傘を忘れて
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「あー!!傘忘れたー!!」
練習も終わり、しとしとと雨が降り出す頃。体育館に響いた高めの声に、元気だなあと声が洩れた。
「どーしよー影山!帰り俺のこと入れてよ!!」
「無理に決まってんだろボゲ!どんだけ家離れてると思ってんだ!」
濡れて帰れ、と手を振りそそくさ立ち去ってしまう。
「ちぇー、冷えなー……風邪引きたくないけど、チャリ飛ばすしかないのかなあ。」
ぶつぶつ呟いているところ、 思い切って声をかけた。
「えっと……私、傘あるよ。入ってく?」
「え、いいの!?……え、いいの?」
全く同じ台詞を、全く違う表情で繰り返す日向。
「だって、一緒に入るってことは、相合傘……」
真っ赤に頬を染めた彼が続けようとした言葉を遮るように、傘を渡して。
「い、いやなら、持ってってもいい!」
妙に恥ずかしがる彼につられて私も恥ずかしくなってしまい、傘を押し付けてその場を離れようとする。
けど、後ろから声をかけられて。
「い、一緒に帰りたいです!!」
まだ人も疎らな体育館に再び、声が響いた。