驚くべき恋【滝夜叉丸】
「現実逃避したい」
「現実逃避なんてするだけ無駄だろう?なんたって現実が私を逃避させてくれないのだから!」
「ちょっと何言ってるかわかんないや」
隣の席の平くんはちょっと変わった人だ。いやだいぶ変わった人だな。
「平くんは何でそんなに自分に自信が持てるの?」
根拠のない自信なんてただの自己満足だ。わたしには何もない。誇れるものも得意なことも。
しかしなかなか平くんからさっきの質問の答えが返ってこない。どうしたんだろう?と彼の方を見れば大きな瞳がこちらを見ていた。
「何‥?」
「いや、お前は何がそんなに不安なんだと思ってな」
「不安しかないよ‥自信なんてない」
「自信とは自分を信じるという事だ。自分が信じていれば何でも自信になるんだ」
「信じるものが‥」
「クヨクヨするな!!私にまでお前のクヨクヨが伝染るだろ!!」
「ひゃいっ!」
彼の言葉に背筋を伸ばすとまだ続きがあるらしく、平くんはゴホンッと分かりやすく咳払いをした。
「信じるものなんて何でもいいんだ。信じたいものを信じろ。信じたいものを信じて努力すれば自分の誇れる武器となるんだ」
「‥平くんって何歳なの?」
「なっ!お前と同じ歳に決まっているだろ!」
「一緒な訳ないよ!!そんな悟ったような事を話されたら信仰せざる得ないじゃないか!!」
「し、信仰!?」
「これから宜しくお願いします教祖!!」
「教祖!?」
さっきまでの堂々とした態度はどこへ行ったのやら。平くんは慌てふためいている。
変わった人だと思っていたがこういう所は普通の人間と変わらないのか。そう思うと自分と彼はそんなに遠いものではないんだ。
「嘘だよ嘘」
「嘘か!!!」
「平くんが教祖なんて人格まで変わってしまいそうで怖いから絶対にイヤだよ」
「おい。さっきまでのクヨクヨはどこへ行った」
「どっか行ったよ平くんのおかげで」
「そ‥そうか」
照れる所も他の人と変わらない。いや普通の人より可愛いかもしれない。可愛いかも‥しれない‥?
「あああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「何だいきなり!人を指差すな!!」
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
向けた人差し指を彼に捻じ曲げられた。
何だこの感情は。彼を可愛いと思うなんてあり得ない。
「信じたくない!!」
「何がだ!煩い!!」
「か、顔が良いっ!!!!!」
罵倒している彼の顔でさえ発光して見える。これはもう彼に片足を突っ込んでしまっているようだ。
「眩しい!!ちょっと布被っといてよ!!」
「お前‥だいぶ変わってるな‥‥」
「平くんから一番言われたくない台詞!!」
違う意味でもわたしは片足を突っ込んでいるらしい。
fin.
再
「現実逃避なんてするだけ無駄だろう?なんたって現実が私を逃避させてくれないのだから!」
「ちょっと何言ってるかわかんないや」
隣の席の平くんはちょっと変わった人だ。いやだいぶ変わった人だな。
「平くんは何でそんなに自分に自信が持てるの?」
根拠のない自信なんてただの自己満足だ。わたしには何もない。誇れるものも得意なことも。
しかしなかなか平くんからさっきの質問の答えが返ってこない。どうしたんだろう?と彼の方を見れば大きな瞳がこちらを見ていた。
「何‥?」
「いや、お前は何がそんなに不安なんだと思ってな」
「不安しかないよ‥自信なんてない」
「自信とは自分を信じるという事だ。自分が信じていれば何でも自信になるんだ」
「信じるものが‥」
「クヨクヨするな!!私にまでお前のクヨクヨが伝染るだろ!!」
「ひゃいっ!」
彼の言葉に背筋を伸ばすとまだ続きがあるらしく、平くんはゴホンッと分かりやすく咳払いをした。
「信じるものなんて何でもいいんだ。信じたいものを信じろ。信じたいものを信じて努力すれば自分の誇れる武器となるんだ」
「‥平くんって何歳なの?」
「なっ!お前と同じ歳に決まっているだろ!」
「一緒な訳ないよ!!そんな悟ったような事を話されたら信仰せざる得ないじゃないか!!」
「し、信仰!?」
「これから宜しくお願いします教祖!!」
「教祖!?」
さっきまでの堂々とした態度はどこへ行ったのやら。平くんは慌てふためいている。
変わった人だと思っていたがこういう所は普通の人間と変わらないのか。そう思うと自分と彼はそんなに遠いものではないんだ。
「嘘だよ嘘」
「嘘か!!!」
「平くんが教祖なんて人格まで変わってしまいそうで怖いから絶対にイヤだよ」
「おい。さっきまでのクヨクヨはどこへ行った」
「どっか行ったよ平くんのおかげで」
「そ‥そうか」
照れる所も他の人と変わらない。いや普通の人より可愛いかもしれない。可愛いかも‥しれない‥?
「あああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「何だいきなり!人を指差すな!!」
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
向けた人差し指を彼に捻じ曲げられた。
何だこの感情は。彼を可愛いと思うなんてあり得ない。
「信じたくない!!」
「何がだ!煩い!!」
「か、顔が良いっ!!!!!」
罵倒している彼の顔でさえ発光して見える。これはもう彼に片足を突っ込んでしまっているようだ。
「眩しい!!ちょっと布被っといてよ!!」
「お前‥だいぶ変わってるな‥‥」
「平くんから一番言われたくない台詞!!」
違う意味でもわたしは片足を突っ込んでいるらしい。
fin.
再