漫画(ジャンプ系)
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自分が何をしたいのか何が気に食わないのか分からず自分を持て余しているような奴は赤木の周りに何人もいた(むしろ自分もそのような一人だったのだろう)が、大体は野郎であった。女子に全くそういうのがないとは言わないが少なくとも赤木の知っている範疇ではそれなりにやっているように見えていた。隣の席の彼女についても、例外ではない。ギャルでも根暗でもなさそうなそのクラスメイトは、どんくさいというかぼーっとした質で、友人であろう他の女子に世話を焼かれている印象があった。とくになんとも思っていない女子になぜそんな印象を抱いていたかといえば、なんのことはない。昨年度は委員会が一緒であり、赤木の相方である女子が彼女の世話を焼いていたのだ。仲がいいわけではなく特に不真面目ではない男子よりも気心のしれた友人とつるむ方が自然であろう。放置された赤木は粛々と委員会の仕事をまっとうしていた。
そのような経緯があり、顔と名前となんとなくのイメージは把握しているその女子生徒の印象が覆ったのは、ある日の朝練のことであった。学校の外周をジョギングしていると、向こうから同じ学校の女子生徒が駆けて来た。ジョギングではなく短距離のスピードで近づいてくるその顔は、果たして赤木のクラスメイトの彼女であった。普段は冬眠から覚めたばかりの動物みたいに緩慢な動きをしているくせに、そのフォームは美しかった。アスファルトを蹴るのはローファーである。その規則正しい靴音はあっという間にバスケ部の一団を追い抜いていった。陸上部の朝練遅刻したんか? と掛け声の合間に他の部員が話すのを聞きながら赤木はすれ違った彼女の表情を思い返していた。
3時間目、毎授業ある英語の単語テストは隣席の生徒と交換して採点する仕組みだ。プリントを渡しながら、赤木は「朝練には間に合ったのか」と彼女に声をかけた。
「朝練?」
怪訝な顔をした彼女は、赤木のカバンを見て彼がバスケ部であることに思い当たったらしい。
「あれはただ走ってただけ。帰宅部だし」
なんでそんなことを聞くんだ、と対して話す仲でもない異性に怪訝そうな顔をされたため、赤木はそれ以上踏み入ることはできない。大人しく教師が黒板に書き始めた答えと彼女の解答を照らし合わせる。ただ、眠たげに見えていた彼女の横顔が今は違う印象を赤木に与える。どこに向かっていいか分からず苛々しているような、それでも前方を見つめているような。引き結ばれた口が何を堪えているのか、彼にはわからない。彼女のテストの結果は良くも悪くもなかった。油性の赤ボールペンで、採点者の名前を記入して彼女に返す。逆に返された自分の答案も受け取った。筆圧のしっかりした自分の名前の下に赤いインクで書かれた、丸文字でも達筆でもない彼女の名前を赤木はしばらく見つめていた。
そのような経緯があり、顔と名前となんとなくのイメージは把握しているその女子生徒の印象が覆ったのは、ある日の朝練のことであった。学校の外周をジョギングしていると、向こうから同じ学校の女子生徒が駆けて来た。ジョギングではなく短距離のスピードで近づいてくるその顔は、果たして赤木のクラスメイトの彼女であった。普段は冬眠から覚めたばかりの動物みたいに緩慢な動きをしているくせに、そのフォームは美しかった。アスファルトを蹴るのはローファーである。その規則正しい靴音はあっという間にバスケ部の一団を追い抜いていった。陸上部の朝練遅刻したんか? と掛け声の合間に他の部員が話すのを聞きながら赤木はすれ違った彼女の表情を思い返していた。
3時間目、毎授業ある英語の単語テストは隣席の生徒と交換して採点する仕組みだ。プリントを渡しながら、赤木は「朝練には間に合ったのか」と彼女に声をかけた。
「朝練?」
怪訝な顔をした彼女は、赤木のカバンを見て彼がバスケ部であることに思い当たったらしい。
「あれはただ走ってただけ。帰宅部だし」
なんでそんなことを聞くんだ、と対して話す仲でもない異性に怪訝そうな顔をされたため、赤木はそれ以上踏み入ることはできない。大人しく教師が黒板に書き始めた答えと彼女の解答を照らし合わせる。ただ、眠たげに見えていた彼女の横顔が今は違う印象を赤木に与える。どこに向かっていいか分からず苛々しているような、それでも前方を見つめているような。引き結ばれた口が何を堪えているのか、彼にはわからない。彼女のテストの結果は良くも悪くもなかった。油性の赤ボールペンで、採点者の名前を記入して彼女に返す。逆に返された自分の答案も受け取った。筆圧のしっかりした自分の名前の下に赤いインクで書かれた、丸文字でも達筆でもない彼女の名前を赤木はしばらく見つめていた。
