漫画(ジャンプ系)
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『髙羽んとこの奥様はどうなの?』
なぜかおめでたげな色だけで構成されたスタジオをバックに、司会を担っている初老の芸人が話を振った。髙羽はいやあ、と頭を掻く。舞台に立つ用のコスチュームではなく、バラエティ用の身ぎれいな格好だ。相方の男前さに隠れているが、実は髙羽のほうもそれなりにはっきりした顔立ちをしているとは最近……この前のC-1以降言われ始めたことだ。ナマエはリビングのローテーブルに頬杖をついて、髙羽の答えを見ている。
『いやあ、それがうちの嫁さん厳しいんですよ。トークとかよく駄目出しされます。面白くないって』
笑い混じりに髙羽がそう答えるのに、相方である羂索も同調する。
『それでよく拗ねてるもんね』
『拗ねてねーよ!』
どっ、と笑い声が挟まれる。ナマエはくすりともせずに画面を見ている。まあまあ、と司会の芸人が口を挟んだ。
『それでもちゃんと見てくれてんでしょお? いい奥さんじゃないですか』
「ただいま~」
髙羽の反応を見る前に、玄関からの声にナマエは立ち上がった。
「おかえり」
リビングに入ってきた髙羽は、ちらりとテレビに目をやって「そういえば今日か」と言った。自分の出演したテレビ番組の放送日を把握していないわけないのに。ナマエはそう思う。地上波ゴールデン番組にそんな態度をとれるほど売れ始めてから時間は経っていないのだ。しかし、夫がそんな無頼漢のようなポーズをとる男であることをナマエはよく知っている。
「カレー、あっためるから一緒に食べようよ」
手洗って皿出して、と小学生にするような指示をされた髙羽はのろのろと言われた通りにする。ついでにカレー用のスプーンも出してやった。ナマエはそれを見て、ありがとうと笑う。以前、同じようにカレーの日に喧嘩をしたことがある。「スプーン出して」とだけ言われた髙羽が何も考えずにデザートスプーンを出したことをナマエが笑ったのだ。ちゃんと言わない方が悪いだのそのくらい分かるだろだのの言い合いになった。これは羂索にも言っていない。面白くないからだ。
テレビのスピーカーから、どっと笑い声が聞こえた。番組観覧席からのものだ。自分たち以外のゲスト――片方は羂索と張るイケメン芸人だと騒がれている――の発言によるものだ。髙羽はすぐに興味を失う。
「なあ。俺と羂索どっちがカッコいいと思う?」
いや、そんなことをナマエに訊いたのだから興味を失ったふりだったのかもしれない。
「うーん、羂索さんかな」
ナマエはカレーが焦げ付かないようにかき混ぜながら答えた。髙羽はそのドングリ眼をさらに大きくする。しかし髙羽の位置からは、ナマエのつむじしか見えない。
「……って答えたほうが史彦さん的には"面白い"?」
今度は髙羽のほうを向いて、ナマエはそう言った。(……こいつ)
怒りに似た感情が、髙羽を襲う。ナマエはピンチャンの、髙羽のお笑いが嫌いなわけではない。そもそも、コントも漫才も一発ギャグも彼女には興味がないのだ。そういった意味では、謎の多い相方よりも妻であるナマエのほうが髙羽にとっては宇宙人のような存在だった。ただ、そんな宇宙人の発言でも、思ってるか思ってもないことかは分かる。髙羽は今すぐナマエの服を剥いで、自分のものであると分からせたくなった。相方を前戯のネタにするなよ、というツッコミを髙羽は思いついたが、ナンセンスであるし今はトークの最中でも漫才のネタ出し中でもないため、口にしなかった。
なぜかおめでたげな色だけで構成されたスタジオをバックに、司会を担っている初老の芸人が話を振った。髙羽はいやあ、と頭を掻く。舞台に立つ用のコスチュームではなく、バラエティ用の身ぎれいな格好だ。相方の男前さに隠れているが、実は髙羽のほうもそれなりにはっきりした顔立ちをしているとは最近……この前のC-1以降言われ始めたことだ。ナマエはリビングのローテーブルに頬杖をついて、髙羽の答えを見ている。
『いやあ、それがうちの嫁さん厳しいんですよ。トークとかよく駄目出しされます。面白くないって』
笑い混じりに髙羽がそう答えるのに、相方である羂索も同調する。
『それでよく拗ねてるもんね』
『拗ねてねーよ!』
どっ、と笑い声が挟まれる。ナマエはくすりともせずに画面を見ている。まあまあ、と司会の芸人が口を挟んだ。
『それでもちゃんと見てくれてんでしょお? いい奥さんじゃないですか』
「ただいま~」
髙羽の反応を見る前に、玄関からの声にナマエは立ち上がった。
「おかえり」
リビングに入ってきた髙羽は、ちらりとテレビに目をやって「そういえば今日か」と言った。自分の出演したテレビ番組の放送日を把握していないわけないのに。ナマエはそう思う。地上波ゴールデン番組にそんな態度をとれるほど売れ始めてから時間は経っていないのだ。しかし、夫がそんな無頼漢のようなポーズをとる男であることをナマエはよく知っている。
「カレー、あっためるから一緒に食べようよ」
手洗って皿出して、と小学生にするような指示をされた髙羽はのろのろと言われた通りにする。ついでにカレー用のスプーンも出してやった。ナマエはそれを見て、ありがとうと笑う。以前、同じようにカレーの日に喧嘩をしたことがある。「スプーン出して」とだけ言われた髙羽が何も考えずにデザートスプーンを出したことをナマエが笑ったのだ。ちゃんと言わない方が悪いだのそのくらい分かるだろだのの言い合いになった。これは羂索にも言っていない。面白くないからだ。
テレビのスピーカーから、どっと笑い声が聞こえた。番組観覧席からのものだ。自分たち以外のゲスト――片方は羂索と張るイケメン芸人だと騒がれている――の発言によるものだ。髙羽はすぐに興味を失う。
「なあ。俺と羂索どっちがカッコいいと思う?」
いや、そんなことをナマエに訊いたのだから興味を失ったふりだったのかもしれない。
「うーん、羂索さんかな」
ナマエはカレーが焦げ付かないようにかき混ぜながら答えた。髙羽はそのドングリ眼をさらに大きくする。しかし髙羽の位置からは、ナマエのつむじしか見えない。
「……って答えたほうが史彦さん的には"面白い"?」
今度は髙羽のほうを向いて、ナマエはそう言った。(……こいつ)
怒りに似た感情が、髙羽を襲う。ナマエはピンチャンの、髙羽のお笑いが嫌いなわけではない。そもそも、コントも漫才も一発ギャグも彼女には興味がないのだ。そういった意味では、謎の多い相方よりも妻であるナマエのほうが髙羽にとっては宇宙人のような存在だった。ただ、そんな宇宙人の発言でも、思ってるか思ってもないことかは分かる。髙羽は今すぐナマエの服を剥いで、自分のものであると分からせたくなった。相方を前戯のネタにするなよ、というツッコミを髙羽は思いついたが、ナンセンスであるし今はトークの最中でも漫才のネタ出し中でもないため、口にしなかった。
