終わりと始まり
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ー都内某所、老舗の超高級料亭前ー
私と同僚の後藤さんはこれから始まる任務の為に依頼者の到着を待っていた。
後「今夜は新月かぁ」
空を見上げながら白い息を吐く。
新月に加えて冬の澄んだ空気のせいか更に暗く感じる。
『そうですね、新月は犯罪が多いと言いますから気を引き締めていきましょう』
後「そんなん都市伝説だろぉが。色気がねぇなぁ」
と、また白い息を吐く。今度はため息混じりに。
後「知ってるか?新月に願い事をすると叶うんだってよ」
『・・・後藤さんってロマンチストなんですね』
そっちこそ都市伝説じゃないですか、という言葉はため息に変える。
後藤さんは少し恥ずかしそうに何だよと口を尖らせている。
願い事、ねぇ。。。
『まぁ、願うとしたら今日の任務が何事もなく無事に終わる事でしょうか』
言いながら隣を見る、と。
後「・・・新月の願い事は口にしないでこっそり願わないと叶わねぇよ?」
『・・・』
先に言ってよ。。。
私は盛大にため息を吐く。
後「まぁ、心配しなくても今日の任務は問題ないぜ。なんせ俺がついてるからな!」
だから安心しろと肩をポンと叩かれた所で通りの向こうからニ台の高級車がやってきた。
後「さぁ、任務開始だ。ここからは気を引き締めるぞ」
『はい』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私たちはSPだ。
今夜は外交官の護衛として任務にあたることになっている。
相手の国のお偉い様が日本かぶれで「サムライに会いたい」と駄々をこねたとかで、私たちはいつものスーツではなく和装をしている。
一応、懐に銃を装備してはいるが私は腰に差した刀の方が扱いに慣れている。
身長の制限に達していない私がSPに入れたのは剣の腕を買われたからだ。
向こうのお偉いさんもサムライに会えたとご機嫌の様子。
今日の接待も何事もなく終わりそうだな、と出口へ向かう廊下を進んでいると・・・
パァン!
『!!』
銃声!?
一気に緊張が走る。
私と後藤さん、そして相手国のSPも臨戦態勢に入る。
後「桐原、俺は出口を見てくる。お前はそのまま護衛を頼む」
『はい、気をつけてくださいね』
後藤さんは一つ頷くと廊下の角を曲がって行ってしまった。
私はガクガク震えている外交官の側に立つ。
『今状況を確認しています。正面が難しい場合は裏口から出ます」
外「だ、大丈夫なんだろうな!?なんで女の方を残すんだ!お前に私の護衛が務まるのか!?」
外交官は青い顔で喚いている。
『問題ありません。さぁ、すぐ動けるように立ち上がってください。』
私は表情を変えず外交官を立たせる。
こんな事は言われ慣れている。
後“桐原、正面はまずい、裏にまわれ”
後藤さんから無線が入る。
『了解』
外交官を先導する形で私は裏口への通路へと踵を返す。
そこにー
「死ねぇ!××××!!」
男が銃を構えて向かってきた。
まさか裏口からも侵入されていた!?
まずい
刀は届かない
懐の銃も間に合わない!
私は咄嗟に外交官に覆い被さる
同時に銃声が鳴る
ーー背中が熱いーー
撃たれた
外交官を見ると変わらず青い顔をしているが怪我はないようだ
その間に相手国のSPによって侵入者は制圧されていた
反対側の廊下からは走ってくる後藤さんの姿を確認する。
後「桐原ー!しっかりしろ!!」
よかった。これなら任務は遂行される。
私は重くなった瞼をゆっくりとおろした。
そこで意識は途絶えたーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーはずだった。
「うわあぁぁぁあぁあっ!!」
誰かの悲鳴にバッと顔を上げる。
そこは先程までいた料亭の廊下ではなく、外だった。
ここはどこ?
後藤さんは?外交官はどうなったの?
辺りを見廻すが見覚えのない景色が広がる。
背中には鈍い痛みがある。撃たれた事は間違いないようだけど、何故か立っていられる?どうして?
「ひぃっ!誰かっ助けてっ・・」
困惑している思考を一度止める。頭を切り替えよう。
誰かが助けを求めている。
声がする通りへ向かう
そこにはー
腰を抜かした少年。
そこに息の上がった男の人がフラつきながら近づいている。
薬物中毒者?
とにかく止めなければ
『ちょっと、あなた』
私は少し強めに男性の肩を掴む。
そして私の方に振り返った男の顔を見て息を呑む
血走った目
涎を垂らした口からは人間とは思えない牙が見える
咄嗟に距離をとり、腰の刀に手をかける。
これは夢?
あのまま気を失って昏睡状態にあるのかしら?
考えが纏まらないまま構えていると、鬼の形相の男が私に向かってくるー
『っ!』
私は刀を抜きそのまま切り上げる
男の腕は切れ地面に落ちる。
しかし、痛みを感じないのか気にする様子もない。
やはり、薬物でおかしくなってるの?
