは黙って私の顔を見ている。
『あの、あの場所にいた男の子は・・?』
し「・・大丈夫ですよ。大きな怪我もなく、無事にご家族の元に帰られたと報告を受けています。」
良かった。その言葉にホッと安堵のため息が出る。
あの様子がおかしい男が鬼、ということはー
『私を助けてくれた人は?』
し「鬼殺隊士の煉獄さんという方です。貴女の意識が戻らないことをとても心配していました。また様子を見にくるとも言っていたので近い内にお会いできると思いますよ。」
美しい顔でニッコリ笑いかけてくれる。
し「さぁ、今日はもう休んでください。明日また改めてお話しをしましょう。」
お薬を飲んで安静にしてくださいね。と残して部屋を出て行ってしまう。
一人になって部屋の中を改めて見廻す。
入口近くのベッドに私が寝ていて、隣に空のベッドが2つ並んでいる。
あとは少しだけ開いた窓から入る風でユラユラとカーテンが揺れている。
病室ということもあって必要最低限のものだけが配置されているようだ。
ふとサイドテーブルに目をやると湯呑みが目に入る。中には液体がなみなみ入っている。これが薬かな。
ちょうど喉も渇いていたので湯呑みを手に取りゴクリと飲んだ。
『っ!』
にっっっが!!!何これ!?
これが薬?これ全部飲むの!??
私はしばらく湯呑みを抱えて途方に暮れたーー
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診察室に戻ったしのぶは先程のやりとりを思い出し思考を纏めていた。
・・・あの様子だと、鬼の事も鬼殺隊の事も知らないのでしょうね。
あの夜、彼女を抱えてやってきた煉獄さんの言葉ーそして、彼女に庇われていた少年の証言を思い出すーーーー
煉「胡蝶!夜分遅くにすまない!鬼に襲われ意識を失っている女性がいる。診てもらえないだろうか!」
し「・・・夜分遅いという自覚がお有りでしたらもう少し声量を落としていただけますか?」
近所迷惑ですよ、と付け加えると素直に
煉「!これは失礼した!」
と謝るが、声量を抑える気はないようだ。
笑顔に青筋をはりつけたまま、煉獄さんの腕の中で眠る女性に目を向ける。
し「どこかお怪我をしているのでしょうか」
こちらへ、と診察室へ招き入れ診療用のベッドに寝かせる。
し「あなたはこの方のご兄弟でしょうか?」
診察をしながら煉獄さんの後ろで青ざめた顔をしている少年に声をかけるとビクッと反応し、ゆっくりと首を横に振る。
少「・・違います。僕が先に襲われていたところに、このお姉さんが来てくれて・・僕を庇って・・・」
そこまで言うとボロボロ涙を零し、お姉さんが死んじゃったら僕のせいだと、か細い声で泣き始める。
し「・・見たところ命に別状はないようです。ただ、頭を強く打ち付けたようですね。あと背中も怪我をしているようです。数日で目を覚ますと思いますよ。」
煉「うむ、それなら一安心だな!少年も気にやむことはないぞ」
私が努めて優しく少年に声をかけると、煉獄さんもポンと少年の肩を叩いて励ましている。
その言葉に少年も泣き止む。
煉「しかし、この女性は何者だろうか?日輪刀ではないが刀を持っていた。」
そういって煉獄さんは彼女が持っていたという刀を机の上に置いた。
この廃刀令が敷かれたご時世に鬼殺隊士でもない女性が夜中に刀を持ち歩くー?
煉「更に、俺が切った鬼の近くにもう一体鬼がいたが首が切られた状態だった。それでも生きていたので俺がトドメを刺してきたが・・」
少「それは、僕を最初に襲ってきた鬼、です・・お姉さんが切ってくれたけど死ななくて、走って逃げた所に別の鬼が現れて・・」
煉獄さんはふむ、と考える仕草をするが、すぐに顔を上げる。
煉「この女性の正体はサッパリだが、今考えても仕方がないな!目が覚めた時に聞いてみるのが一番だ!」
切り替えが早いなぁと呆れつつも、煉獄さんの言うことは尤もだ。
今私たちがあれこれ考えた所で想像の域を出ないし、目覚めた本人に問うのが1番手っ取り早い。
し「そうですね。君も腕に怪我をしていますね。応急処置ですが消毒と包帯を巻きましょう。」
そう言って少年の治療を始める。
そして、
し「複数の鬼が君を狙っていたと言うことは稀血の持ち主のようですね。このままだとまたいつ襲われるか分かりませんよ。」
少年に稀血の説明をした所で机の引き出しから袋を取り出す。
し「藤の花の香り袋です。これを肌身離さず持っていて下さいね。」
少「はい。ありがとうございます。」
煉「では俺はこの少年を送り届けてくる!彼女が目を覚ました頃にまた様子を見にくるとしよう!すまないがそれまで彼女を頼めるか?」
し「もちろんです。鬼に襲われた人を普通の病院にもやれませんし・・私も彼女の事が気になりますので」
では頼んだぞ、と煉獄さんと少年は部屋を後にしたーーーーーーー
机の上には彼女が持っていた刀が置かれている。
そして、彼女を入院着に着替えさせる際に見つけた、懐に隠し持っていた銃もーーー
し「・・・本当に、何者なのでしょうか」
一人きりの部屋でポツリと呟いた。