傘を忘れて
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「ねー……いつまでそれやってるの」
「この面クリアするまで。」
「それ五回目なんですけどー……」
公園の小さな屋根のあるベンチで、通り雨と思われる雲から身を隠していた。
この猫……基、研磨と一緒に。
「寒くないの?」
「別に。」
「私は寒い。」
「ふーん。」
ゲームに没頭……してるわけではないけど、返事は曖昧なもので。
「研磨は私よりゲームの方がお熱だもんねー……」
なんの意味もなく口から零れた、子供のような小さな嫉妬。
彼には届いてしまったみたいで。
「誰もそんなこと、言ってないけど。」
次に振り向いた先にはじ、っと私を見詰める大きな目。
「聞こえちゃ、ってた?」
「あたりまえでしょ、こんな近くにいるのに。」
「じゃあなんでこんな近くにいる孤爪さんはゲームしてたんですかあー」
「それは……」
そういって黙り込む。ほら、嘘なんかつかなくてもわかるんだってば。
「退屈なんで……しょ、」
「そんなこと、一言も言ってないってば。」
頭に遅れてやってきた通知は研磨から頬にキスをされた、というもので。
「ずっと見てると、こういうことたくさんしたくなるから。」
そういってまた携帯に目を落としたのだった。
◇◆◇
(私も嫌なんて、一言も言ってないんだけどなあ。)
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