新生活と小人さん
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部屋に入ってきた煉獄さんは私の顔を見て驚いた顔をする。
・・・泣き顔を見られた・・・どうしたか聞かれるよね。。。
何て答えよう・・・
煉「・・・どうした。その額は」
『えっ?額??』
煉「赤くなっているぞ」
煉獄さんが近づいて私の額にそっと手を当てる。
いや近ぁあああ!!!!!
『あっ、壁にぶつかっちゃって・・・』
煉「・・泣く程強くぶつかったのか・・・」
『!!はい・・』
何とか、ごまかせた。。。
気をつけなさいと優しく額を撫でてくれる。
昨日までの私だったら素直に喜んでいたんだろうな。。。
特別じゃない。これが煉獄さんの普通と自分に言い聞かせる。
煉「美桜。君に言っておきたい事がある」
『・・・はい。』
煉「俺と甘露寺の関係だが」
ビクッと体が反応する。
思わず俯きかけた顔を、煉獄さんの手が私の両頬に添えられ止められてしまった。
煉「ちゃんと聞いてくれ」
『・・・』
私が黙り込んでしまったのを見て、煉獄さんが静かに口を開く。
煉「・・俺と甘露寺はただの師弟関係だ。それ以上でもそれ以下でもない!!」
『・・・え?』
その言葉に顔を上げると煉獄さんが私の顔をじっと見ている。
煉獄さんの目の中にすんごい間抜けな顔した私が写ってる!!
こんな至近距離で見られた事ない!!!
ていうか煉獄さんにこのアホな顔見られてるって事だよね!!!
煉「美桜が俺と甘露寺の関係を勘違いしている様だと千寿郎に言われてな。最初にしっかり説明しておけば良かったな。美桜には気を遣わせてしまい申し訳なかった。」
『・・いえ、私が勝手に思い込んでしまっただけで・・・こちらこそ、変な態度をとってしまってすみませんでした。』
煉「では誤解が解けたな!よかった!」
煉獄さんは安心した様に私から離れる。
それから、蜜璃さんが弟子になった経緯や蜜璃さんは男女関係なく色んな人にときめく体質?という事を教えてくれた。
煉獄さんはそんな蜜璃さんを妹のように思っていると。
とにかく可愛い後輩だ!と何度も強調していた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
良かった。
美桜の笑顔がやっと見られた。
千寿郎から美桜が俺と甘露寺を恋人同士だと勘違いしていると聞いた時は驚いた。
もう夜も遅いし、話をするのは明日にすればと千寿郎に言われたが一刻も早く誤解が解きたくて美桜の部屋に来てしまったが。。。
確かに、こんな時間に女性の部屋に入るのは良くないな!
以後気をつけよう!
しかし、美桜の部屋に入るのは初めてだ。
元々客間の一つだが、あまりにも物が少ないな。
美桜は記憶をなくし行く宛もない状態だったから当然ではあるのだが、着の身着のままやってきたも同然だ。
胡蝶から多少の着替えをもらった様だがそれも遠慮した様で必要最低限の持ち物だった。
煉「美桜、明日は町に出かけよう!だから今日は早く休みなさい!」
『えっ』
俺の突然の申し出に驚いた表情をする。
煉「明日は俺に付き合ってくれ」
そう言い残し、部屋を後にする。
美桜の為に何かをしたいという気持ちが俺の中で増して行く。
こんな気持ちになるのは初めてだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌朝、できる限りの家事を済ませた私は煉獄さんと町へ出ている。
千寿郎くんも誘ったけど、蜜璃さんの羽織を新調したりやる事が色々あると断られてしまった。
煉獄さんと2人っきりになるのは昨日の今日で流石に恥ずかしくて、顔も見れずに少し後ろを歩く。
太陽にキラキラ反射する煉獄さんの綺麗な髪を目で追っていると、急に立ち止まって振り返る。
煉「美桜、どうして後ろを歩くのだ?疲れてしまったなら言ってくれ。どこかで休憩しよう。」
『あっ!違います!その・・煉獄さんの髪が綺麗だから、つい見とれながら歩いてました・・』
煉「む、そうか。改めて言われると照れるな!しかし、後ろばかり歩いていたら逸れてしまうぞ」
と、煉獄さんの手が私の肩に触れてそのまま歩き出す。
・・・私、爆発するかも・・・
煉獄さんに肩を抱かれながら歩くなんて。
こんな所、知り合いに見られたらまずいんじゃない?
