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その日命知らずにも赤髪海賊団の船を襲ったのは、チンピラまがいの海賊であった。奪ったのであろう商船に乗り擬態しているほかは特に特筆することもない。所詮は赤髪海賊団の旗も知らないような連中だ。さっさと返り討ちにした後、金目の物や火薬や弾をもらっていくかとベックマンは船内を物色していた。最深部、倉庫らしき部屋の扉を彼は蹴破る。
「まだ鑑定が終わってない」
不機嫌な声が暗がりから聞こえてベックマンは身構える。が、目が慣れてすぐに警戒を解いた。そこにいたのは、色の病的に白いやせぎすの子どもだった。
「……あいつらの仲間じゃない、ですよね」
「むしろ襲われたほうだな」
「じゃあ自分と同じですね」
子どもがベックマンを見ている目からは感情が読み取れなかった。生気がないのとは違う。見定める目だ、と彼は思う。
「お前は、こんな暗い中で何をやらされていたんだ」
はっ、と子どもは自嘲するように笑った。
「あいつらの盗んだ宝の鑑定ですよ。売れるやつとか、有名すぎて足がすぐつくやつとか……」
曰く、古物商の親に連れられて乗ったこの船で海賊に襲われた。自分以外の人間は殺されて、たまたま親からもらった課題で鑑定士の真似事をしていた自分だけが生き残り、こうして倉庫に盗品と押し込められ働かされていたらしい。この大人びた口調は商家のガキだからか、とベックマンは合点した。
「そいつらならおれと仲間が全員のした」
あっさりと答えたベックマンに、子どもはぽかんとする。
(やっと年相応の顔をしたな)
だが、子どもはすぐにまた落ち着きを取り戻す。
「ここからここまでは鑑定が終わってる宝石なので、持っていっていいですよ。特に特徴的な加工もされてないので、そのあたりで売ればそれなりになるはずです」
弱者が強者に略奪をされるのはこの世界では当たり前のことであった。この商船を襲った海賊たちも、その海賊たちを襲った赤髪も。フン、とベックマンは新しい煙草に火をつけた。ふう、と大きく吐いた紫煙が暗がりに充満する。
「その宝石はお前が持ってこい。後なんか持っていきてェのがあるならそれも忘れんなよ」
「はぁ?」
「早くしろ、昼飯が冷めちまう」
困惑しながらも、子どもはざらざらと宝石を革袋に集める。残された宝飾品の中に、ベックマンから見ても価値が高いことが分かる繊細な細工のブローチがあった。
「これはいいのか」
「それは駄目です」
ベックマンの伸ばした手は払いのけられた。呪いの宝石、と子どもは呟く。
「呪い?」
「呪いの宝石なんて噂だけのものも多いですけど、これは本物のひとつです。本当はどこかに捨ててしまうのがいいんでしょうけど、触るのもやめた方がいいです」
「そういうものなのか」
「出どころが分からないのにこんな王族からの依頼レベルで立派な細工なのはおかしいんですよ、そもそも。それに自分が知ってる範囲でこれを手に入れた奴は大体死んでいるかひどい目にあっています」
「どれくらいだ?」
ベックマンは興味本位で訊いたが、子どもが両手の指を二往復折り始めた時点で切り上げさせた。改めて見ると、そのブローチの真ん中に嵌められた貴石の赤は自分が頭に抱く男の髪の色とは似も似つかない。乾いた血のように禍々しかった。
ベックマンが中々戻ってこないからか、おういとヤソップの呼び声が聞こえた。
「それだけでいいのか」
「カタログとか本とかはあいつらに捨てられたので、これだけあればいいです」
握り込んだ手から、年期の入ったルーペを子どもは取り出した。父親のものか、とベックマンは思うがわざわざ口には出さなかった。見れば分かるからだ。様子を見にきたヤソップは、通路でベックマンと鉢合わせる。何かあったのか? とヤソップは質問しかけて、ベックマンの影にいる子どもに気が付く。
