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がちゃりとホチキスの鳴る音が、交互に響いていた。
新入生用の資料、と先生はおっしゃっていた。二十人一クラスかけることの二、で、四十人分。私の学年も最初はそれくらい居たはずだ。先生はしきりにまばたきをする。
ドライアイなのは有名な話だ。
「私、目薬にでもなりましょうか」
先生が顔を上げた。
「使えないだろ、そんなの」
「……さぁ? やったことないのでわかりません」
先生は何も言わずにまた視線を手元に戻した。
しかしたかが四十人分の資料は、すぐに綴じ終えてしまう。
加えて私も先生も手際はいいほうだ。私は先生にホチキスを返そうと先生へ手を伸ばした。
生徒用机ひとつ分の距離は、案外近いものなのだ。
唇、とおもむろに先生は私の顔を指差した。
「血が出てる」
先生の指摘に、私は反射的に唇を舐めてしまう。先生はそれを咎めるように私をじろりと睨んだ。
「なんか塗っておけばいいだろ。俺みたいにメディアに出ないならともかく。特にお前のヒーロースーツ、フルフェイスじゃないだろ」
先生は私の唇の端にそっと触れた。先生の指は乾燥している。
先生が私に触れるのは、私が生徒だからで、きっと飼い主が犬猫を撫でるそれと違いはない、と私は常々思うようにしている。
けれど、時々、そうではないんじゃないか、と考えてしまう。
(私が、先生を好きなように、先生が私を好いている)
先生は変わった人だし、私はこれが初恋なので、私は、何がおかしな妄想で何が本当なのか、分からないのだ。
「大丈夫ですよ、先生。どうせ変身すれば同じですから」
先生は口をつぐんだ。非合理的なことを言ったと思ったのかもしれない。
そうであれば、先生は純粋に私個人を心配したことになって、
もしかしたらそれは教師が生徒を気遣う以上のものなのかもしれないけれど、
私には結局、先生が何故押し黙ったのか分からないのだ。
外から強い風の音が聞こえる。きっとその風は生ぬるい。
もう春がきたのだ。私は卒業までに、先生に言われた通りリップクリームを塗って、
きっときれいな唇になる。そして先生に告白するかもしれない。
いや、きっとしないだろうけど。
(先生、)
私の個性は"変身"である。実際使えるのかは試したことがないけれど、爆弾にだってミサイルにだってなれる。
私は先生を守る為なら、そのまま爆発したって構わない。先生の為ならば、
『この体を百ぺん灼いても構わない』
いつか読んだ小説の文句をそっとくり返す。
けれど、私は、ヒーローは、そう言った少年のように、皆の幸いの礎にならねばならないのだ。
オールマイトや、イレイサーヘッドのように。
新入生用の資料、と先生はおっしゃっていた。二十人一クラスかけることの二、で、四十人分。私の学年も最初はそれくらい居たはずだ。先生はしきりにまばたきをする。
ドライアイなのは有名な話だ。
「私、目薬にでもなりましょうか」
先生が顔を上げた。
「使えないだろ、そんなの」
「……さぁ? やったことないのでわかりません」
先生は何も言わずにまた視線を手元に戻した。
しかしたかが四十人分の資料は、すぐに綴じ終えてしまう。
加えて私も先生も手際はいいほうだ。私は先生にホチキスを返そうと先生へ手を伸ばした。
生徒用机ひとつ分の距離は、案外近いものなのだ。
唇、とおもむろに先生は私の顔を指差した。
「血が出てる」
先生の指摘に、私は反射的に唇を舐めてしまう。先生はそれを咎めるように私をじろりと睨んだ。
「なんか塗っておけばいいだろ。俺みたいにメディアに出ないならともかく。特にお前のヒーロースーツ、フルフェイスじゃないだろ」
先生は私の唇の端にそっと触れた。先生の指は乾燥している。
先生が私に触れるのは、私が生徒だからで、きっと飼い主が犬猫を撫でるそれと違いはない、と私は常々思うようにしている。
けれど、時々、そうではないんじゃないか、と考えてしまう。
(私が、先生を好きなように、先生が私を好いている)
先生は変わった人だし、私はこれが初恋なので、私は、何がおかしな妄想で何が本当なのか、分からないのだ。
「大丈夫ですよ、先生。どうせ変身すれば同じですから」
先生は口をつぐんだ。非合理的なことを言ったと思ったのかもしれない。
そうであれば、先生は純粋に私個人を心配したことになって、
もしかしたらそれは教師が生徒を気遣う以上のものなのかもしれないけれど、
私には結局、先生が何故押し黙ったのか分からないのだ。
外から強い風の音が聞こえる。きっとその風は生ぬるい。
もう春がきたのだ。私は卒業までに、先生に言われた通りリップクリームを塗って、
きっときれいな唇になる。そして先生に告白するかもしれない。
いや、きっとしないだろうけど。
(先生、)
私の個性は"変身"である。実際使えるのかは試したことがないけれど、爆弾にだってミサイルにだってなれる。
私は先生を守る為なら、そのまま爆発したって構わない。先生の為ならば、
『この体を百ぺん灼いても構わない』
いつか読んだ小説の文句をそっとくり返す。
けれど、私は、ヒーローは、そう言った少年のように、皆の幸いの礎にならねばならないのだ。
オールマイトや、イレイサーヘッドのように。
