ファミコン版ドラクエⅣはソフト発売よりも前に、当時の週刊少年ジャンプの巻頭袋とじで、キャラクターデザインが毎週すこしずつ公開されていきました。

そのときの勇者くんのキャラクターデザインと共に書かれていた紹介文が、たしか

「立派な勇者になるために、修行をみっちり積んでいる。だから剣も魔法も完璧だ」（みたいな感じ）でした。

勇者くんは山奥の村から出してもらえることもなく、幼い頃からただひたすらに生粋の英才教育を受け続けた、選りすぐりの魔法剣士なのですね。

たまにもらえる休みにはすこし寝坊なんかして、釣りをするお父さんにおべんとうを届けて、シンシアとのんびり花畑で過ごして。

次の日が来ればまた、あてどもなく鍛錬、鍛錬の日々を繰り返す。

いったい俺はなぜ、こんなにも厳しく鍛えられているのだろう？

いったいなんのために、俺は強くなろうとしているんだろう？

やがてあの運命の日がやってくるまで、その時その瞬間まで、その疑問は常に彼の脳裏につきまとい続けたのです。