漫画(ジャンプ系)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
船の設備や武器なんかの整備を黙々と行うフランキーを彼女はいつも見つめていた。誰かと話すと騒がしい男であるが、彼女が傍らで作業を眺めているのは当たり前になっているため殊更に話しかけることもない。基本的ににぎやかな船でその一時だけは薄い膜に包まれたように密やかだった。
フランキーに言われた通り倉庫から資材を取ってきた彼女は、右腕に木箱を抱えていたから左手でドアを開けた。ドアノブを握るとき、金属と金属が触れる硬い音がする。彼女の左手は生まれつき不自由だったのをフランキーに改造してもらったものだった。細かい微調整を繰り返して、今では右手よりも使い勝手がいい。見た目はただの人の手にしか見えないが、触ると無機物の冷たさを感じる。その冷たい質感にぎょっとする人間もいるが、フランキーはとくに動じない。彼が製作したからでもあるし、そもそもそんな細かいことを気にする男でもないからだ。彼女の左手でフランキーの生身の部分を触るのは互いに気に入っている戯れだった。
木箱を傍らに置いて、彼女は自分用に置いた椅子を引き寄せて座った。自分の指より細いパーツをフランキーの大きい手がちまちまと組み立てていくのは何度見ても興味深い。作業が一段落ついたフランキーはパーツの蓋を閉めて顔を上げた。至近距離に彼女の顔があったので、驚いてのけぞる。
「近い!」
スーパー驚いたぜ、と椅子に座りなおしたフランキーは彼女に向き直る。
「作ってほしいものがあるの」
「おう、何だ?」
左手のスペアはあるだろ、とフランキーは言う。そもそも彼女もウォーターセブンの出身であり、スペアはそのときすでに作ってもらっている。フランキーの作った義手がそうそう壊れるはずはないが。それでも、これを取り付けられる技師はあなたを除いて他にはいないと言い張った彼女はそのまま船に着いてきてしまった。
「私の心臓のスペアを作ってよ」
「……取付けられねェだろ、作ってもよ」
ばき、とフランキーの手元にあった飲みかけのコーラの瓶にヒビが入った。彼の手に力がこもったからである。彼女はそれに怯むことはない。
「そこはそれ、チョッパーくんに頼むとか」
私のほうがきっとあなたより先に死ぬ、と予言めいた言葉を聞いたフランキーの眉間の皺はより深くなった。そんなことはおれがさせない、というのが彼の本心であったが、目の前の女がその言葉を望んでいないことも知っていた。
「尽くせる手は尽くしておきたいの。それに面白い題材ではあるでしょ」
彼女はコツコツと左手で机を叩く。まるで三文芝居の悪役の態度だとフランキーは思った。やりがいは確かにあるだろう。しかしそれを使うことになる局面など、想像したくもない。いまいち乗り気でないフランキーの態度を見て取った彼女は、あーあ、と組んだ両手をほどいて、天井から下げられたランプの光に透かした。フランキーの一回りも二回りも大きな手がそれに重なる。手ですらこんなに差があるなら、心臓の大きさはどれだけ違うのだろう。しかしフランキーは、脳内で図面を引く気にすらなれなかった。
フランキーに言われた通り倉庫から資材を取ってきた彼女は、右腕に木箱を抱えていたから左手でドアを開けた。ドアノブを握るとき、金属と金属が触れる硬い音がする。彼女の左手は生まれつき不自由だったのをフランキーに改造してもらったものだった。細かい微調整を繰り返して、今では右手よりも使い勝手がいい。見た目はただの人の手にしか見えないが、触ると無機物の冷たさを感じる。その冷たい質感にぎょっとする人間もいるが、フランキーはとくに動じない。彼が製作したからでもあるし、そもそもそんな細かいことを気にする男でもないからだ。彼女の左手でフランキーの生身の部分を触るのは互いに気に入っている戯れだった。
木箱を傍らに置いて、彼女は自分用に置いた椅子を引き寄せて座った。自分の指より細いパーツをフランキーの大きい手がちまちまと組み立てていくのは何度見ても興味深い。作業が一段落ついたフランキーはパーツの蓋を閉めて顔を上げた。至近距離に彼女の顔があったので、驚いてのけぞる。
「近い!」
スーパー驚いたぜ、と椅子に座りなおしたフランキーは彼女に向き直る。
「作ってほしいものがあるの」
「おう、何だ?」
左手のスペアはあるだろ、とフランキーは言う。そもそも彼女もウォーターセブンの出身であり、スペアはそのときすでに作ってもらっている。フランキーの作った義手がそうそう壊れるはずはないが。それでも、これを取り付けられる技師はあなたを除いて他にはいないと言い張った彼女はそのまま船に着いてきてしまった。
「私の心臓のスペアを作ってよ」
「……取付けられねェだろ、作ってもよ」
ばき、とフランキーの手元にあった飲みかけのコーラの瓶にヒビが入った。彼の手に力がこもったからである。彼女はそれに怯むことはない。
「そこはそれ、チョッパーくんに頼むとか」
私のほうがきっとあなたより先に死ぬ、と予言めいた言葉を聞いたフランキーの眉間の皺はより深くなった。そんなことはおれがさせない、というのが彼の本心であったが、目の前の女がその言葉を望んでいないことも知っていた。
「尽くせる手は尽くしておきたいの。それに面白い題材ではあるでしょ」
彼女はコツコツと左手で机を叩く。まるで三文芝居の悪役の態度だとフランキーは思った。やりがいは確かにあるだろう。しかしそれを使うことになる局面など、想像したくもない。いまいち乗り気でないフランキーの態度を見て取った彼女は、あーあ、と組んだ両手をほどいて、天井から下げられたランプの光に透かした。フランキーの一回りも二回りも大きな手がそれに重なる。手ですらこんなに差があるなら、心臓の大きさはどれだけ違うのだろう。しかしフランキーは、脳内で図面を引く気にすらなれなかった。
