｢蘭ちゃん、大丈夫？｣

話しかけても返事はない
苦しそうな息の音だけが部屋に響いている
私が悪いんだ……
蘭ちゃんが具合悪いの気づかないなんて……

｢奥さん、失格だね｣

リビングを見てみたら風邪薬を飲んだ跡があった
蘭ちゃんは1人で何とかしようとしてたみたい

｢そんなに頼りないかなぁ……｣

そりゃ昨日急に前世思い出して直ぐに信用してくれなんて都合良すぎるよね……

ﾎﾟﾀｯ……
｢蘭ちゃん、ごめんね……｣

こんな奥さんで、こんな私でごめんね……
なんでもっと早く思い出さなかったんだろう
もっと早く……

｢もっと早くに夫婦になりたかったね｣

ごめんね、蘭ちゃん



｢ん……さや……｣
｢蘭ちゃん！目覚めた！？｣
｢さや……さや…………｣
｢ここにいるよ、蘭ちゃん｣
｢さや、傍に……いて？｣
｢うん｣
｢ずっと、傍に……｣
｢ずっと傍に居るから、だから大丈夫だよ｣

汗ばんだ額を撫でていたら安心したのかちょっと笑ってくれた

｢さや……だいすき……｣
｢っ！蘭ちゃん……｣

こんなにも彼に愛されていたなんて知らなかった
こんなにも……

｢蘭ちゃん、ごめんね｣

今まで貰った愛を返さなければ
蘭ちゃんの為にこの後の人生を生きよう

それが、私の償い
蘭ちゃんに出来るのはそれくらいしかない
願わくば……

｢蘭ちゃんが、この後の人生が幸せでありますように｣


そう、祈りを込めて頬に口付けをした