男「刀を持っているから鬼狩りかと思ったが違うようだな。こんな刀では俺は殺せない」
男は切り口をなぞりニタリと笑う。
すると傷がみるみる内に閉じていく。
『!?』
ありえない・・・
自分から血の気が引いていくのがわかる
この男をどうやって制圧する?
恐らくは夢だろうけど、夢の中であってもこの少年を見殺しにはできない
たとえ勝ち目がなくても、一度守ると決めたのだから身を盾にしてでも守り抜く!
目を閉じて呼吸を整える。
そして、両手に意識を集中させてから一つ大きく息を吐き相手を強く睨みつける。
するとブワッと風が巻き起こる
男「っ!?」
何故か固まったように驚いた表情のまま動かなくなる男。
私は躊躇なく切り掛かる
夢なら遠慮はしない!
私の刀は男の首をはねる
ー頭部が地面に転がるがやはり死なないー
だけどこの隙に少年の手を掴んで走り出す。
『大丈夫?もう少しだけ頑張って走って!』
後ろを気にしながら見知らぬ町を走り抜ける。
追いかけてはきていないみたい。
少しだけ力を抜いた所に
少年「お姉さん!前っ!!」
『っ!?』
少年に言われて意識を前に向けると、さっきとは違う男がこっちに向かってくるのが見える。やはり常軌を逸した姿でーーー
今度の男は異様に動きが早い。
あっと思った時にはもう目の前にきていた。
また刀を構えようと大きく息を吸おうとした時、忘れていた背中の痛みが蘇り大きく咳き込んでしまう。
そこに男の手が伸びてくる。
肩を掴まれたかと思った次の瞬間、私の体は宙を舞っていたー
受け身もとれず地面に強く打ち付けた。
頭がグラつく。脳震とうを起こしたか、、、
その間に男は少年に近づいていくー
何故あの少年に固執するの?
私は無我夢中で男の子に覆い被さる。
先程の外交官にしたように。
この状態では勝ち目がない。せめてこの子だけでもー
私は死を覚悟してギュッと強く目を閉じた。
ーーーー炎の呼吸 壱の型 不知火!ーーーー
知らない男の人の声がした。
同時に昼間の様な明るさと熱さを感じた。
薄く目を開けると、首を失った男が塵のように消えていく姿が見えたーー
助かったの・・・?
新月の夜に、燃えるような太陽を見た
そこで本当に私の意識は途絶えたーーーーー
私と同僚の後藤さんはこれから始まる任務の為に依頼者の到着を待っていた。
後「今夜は新月かぁ」
空を見上げながら白い息を吐く。
新月に加えて冬の澄んだ空気のせいか更に暗く感じる。
『そうですね、新月は犯罪が多いと言いますから気を引き締めていきましょう』
後「そんなん都市伝説だろぉが。色気がねぇなぁ」
と、また白い息を吐く。今度はため息混じりに。
後「知ってるか?新月に願い事をすると叶うんだってよ」
『・・・後藤さんってロマンチストなんですね』
そっちこそ都市伝説じゃないですか、という言葉はため息に変える。
後藤さんは少し恥ずかしそうに何だよと口を尖らせている。
願い事、ねぇ。。。
『まぁ、願うとしたら今日の任務が何事もなく無事に終わる事でしょうか』
言いながら隣を見る、と。
後「・・・新月の願い事は口にしないでこっそり願わないと叶わねぇよ?」
『・・・』
先に言ってよ。。。
私は盛大にため息を吐く。
後「まぁ、心配しなくても今日の任務は問題ないぜ。なんせ俺がついてるからな!」
だから安心しろと肩をポンと叩かれた所で通りの向こうからニ台の高級車がやってきた。
後「さぁ、任務開始だ。ここからは気を引き締めるぞ」
『はい』
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私たちはSPだ。
今夜は外交官の護衛として任務にあたることになっている。
相手の国のお偉い様が日本かぶれで「サムライに会いたい」と駄々をこねたとかで、私たちはいつものスーツではなく和装をしている。
一応、懐に銃を装備してはいるが私は腰に差した刀の方が扱いに慣れている。
身長の制限に達していない私がSPに入れたのは剣の腕を買われたからだ。
向こうのお偉いさんもサムライに会えたとご機嫌の様子。
今日の接待も何事もなく終わりそうだな、と出口へ向かう廊下を進んでいると・・・
パァン!
『!!』
銃声!?
