傘を忘れて
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「げ、こんなズブ濡れになって何してんの。」
「"げ"はないでしょう"げ"は。傘忘れたから、そのまま帰ってるの。」
叩くように降っていた雨も小雨になった頃、傘を忘れた私は歩いて帰っていた。そんなところにこの男、月島に見つかってしまったわけで。
「でもそんなことしてたら風邪引いちゃうでしょ?苗字仮にもオンナノコなんだし。仮にも。」
「一言も二言も余計だっつの!あんたに心配されるほどじゃ……っくしゅ!」
「あーあ、言わんこっちゃない……色気のないくしゃみ。」
口ではそう言いながらもバックから取り出したジャージを肩にかけて、傘の中に入れてくれる。
「だから、心配しなくても……」
「ピンク色ー、透けてるよ。」
態とらしく声を上げ、肩を抱き寄せてにまにま私を笑う姿に恥ずかしさと苛立ちが同時にこみ上げて来る。
「も、もっと早く言いなさいよ!!」
渋々とジャージに手を通してチャックを上まであげるもその大きさに手元がだぼついてしまう。肩に掛かった手を払おうとするも捕まってしまい。
「ちっさ。こう見るとやっぱオンナノコだよねー。」
ぷらーん、とだらしなく手を持ち上げられ何すんの!と顔を睨んだ瞬間。
「可愛い、って言ってんの。透けた服とかでむやみに外出歩かないでよね。」
唇が触れそうな距離で低く呟かれると傘を手渡されてばいばい、と後ろ手を振り帰ってしまう。
「……ずっる。」
もう二度と会いたくない位恥ずかしい顔を、あいつの傘とジャージで隠した。