日記
春が過ぎても
2025/05/03 07:22さぁっと風が鳴ると満開の桜の枝が揺れ、薄紅色の花びらがあちこちに舞った。
この花がすべて散ると、春が去るのだ。季節が巡りゆくのはなんと早いのだろう。ついこのあいだ、アリーナ様とふたりで窓の向こうの雪景色を眺めたばかりなのに、もう春が目の前を過ぎていこうとしている。
春の次には夏が来て、秋が来て、そしてまた冬が来る。
日々、成長出来ているだろうか、神に恥じぬ立派な人間になれているだろうか、と自問自答しながら、移り変わる季節と共にわたしは、このサントハイムで、アリーナ様のおそばで生きてゆく。
アリーナ様のおそばで。
舞い飛ぶ花吹雪を見上げながら心の中で繰り返すと、胸にじんわりあたたかな想いが広がった。
わたしは、なんと幸せ者なのだろう。
たった一度の人生で、めまぐるしく進む毎日の中で、アリーナ様という命をかけてお慕いするお方と出会うことが出来たのだから。
ちっぽけな自分を、そこだけは手放しで褒めてやりたい。よくやったクリフト。本当によくやった。わたしは地味で真面目でつまらない男だが、アリーナ様へ捧げる愛の深さだけは世界一、いや宇宙一だ。
誰にも、決して負けることはない。
「クリフト?どこにいるの?」
そのとき、花霞の向こうから声が聞こえた。アリーナ様がわたしのことを探している。お城からだいぶ離れた庭園の、こんな遠くまで探しに来てくれたのだ。
わたしは、愛するお方に探してもらえる存在なのだ。
胸が熱くなり、いとおしさと誇らしさでいっぱいに満たされた。
「わたしはここです、アリーナ様!」
強い風が吹いて、桜の小さな花びらがあたり一面に舞う。見上げると太陽は光を増し、すこしずつ南へ向かっている。
花が散り、春はやがて去る。夏がやって来る。季節が変わっても、わたしのこの想いは永遠に変わらない。いや、それどころかますます強くなるばかりだ。
この花がすべて散ると、春が去るのだ。季節が巡りゆくのはなんと早いのだろう。ついこのあいだ、アリーナ様とふたりで窓の向こうの雪景色を眺めたばかりなのに、もう春が目の前を過ぎていこうとしている。
春の次には夏が来て、秋が来て、そしてまた冬が来る。
日々、成長出来ているだろうか、神に恥じぬ立派な人間になれているだろうか、と自問自答しながら、移り変わる季節と共にわたしは、このサントハイムで、アリーナ様のおそばで生きてゆく。
アリーナ様のおそばで。
舞い飛ぶ花吹雪を見上げながら心の中で繰り返すと、胸にじんわりあたたかな想いが広がった。
わたしは、なんと幸せ者なのだろう。
たった一度の人生で、めまぐるしく進む毎日の中で、アリーナ様という命をかけてお慕いするお方と出会うことが出来たのだから。
ちっぽけな自分を、そこだけは手放しで褒めてやりたい。よくやったクリフト。本当によくやった。わたしは地味で真面目でつまらない男だが、アリーナ様へ捧げる愛の深さだけは世界一、いや宇宙一だ。
誰にも、決して負けることはない。
「クリフト?どこにいるの?」
そのとき、花霞の向こうから声が聞こえた。アリーナ様がわたしのことを探している。お城からだいぶ離れた庭園の、こんな遠くまで探しに来てくれたのだ。
わたしは、愛するお方に探してもらえる存在なのだ。
胸が熱くなり、いとおしさと誇らしさでいっぱいに満たされた。
「わたしはここです、アリーナ様!」
強い風が吹いて、桜の小さな花びらがあたり一面に舞う。見上げると太陽は光を増し、すこしずつ南へ向かっている。
花が散り、春はやがて去る。夏がやって来る。季節が変わっても、わたしのこの想いは永遠に変わらない。いや、それどころかますます強くなるばかりだ。