宇「おぅ、煉獄!」
煉「む。宇髄か。君も休暇か?」
はい!お約束!!!
宇髄さん、真っ赤になった私の顔を面白そうに見てる・・・頼むから余計な事言わないでね。
(本当に考えてる事全て顔に出る奴だな。はいはい、スルーしますよっと)
宇「ああ、嫁と今日は買い出しにな。」
ーー隣にいた雛鶴を指す。まきをと須磨は家の用事を任せている。今日は任務に必要な薬やら爆薬を買い付けに雛鶴と共に町に出た帰りだったが、面白えもん見つけたぜーー
雛「はじめまして、天元様がいつもお世話になっております」
ーー宇髄さんの奥さん、雛鶴さんはとっても美人で色っぽいお姉さんだ。
そして蜜璃さんほどではないが胸が大きい・・・そういえば、しのぶさんも華奢なのに出るとこ出てるな。。。
・・・それに引き換え、私は・・・
宇「まぁ、そればっかりは仕方ねぇだろ。その内育つかもしんねぇし深く考えんな。」
宇髄さんが慰めるように私の肩をポンと叩く。
だから!心読まないでぇ!!
煉獄さんは
煉「育つ?何を言っているんだ??」
と質問している。
良かった、煉獄さんは人の心読めなくて。
丁度昼時という事もあって、4人で食堂に入る。
宇「で、お前らは何してんだよ」
食事を終えてお茶を飲んでいる所で宇髄さんに質問される。
『何・・?そういえば、今日は何を買いにきたんですか?』
言われて見れば、買い物に付き合ってくれと言われたけど何を買うのか知らずについてきていたなぁ。
煉獄さんに視線を向けると
煉「ん。ああ、今日は美桜に何か贈ろうと思ってな!着物でも、小物でも欲しい物があれば買おうと思うのだが、生憎美桜の好みが良く分からなくて途方に暮れていた所だ!」
え、そうだったの!?
でも、何で急に・・・
煉「美桜もうちに来てしばらく経つが休みなく働いてくれているからな。労いを込めて何か贈りたいと思い立ったのだが・・」
宇「ふ〜ん。なるほどね。おい雛鶴、煉獄の買い物に付き合ってやるか」
雛「そうですね。美桜さんに似合いそうな物が置いてあるお店にご案内しますよ」
煉「それは助かる!」
そんなこんなで、私はあれから色んなお店をハシゴして雛鶴さんが見立ててくれた着物や小物を片っ端から試着しては
煉「よし、これを貰おう!」
と、値段も見ずに買っていく。
『ちょっ、ちょっと煉獄さん。いくらなんでも買いすぎです!』
本当に急にどうしちゃったの??
すると横から宇髄さんが
宇「そうだぜ煉獄。この着物は俺が買ってやるよ。なぁ美桜?」
は?
何その何か企んでますって顔。
煉「いいんだ宇髄!今日は美桜の為に俺が買うと決めてきた!」
と言って着物を宇髄さんから取り返して会計に言ってしまう。
笑いを堪えきれなくなった宇髄さんはブハッと吹き出す。
宇「ククク・・あいつ、あんなに独占欲強いのか。面白えな。」
『?どういう事ですか?』
雛「他の殿方が買われた着物を美桜さんに着て欲しくないのでしょうね」
宇髄さんと雛鶴さんの言葉にキョトンとした顔をすると2人して衝撃を受けた顔をする。
宇(おいおい、こいつまさか意味分かってねぇのか)
雛(煉獄様・・大変ですね)
宇「・・それはそうと、新しい生活には慣れたのか?」
宇髄さん、私の心配してくれてる!
