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プロローグ

現代世界。大都会東京。

女は今日も仕事を終え、ぐったりした様子で夜遅くに家に帰ってきた。

——なにか、なにか刺激が欲しい。
そういえば、ここ最近、人と会ってないな。誰かと話したい。

そう思いながら、布団の上でゆっくりと目を閉じる。

……

……

気が付くと女は夜空を思わせるような美しい空間に寝そべっていた。
満月がとても大きく、見ているだけでうっとりする。

ふと柔らかい感触を頭と手に感じる。
枕ではない。人肌のような……。

ふと見上げると、空色の長い髪をした美しい女性の顔が目に映った。
女は思わず、飛び起きると謝罪する。

「ご、ごめんなさい!!重かったですよね?」

女性は青い目をこちらに向け、くすりと笑う。

「いえいえ。とても気持ちよく眠って頂けて……嬉しいです」

その美しい女性は、座り込んだ女と目線を合わせると、優しく自己紹介しはじめる。

「私は、世界を司る女神です」
「は、はあ……」

世界を司る女神だと女性は名乗った。
女は困惑しつつも、女性の話を聞く。

「実は……あなたにお願いしたい事があり、ここに呼び出しました」
「お願いしたい事……?」

女神はこくりと頷いた。

「ゲームワールドに危機が訪れようとしているのです。邪悪なる者が世界を手に入れようとしています。このままでは、世界の秩序が崩れ、崩壊してしまう……」

女神は悲しそうな顔をする。

「ゲームワールドの者達だけでは、その邪悪なる者に勝つ事は難しいです。だからこそ、貴方の力が必要なのです」
「……」

女は話を黙って聞いている。女神は話を続ける。

「こんな事、信じられないかもしれません。ですが、助けては頂けないでしょうか……?」
「……いいですよ」
「ですよね。こんな現実味のない話……ってえ?」

女神はきょとんとして女を見る。
女は、「これは夢だ」と思っていた事もあり、また女神が本当に困っているように見えた為か、すんなりと受け入れた。

「困っているんでしょう?放っておけませんよ」
「……! ありがとうございます!!」

女神は満面の笑みを見せた。女は照れ臭く感じた。

「それでは早速ですが……
 ——っ!」

女神が話を続けようとしたその時、空が真っ黒な雲に覆われ始めた。
不穏な空気が漂い始め、先程の女神の笑顔は、恐怖に染まる。

「見つけたわよ、女神アレクシア!
 わたしと愛しい人の恋路を邪魔しちゃって……!
 許さないんだから!!」

そこに現れたのは銀髪の長い髪を持つ女性だった。
美人と言える容姿をしているのに、その女性の事をとても「美しい」とは不思議と言えないような雰囲気を持っていた。

女は、咄嗟に女神を庇う様に前に出る。

「あらあら。このジゼル様に立ち向かおうだなんて、おバカな一般人だこと」

銀髪の女は「ジゼル」と名乗った。
女はジゼルを睨みつける。
その顔を見て、ジゼルは顔を歪ませた。

「……あんた、やっぱりわたしたちの邪魔者のようね。

 ……

 だったら」

ジゼルはそういうと女に向かって、黒い閃光弾を放った。
咄嗟の出来事に、女は避けきれずに、直撃する。

「ああ、そんな!!」

女神が叫ぶ。女は体が痺れて動けなくなった。

ふと自分の手を見ると、人ではない形状に変わっている。
夢にしては、体が痛いし、手の感触もおかしかった。

「え、へ、な、なにこれ……!?」

「ふぅん。流石は”選ばれし者”って感じですか」

困惑している女を見下ろし、ジゼルはその様子を無表情で観察する。

「わたしの暗黒玉を受けてもすぐに逝かないなんてやるじゃない……」

ジゼルはくすりと笑った。
しかし、その間に女神が女に手をかざす。

「へ?」

体が変化していく中、女の足元に大きな穴が開く。

「キャァァッ!!」

女はそのまま青空の中へと落下していった。

「逃がしたの? まあいいわ。どうせ雑魚に代わりはないんだし」

ジゼルは余裕の表情で、閉じる穴を見る。
女神は神妙な顔でジゼルを見つめた。

「侮ってはいけません。彼女は……絶対にあなたたちなんかに負けません」

その言葉を聞いて、ジゼルは少しうざったそうな顔をする。
しかし、すぐににんまりと微笑んだ。

「あの女に勝ち目?ないわよ。なんにもできない”インクリング”になっちゃったんだから。それに」

——さっきの女の記憶は消したから。

ジゼルの言葉を最後に、女神は紫色の雷に打たれたのだった。
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