ゲーム作品
小さい頃テレビで見た、野生のポケモンのドキュメンタリーのことを今でも覚えている。好きでよく見ていたからだ。群れからはぐれたメークルが崖から落ちそうになって悲しそうに鳴いているところや縄張り争いに負けたザングースの傷ついた後ろ姿。今はもうテレビを付けなくても、自分の目で見られる。コライドンがいればどんな険しい崖だって広い海だって渡っていける。
久しぶりに帰った寮の部屋のベッドに倒れ込む。課外授業の間中、大体ずっとどこかの街に泊まったりその辺の草原で野宿していた。シャワー浴びなきゃなあ、と思いつつ億劫で唸っていたらいつのまにかボールから出たコライドンが一声鳴いてベッドに頭を乗せてきた。
「サンドイッチはないよ」
知ってるわ、と言いたげに目を細められたのでよしよしと頭を撫でてやる。モトトカゲと似ているようで、それよりも大きく硬い鱗の感触がする。コライドンの、きれいに並んだ鱗に包まれた腹が呼吸に合わせて上下していた。それを見ているうちに、いよいよ睡魔がやってきた。
「ロトロトロト……」
一瞬眠りの闇に落ちかけたところを、お構いなしに鳴るスマホロトムの着信音で引き戻された。コライドンがうるさそうに唸る。画面を確認すると母からのメッセージだった。内容は近況報告だ。うちのヨクバリスがいよいよ高いポケモンフードしか食べなくなってきているとか、庭にヤヤコマがよく来るとか。寂しくなったら電話しな、と言われていたけどホームシックなんてなる暇もないくらい日々は目まぐるしい。スマホロトムを使うのは地図を見る時か新しくできた友人と連絡をとりあうときくらいだ。だからこうしてたまに母の方から連絡が来るのだ。でも寂しさを感じないのは、自分が忘れていてもちゃんと帰れる場所が存在しているからかもしれない。
床に転がっているコライドンは、この時代にいるべき存在ではない。同種の個体も、彼以外に一匹しかいないのだ。オーリム博士が連れてこなければいるべき世界で他のコライドンと番を作っていただろうか。それとも縄張り争いに破れてどこかで死んでいただろうか。だって庇ってくれた博士は古代の世界にはいないのだから。博士もといAIの博士からコライドンを託された私が今、彼の群れの仲間なのだ。
「食堂にでも行こうかな」
そう呟くと、食事の気配を感じ取ったコライドンがガバっと体を起こす。自分よりも大きいポケモンが隣にいるのにもすっかり慣れてしまった。サンドイッチのテイクアウトをしに行こうかな、と話しかければコライドンは大人しくボールへ戻る。
モトトカゲの寿命を私はまだ調べられていない。それがコライドンにも適用されるかもしれないし、されないかもしれないからだ。もっと言うと彼が私を置いていくのか、私が彼を置いていくのか分かるのが怖いからだ。
久しぶりに帰った寮の部屋のベッドに倒れ込む。課外授業の間中、大体ずっとどこかの街に泊まったりその辺の草原で野宿していた。シャワー浴びなきゃなあ、と思いつつ億劫で唸っていたらいつのまにかボールから出たコライドンが一声鳴いてベッドに頭を乗せてきた。
「サンドイッチはないよ」
知ってるわ、と言いたげに目を細められたのでよしよしと頭を撫でてやる。モトトカゲと似ているようで、それよりも大きく硬い鱗の感触がする。コライドンの、きれいに並んだ鱗に包まれた腹が呼吸に合わせて上下していた。それを見ているうちに、いよいよ睡魔がやってきた。
「ロトロトロト……」
一瞬眠りの闇に落ちかけたところを、お構いなしに鳴るスマホロトムの着信音で引き戻された。コライドンがうるさそうに唸る。画面を確認すると母からのメッセージだった。内容は近況報告だ。うちのヨクバリスがいよいよ高いポケモンフードしか食べなくなってきているとか、庭にヤヤコマがよく来るとか。寂しくなったら電話しな、と言われていたけどホームシックなんてなる暇もないくらい日々は目まぐるしい。スマホロトムを使うのは地図を見る時か新しくできた友人と連絡をとりあうときくらいだ。だからこうしてたまに母の方から連絡が来るのだ。でも寂しさを感じないのは、自分が忘れていてもちゃんと帰れる場所が存在しているからかもしれない。
床に転がっているコライドンは、この時代にいるべき存在ではない。同種の個体も、彼以外に一匹しかいないのだ。オーリム博士が連れてこなければいるべき世界で他のコライドンと番を作っていただろうか。それとも縄張り争いに破れてどこかで死んでいただろうか。だって庇ってくれた博士は古代の世界にはいないのだから。博士もといAIの博士からコライドンを託された私が今、彼の群れの仲間なのだ。
「食堂にでも行こうかな」
そう呟くと、食事の気配を感じ取ったコライドンがガバっと体を起こす。自分よりも大きいポケモンが隣にいるのにもすっかり慣れてしまった。サンドイッチのテイクアウトをしに行こうかな、と話しかければコライドンは大人しくボールへ戻る。
モトトカゲの寿命を私はまだ調べられていない。それがコライドンにも適用されるかもしれないし、されないかもしれないからだ。もっと言うと彼が私を置いていくのか、私が彼を置いていくのか分かるのが怖いからだ。