パァッと顔を明るくして
『はい。皆さんお優しいですし、お家の事も慣れてきました!あ、ただ・・』
宇「どうした?」
『煉獄さんのお父さんとはまだ打ち解けられなくて、昨日もお父さんと呼ぶなって言われちゃいました。』
宇「あーあの親父さんなら言いかねねぇな。・・・じゃあよ、一つ策を授けてやるよ。・・・まぁ耳貸せ」
宇髄さんが煉獄さんの方をチラリと見てからニヤリと笑う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
着物の会計を済ませ美桜たちの元へ向かうと、宇髄が美桜の耳元で何かを囁いているのが見えた。
慌てて駆け寄り2人の間に入り込む。
煉「宇髄!美桜に何をしている!しかも奥方の目の前で!」
嫁がいるからと油断していた。
宇髄は美桜を気に入っているらしいからな。人間としては良い奴だが女性への扱いはどうにも理解できん!
宇「へいへい、悪かったよ。雛鶴、俺たちはそろそろ行くか。」
雛「はい。煉獄様、美桜さん、失礼します」
そう言って2人は帰って行った。
美桜は宇髄に耳打ちされた耳を手で抑え宇髄の後ろ姿を目で追っていた・・・
煉「美桜、俺がいない間宇髄に何かされたか?」
『えっ?何か・・?特に、なにも。あぁ、新しい生活で困ってないかって心配してくれました』
煉「・・・そうか」
宇髄も美桜を自分の元に置きたがっていたからな・・・
『煉獄さん?』
美桜に呼びかけられハッとする。
煉「あぁ、すまない。着物は仕立てに時間がかかるそうだ。違う店に行って時間を潰そうか。」
向かいにある髪飾りなどの小物が置いてある店を覗く。
美桜も興味深そうに一つ一つ手に取って見ている。
そういえば、先ほどまで宇髄の嫁が似合うと薦めたものばかり買っていたな。美桜は遠慮して自分から欲しがる素振りを見せなかったのもあるが・・・
しばらく美桜の様子を見ていると、一つのリボンを持つ手が止まる。
(あ、このリボン・・・煉獄さんが髪を結ってる紐と同じ色だ)
しばらくそのリボンを眺めていたが、ゆっくりと戻し、別の棚に足を向けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
仕立てた着物が出来上がり、煉獄さんはすごい荷物を抱えて帰り道を歩いている。
『煉獄さん、私も持ちますよ。』
煉「いや!大丈夫だ!!今日は買い物に付き合ってくれてありがとう!」
『えっ、煉獄さんのものなんて一つも買ってないじゃないですか!・・・こちらこそ、ありがとうございます。買っていただいた着物、大切に着ますね。』
今日いくら使ったのか怖くて聞けないな・・・
屋敷に着いて、私の部屋まで荷物を運んでくれた。
『本当に、ありがとうございました』
改めて頭を下げる。
煉獄さんはうむ、と言って部屋を出て行こうとして立ち止まる。
『?どうかしましたか??』
振り返ると私の目の前までやってくる。
そして懐から小さい袋を取り出す。
煉「もう一つあった」
不思議に思いながら袋を開けて中を見ると、
さっきの赤いリボンが入っていた。
パッと煉獄さんの顔を見上げると
煉「美桜に似合うと思ってな。それも貰ってくれるか?」
目を細めて優しい眼差しをした煉獄さんが私を見てる。
『・・何で、分かったんですか』
実は今日、たった一つだけ自分で欲しいなと思ったのがこのリボンだった。
少し目を離していた間になくなっていたから誰かに買われたんだと思ってた・・・
『ありがとうございます。すっごく嬉しいです』
心からの笑顔でお礼を言うと、煉獄さんは目を見開いて、それから視線を外して
煉「・・・うむ。喜んでくれて良かった。また時間がある時出かけよう」
そう言って部屋を後にした。
・・・泣き顔を見られた・・・どうしたか聞かれるよね。。。
何て答えよう・・・
煉「・・・どうした。その額は」
『えっ?額??』
煉「赤くなっているぞ」
煉獄さんが近づいて私の額にそっと手を当てる。
いや近ぁあああ!!!!!
