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結婚を親に断られる話
🎗️大人瀬呂視点
※最後はハッピーエンド
🎗️大人瀬呂視点
※最後はハッピーエンド
彼女と付き合い始めて3年が過ぎ、くだらないことでも笑いあえる関係が居心地が良く、そろそろ結婚を意識するようになってきた。
「そろそろ、ナマエちゃんのご両親に挨拶したいんだけど、どーかな?」
付き合い始めてから、幾度となくご両親への挨拶を彼女へ打診してきたが、良い返事はもらえず、ズルズルと年月だけが流れてしまっていた。
「んー…うちの家ってちょっとめんどくさい感じなんだよね…」
今回も断られそうな雰囲気だが、結婚するとなればそうもいかないでしょ。
「結婚するなら家族同士の繋がりも大事だから、挨拶だけはキチンとしておきてーんだけど?」
「…分かった。予定また連絡するね」
_
約束の日、待ち合わせの駅で彼女を待つ。
この駅初めて来たけど、キレイな公園あるんだな、今度彼女と一緒に来よーかな。とか緊張をほぐしていると彼女が到着
「ごめんね、待った?」
「いや、今来たとこよ。」
なんてカップルらしい会話をしつつ彼女の家へ向かう。
「家まで何分ぐらいかかんの?」
「…玄関まで10分ぐらいかな?」
「何その不思議な言い回し」
「えーっと…、家はずっと見えてるアレです。」
彼女の指差す方向を見れば、先程駅から見えていた公園の大きなお屋敷…え、マジか。どことなく品があるとは思ってたけど本物のお嬢様だったのか。昔訪れた八百万の家にも負けず劣らず。
より一層緊張が高まったんですけど。
「いつ死ぬかもわからないヒーローに娘はやれん、帰ってくれ。」
お父さんの第一声は取り付く島もなかった。
「お父さん…!瀬呂くんは本当に素敵な人よ!職業なんて関係ない!」
「お前の婚約者は、別で用意してやる。諦めろ。」
門前払いという感じにそのセリフを最後に追い出されてしまった。
断られることは多少想像していたものの、ここまで一方的だとは…
「…お父さんってヒーロー嫌いなの?」
「いや、今までそんなこと言ったこと無いんだけど…。お父さんのことなんていいよ…!最悪駆け落ちしちゃおっか!」
彼女はそんな風におどけて言うけれど、お父さんの言うことももっともだ。
もし、駆け落ちでもしてしまったら、自分が殉職したとき、彼女の身内が居なくなってしまう。
「んー、もうちょい頑張らせて、ね?」
_
それから数年ヒーローとしての実績をさらに積み、メディアにも出演し名前を売り、彼女を守れる力もあるとアピールしてきたが、お父さんからの評価は相変わらず。
ヒーローを諦める、という最悪の選択肢も視野に入れないとならねぇの…?と苦悩する毎日にお互い疲弊し、彼女と笑いあえる時間も減ってきていた。
「…転職先探してみようかな」
限界が来ていたんだと思う。ぼそりと呟いたその言葉に
「大丈夫…?」心配そうに見つめてくれる彼女に、この子を諦めるくらいならヒーローを諦めた方がマシな気さえしてきた。
「俺の代わりのヒーローはいくらでも居るけど、ナマエちゃんの代わりなんていねーのよ」とそっと抱きしめ、久しぶりに幸せな時間を過ごした。
…それが最後だとは思いもしなかった。
翌朝、彼女は隣におらず、手紙だけが残されていた。
______
瀬呂くんはヒーローを諦めてもいいって言ってくれたけど、ヒーローとして活躍する瀬呂くんは本当にキラキラしててカッコいいんだよ。私が好きになったのはそういう瀬呂くん。私が居ることで夢を諦めないといけないのなら、私は離れようと思います。
______
「な、んで、」
突発的に家を飛び出し彼女を探すが見つかるはずもなく、俺がグズグズしてたから、彼女の言うように駆け落ちをしてたら良かったのか、とか後悔ばかりが押し寄せてくる。
その後も彼女の居場所を探し回ったが全く影を見せなかった。
きっと婚約者と結婚して幸せになってるだろと無理矢理納得させたものの、彼女の代わりなんて出来るわけがなく、ただひたすらに仕事に没頭して数年が過ぎていた。
<<緊急要請!!ヴィラン襲撃でビルが決壊し、負傷者多数!至急現場へ向かってください!>>
鳴り響くサイレンとともに指令が下る。
「大丈夫ですか?安心してください、すぐ助けます!」
現場は多くのヒーローが救助活動をしているが、瓦礫の山の中、泣き叫ぶ人々の声は鳴り止まない。…その中に彼女を見た。
いくら探しても見つからなかった彼女がこんな所で見つかってしまった。
「ナマエ!!」
気絶しているようで返事はない。彼女の頭から流れる血に動揺が隠せない。こんなんじゃヒーローとしてダメだろ…!!と自分を奮い立たせ、どうにか救護班へ連れて行く。
「無事であってくれ…!」
救護活動も落ち着いてきたところで他のヒーローと交代し彼女が運ばれた病院へと急ぐ。
病室でたくさんのチューブに繋がれた彼女は助けが間に合わず、昏睡状態になっていた。
「1番大事な人を守れてないのに、何がヒーローだ…!俺の隣にいてほしいとかもう贅沢は望まないから、とにかく生きてくれ…!!」
やっと見つけたんだ、彼女が幸せにならない未来なんて俺は認めねぇよ!!
それから毎日彼女の病室へ足を運んでいる。
「今日はナマエちゃんの好きなお花買ってきたよ。」
「誕生日おめでとう、早く起きないとケーキひとりで食べちまうよー?」
「あんまり瀬呂くんにイジワルしねぇでよ…」
無反応の彼女にひたすら話しかけていると
「毎日来てくれているんだってね」と後ろからナマエのお父さんに話しかけられた。
「ちょっと話せるかな?」
談話室に移動し2人でベンチに座る
「娘を助けてくれたのは君なんだってね…ありがとう。」
「いえ、結局救えてないんで、守れなくてすみません…。」
頭を下げる俺を見つめ、ポツリポツリとお父さんが話し始めた。
「…私の妻はヒーローでね、娘の物心がつく前に殉職したんだ。娘にはそのことを隠して育ててきた。娘に私と同じ想いをしてほしくなかったんだ…。毎日お見舞いに来てくれている君を見て、あの時引き離すんじゃなかった、と後悔しているよ。すまなかった。」
と吐露し、深々とお辞儀をされた。
_
彼女が眠り始めて1年が過ぎた頃
唐突に、彼女が目覚めたと病院から連絡が入った。
「ナマエ!!」
「…瀬呂くん?なんでここに」
もう一度聞きたいと願ってやまなかった彼女の声と表情に、膝から崩れ落ちそうになる。
「っ好きだ、もう離さねぇ…!」
隣に居たいとか贅沢はもう言わないと決めていたはずなのにその途端、心の声が漏れてしまっていた。
彼女は傍らに立っていたお父さんの方をチラリと伺い、こくりと頷いたのを見ると
「じゃ、許可も降りたことだし結婚しよっか!」と笑顔でプロポーズ
何年も離れていたとは思えない彼女の様子に思わず笑みが溢れる。
「変わんねぇな、ホント最高だわナマエちゃん。」
ぜってぇ幸せにしてやるから覚悟しといてね。