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夢ノ森にて

いい天気だ。こういう日は森を散歩するに限る。背丈の低い柔らかな草を踏み分け、あてもなく森を歩いていると、遠い日の自分を思い出す。農作業の合間を縫って、しょっちゅう近くの森へ入ったものだ。あの日からいったい何年経っただろう?もう幼木が大人四人が手を広げても抱えきれないほどの幹をもつ老樹になるくらいの時を経ても尚、私の趣味嗜好は変わっていない。
 やがて開けた場所に出た。大樹が倒れ、ぽっかりと空に穴が空いて日が差し込んでいる。私は倒れた大木の幹に腰掛けた。
 ここには思い出がある。そう、思いがけない出会い方をしたあの子との思い出は、ここから始まったのだ。
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