『あっ、壁にぶつかっちゃって・・・』
煉「・・泣く程強くぶつかったのか・・・」
『!!はい・・』
何とか、ごまかせた。。。
気をつけなさいと優しく額を撫でてくれる。
昨日までの私だったら素直に喜んでいたんだろうな。。。
特別じゃない。これが煉獄さんの普通と自分に言い聞かせる。
煉「美桜。君に言っておきたい事がある」
『・・・はい。』
煉「俺と甘露寺の関係だが」
ビクッと体が反応する。
思わず俯きかけた顔を、煉獄さんの手が私の両頬に添えられ止められてしまった。
煉「ちゃんと聞いてくれ」
『・・・』
私が黙り込んでしまったのを見て、煉獄さんが静かに口を開く。
煉「・・俺と甘露寺はただの師弟関係だ。それ以上でもそれ以下でもない!!」
『・・・え?』
その言葉に顔を上げると煉獄さんが私の顔をじっと見ている。
煉獄さんの目の中にすんごい間抜けな顔した私が写ってる!!
こんな至近距離で見られた事ない!!!
ていうか煉獄さんにこのアホな顔見られてるって事だよね!!!
煉「美桜が俺と甘露寺の関係を勘違いしている様だと千寿郎に言われてな。最初にしっかり説明しておけば良かったな。美桜には気を遣わせてしまい申し訳なかった。」
『・・いえ、私が勝手に思い込んでしまっただけで・・・こちらこそ、変な態度をとってしまってすみませんでした。』
煉「では誤解が解けたな!よかった!」
煉獄さんは安心した様に私から離れる。
それから、蜜璃さんが弟子になった経緯や蜜璃さんは男女関係なく色んな人にときめく体質?という事を教えてくれた。
煉獄さんはそんな蜜璃さんを妹のように思っていると。
とにかく可愛い後輩だ!と何度も強調していた。
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良かった。
美桜の笑顔がやっと見られた。
千寿郎から美桜が俺と甘露寺を恋人同士だと勘違いしていると聞いた時は驚いた。
もう夜も遅いし、話をするのは明日にすればと千寿郎に言われたが一刻も早く誤解が解きたくて美桜の部屋に来てしまったが。。。
確かに、こんな時間に女性の部屋に入るのは良くないな!
以後気をつけよう!
しかし、美桜の部屋に入るのは初めてだ。
元々客間の一つだが、あまりにも物が少ないな。
美桜は記憶をなくし行く宛もない状態だったから当然ではあるのだが、着の身着のままやってきたも同然だ。
胡蝶から多少の着替えをもらった様だがそれも遠慮した様で必要最低限の持ち物だった。
煉「美桜、明日は町に出かけよう!だから今日は早く休みなさい!」
『えっ』
俺の突然の申し出に驚いた表情をする。
煉「明日は俺に付き合ってくれ」
そう言い残し、部屋を後にする。
美桜の為に何かをしたいという気持ちが俺の中で増して行く。
こんな気持ちになるのは初めてだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌朝、できる限りの家事を済ませた私は煉獄さんと町へ出ている。
千寿郎くんも誘ったけど、蜜璃さんの羽織を新調したりやる事が色々あると断られてしまった。
煉獄さんと2人っきりになるのは昨日の今日で流石に恥ずかしくて、顔も見れずに少し後ろを歩く。
太陽にキラキラ反射する煉獄さんの綺麗な髪を目で追っていると、急に立ち止まって振り返る。
煉「美桜、どうして後ろを歩くのだ?疲れてしまったなら言ってくれ。どこかで休憩しよう。」
『あっ!違います!その・・煉獄さんの髪が綺麗だから、つい見とれながら歩いてました・・』
煉「む、そうか。改めて言われると照れるな!しかし、後ろばかり歩いていたら逸れてしまうぞ」
と、煉獄さんの手が私の肩に触れてそのまま歩き出す。
・・・私、爆発するかも・・・
煉獄さんに肩を抱かれながら歩くなんて。
こんな所、知り合いに見られたらまずいんじゃない?