一気に緊張が走る。
私と後藤さん、そして相手国のSPも臨戦態勢に入る。
後「桐原、俺は出口を見てくる。お前はそのまま護衛を頼む」
『はい、気をつけてくださいね』
後藤さんは一つ頷くと廊下の角を曲がって行ってしまった。
私はガクガク震えている外交官の側に立つ。
『今状況を確認しています。正面が難しい場合は裏口から出ます」
外「だ、大丈夫なんだろうな!?なんで女の方を残すんだ!お前に私の護衛が務まるのか!?」
外交官は青い顔で喚いている。
『問題ありません。さぁ、すぐ動けるように立ち上がってください。』
私は表情を変えず外交官を立たせる。
こんな事は言われ慣れている。
後“桐原、正面はまずい、裏にまわれ”
後藤さんから無線が入る。
『了解』
外交官を先導する形で私は裏口への通路へと踵を返す。
そこにー
「死ねぇ!××××!!」
男が銃を構えて向かってきた。
まさか裏口からも侵入されていた!?
まずい
刀は届かない
懐の銃も間に合わない!
私は咄嗟に外交官に覆い被さる
同時に銃声が鳴る
ーー背中が熱いーー
撃たれた
外交官を見ると変わらず青い顔をしているが怪我はないようだ
その間に相手国のSPによって侵入者は制圧されていた
反対側の廊下からは走ってくる後藤さんの姿を確認する。
後「桐原ー!しっかりしろ!!」
よかった。これなら任務は遂行される。
私は重くなった瞼をゆっくりとおろした。
そこで意識は途絶えたーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーはずだった。
「うわあぁぁぁあぁあっ!!」
誰かの悲鳴にバッと顔を上げる。
そこは先程までいた料亭の廊下ではなく、外だった。
ここはどこ?
後藤さんは?外交官はどうなったの?
辺りを見廻すが見覚えのない景色が広がる。
背中には鈍い痛みがある。撃たれた事は間違いないようだけど、何故か立っていられる?どうして?
「ひぃっ!誰かっ助けてっ・・」
困惑している思考を一度止める。頭を切り替えよう。
誰かが助けを求めている。
声がする通りへ向かう
そこにはー
腰を抜かした少年。
そこに息の上がった男の人がフラつきながら近づいている。
薬物中毒者?
とにかく止めなければ
『ちょっと、あなた』
私は少し強めに男性の肩を掴む。
そして私の方に振り返った男の顔を見て息を呑む
血走った目
涎を垂らした口からは人間とは思えない牙が見える
咄嗟に距離をとり、腰の刀に手をかける。
これは夢?
あのまま気を失って昏睡状態にあるのかしら?
考えが纏まらないまま構えていると、鬼の形相の男が私に向かってくるー
『っ!』
私は刀を抜きそのまま切り上げる
男の腕は切れ地面に落ちる。
しかし、痛みを感じないのか気にする様子もない。
やはり、薬物でおかしくなってるの?
男「刀を持っているから鬼狩りかと思ったが違うようだな。こんな刀では俺は殺せない」
男は切り口をなぞりニタリと笑う。
すると傷がみるみる内に閉じていく。
『!?』
ありえない・・・
自分から血の気が引いていくのがわかる
この男をどうやって制圧する?
恐らくは夢だろうけど、夢の中であってもこの少年を見殺しにはできない
たとえ勝ち目がなくても、一度守ると決めたのだから身を盾にしてでも守り抜く!
目を閉じて呼吸を整える。
そして、両手に意識を集中させてから一つ大きく息を吐き相手を強く睨みつける。
するとブワッと風が巻き起こる
男「っ!?」
何故か固まったように驚いた表情のまま動かなくなる男。
私は躊躇なく切り掛かる
夢なら遠慮はしない!
私の刀は男の首をはねる
ー頭部が地面に転がるがやはり死なないー
だけどこの隙に少年の手を掴んで走り出す。
『大丈夫?もう少しだけ頑張って走って!』
後ろを気にしながら見知らぬ町を走り抜ける。
追いかけてはきていないみたい。
少しだけ力を抜いた所に
少年「お姉さん!前っ!!」
『っ!?』
少年に言われて意識を前に向けると、さっきとは違う男がこっちに向かってくるのが見える。やはり常軌を逸した姿でーーー
今度の男は異様に動きが早い。
あっと思った時にはもう目の前にきていた。
また刀を構えようと大きく息を吸おうとした時、忘れていた背中の痛みが蘇り大きく咳き込んでしまう。
そこに男の手が伸びてくる。
肩を掴まれたかと思った次の瞬間、私の体は宙を舞っていたー
受け身もとれず地面に強く打ち付けた。
頭がグラつく。脳震とうを起こしたか、、、
その間に男は少年に近づいていくー
何故あの少年に固執するの?
私は無我夢中で男の子に覆い被さる。
先程の外交官にしたように。
この状態では勝ち目がない。せめてこの子だけでもー
私は死を覚悟してギュッと強く目を閉じた。
ーーーー炎の呼吸 壱の型 不知火!ーーーー
知らない男の人の声がした。
同時に昼間の様な明るさと熱さを感じた。
薄く目を開けると、首を失った男が塵のように消えていく姿が見えたーー
助かったの・・・?
新月の夜に、燃えるような太陽を見た
そこで本当に私の意識は途絶えたーーーーー
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