｢姫川青葉です…。｣
あーあ。まただ。転校生が地味すぎてしーんとした空間。わかってはいるけどやっぱりなんだか悲しい。私みたいな三つ編みに眼鏡。少女マンガに出てくるようなザ･陰キャ。それが私。対応に先生が困ってる。質問コーナーで誰一人手があがらないから。
『すいませーん遅刻しました。』
クラスのムードメーカー的男子が入ってきた。ソイツが教室に入ると教室は明るく笑いであふれた。私もあんな人になりたかった。あんなだったら気まずくなんてならないかな。なんて。もう過去は変えられない。はぁ。
『先生！お俺姫川さん？に質問いいっすか？』
〔あぁ〕
先生がほっとしたかおで返事をした。
『好きな食べ物は！なに？』
あぁ陽キャだ。
｢サバの味噌煮です…｣
あーあ私、もっとマシュマロとか可愛いのいえば良いのに。でも私なんかがそんなこと言ったら笑われるに、ちがいない。
『あははっなんだそれ！新しい。お前面白いな！』
え、…初めて。私なんかに笑ってくれた人。心臓が高ぶる。ドキドキしてる。私…好きになっちゃったのかな…単純すぎる私。叶うはずのない恋。私の初恋はあっけなく消えるだろう。
『あ。俺は奈良　相馬！(ならそうま)よろしくな！姫川。』あぁ…この人はなんて優しいんだろう…こんな私にも優しく笑いかけてくれる。そんなことを思ってるうちに席が決まった。相馬さんの隣だ。やったぁと思いながら
｢よろしくお願いします…。｣
とたった一言私はつぶやいた。きこえたかなんてわからない。
『なぁ姫川。お前声綺麗なんだから大きい声で話せよ！』え、褒めてくれた。声を。私の…声を。些細なことでもうれしい。大きい声…。苦手…でも相馬くんが言ってくれたから…がんばんないと…
｢こ、こんな感じ…ですか？｣
あ、、教室に私の声が響いた。
〈あははっ〉
教室にわらいがあふれる
『お前やっぱ面白いなー！！』
えへへまた褒められちゃった。でも声を出し過ぎたかもしれない。ちょっと…恥ずかしい…。いつの間にか休み時間だ…【姫川さーんっ！】
誰？と思って振り向くとクラスの美少女らしい。二つ結びのふわふわしたサラサラな長い髪をなびかせている姫野　胡桃(ひめの　くるみ)さんとおっとりしたパッツンショートのマイペースな子。川瀬　音葉(かわせ　おとは)さんだった。｢どうかしましたか？｣
と聞いてみるすると
【姫川さんっ私の姫野と姫川さんの姫。おんなじかんじなの！すごくない！？あと音葉も姫川さんの青葉って字と葉がおんなじなの！これって運命だよね！？だからおともだちなろーよ！】
わぉザ･陽キャペースに着いていけない
｢は、はい。わたしなんかでいいんですか？｣
よくわからない言葉が口から出た。
【くるみとおとはで決めたから！なんかじゃなくてがいいの！まぁそういうことでよろしくね！青葉ちゃんって呼ぶね！】
【青葉ちゃんって呼ぶねぇ～私のことはおとはってよんで～♪えへへよろしくねぇ～】
「は、はい。おとはちゃんとくるみちゃんでいいですか？」
【敬語ダメ！タメで話してね！】
「は、はい。じゃなくてうん。分かった」
【じゃあそろそろチャイムなるからバイバーイ！】嵐のような人だった。初めて友達というものが出来た。今日は初恋と友達と転校。忙しい１日だったな。いつの間にかいえについており、寝る時間になっていた。
「おやすみなさい…」