宇「おぅ、煉獄!」
煉「む。宇髄か。君も休暇か?」
はい!お約束!!!
宇髄さん、真っ赤になった私の顔を面白そうに見てる・・・頼むから余計な事言わないでね。
(本当に考えてる事全て顔に出る奴だな。はいはい、スルーしますよっと)
宇「ああ、嫁と今日は買い出しにな。」
ーー隣にいた雛鶴を指す。まきをと須磨は家の用事を任せている。今日は任務に必要な薬やら爆薬を買い付けに雛鶴と共に町に出た帰りだったが、面白えもん見つけたぜーー
雛「はじめまして、天元様がいつもお世話になっております」
ーー宇髄さんの奥さん、雛鶴さんはとっても美人で色っぽいお姉さんだ。
そして蜜璃さんほどではないが胸が大きい・・・そういえば、しのぶさんも華奢なのに出るとこ出てるな。。。
・・・それに引き換え、私は・・・
宇「まぁ、そればっかりは仕方ねぇだろ。その内育つかもしんねぇし深く考えんな。」
宇髄さんが慰めるように私の肩をポンと叩く。
だから!心読まないでぇ!!
煉獄さんは
煉「育つ?何を言っているんだ??」
と質問している。
良かった、煉獄さんは人の心読めなくて。
丁度昼時という事もあって、4人で食堂に入る。
宇「で、お前らは何してんだよ」
食事を終えてお茶を飲んでいる所で宇髄さんに質問される。
『何・・?そういえば、今日は何を買いにきたんですか?』
言われて見れば、買い物に付き合ってくれと言われたけど何を買うのか知らずについてきていたなぁ。
煉獄さんに視線を向けると
煉「ん。ああ、今日は美桜に何か贈ろうと思ってな!着物でも、小物でも欲しい物があれば買おうと思うのだが、生憎美桜の好みが良く分からなくて途方に暮れていた所だ!」
え、そうだったの!?
でも、何で急に・・・
煉「美桜もうちに来てしばらく経つが休みなく働いてくれているからな。労いを込めて何か贈りたいと思い立ったのだが・・」
宇「ふ〜ん。なるほどね。おい雛鶴、煉獄の買い物に付き合ってやるか」
雛「そうですね。美桜さんに似合いそうな物が置いてあるお店にご案内しますよ」
煉「それは助かる!」
そんなこんなで、私はあれから色んなお店をハシゴして雛鶴さんが見立ててくれた着物や小物を片っ端から試着しては
煉「よし、これを貰おう!」
と、値段も見ずに買っていく。
『ちょっ、ちょっと煉獄さん。いくらなんでも買いすぎです!』
本当に急にどうしちゃったの??
すると横から宇髄さんが
宇「そうだぜ煉獄。この着物は俺が買ってやるよ。なぁ美桜?」
は?
何その何か企んでますって顔。
煉「いいんだ宇髄!今日は美桜の為に俺が買うと決めてきた!」
と言って着物を宇髄さんから取り返して会計に言ってしまう。
笑いを堪えきれなくなった宇髄さんはブハッと吹き出す。
宇「ククク・・あいつ、あんなに独占欲強いのか。面白えな。」
『?どういう事ですか?』
雛「他の殿方が買われた着物を美桜さんに着て欲しくないのでしょうね」
宇髄さんと雛鶴さんの言葉にキョトンとした顔をすると2人して衝撃を受けた顔をする。
宇(おいおい、こいつまさか意味分かってねぇのか)
雛(煉獄様・・大変ですね)
宇「・・それはそうと、新しい生活には慣れたのか?」
宇髄さん、私の心配してくれてる!
