前世の推しに嫌いと言われて二十七年経ちました。
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その後蘭とは友達……のような関係を続けている
最低月1回はご飯を一緒に食べに行く
そんな関係だ
緩い時間が流れていたと思ってた時
神様は私が嫌いらしい
蘭が昏睡状態で入院していると竜胆から電話がかかってきたのは、春の日差しがとても気持ちのいい……そんな日だった
「蘭!!竜胆、蘭は?」
「手術は終わってるけど……まだ、目を覚まさない……ごめん、兄ちゃんはオレを庇って……」
「謝らないで
蘭が自分からしたことでしょ?竜胆を守るための……」
あぁ、そっか
イザナも、こんな気持ちで庇ったのかな……?
そんなことを考えながら病室に向かってたら、病室の前に……
「さや……さん?」
「え?鶴蝶……?」
イザナの隣にいつも立っていた男がそこにいた
……蘭との関係性ってなんだ??
イザナとは下僕と王っていうちょっとアレな関係だったけど……
「さやさん、お久しぶりです」
「12年……いや14年ぶり、かな」
イザナが死んでからの鶴蝶の行方は知らない
本当に久しぶりに会った
「灰谷はもう大丈夫だ、後は意識が戻るのを待つだけだ」
「良かった……」
命に別状がないだけでいい
……生きているだけで、いい
「鶴蝶!さや!兄ちゃんが目ェ覚ました!!」
「本当か!」
「良かった……」
「っ……痛ってぇ……」
「ごめん、兄ちゃん」
「竜胆無事か?なんだ鶴蝶来てたのか……ん?その女誰?何で此処にいんだよ」
「兄ちゃん、何言ってんだよ……さやだよ?」
「知らねぇ」
「ら……蘭……?」
「あ?オレの名前気安く呼んでんじゃねーよ」
あぁ、神様は心底私のことが嫌いらしい
今度は蘭を私から奪うのですか?
その場に居ることができず退室した
歩いてたはずなのに気づいたら走っていた
「待って!!……ごめんね、さや」
「竜胆は悪くないよ……私が悪いんだ」
いつまでもグズグズしてた私が悪いんだ
気づいたら大切になってたのを気づけなかったんだ
ごめん、なんて謝っても遅いと思うけど……
「ねぇ、竜胆……蘭のお見舞いに行ってもいい?」
「いいけど……大丈夫か?」
「うん、今度はこっちからいかないと」
明日から頑張ろう!!
「また来たの?お前暇人だな」
「ら……灰谷さんもいつも変わりませんね」
その口の悪さとか昔に戻ったみたいだ
というか、蘭変わってなかったんだな……
何年経っても変わっていない蘭に安心を覚えるのと同時に、そのままで成長したのかと心配を覚えた
「ねぇー暇ならそこの果物でも剥いてよ」
「分かりました、何がいいですか?」
「……オレンジ」
「はい」
そういう所だけ素直なのも変わってないなぁ……
それに……
「オレンジ好きなの、変わってないね」
「は?何で知ってんの?」
ストーカー?きもって言われた
減らず口が叩けるうちは元気な証拠だな
「……灰谷さんがよくなるまでは……」
なんなら、記憶が戻ってくれればいいんだけど……
初めましてからの方がいいよね
前までの蘭を知ってるのは私だけでいい
そう、私だけで……ちょっと寂しいのは、気のせいだよね
1ヶ月経っても2ヶ月経っても蘭の記憶は戻らなかった
もう一生戻らない可能性もあると言われた
私の存在だけ忘れるなんて都合のいい脳みそだ
本っ当に……
「ばぁか」
なんで私の大切な人は全員私から離れていくんだろ
蘭が退院してからは連絡を一切取らなくなった
幼なじみ、とも言えなくなったし……
竜胆とはたまに連絡を取る
鶴蝶とはあの時だけだ
〜〜♪〜♪
「ん?ら……蘭??」
え?何で蘭から電話が?
「は、はい……」
「……何でこのケータイ知ってんの?」
「灰谷さん……?」
「何でこのケータイ知ってんのかって聞いてんだよ」
「いや、えっと……」
「チッ、じゃあな」
「待って蘭!!」
「は?」
「ちがっ……」
「なに?」
「……蘭、元気でね…………さようなら」
「……!!ちょっとま」
プツッ
その通話を最後に私は蘭の連絡先を消した
きっと、もう二度と交わらないだろう
最初っからおかしかったんだ
漫画の主要人物と関わることがおかしな事だったんだ
忘れよう
「バイバイ……………………好きだったよ」