迷い子の足跡
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文次郎君の背中に揺られながら、暫くのどかな自然をぼんやり眺めていた。一定の速さで揺れる背中は、昔思いっきり遊んだ後におんぶをしてくれた父の背中を彷彿とさせる。
(何だか懐かしいな…)
思い出に浸るのも束の間、数十メートル先に立派な塀が見えてきた。
重厚な木と青碧色の瓦で作られた立派な門。あそこが——忍術学園?
門の前では年若い藍色の忍装束を着た男の子が箒を掃いている。何処かのんびりとした雰囲気の彼は、私たちに気づくとぱっと顔を明るくし駆け寄って来た。胸元には「事務員」と書かれた布が縫い付けられている。
「んぁ、伊作君!文次郎君!お帰りなさーい!実習どうでしたか?小平太君はどうしたんです…ってあれ?その女の人はどちら様ですか?」
「ただいま小松田さん!いやぁ、実はかくかくしかじかで…」
なんて返事をするか悩み始めるよりも先に、伊作君が事の顛末を説明してくれた。人当たりの良さそうな笑顔を見せる彼は、「小松田さん」というようだ。
…というか、かくかくしかじかだけで本当に伝わったの?
「えぇ!?大変じゃないですかあ!じゃ、入門表にサインをお願いしますぅ」
事情がきちんと伝わったのかは甚だ疑問ではあるものの、小松田さんは慣れた手つきで紙と筆を差し出してきた。名前くらいなら流石にちゃんと書ける筈。
…渡された物が筆である事を除けば。
「どぉかしましたか?」
小松田君が不思議そうな顔をしてこちらを見つめてくる。
「う、ううん!ありがとう」
私ははっとして軽く笑って誤魔化した。顔が一瞬引き攣ったのバレてないといいな…
(筆なんて小学校の習字の授業以外で使った事がないよ…!)
内心心臓ばくばくだが、ここで躊躇っても不審に思われるだけだ。
覚悟を決め、慣れない手付きで筆を動かす。筆先が妙にふにゃふにゃしてるし、インク(?)の乗り方もバラバラで、思ってた以上に難しい……!書き切った頃には____
……紙の上には、辛うじて読めるものの見るも悲惨な文字が浮かび上がっていた。
「…団蔵といい勝負だな。」
「それ絶対ディスってるよね!?!?」
「でぃす?」
私が恐る恐る入門表を返すと、小松田さんはありがとうございまぁすと屈託のない笑顔で受け取ってくれた。
……ありがとう小松田さん。小松田さんの朗らかなお陰で少し癒された気がするよ
漢字
(何だか懐かしいな…)
思い出に浸るのも束の間、数十メートル先に立派な塀が見えてきた。
重厚な木と青碧色の瓦で作られた立派な門。あそこが——忍術学園?
門の前では年若い藍色の忍装束を着た男の子が箒を掃いている。何処かのんびりとした雰囲気の彼は、私たちに気づくとぱっと顔を明るくし駆け寄って来た。胸元には「事務員」と書かれた布が縫い付けられている。
「んぁ、伊作君!文次郎君!お帰りなさーい!実習どうでしたか?小平太君はどうしたんです…ってあれ?その女の人はどちら様ですか?」
「ただいま小松田さん!いやぁ、実はかくかくしかじかで…」
なんて返事をするか悩み始めるよりも先に、伊作君が事の顛末を説明してくれた。人当たりの良さそうな笑顔を見せる彼は、「小松田さん」というようだ。
…というか、かくかくしかじかだけで本当に伝わったの?
「えぇ!?大変じゃないですかあ!じゃ、入門表にサインをお願いしますぅ」
事情がきちんと伝わったのかは甚だ疑問ではあるものの、小松田さんは慣れた手つきで紙と筆を差し出してきた。名前くらいなら流石にちゃんと書ける筈。
…渡された物が筆である事を除けば。
「どぉかしましたか?」
小松田君が不思議そうな顔をしてこちらを見つめてくる。
「う、ううん!ありがとう」
私ははっとして軽く笑って誤魔化した。顔が一瞬引き攣ったのバレてないといいな…
(筆なんて小学校の習字の授業以外で使った事がないよ…!)
内心心臓ばくばくだが、ここで躊躇っても不審に思われるだけだ。
覚悟を決め、慣れない手付きで筆を動かす。筆先が妙にふにゃふにゃしてるし、インク(?)の乗り方もバラバラで、思ってた以上に難しい……!書き切った頃には____
……紙の上には、辛うじて読めるものの見るも悲惨な文字が浮かび上がっていた。
「…団蔵といい勝負だな。」
「それ絶対ディスってるよね!?!?」
「でぃす?」
私が恐る恐る入門表を返すと、小松田さんはありがとうございまぁすと屈託のない笑顔で受け取ってくれた。
……ありがとう小松田さん。小松田さんの朗らかなお陰で少し癒された気がするよ
