漫画(ジャンプ系)
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遅くまでガレーラの職人たちで賑わう酒場も、そろそろ閉店の時間だ。明日も平日のため、店はカウンターの客ひとりを残してがらんとしていた。もう何杯もウイスキーのロックを空にしているその女は、ブルーノの「本業」のほうの同僚である。今はブルーノが酒場の店主をしているのと同様、彼女もガレーラで事務として働いているが。
「明日も朝から仕事でしょう」
言外にもう飲むのはやめておけと言うブルーノだが、万一にも情報共有のための口実である可能性を考えて追い出すことはしなかった。周囲を見回して誰もいないのを確認し、酒の回った赤い顔を引き締めた彼女が、「マスター」ではなく「ブルーノ」と呼ぶ。そのため、彼もまた酒場の店主ではなくCPの一員として「どうした」と答えた。うっすら浮かべていた営業スマイルを消した真剣な顔を彼女はしばらく凝視していたが、突然「何でもない!」と叫んでまだ半分ほど残っていたグラスを飲み干す。ブルーノはいくら何でも不審に思い、カウンター越しに話しかけようとした。するとグラスを飲み干した彼女はガタン! と突っ伏す。
「おい!」
ブルーノが珍しく焦った声を出す。カウンターから席のほうへ回り込んで、呼吸を確認しようとした。
「気持ち悪い……」
「困りますよお客さん」
ブルーノの口から、板につき始めた酒場の店主の口調が反射的に飛び出した。戦闘中もかくやというくらい思考を回転させる。つまりはカウンターに吐かれるか床に吐かれるか自分に吐かれるかのどれが一番マシかという話だ。カウンターと椅子はやめてくれ、というブルーノの思いをくみ取ったように、彼女は椅子から滑り落ちる。そしてその衝撃がとどめになったのか、体を丸めて胃の内容物を全て逆流させた。
翌朝、彼女が目を覚ますと知らない天井だった。飛び起きて、頭の痛さと消化器官の気持ち悪さに硬直する。一息ついてから、そろそろとベッドから這い出し、部屋を出ようとドアを開けた。
「起きたか」
「おわっ!?」
様子を見にきたらしきブルーノに話しかけられて彼女は飛び上がった。
「ここ、って」
「おれの家だ」
さぁ、と彼女の顔から血の気が引いたのは二日酔いのせいではない。
「ご迷惑をおかけしました」
部屋の入口で素早く土下座をする同僚を、ブルーノは呆れた顔で見下ろす。単純にそこにうずくまられると邪魔でもあった。
「昨日の記憶はあるのか」
「吐いた……ところまでは何となく……」
フン、とブルーノは鼻を鳴らした。
「店の床は拭いた。お前の服は今洗濯している」
「いや本当に申し訳なく……」
ばっ、と彼女は起き上がり今気が付いたように自分の着ている服をべたべたと触る。彼女の身長にはずいぶんと大きいシャツは、言うまでもなくブルーノのものであった。
「結局自分で吐いて自分で受け止めてたもんだったからな。うまいもんだ」
「もしかして着替えさせてくれた!?」
「さすがにゲロまみれでベッドを使わせるわけにはいかなかったからな。他には何もしていない」
ホールドアップの姿勢をブルーノはとる。彼女は自分の体を抱きしめて俯く。鈍感なふりをしてブルーノはすっとぼけた。
「昔は鍛錬でぶっ倒れたお前を風呂に入れたりしてただろ」
「いくつの時の話をしてるんだよ」
顔を青くしたり赤くしたり忙しい彼女だが、また青ざめて「今何時?」とブルーノに訊く。とっくに就業開始時間を回っていることを告げられて床に崩れ落ちた。また頭が痛みだす。
「どのみちその格好じゃ出勤できないだろ」
「カリファに半休の連絡と服持ってきてもらう……」
この際甘えるだけ甘えてしまおうと腹を決めた彼女はまたブルーノに深々と頭を下げる。
「店の電伝虫貸してください……」
「貴重な昼休みが……」
カリファの小言を聞きながら彼女はマジでごめん! と拝むポーズをした。そのままガレーラカンパニーに二人で向かう間も、カリファの小言は続く。
「繁忙期じゃないからまだマシだけど、あんまり目立つような素行の悪さはやめなさいよ」
「おっしゃる通りです……」
彼女もまた、ガレーラには事務として潜入していた。萎れる同僚に、カリファはため息をついて話題を変える。
「で、ちゃんとブルーノには好きだって言えたの?」
「言えてない……」
蚊の鳴くような答えを聞いて、カリファは呆れる。これ以上反省会に付き合わされるのはまっぴらだからだ。
「この際酒の力でもなんでも借りるって言ったのはあなたじゃない」
「次は酔いつぶれないように気を付ける」
「次も同じ手でいくつもりなの!?」