「どこに落ちてたんだ」
「倉庫に落ちてた。今日からうちの船の鑑定士だ」
「はぁ?」
ヤソップと子どもの声が重なる。当のベックマンは涼しい顔で、腹が減ったなと呟いた。
「まだ鑑定が終わってない」
不機嫌な声が暗がりから聞こえてベックマンは身構える。が、目が慣れてすぐに警戒を解いた。そこにいたのは、色の病的に白いやせぎすの子どもだった。
「……あいつらの仲間じゃない、ですよね」
「むしろ襲われたほうだな」
「じゃあ自分と同じですね」
子どもがベックマンを見ている目からは感情が読み取れなかった。生気がないのとは違う。見定める目だ、と彼は思う。
「お前は、こんな暗い中で何をやらされていたんだ」
はっ、と子どもは自嘲するように笑った。
「あいつらの盗んだ宝の鑑定ですよ。売れるやつとか、有名すぎて足がすぐつくやつとか……」
曰く、古物商の親に連れられて乗ったこの船で海賊に襲われた。自分以外の人間は殺されて、たまたま親からもらった課題で鑑定士の真似事をしていた自分だけが生き残り、こうして倉庫に盗品と押し込められ働かされていたらしい。この大人びた口調は商家のガキだからか、とベックマンは合点した。
「そいつらならおれと仲間が全員のした」
あっさりと答えたベックマンに、子どもはぽかんとする。
(やっと年相応の顔をしたな)
だが、子どもはすぐにまた落ち着きを取り戻す。
「ここからここまでは鑑定が終わってる宝石なので、持っていっていいですよ。特に特徴的な加工もされてないので、そのあたりで売ればそれなりになるはずです」
弱者が強者に略奪をされるのはこの世界では当たり前のことであった。この商船を襲った海賊たちも、その海賊たちを襲った赤髪も。フン、とベックマンは新しい煙草に火をつけた。ふう、と大きく吐いた紫煙が暗がりに充満する。
「その宝石はお前が持ってこい。後なんか持っていきてェのがあるならそれも忘れんなよ」
「はぁ?」
「早くしろ、昼飯が冷めちまう」
困惑しながらも、子どもはざらざらと宝石を革袋に集める。残された宝飾品の中に、ベックマンから見ても価値が高いことが分かる繊細な細工のブローチがあった。
「これはいいのか」
「それは駄目です」
ベックマンの伸ばした手は払いのけられた。呪いの宝石、と子どもは呟く。
「呪い?」
「呪いの宝石なんて噂だけのものも多いですけど、これは本物のひとつです。本当はどこかに捨ててしまうのがいいんでしょうけど、触るのもやめた方がいいです」
「そういうものなのか」
「出どころが分からないのにこんな王族からの依頼レベルで立派な細工なのはおかしいんですよ、そもそも。それに自分が知ってる範囲でこれを手に入れた奴は大体死んでいるかひどい目にあっています」
「どれくらいだ?」
ベックマンは興味本位で訊いたが、子どもが両手の指を二往復折り始めた時点で切り上げさせた。改めて見ると、そのブローチの真ん中に嵌められた貴石の赤は自分が頭に抱く男の髪の色とは似も似つかない。乾いた血のように禍々しかった。
ベックマンが中々戻ってこないからか、おういとヤソップの呼び声が聞こえた。
「それだけでいいのか」
「カタログとか本とかはあいつらに捨てられたので、これだけあればいいです」
握り込んだ手から、年期の入ったルーペを子どもは取り出した。父親のものか、とベックマンは思うがわざわざ口には出さなかった。見れば分かるからだ。様子を見にきたヤソップは、通路でベックマンと鉢合わせる。何かあったのか? とヤソップは質問しかけて、ベックマンの影にいる子どもに気が付く。
「どこに落ちてたんだ」
「倉庫に落ちてた。今日からうちの船の鑑定士だ」
「はぁ?」
ヤソップと子どもの声が重なる。当のベックマンは涼しい顔で、腹が減ったなと呟いた。