パァッと顔を明るくして
『はい。皆さんお優しいですし、お家の事も慣れてきました!あ、ただ・・』
宇「どうした?」
『煉獄さんのお父さんとはまだ打ち解けられなくて、昨日もお父さんと呼ぶなって言われちゃいました。』
宇「あーあの親父さんなら言いかねねぇな。・・・じゃあよ、一つ策を授けてやるよ。・・・まぁ耳貸せ」
宇髄さんが煉獄さんの方をチラリと見てからニヤリと笑う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
着物の会計を済ませ美桜たちの元へ向かうと、宇髄が美桜の耳元で何かを囁いているのが見えた。
慌てて駆け寄り2人の間に入り込む。
煉「宇髄!美桜に何をしている!しかも奥方の目の前で!」
嫁がいるからと油断していた。
宇髄は美桜を気に入っているらしいからな。人間としては良い奴だが女性への扱いはどうにも理解できん!
宇「へいへい、悪かったよ。雛鶴、俺たちはそろそろ行くか。」
雛「はい。煉獄様、美桜さん、失礼します」
そう言って2人は帰って行った。
美桜は宇髄に耳打ちされた耳を手で抑え宇髄の後ろ姿を目で追っていた・・・
煉「美桜、俺がいない間宇髄に何かされたか?」
『えっ?何か・・?特に、なにも。あぁ、新しい生活で困ってないかって心配してくれました』
煉「・・・そうか」
宇髄も美桜を自分の元に置きたがっていたからな・・・
『煉獄さん?』
美桜に呼びかけられハッとする。
煉「あぁ、すまない。着物は仕立てに時間がかかるそうだ。違う店に行って時間を潰そうか。」
向かいにある髪飾りなどの小物が置いてある店を覗く。
美桜も興味深そうに一つ一つ手に取って見ている。
そういえば、先ほどまで宇髄の嫁が似合うと薦めたものばかり買っていたな。美桜は遠慮して自分から欲しがる素振りを見せなかったのもあるが・・・
しばらく美桜の様子を見ていると、一つのリボンを持つ手が止まる。
(あ、このリボン・・・煉獄さんが髪を結ってる紐と同じ色だ)
しばらくそのリボンを眺めていたが、ゆっくりと戻し、別の棚に足を向けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
仕立てた着物が出来上がり、煉獄さんはすごい荷物を抱えて帰り道を歩いている。
『煉獄さん、私も持ちますよ。』
煉「いや!大丈夫だ!!今日は買い物に付き合ってくれてありがとう!」
『えっ、煉獄さんのものなんて一つも買ってないじゃないですか!・・・こちらこそ、ありがとうございます。買っていただいた着物、大切に着ますね。』
今日いくら使ったのか怖くて聞けないな・・・
屋敷に着いて、私の部屋まで荷物を運んでくれた。
『本当に、ありがとうございました』
改めて頭を下げる。
煉獄さんはうむ、と言って部屋を出て行こうとして立ち止まる。
『?どうかしましたか??』
振り返ると私の目の前までやってくる。
そして懐から小さい袋を取り出す。
煉「もう一つあった」
不思議に思いながら袋を開けて中を見ると、
さっきの赤いリボンが入っていた。
パッと煉獄さんの顔を見上げると
煉「美桜に似合うと思ってな。それも貰ってくれるか?」
目を細めて優しい眼差しをした煉獄さんが私を見てる。
『・・何で、分かったんですか』
実は今日、たった一つだけ自分で欲しいなと思ったのがこのリボンだった。
少し目を離していた間になくなっていたから誰かに買われたんだと思ってた・・・
『ありがとうございます。すっごく嬉しいです』
心からの笑顔でお礼を言うと、煉獄さんは目を見開いて、それから視線を外して
煉「・・・うむ。喜んでくれて良かった。また時間がある時出かけよう」
そう言って部屋を後にした。