ブルーノとも彼女との付き合いの長いカリファは今までの彼女の空回りを散々見てきている。無論これは他のメンバーもそうだが。ちなみにカクやルッチあたりはウォーターセブンの潜入が終わるまでに成就するか賭けている。その賭けにブルーノ本人も一枚かんでいることは絶対に言えないわね、とカリファは心中で嘆息した。
「明日も朝から仕事でしょう」
言外にもう飲むのはやめておけと言うブルーノだが、万一にも情報共有のための口実である可能性を考えて追い出すことはしなかった。周囲を見回して誰もいないのを確認し、酒の回った赤い顔を引き締めた彼女が、「マスター」ではなく「ブルーノ」と呼ぶ。そのため、彼もまた酒場の店主ではなくCPの一員として「どうした」と答えた。うっすら浮かべていた営業スマイルを消した真剣な顔を彼女はしばらく凝視していたが、突然「何でもない!」と叫んでまだ半分ほど残っていたグラスを飲み干す。ブルーノはいくら何でも不審に思い、カウンター越しに話しかけようとした。するとグラスを飲み干した彼女はガタン! と突っ伏す。
「おい!」
ブルーノが珍しく焦った声を出す。カウンターから席のほうへ回り込んで、呼吸を確認しようとした。
「気持ち悪い……」
「困りますよお客さん」
ブルーノの口から、板につき始めた酒場の店主の口調が反射的に飛び出した。戦闘中もかくやというくらい思考を回転させる。つまりはカウンターに吐かれるか床に吐かれるか自分に吐かれるかのどれが一番マシかという話だ。カウンターと椅子はやめてくれ、というブルーノの思いをくみ取ったように、彼女は椅子から滑り落ちる。そしてその衝撃がとどめになったのか、体を丸めて胃の内容物を全て逆流させた。
翌朝、彼女が目を覚ますと知らない天井だった。飛び起きて、頭の痛さと消化器官の気持ち悪さに硬直する。一息ついてから、そろそろとベッドから這い出し、部屋を出ようとドアを開けた。
「起きたか」
「おわっ!?」
様子を見にきたらしきブルーノに話しかけられて彼女は飛び上がった。
「ここ、って」
「おれの家だ」
さぁ、と彼女の顔から血の気が引いたのは二日酔いのせいではない。
「ご迷惑をおかけしました」
部屋の入口で素早く土下座をする同僚を、ブルーノは呆れた顔で見下ろす。単純にそこにうずくまられると邪魔でもあった。
「昨日の記憶はあるのか」
「吐いた……ところまでは何となく……」
フン、とブルーノは鼻を鳴らした。
「店の床は拭いた。お前の服は今洗濯している」
「いや本当に申し訳なく……」
ばっ、と彼女は起き上がり今気が付いたように自分の着ている服をべたべたと触る。彼女の身長にはずいぶんと大きいシャツは、言うまでもなくブルーノのものであった。
「結局自分で吐いて自分で受け止めてたもんだったからな。うまいもんだ」
「もしかして着替えさせてくれた!?」
「さすがにゲロまみれでベッドを使わせるわけにはいかなかったからな。他には何もしていない」
ホールドアップの姿勢をブルーノはとる。彼女は自分の体を抱きしめて俯く。鈍感なふりをしてブルーノはすっとぼけた。
「昔は鍛錬でぶっ倒れたお前を風呂に入れたりしてただろ」
「いくつの時の話をしてるんだよ」
顔を青くしたり赤くしたり忙しい彼女だが、また青ざめて「今何時?」とブルーノに訊く。とっくに就業開始時間を回っていることを告げられて床に崩れ落ちた。また頭が痛みだす。
「どのみちその格好じゃ出勤できないだろ」
「カリファに半休の連絡と服持ってきてもらう……」
この際甘えるだけ甘えてしまおうと腹を決めた彼女はまたブルーノに深々と頭を下げる。
「店の電伝虫貸してください……」
「貴重な昼休みが……」
カリファの小言を聞きながら彼女はマジでごめん! と拝むポーズをした。そのままガレーラカンパニーに二人で向かう間も、カリファの小言は続く。
「繁忙期じゃないからまだマシだけど、あんまり目立つような素行の悪さはやめなさいよ」
「おっしゃる通りです……」
彼女もまた、ガレーラには事務として潜入していた。萎れる同僚に、カリファはため息をついて話題を変える。
「で、ちゃんとブルーノには好きだって言えたの?」
「言えてない……」
蚊の鳴くような答えを聞いて、カリファは呆れる。これ以上反省会に付き合わされるのはまっぴらだからだ。
「この際酒の力でもなんでも借りるって言ったのはあなたじゃない」
「次は酔いつぶれないように気を付ける」
「次も同じ手でいくつもりなの!?」
ブルーノとも彼女との付き合いの長いカリファは今までの彼女の空回りを散々見てきている。無論これは他のメンバーもそうだが。ちなみにカクやルッチあたりはウォーターセブンの潜入が終わるまでに成就するか賭けている。その賭けにブルーノ本人も一枚かんでいることは絶対に言えないわね、とカリファは心中で嘆息した。
