漫画(ジャンプ系)
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バラティエがまだ完成して間もない頃の話である。
知らない名前で呼びかけられたから、幼いサンジは首を傾げた。呼んだ方も一瞬不思議そうな顔をして、すぐにすまんと謝る。
「弟と間違えた」
「弟?」
あぁ、と彼はうなずいてサンジに味見の小皿を差し出した。サンジはそれを受け取ってソースを舐めながら話を聞く。彼はしゃべっていた方が手際がいいタイプだった。いつもはその会話の中でサンジに色々と教えるのが常である。なにせ色々な厨房のはみだしものばかりが集まってきたこの船の中で彼は少数派に属している。つまり、どちらかというと厨房のほうが主戦場なのだ。サンジも前に乗っていた船である程度のことは学んでいたが、それでも足りない分やもっと料理のメインになる味付けであったり皿の組み立てなどは彼から主に学んでいた。
「まぁ、おれが家を出たあたりでお前と同じくらいだったから、お前よりもでかいんだけどな、本当は」
親や生まれた村なんか忘れたと言い張るような人間がほとんど――サンジも含めて――のここで、彼はその点でも少数派であった。どこかの港に寄ったとき、彼がどこかへ送金の手続きをしているところをサンジは見かけていた。一通りの下処理を終えた彼は、他の奴には恥ずかしいから言うなよとサンジに口止めをした。なんでだよ、とサンジが訊いたのは他の奴らに言う気があったわけでなく、単純に疑問だったからだ。まだ時間が早いから、他のコックたちはまだ厨房には入ってないしゼフは裏方作業だ。今ここにはサンジと彼しかいなかった。
「……恥ずかしいから?」
親兄弟にいい思い出がない奴もいるだろ、と言いかけた彼は、もし目の前の子どももそうだったらと思って言い直した。ここまで話しておいて今更だが。とにかくすぐにどこかのレストランで働きたかった彼はできたばかりかつ悪名高かった海賊ゼフの始めたバラティエに飛び込んだ。その飛び込んだ先に最初からいた、どう見ても爺孫ではないだろう子どもに事情が無いわけがないだろう。しかしこの船の上では料理人か客かが全てである。そのシンプルなルールに救われている人間が多いこと、これから更にそんな人間が増えていくだろうと彼は予感していた。
「なんだよそれ」
当然サンジはそんなごまかしでは納得しない。作業が終わって、生臭い手を洗い流した彼はうやむやにするようにぐしゃぐしゃと低い位置にある頭を撫でまわした。
「ガキ扱いすんな」
ぺっ、と頭に置かれた手を払いのけたサンジは彼を睨むがただ優しい目を向けられただけだった。他のコックたちは良くも悪くもサンジに対しても同等(大人げないだけともいう)に接してくるがこの男だけはたまにこういう態度をとる。それが、彼の弟とサンジを重ねているからだということをサンジは今日やっとわかった。サンジは弟だというだけで優しい態度をとってくる兄がいるということを知らなかったからだ。
知らない名前で呼びかけられたから、幼いサンジは首を傾げた。呼んだ方も一瞬不思議そうな顔をして、すぐにすまんと謝る。
「弟と間違えた」
「弟?」
あぁ、と彼はうなずいてサンジに味見の小皿を差し出した。サンジはそれを受け取ってソースを舐めながら話を聞く。彼はしゃべっていた方が手際がいいタイプだった。いつもはその会話の中でサンジに色々と教えるのが常である。なにせ色々な厨房のはみだしものばかりが集まってきたこの船の中で彼は少数派に属している。つまり、どちらかというと厨房のほうが主戦場なのだ。サンジも前に乗っていた船である程度のことは学んでいたが、それでも足りない分やもっと料理のメインになる味付けであったり皿の組み立てなどは彼から主に学んでいた。
「まぁ、おれが家を出たあたりでお前と同じくらいだったから、お前よりもでかいんだけどな、本当は」
親や生まれた村なんか忘れたと言い張るような人間がほとんど――サンジも含めて――のここで、彼はその点でも少数派であった。どこかの港に寄ったとき、彼がどこかへ送金の手続きをしているところをサンジは見かけていた。一通りの下処理を終えた彼は、他の奴には恥ずかしいから言うなよとサンジに口止めをした。なんでだよ、とサンジが訊いたのは他の奴らに言う気があったわけでなく、単純に疑問だったからだ。まだ時間が早いから、他のコックたちはまだ厨房には入ってないしゼフは裏方作業だ。今ここにはサンジと彼しかいなかった。
「……恥ずかしいから?」
親兄弟にいい思い出がない奴もいるだろ、と言いかけた彼は、もし目の前の子どももそうだったらと思って言い直した。ここまで話しておいて今更だが。とにかくすぐにどこかのレストランで働きたかった彼はできたばかりかつ悪名高かった海賊ゼフの始めたバラティエに飛び込んだ。その飛び込んだ先に最初からいた、どう見ても爺孫ではないだろう子どもに事情が無いわけがないだろう。しかしこの船の上では料理人か客かが全てである。そのシンプルなルールに救われている人間が多いこと、これから更にそんな人間が増えていくだろうと彼は予感していた。
「なんだよそれ」
当然サンジはそんなごまかしでは納得しない。作業が終わって、生臭い手を洗い流した彼はうやむやにするようにぐしゃぐしゃと低い位置にある頭を撫でまわした。
「ガキ扱いすんな」
ぺっ、と頭に置かれた手を払いのけたサンジは彼を睨むがただ優しい目を向けられただけだった。他のコックたちは良くも悪くもサンジに対しても同等(大人げないだけともいう)に接してくるがこの男だけはたまにこういう態度をとる。それが、彼の弟とサンジを重ねているからだということをサンジは今日やっとわかった。サンジは弟だというだけで優しい態度をとってくる兄がいるということを知らなかったからだ。
