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夢と悪夢を引き換えに(国重×夏透(捏造)

 久しぶりの休日。
 前日まで仕事が忙しく、疲れていたせいかここ三、四日はリビドーを着けずに夢も見ず、深く眠っていたらしい。
 クロノは毎日のように俺の部屋に訪れては、リビドーをやめるようにうるさく言う。
 深く沈む気持ちを紛らわすために、あいつと何度も何度もカラダを重ねた。行為中はソレばかり考えてしまうが、終わってからは何一つ、満たされることはなかった。
 まだ朝の六時頃だが、目が冴えてしょうがない。
 朝飯も食べないで、身支度を始めることにした。
 今日は久しぶりに、散歩へ行こう。綺麗な花がたくさん咲く、あの公園へ。

 誰もいない、思い出の公園。
 この時間なら、ジョギングや犬の散歩をしてる人がいてもおかしくねぇんだがな……なんて思ったが、いないならいないで、ゆっくりできる。
 見覚えのある白いパーカーを着た、華奢な男。
 ふらふらとゆっくりとした足取りで、俺の前をその男が通り過ぎていく。
 整った可愛らしい横顔が、俺のよく知るあの顔と重なった。
「夏透っ……!」
 思わずそう叫んでいた。
 〝夏透〟本人だということを俺に確信させるように男はゆっくり振り向き、
「こう、せい……?」
 驚いたように俺の名前を読んだ。
 最後に見た時より、少し痩せたように見える。
「元気、だったか?」
 当たり障りのない、ありきたりな言葉を選んだ。
「……毎日、昴正のことばっか考えてる」
 問いの答えでもない、独り言のような言葉を伏し目がちに呟く。
「嫌ってくらいに、もうずっと……」
 震える声、潤む瞳、きつく結ばれた唇。何もかもが、あの時のように愛おしい。
 すぐにでも抱きしめたいという衝動が抑えられず、夏透の腕を引き、抱きしめていた。
「っ……昴正……」
「今度は二人で幸せになろう」
 そう言うと、夏透の腕が俺の背に回ってきた。
「……うん」



『〇月×日。都内のアパートの一室で、20代の男性一人。同じく都内の事務所で、40代の男性の遺体が確認されました。どちらも死因は突然死で、二人の頭には例の〝リビドー〟が装着されていたそうです――』

「あーあ。あんなに言ってあげたのに……」
 俺とじいは、二人が死ぬ直前まで二人の夢の中にそれぞれいた。
 偶然なのか必然なのか、二人は同じ夢を見ていたらしい。



「あんな奴ら、死んで当然だ。クロノに相手されやがって……!」

-END-
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